前にも質問していますが、前向きな答弁はいただけませんでした。
種子法は2018年(平成30年)4月に廃止されましたが、全国的に種子法にかわる条例が次々と制定されています。
調べたところ、すでに14道県で条例化され、今後さらに10県程度が条例化に踏み切り、全都道府県の半数以上で、当該条例の制定が見込まれる状況です。
このような流れになっている理由としては、米・麦・大豆の主要作物の種子の生産と普及について県へ義務付ける根拠法を失ったことに対する将来的な民間参入の不安です。
具体的には、種子の価格高騰や外資系企業の独占の懸念など農業者や消費者からの声を受けて、各地で条例化が進んだ訳です。
本県では、行政にそのような声は聞こえてこないのでしょうか。少なくとも私たちの耳には、多くの農業者や消費者から、そうした不安の声が聞こえてきます。
さて今までの、本県の姿勢を検証してみるに、ポイントは3つあるのではないかと思っています。
一つ目、従来の種子法に規定されていた県の役割を要綱に明記し、従来同様、優良な種子の生産と供給が円滑に行われているので、直ちに条例の制定は考えていない。
しかし、従来同様、県が責任を持つのであれば、しっかりと条例化してください。と言わざるを得ません。
その際、何のデメリットも考えつきませんし、農家が農業に安心して取り組めるというメリットがあることは言うまでもありません。
二つ目、条例化しているところは、種子を県外に販売している県が多く、本県とは事情が違う。ということ。
確かに、富山県の条例は、県外流通を意識した種子計画や審査証明書の交付など、その部分での条例化の意義が大きいものになっています。
しかし、県外流通だけが条例化の根拠でないことは、現在の全国的な条例化の流れを見ても明らかです。種子を県外に販売していないので、本県にとって条例化の意義がないというのでは、あまりに説得力に欠けるのではないでしょうか。
三つ目、農業競争力強化支援法は民間事業者に知見を提供せよというのではないかという点について、法の規定において提供しなければならないとは記載されていないので心配は杞憂だということ。
農業競争力強化支援法には、都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進することとあります。提供せよではなく。提供を促進することとなっています。
この条文は、いったい何を意味しているのでしょうか。「提供することを想定しない、提供を促進する」はあり得ません。「提供しなければならないとは記載されていない」との主張であるならば、安倍首相の「募集と募る」は異なるとした珍答弁とさして変わりません。
そこで、お尋ねします。種子条例を検討すべき時期が来ていることは間違いないと思います。種子条例の必要性について、改めて知事の見解をお答えください。
農林水産部長答弁・・・種子条例の制定についてのお尋ねにお答えします。
県では、種子法廃止に伴い発出された事務次官通知に沿って、米・麦・大豆の原種供給などの具体的な手続き等を要綱に定め、優良種子の計画生産と安定供給に取り組んでいるところです。
県としては、国やJA、種子生産農家と連携しながら、要綱に定めた取組を着実に実行することにより、県の役割を適切に果たすことができることから、新たな条例の制定は考えていません。
再質問・・・種子条例について
今、本県では農林業の知と技の拠点整備事業、これを今年度から本格化されようとしております。農業大学校の旧施設の基礎が見つかったということで、これの撤去費用に時間がかかるというようなことも聞いていますが、農業試験場と農業大学校を一体として知と技の拠点整備事業をするということだが、ご案内のとおり、種子法は県立の農業試験場の予算付けの根拠法でした。この根拠法が廃止されたということですので、今は附帯決議で予算がついているようには聞いています。しかし、しっかりと条例化をして、この知と技の拠点整備事業の裏付けを作っておく必要があるのではないか。そういう面でも種子条例の制定というのは、非常に意味があるのではないかと思っています。
そして、農業競争力強化支援法が制定され、種子の生産コストが税金で賄われているのは不平等だ、こんな議論で、民間の品種開発意欲を阻害する、規制改革だと、こうして公的機関から民間企業への流れが作られた。こんな流れです。そこを農業者の皆さんは心配していますし、消費者も価格が上がるのではないかと心配をしています。 そこで、調べてみたところ、農水省食料産業局知的財産課というところが管轄をされているようですけれども、米・麦の育成者権者は都道府県と国で現在80%を占めているそうです。ただ、これは現在の割合であって、大企業による品種寡占のレールはすでに敷かれているわけですので、育成者権者として、大企業の比率が今後大きくなることは時間の問題だと言われています。 さらに、これも関連していると思いますけど、今国会では、種苗法改正までまな板にのぼっています。農業者は登録された品種の育成者権者から自家採種の対価を払い許諾を得るか、または、許諾が得られなければ全ての苗を新しく購入するという、購入するしかないということになろうとしています。これでは、本県で大多数を占めると言われている家族農業は崩壊です。こうした流れに気づいた農業者の声が高まり、種子条例のうねりが全国で起こっていると思います。 そういうことも配慮していただきまして、本県の特色をまさに盛り込んだ種子条例を制定すべきではないですか。 再度ご見解をお尋ねいたします。 |
農林水産部長答弁・・・種子条例制定についての再質問にお答えいたします。
農林業の知と技の拠点のお話もございましたけれども、技術開発の活性化と、それらの技術を使いこなせる人材の育成を図るために、現在整備を進めているものでございますけれども、種子条例については、国やJA、種子生産農家と連携しながら、要綱に定めた取組を着実に実行することにより、県の役割を適切に果たすことができますことから、その制定は考えておりません。
参考:2020年度予算および施策に関する社民党要望に対する回答
109.地産地消を進めるために、安心安全な農産物づくりを前提として、生産者と消費者・各種団体等との連携活動にとりくむこと。さらに、「主要農作物種子法」の廃止に伴い、主要農作物の種子の保全や開発、安定供給や食の安全を守るための「種子条例」の制定をすること。加えて、農家による種子の自家増殖や販売、利用の権利を奪う種苗法「改正」に反対すること。
県では、種子法廃止後、米・麦・大豆の優良品種の決定や原種供給などの具体的な手続き・処理基準等を要綱に定めており、これらを着実に実行する。種苗法改正については、国において検討されるべきものと考えている。
○ぶちうま!維新推進事業 52,000千円
○安心・安全農作物づくりサポート事業 15,858千円
○学校給食県産食材利用拡大事業 11,681千円