イージス・アショア

イージス・アショアについてお尋ねします。

社民党の福島みずほ参院議員が「いくら支払ったのか」を防衛省に問い合わせたところ、8月20日付で「イージス・アショア関連経費の執行としては、現時点において、本年4月26日に米国政府と締結したFMS契約はイージス・アショア本体2基の取得費(約1382億円)と人材育成(約17億円)であり、FMS契約額は1399億円になります」との文書回答が返ってきました。

今年4月といえば、萩、秋田両市などで住民説明会は開かれていたものの、本県でも秋田県でも、知事や市長、議会は受け入れ同意を表明しておらず、今に至るまで同意していない。まともにレーダー波(電磁波)を浴びかねない阿武町に至っては、町長、町議会とも「反対」を表明しています。

にもかかわらず防衛省は、場所も決まっていないのに「イージス・アショア」の本体を発注して、まだ始まってもいない人材育成の費用まで契約したことになる。さらに来年度防衛費では発射装置を買い入れ、自衛隊とのシステム連携を進める段取りとなっている。

これを「既成事実化」といわずして何といえばよいのだろう。

地方自治のかけらもない。この例のような既成事実化について、どのように考えているのか、これは知事にお聞きしたいと思います。

次に、アメリカ合衆国政府が運営する国営放送であるボイス・オブ・アメリカ( 略称:VOA)によれば、米国のジョン・ルード政策担当国防次官が17日(現地時間)、北朝鮮の新型ミサイル開発に関連し、「ミサイル防衛と同時に発射原点を打撃できるよう攻撃・防御作戦の統合を進めている」と発言。そのうえで日本が2023年に導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に攻撃性能を加えるために改良しているとも公開しました。米議会で開かれたミサイル防衛擁護連盟(MDAA)主催のセミナーで述べています。防御用という従来の説明とは異なる発言であります。

憲法9条に違反、専守防衛を逸脱した兵器が配備されようとしていることが明白になったのでありますから、配備反対を表明すべきですが、いかがでしょうか。お尋ねします。

このようなアメリカの本音発言を、どのようにお考えなのか、お聞かせください。

さらに、知事はハワイの実験施設を視察に行かれると聞いています。配備容認への地ならしでは無いのか。との声は届いておいででしょうか。ハワイに行かれるくらいならルーマニアに行かれて、イージス・アショア施設周辺の状況視察や周辺市民の声を聴取されるべきでは。なによりその前に「むつみ演習場」周辺住民の皆さんとの、とりわけ阿武町民のみなさんの声を聞かれる場を設けられることが優先されるべきですが、これらについて、どのように考えているのか、これは知事にお聞きしたいと思います。

総務部長答弁

 イージス・アショアについての数点のお尋ねにお答えします。

 まず、地方自治のかけらもない、既成事実化について、どのように考えているのかとのお尋ねでありますが、イージス・アショアの配備自体については、防衛政策を専管する国が責任を持って、その必要性を判断されるべきものと考えています。

 次に、アメリカの政策担当国防次官の発言によれば、憲法9条に違反する、専守防衛を逸脱した兵器の配備であり、配備反対を表明すべきであるかどうか、また、この発言をどのように考えるかとのお尋ねにまとめてお答えいたします。

国からは、イージス・アショアについては、他国を攻撃する能力はなく、我が国国民の生命・財産を守るために必要な、純粋に防御的なシステムであり、周辺国に脅威を与えるものではないとの説明を受けているところです。

 次に、知事のハワイの実験施設の視察は、配備容認への地ならしではないのかとの声は届いているか、ハワイに行くくらいならルーマニアに行き、施設周辺住民の声を聴取するべきであり、その前に、むつみ演習場周辺住民の声を聞く場を設けることが優先されるべきであるが、これらについて、どのように考えているかとのお尋ねです。

