財政健全化(臨財債の課題)について

最初に、財政健全化について質問します。

本来、地方自治体が標準的な行政サービスを行うための歳出に対して財源不足がある場合、国から自治体へ地方交付税が交付されることになっている。ところが、国税5税の一定割合(交付税率)とリンクする地方交付税の原資が、全国の自治体で必要とされる地方交付税の必要総額を大きく下回る状況が恒常化しています。

このため、地方財政支援の一環として、自治体の財源不足額を国と地方で折半し、地方負担分を臨時財政対策債で補てんすることになった。こうして、2001年度以降、多くの自治体が地方交付税と臨時財政対策債の発行を組み合わせて、行政サービスの経費を賄っているのが実態です。

その仕組みは、地方交付税の財源不足分を一旦自治体が金融機関などから借金して穴埋めし、返済資金は国が全額負担する。つまり臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入し、交付税で措置することになっています。

平成30年度山口県歳入歳出決算審査意見書によると、決算年度末の県債現在高は、対前年度比98.9%の1兆2605億9800万円で5年連続減少傾向が続いているが、臨時財政対策債は前年度より56億1900万円増加し、4767億7200万円となり、県債残高に占める割合も前年度の37.0%から37.8%になっています。

この5年間で、臨時財政対策債を除く県債残高は1110億円減っていますが、逆に臨時財政対策債は490億円ふえています。
例のない少子高齢化、人口減少社会を迎えつつある中、課題を将来世代に先送りしないためにも、決算審査意見書の指摘にもある、「近時の財政環境は、臨時財政対策債などの借入金に依存せざるを得ない国の地方財政制度が続くなど極めて厳しい状況にある。このため、国に対しては、地方財政対策の抜本的な見直し等を引き続き要請するとともに、・・・」と、あるように、国に対してしっかりと臨時財政対策債の廃止や臨時財政対策債の元利償還金全額を地方特例交付金とする財源措置を求めていかなければならないと思います。
そこでまず、臨時財政対策債の課題について、基本的な考えをお聞かせください。

知事答弁…

中嶋議員の御質問のうち、私からは、臨時財政対策債の課題についてのお尋ねにお答えします。

 臨時財政対策債は、国の地方財政対策において、地方の財源不足を補うために地方交付税の振替措置として発行されるものであり、その元利償還金は、普通交付税の算定における基準財政需要額に算入されます。

 しかしながら、こうした財源保障が講じられるとは言え、制度創設当初は、あくまでも臨時・特例の措置とされていたところであり、本来的には、借入金である臨時財政対策債に依存することなく、地方の一般財源が確保されなければならないと考えています。

 このため、私としては、臨時財政対策債の廃止や地方交付税の法定率の引上げを含めた抜本的な見直しにより、地方一般財源総額の安定的な確保が図られるよう、これまでも、政府要望や全国知事会等を通じて国に求めてきたところです。

 今後も、国に対し、あらゆる機会を捉えて要請を行ってまいります。