地域交通の連携と利用促進

知事は議案提案にあたり、「新山口駅北地区を核として、AI等の活用による新たなモビリティサービス、MaaSの実証を、山口市と共同して進める。」と述べられました。関連してお尋ねします。

高齢者による他人を巻き込んだ自動車事故のニュースを見る度に、自分が加害者にならない内に車の運転を止めなければと思うが、車がないとそもそも今の暮らしが成り立たない。との訴えをよく聞きます。

これは大都会以外の地方が抱える共通の問題です。AIや自動運転技術の進化に期待する向きもあるが、少子高齢化が進む中で、地域を存続させていくという視点からすると、車だけではなく公共交通を含めての総合的な交通体系の維持・確保が必須です。

こうした全国の状況を受け、国土交通省は一昨年11月から「地域交通フォローアップイノベーション検討会」を設け、有識者や交通事業者などによる議論を重ね、昨年6月には提言をまとめ、「あらゆる地域で、あらゆる人々が、自らの運転だけでなくニーズに対応した移動サービスを享受できる社会」を実現するため、安全・安心の確保を大前提としつつ潜在力も含めて地域力の発揮により、真に持続可能で最適な利便性の高い生活交通等、地域交通の維持・確保を図る。とされています。

そして、見直しの視点として交通事業者、地方自治体、商工・観光関係者、大学等幅広い関係者相互、及び交通・観光・商業・医療・教育等幅広い分野相互における連携、協働の強化が謳われています。つまり、地域総出で、この問題を考えていくということです。

この提言でも取り上げられているマースとは、スマートフォンのアプリで目的地までの経路や交通手段を調べるだけでなく、チケットの購入や決済まで一括で処理ができるというものです。

いずれにしろ、知恵を絞り地域が生き残る方策を見つけねばなりません。

そこで質問します。国会では、地域公共交通活性化再生法の見直しの検討も進むと聞いており、都道府県による広域的な取組が一層求められる中で、地域交通を持続可能なものとしていくためには、みんなで守り育てるという考えが大事です。もっと言えば、県民に地域の公共交通を実際に利用してもらうようにならなければなりません。

知事は、地域交通の連携と利用促進について、どのように考え、実践しようとされているのかお尋ねします。

観光スポーツ文化部長答弁・・・地域交通の連携と利用促進についてのお尋ねにお答えします。

県民生活にとって不可欠な地域公共交通の維持・確保を図るため、各市町においては、行政機関や地域交通に関係する団体等が連携し、バスの運行経費に対する支援や、NPO法人等による自家用有償旅客運送、商業施設内でのバス待合所の整備等の取組が行われています。

利用者の減少に伴い、交通事業者だけで公共交通を維持していくことが困難となる中、県では、地域の関係者の連携した取組がさらに進むよう、引き続き助言を行っていきます。

また、地域公共交通の利用者の拡大につながるように、利用促進の取組も進めており、県では、県バス協会等と連携し、「やまぐちバス博」の開催などを通じて、広く公共交通の利用を呼び掛けています。

このほか、公共交通の利便性の向上を図るため、利用しやすいダイヤや運賃が設定されるよう、事業者に働きかけるとともに、バスロケーションシステムやノンステップバスの導入についても引き続き支援していきます。

県としては、引き続き、関係者と連携しながら、地域公共交通の利用を促進し、維持・確保を図っていきます。

参照・・・2020年度予算および政策に対する社民党要望への県回答

37.中山間地と高齢者県の山口県にとって、また観光行政の推進のために、公共交通の利用促進・維持発展は重要課題であり、利用促進や支援のあり方など、市町と連携しつつ対策にとりくむこと。

(新規)バス交通系ICカード整備促進事業          85,805千円

(新規)新たな地域交通モデル形成推進事業                          10,666千円

(新規)岩国錦帯橋空港駐車場等機能強化事業       116,703千円

○山口宇部空港国際化推進事業                       44,099千円

○山口宇部空港利用促進対策事業                        3,000千円

○岩国錦帯橋空港利用促進対策事業                       2,000千円

○岩国錦帯橋空港駐車場利用環境整備事業               30,000千円

○地方バス路線運行維持対策事業                       587,647千円

○バス活性化対策事業                           1,440千円

○離島航路対策事業                            511,848千円

○交通施設移動円滑化設備整備事業              1,217千円

○鉄道軌道輸送対策事業                            5,050千円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令和2年3月9日 山口県議会 商工観光委員会

「新たな地域交通モデル形成推進事業について」(10,666千円)

交通政策課長(事業説明部分)