 イージス・アショアの配備については、現在はまだ、国による説明の過程であり、ハワイへの視察も、説明内容に関する理解を深めることを目的としています。

 県としては、まずは国において、周辺住民の方々の不安や懸念が払拭されるよう、詳細かつ丁寧な説明をさらに重ねていただく必要があると考えています。

知事は、答弁しないし、県民の安心・安全と口先で言うばかりで、国の方にばかり向いている。

資料

 米国のジョン・ルード政策担当国防次官が17日(現地時間)、北朝鮮の新型ミサイル開発に関連し、「ミサイル防衛と同時に発射原点を打撃できるよう攻撃・防御作戦の統合を進めている」と明らかにした。特に日本が2023年に導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を攻撃性能を加えるために改良しているとも公開した。防御用という従来の説明とは異なる発言であり、北朝鮮のほか中国などの反発が予想される。先月、米国の新型中距離クルーズミサイル試験発射当時、イージス・アショアと同じ発射台を使用し、攻撃用互換の可能性が提起されたりもした。

  ルード次官はこの日、米議会で開かれたミサイル防衛擁護連盟(MDAA)主催の行事で、「北朝鮮、中国、ロシア、イランのミサイルの脅威を防御すると同時に、攻撃者(attacker)を扱うことが非常に重要だ」とし「攻撃と防御を統合する作業を推進している」と述べた。また「攻撃・防御性能の統合は、敵がミサイルを発射する前に原点を把握して脅威を解消する選択肢も提供する」と説明した。ルード次官は「潜在的敵国がより速く、射程距離が長く、より正確な攻撃ミサイルを開発し、海外の米軍と同盟国に対するミサイル脅威の種類と規模が拡大している」とし「進化する挑戦に対抗し、我々も包括的な接近をする必要がある」とし、攻撃・防御体系の統合を強調した。

  ルード次官は具体的な事例として2016年に北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛の一環としてルーマニアに配備したイージス・アショアを挙げた。ルード次官は「イージス・アショアの弾道およびクルーズミサイル防衛と攻撃作戦の統合のために性能のアップグレードをしている」とし「脅威によっては攻撃と防御を統合してこそ次の段階に対処するうえで効率的であるため」と説明した。また「ポーランドにも年内にイージス・アショアを追加で配備する予定」とし「インド太平洋地域では日本がミサイル防衛協力の最高事例」と述べた。日本が2023年までに秋田県と山口県にイージス・アショア体系を配備する計画を持っていると説明しながらだ。

 米国防総省は先月18日、カリフォルニア州サン・ニコラス島で実施した新型地対地クルーズミサイルの試験発射にSM3、SM6などイージス・アショア迎撃ミサイルに使う移動式発射台MK41を使用した。当時、国防総省の報道官は「発射台は同じだが、ルーマニアとポーランドに建設中のイージス・アショアは純粋な防御用であり、トマホークミサイルを発射できるよう攻撃用として設定されていない」と釈明した。しかし1カ月ぶりにルード次官が攻撃互換が可能になるよう改良作業を進めていると確認したのだ。

またルード次官は、「北朝鮮の固体燃料ミサイルは事前探知が難しく、攻撃の側面でこれをどう解決できるのか」という質問に対し、「固体燃料推進ミサイルも我々の探知能力範囲内にある」とし「例えば米国のイージス艦38隻はミサイル防衛と同時に搭載された多くの攻撃武器も再設定なく使えるよう統合されている」と紹介した。また「(イージス艦の)探知能力は飛んでくるミサイルがどこで発射されたかという原点を知らせ、ミサイルを迎撃すると同時に原点を打撃する能力も提供する」と述べた。さらに「航空および地上探知レーダーと情報を共有できるネットワークは攻撃・防御統合状況で理想的」とも話した。陸・海・空ミサイル探知体系の統合も推進するということだ。

  ルード次官は韓国に配備されたTHADD(高高度防衛ミサイル)とパトリオット(PAC)体系についても「作戦互換性と範囲拡大など戦力強化のためにシステム統合作業を進めている」とも語った。