障がい者への合理的配慮について
(1)資格確認書について
(2)手話の普及について
(3)全パトカー等への新型警光灯搭載について
まず、12月2日から健康保険証が発行されなくなり、マイナ保険証への移行が進められて医療現場は混乱し政府も迷走を続けています。
特に、視覚障がい者の方々は一人ではマイナ保険証を使おうにもカードリーダーで顔認証や暗証番号の入力ができず、21年10月にマイナ保険証の本格運用の開始から3年以上がたっても不便な状況は変わらず、視覚障がい者の間で不満の声が上がっているが、国の対応は不充分かつ鈍いと言われ続けています。
そこで、せめて県として、高齢者や視覚障がい者には「資格確認書」を健康保険証なみに発行し続けるよう国に強く要請すべきでは、認識をお聞かせください。
健康福祉部長答弁・・・
障がい者への合理的配慮に関するお尋ねのうち、健康保険証の新規発行廃止に伴う資格確認書の発行についてお答えします。
マイナ保険証での受診が困難な高齢者や視覚障害者については、申請により資格確認書を発行するものとされており、すべての高齢者や視覚障害者に資格確認書を発行するよう、国へ要望することは考えておりません。
次に、聴覚障がいに関する2つのニュースに関しお尋ねします。
1つは、聴覚障がい者の交通死亡事故に関する判決です。2018年2月に当時11歳の女子児童が交通事故によって死亡した際の逸失利益が争われた裁判で、一審の大阪地裁判決は全労働者の賃金平均の85%に減額していたことに対し、今年1月20日の大阪高裁判決は、逸失利益を減額しないこととし、その後、遺族と運転手側双方が上告せず判決が確定しました。
これまでの同様の裁判例では、2021年に本県下関市で視覚と聴覚に障がいのある女子高校生が重い後遺症を負った交通事故で、広島高裁は逸失利益を全労働者の賃金平均の8割と認定したほか、同年、名古屋地裁は事故死した聴覚障がいのある男子大学生について、大卒男性の賃金平均の9割と判決しました。対して今回の大阪高裁の判断についてある識者は、「当然の結論であり、画期的な判断だが、障がいを理由とした逸失利益の減額そのものを一律NGとした訳ではない」としました。即ち高裁は、障がいが「顕著な妨げ」となっている場合には、逸失利益の減額が可能だという前提を崩しておらず、その上で、障がいの程度やコミュニケーション能力、就労や職場環境、障がい者を取り巻く将来像などについて様々な証拠を吟味し、「顕著な妨げ」が認められないから、逸失利益の算定に当たって減額しないという結論を導いたこととなります。
この判決で「この女子児童は学年相応の言語力と学力を身に付けており、健常者と同等に働くことが十分に可能であった」としており、コミュニケーション能力、言語力と学力という点で手話の存在も極めて大きかったと思います。
「おはようございます」(手話で)
私はたったこれだけの手話くらいしかできませんが、それでも耳の不自由な方に挨拶するととても親近感を持っていただけます。
2011年、「言語」には「手話」を含むと条文化された改正障害者基本法案が参議院本会議において全会一致で可決、成立し、日本で初めて、手話の言語性が法律に定められました。
また、手話を言語として位置づけ、耳が不自由な人が暮らしやすい環境を整えるよう、2013年に鳥取県が手話言語条例を制定したことを皮切りに、2025年1月末現在で39都道府県、21区、364市、など556の自治体で手話言語法の条例化をしています。
私は聴覚に障がいを持つ方にとっての手話は、自らを表現し、意思疎通する上で、特に災害時においては自らの生命を守る極めて大事なアイテムだと思います。そのためには今よりもさらに、手話がコミュニケーション手段として普及し、利用の促進が図られるべきと考えます。
そこでお尋ねを致します。
本県でも、令和元年(2019年)10月に「山口県手話言語条例」を制定され、「手話は『言語』って知っちょってかね?」などの啓発を行われていますが、県内くまなく日常的に手話が言語として普及し、利用が促進されるように、今後どのように取り組まれるか、ご所見をお聞かせください。
村岡県知事答弁・・・
手話の普及についてのお尋ねにお答えします。
手話は、聴覚に障害のある方が社会参加し、自立した生活を送るための情報の獲得やコミュニケーションの手段であることから、私は、学校や職場、地域などあらゆる生活場面において、手話を普及していくことが重要と考えています。
このため、聴覚に障害のある方が、手話を使用して生活することができる地域社会の実現に向けて「山口県手話言語条例」を制定し、手話の普及促進に取り組んでいるところです。
具体的には、子どもや若い世代が手話に親しめるよう、わかりやすく紹介したポスターやリーフレットを作成し、保育所や学校、店舗など、県民の目に触れやすい場所に配布し、手話に対する理解促進に努めています。
また、参加者への手話研修などを取り入れた「あいサポート運動」を学校や企業と一体となって展開するとともに、9月23日の手話言語の国際デーにあわせ、市町や関係団体と連携し、県内各地の名所旧跡をシンボルカラーのブルーにライトアップする啓発活動に取り組んでいます。
加えて、県聴覚障害者情報センターにおいて、広く県民に対し、手話に関する情報提供や相談などを行うほか、地域における手話の普及の担い手である手話通訳者の養成やスキルアップを支援しています。
私は、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現に向けて、手話の普及に取り組んでまいります。
2つは聴覚障がい者に配慮したパトカーの導入ニュースです。
聴覚障害者団体からの要望を受け警察庁が開発した新型警光灯搭載小型パトカーが昨年10月から全国で順次導入されているようです。
これまでの警光灯は内部のライトが0.5秒間隔でフラッシュ点灯するパターンのみであり、追跡や現場に急行する緊急走行か、通常のパトロールでの走行か、聴覚障がい者は区別ができません。そこで、緊急走行とは違うパターンで点灯する機能を追加して、聴覚障がい者が判断しやすいよう配慮したそうです。全ての電球が発光ダイオードになって視認性も向上しており、今後、全てのパトカーへの配備が期待されます。
そこで、山口県警察では、当面どう対応されておられるのか。また、全パトカー等にこの新型警光灯を搭載すべきと考えますが、県警察本部長のご所見をお聞かせください。
県警察本部長答弁・・・
新型警光灯搭載の小型パトカーについてお答えします。
聴覚障害者に配慮した新型警光灯搭載のパトカー等につきましては、昨年10月以降、警察庁から全国の都道府県警察に対して、小型パトカー及び交通事故処理車が配分されています。
山口県警察には、本年2月、小型パトカー4台が配分されており、今後、警察署に配備し、その導入趣旨を踏まえ、適切かつ効果的に運用していくこととしております。
また、緊急走行時と通常の警ら時における発光パターンの違いについて、県民の皆様に広く周知するための情報発信を行っているところであります。
次に、すべてのパトカー等への新型警光灯の搭載につきましては、国から配分されるものは、警察庁において整備が進められ、今後は警ら用パトカーや交通用パトカーにも拡大される方針であり、将来的には、減耗更新するすべてのパトカー等に順次搭載されるものと承知しています。
また、県において調達するパトカーにつきましても、減耗更新に合わせて導入していきたいと考えております。