海洋汚染問題

 

昨年のG20大阪サミットで、海洋プラスチックごみが採り上げられました。

合成繊維衣類の洗濯中に、排水と一緒に流される繊維クズは、下水処理施設で処理されないまま海へと流出し、その後、海の化学物質を吸着したマイクロプラスチックとして食物連鎖に取り込まれ、魚介類などを介して人間にも還ってきます。東京湾で獲れたカタクチイワシの8割からマイクロプラスチックが見つかったという調査もありますし、食物連鎖の最下位にいるプランクトンもマイクロプラスチックを摂取しているほか、北極海の海氷や深海底からも大量に見つかっています。

㊟マイクロプラスチックによる海洋汚染は深刻です。マイクロプラスチックとは5ミリ以下のプラスチックを指し、最初から5ミリ以下に作られた1次マイクロプラスチックと、大きなプラスチックの製品が劣化し細かくなった2次マイクロプラスチックとの2種類に分類されます。

プラスチックごみの散乱は、人間による「ポイ捨て」だけではなく、カラスがごみ集積場を荒らすことでも発生したり、使用者が気付かないうちに発生したりしているケースもあり、環境省によると、世界で年間約800万tのプラスチックごみが海に流出していると推計されています。

こうした中、企業では、富士通や積水ハウスなどが、グループ会社とともに事業所内の自動販売機から順次ペットボトル商品を無くす取組みを始めたそうですし、素材メーカーでも、微生物により分解される生分解性プラスチックの開発が進んでいます。また、愛媛の福助工業は、使用後に土壌に放置された場合でも、微生物によって水と炭酸ガスに分解される、トウモロコシなどの植物資源を原料とする生分解性樹脂から作ったレジ袋を開発したと発表。平成23年創業の(株)TBMは、本県にも無尽蔵にある石灰石から紙やプラスチックの代替えとなる新素材を開発。石油資源の使用量削減に貢献すると謳っています。

ローソンがアイスコーヒーのカップをプラスチックから紙製に変更し、セブンイレブンも、おにぎりの包材を植物由来のバイオマスプラスチックを配合した素材に変更するなど、民間企業ではプラごみ削減に向けた動きが加速しています。

プラスチックごみによる環境汚染問題、特に、三方を豊かな海に恵まれた水産県山口にとって、海洋汚染は極めて重大な問題です。

そこでお尋ねします。

海洋プラスチックごみの削減に向けた取組の現状と、今後の取組についてお聞かせ下さい。

環境生活部長答弁・・・海洋汚染問題についてのお尋ねにお答えします。

県では、海洋汚染の防止を図るため、市町や関係団体等と連携して、海洋プラスチックごみの削減に向けて、発生抑制や回収処理などの取組を県民総ぐるみで実施しています。

まず、発生抑制については、レジ袋有料化などのごみ減量化キャンペーンや、漂着物調査などの環境学習、海岸フォトコンテスト等の啓発活動を行うほか、使い捨てプラスチックの使用削減やリサイクルなどの取組を進めていきます。

また、回収処理については、市町とともに、ボランティアの参加を呼びかけ、県内各地で海岸清掃活動を展開するほか、来年度は、海底ごみ実態調査を行い、市町と漁業者等が連携・協力した回収処理の仕組みづくりを支援することとしています。

 県としては、今後とも、こうした取組を通じ、海洋環境の保全に向けて、海洋プラスチックごみの削減対策を進めてまいります。

◎2020年度予算

○海岸漂着物等地域対策推進事業                                 54,265千円