「新たな地域交通モデル形成推進事業」についてです。地域公共交通を取り巻く社会環境は、少子高齢化の進展、運転手不足等、近年大きく変化をしており、多様化する地域交通課題への対応が求められてきております。

   このため、AIやICT等の新たなモビリティサービス等の活用により、交通不便地域等における地域交通課題の解決に資する新たな取り組みについて、取り組み方針を定め、地域での取り組みモデルを構築するものです。

中嶋光雄委員

 予算概要の39ページで、これには、まさに交通不便地域の住民に対して新たな仕組みづくりを、まず来年度は、調査から始められて、再来年度に実証事業を始めるということですから、私とすれば、一般質問させていただきましたが、私の住んでいる山陽小野田市の周辺部でも、とてもじゃないが軽トラがなけんにゃ買い物にも行けんというような地区、あちこちあると思いますけれども、そういう人に対して公共交通、いろんなオンデマンド交通とかそういうのを活用して、年寄りでも今頃はスマホを使える時代ですので、私もしっかり年寄りですが、スマホが使えるようなシステムを作っていただくと非常にありがたいなというふうに思ってますので、しっかりやってほしいなという気持ちをもっておるのですけれども、そのあたりをちょっと教えていただきたい。

交通政策課長

 資料の39ページの「新たな地域交通モデル形成推進事業」ですけど、これは、特に山口県内の地域交通について、いろんな課題がございます。その中で、特に中山間地域での移動手段の確保、こういった問題は、一つの大きな要素となっております。今回の事業では、その中山間地域だけではなくですね、ここがある程度重点的なところにはなろうかとは思いますけども、新たな技術を使って県内の地域交通の課題を解決するために、どう取り組んでいけばいいかと、そういった検討をしていこうということであります。

 この背景には、MaaSとか、AIを使ったオンデマンド交通、それから、グリーンスローモビリティという、電動の小型の車両を使ったような、これは速度は遅いわけですけれども、そういった環境に優しいような交通手段、あるいはそれらに自動運転を絡めていくといったやり方、こういったものが、全国各地でいろんな実証実験も行われております。こういったことを踏まえて、県内でどう進めていくのかというのを、検討していこうというような事業になります。

新造健次郎委員

 先ほど中嶋委員が言われましたけれども、新規事業として「新たな地域交通モデル形成推進事業」というのを、来年度立ち上げるわけですけれども、これをどのように進めていかれるのか、もう一度聞きたい。この新しい事業の狙いは何なのか、それも併せて、具体的に教えてもらえるのなら、教えていただきたいと思います。

交通政策課長

 地域交通については、本県においても、自家用車中心の移動となっているという現状があります。そういった現状の中で、公共交通については、利用が減少しているということに加え、近年、非常に高まっている問題として、運転手の不足という問題が出ております。そういったことで、バス路線等の維持が非常に課題となっております。また、中山間地等におきましては、高齢者の方の移動手段の確保というのが課題となっております。

 こういった状況がある中で、一方で、近年はAIやICT等の新たな技術の発展によりまして、新たなモビリティサービスというものが動きが出てきております。具体的にいいますと、MaaSでありますとか、AIを使ったオンデマンド交通、それからグリーンスローモビリティ、あるいは自動運転、こういったものを活用する動きが加速しているところであります。

 この「新たな地域交通モデル形成推進事業」ですけれども、このような新たなモビリティサービス等、本県の地域の交通課題の解決に資するような取り組みについて、取り組みの方針を定め、その結果、地域での取り組みのモデルを構築するということが目的であります。

 現状、こういった新たなモビリティサービスについて、全国的には、先進的な取り組みの実証実験などが実施されております。しかしながら、現状、県内の市町あるいは交通事業者では、一部で実証実験とかも宇部市などを中心に行われていますけれども、全体としては、新たなモビリティサービスのメリット、あるいは、取り組む場合にどういったことに留意しなければいけないのか、そういったことについて把握が十分進んでいないということがあって、具体的な検討に至るところが今のところは少ないという現状にございます。

 そこで、令和2年度は、学識経験者あるいは交通事業者等で構成する検討委員会を組織いたしまして、地域における実地調査などを実施しまして、これを踏まえて、地域の実情に応じたこういった新たなモビリティサービスを使った取り組み方針を策定し、各市町と取り組みの方向性を共有していきたいというふうに考えております。

 来年度の検討の結果、実証事業をさらに進めていこうとか、支援していこうとかいうようなことも、おそらく話題にはなってくるかとは思いますけれども、そういった検討も、来年度におそらく行われるようになろうかと思います。

 県としても、本事業で得られた専門的知見を踏まえた情報提供とか助言を積極的に行うことで、各市町、地元において具体的な検討が進められることを期待しているものであります。