2019年2月定例県議会(3)

災害時の避難所の改善について

昨年発生した大阪北部地震や西日本豪雨、北海道胆振東部地震では、体育館で身を寄せ合う避難生活の光景が報じられ、避難所が体育館生活であることが当たり前のようにTVで報じられる光景になっていますが、海外の避難所の実態とは大きなギャップがあることが知られるようになってきました。 イタリアでは、国の官庁である市民保護局が、避難所の設営や生活支援を主導します。2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、初動48時間以内に6人用のテント約3000張、18,000人分が設置され、最終的には約6000張、36,000人分を行き渡らせました。テントは約十畳の広さで、電化され、エアコンつきだそうです。各地にテント村が形成され、バス・トイレのコンテナも設置されました。イタリアでは、自治体任せにせず、国家が備蓄をすることで全国各地への迅速な対応を可能にしている点も大いに見習うべきです。 それに比べ、日本の現実との何たる開き。そもそも災害避難用や宿泊用の施設ではない、一人当たりの面積が狭い、常に騒音や混雑感があり落ちつかない、一人用のベッドや布団が不足している、エアコンや入浴施設がない、調理施設がなく温かい料理が供給されないなど、我慢と忍耐の体育館での避難生活。 熊本地震では、地震の後で体調を崩すなどして死亡に至った震災関連死のうち、45%に当たる95人が避難所生活や車中泊を経験していたとNHKは伝えています。劣悪な避難生活が避難者の健康と命を削っているのです。学校の廊下で寝起きをした例、一人当たり一畳ほどしかない避難所、難民キャンプより劣悪という声も出たそうです。 海外の避難実態を調べる中で、国際的な基準があるのを知りました。スフィア基準と言い、国際赤十字等が提唱する災害や紛争時の避難所の最低基準で、次のように定めています。 世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する。一人当たり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する。最適な快適温度、換気と保護を提供する。トイレは20人に一つ以上、男女別で使えること。 なぜ経済力豊かな日本の避難所は劣悪な環境なのか。そんな基準があることすら私たちに知らされずにいることを嘆かざるを得ません。 そこには国際社会との考え方の違いがあると言われています。スフィア基準は、単なる避難所の設置基準ではありません。正式名は、「人道憲章と人道対応に関する最低基準」であり、「災害や紛争の避難者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある。避難者への支援については、第一にその国の国家に役割と責任がある。」と定めています。つまり、避難者は人として尊厳ある生活を営む権利が当然保障され、国や自治体の都合で生活環境を決められるのではないということです。これは、避難者の自己決定権が尊重され、避難所の運営や援助の方法の決定プロセスに可能な限り参加し、意向が反映されるべきであることを意味します。 そして、この基準は理想を掲げたものではなく、アフリカの難民キャンプで多くの人が亡くなったことをきっかけに策定された避難者の尊厳と健康、命を守るための実践的な最低基準であることを理解しなければなりません。 調べてみたところ徳島県では、2015年度から災害関連死ゼロを目指して、スフィア基準を取り入れた避難所の環境整備が行える体制を構築するため、市町村職員、社協職員、災害時コーディネーター、医師、看護師等の防災関係者を対象に研修を実施しています。また、平成29年3月、避難所運営マニュアル策定指針にスフィア基準を一部盛り込んだと聞きました。 そこで、伺います。 本県は、これまでこうした基準の内容を明確に示した上で、市町に対し、それに基づく避難所運営マニュアルの作成等を促したことがあるでしょうか。 村岡知事は、災害に強い県づくりを推進するため、平成30年7月豪雨災害を教訓として、災害時における「逃げ遅れゼロ」の実現を目指す。 ソフト、ハード両面から防災・減災対策を来年度の最重要課題とする姿勢を示されています。加えて、スフィア基準を満たし、また、避難者の自己決定権が尊重され、避難所の運営や援助の方法の決定プロセスに可能な限り参加できる避難所の環境整備が行える体制を構築すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

総務部長答弁

災害時の避難所の改善に関する2点のお尋ねにお答えします。 まず、市町に対し、スフィア基準を明確に示した上で、これに基づく避難所運営マニュアルの作成等を促したことがあるのかとのお尋ねです。 避難所の質の向上を図ることは、災害関連死を防ぐ観点からも、大変重要であると考えています。 このため、県では、「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」において、お示しの「スフィア基準」も参考として掲げ、避難者1人当たりの所要面積の目安を示すなど、市町における、避難所の質にも配慮した「避難所運営マニュアル」の作成を促しています。 次に、避難者が避難所の運営や援助の方法の決定プロセスに可能な限り参加できるなどの体制を構築すべきとのお尋ねです。 県としては、避難所生活が長期化する場合にあっては、避難所運営は、住民が主体となって実施することが必要であると考えています。 このため、現在、住民自らが避難所のレイアウトや運営方法等について、あらかじめ、市町や学校等と話し合い、地域オリジナルの「避難所運営の手引き」を作成する取組を、市町と連携して進めており、引き続き、県内への普及を図ってまいります。