2025年9月県議会質問
防衛省が子ども版防衛白書「まるわかり!日本の防衛」を全国の小学校に配布していることが分かりました。
我が社民党との交渉で、防衛省は、2021年度から冊子の作成が始まり、小学校に配布したのは24年度が最初。防衛省は都道府県教育委員会に相談し、調整が整った小学校約2400校に対して計約6100冊を送付したという。
青森・秋田・栃木・長崎各県に配ったことは明らかにしたが、その他については相手方との関係があり公表できないとしました。
冊子の中にはロシア・中国・北朝鮮を名指しして「日本が位置する地域は安全とは言えないと」説明する箇所や、ウクライナは抑止力不足のためにロシアに攻め込まれたとして、他国に対して日本を攻撃するのはやめておこうと思わせるために、戦争を起きないようにするために抑止力を強くすることが、自衛隊にとっての一番の勝利と記述する箇所がある。
こうした冊子の内容を文科省は了解しているのかとの質問に対する回答は、「教育機関への資料配布を希望する団体は多数あり、判断は各自治体に委ねていると回答した。また、防衛省の冊子は授業の中で教材として使うものではなく、図書館に置いて閲覧に供するものだと認識していたと。
しかし、防衛省が送付先の小学校に行っているアンケートの中には活用実績に関する質問があり、「総合的な学習の時間に使用」との選択肢が設けられていることも明らかになっています。
さらに、冊子には、24年度まで憲法と自衛隊との関係や専守防衛・非核三原則に関する記述があったが、25年度の冊子では削られ、「自衛隊の災害派遣」をはじめに掲げ、自衛隊の生活やキャリアコースの記事を増やしています。防衛省は記述が変わった経緯・意図を説明すべきです。
多様なルーツを持つ子どもたちがいる学校でこのような冊子を授業で用いるのは不適切として文科省は冊子の使われ方を確認すべきと思います。
結局、政府の政治的見解を発達段階の子どもに一方的に押し込む内容で❝軍事力には軍事力であり、平和のための戦争❞の見解に引き込んでいます。
国民の中にも様々な考えもあります。憲法の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との規定もあるなかで教育現場に混乱をもたらすものです。
そこで、先ず本県教委での防衛省冊子の小学校直接送付への対応状況をお聞かせください。併せて、子どもが公平な立場から政治や社会について学ぶことができるためにも、本冊子を義務教育の学校図書館なども含めて活用しないことを県教委として明らかにすべきだが、見解をお聞かせください。
副教育長答弁・・・防衛省冊子の対応状況についてですが、県教委に対して配布等の依頼はなく、対応はしていません。
次に、この冊子を、学校図書館なども含めて活用しないことを、県教委として明らかにすべきとのお尋ねですが、学校で使用する教材や資料等については、各学校において、適切に判断し、活用されるものと捉えています。
| 再質問・・・防衛省冊子についてですけども、山口県では、防衛省から直接配付がない、相談もなかったということでよろしかったでしょうか。問題になっているのは、今まさにないということですけれども、山口県だけない、ということが少し考えられないことで、なので、お尋ねなんですけども、今、熊本市の健軍駐屯地を皮切りに、国産で開発された、長射程ミサイルの配備が行われています。開発・整備の根拠となるのは、22年10月に閣議決定した、安保関連三文書だそうです。我が国への侵攻を阻止する上で鍵となるのが、スタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力であるとかされておりまして、長射程ミサイルを保有するということになってます。当時の岸田政権は、専守防衛に徹すると強調しましたが、阪田元内閣法制局長官は、専守防衛の真髄は、自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領域を直接攻撃できる能力を持たない、すなわち、役割と機能を「盾」に徹するということが、これまでの専守防衛だったはずだと指摘をしております。こういうことですけれども、「抑止力を強くすることが自衛隊にとっての一番の勝利」だなどと一方的に小学生に刷り込むことが許されてよいはずがありませんので、ぜひ、山口県に配付する防衛省は、一応各県教委に相談するということですので、もし、相談があればこういうことがないように、ぜひ、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねです。 |
副教育長答弁・・・相談はなかった、依頼はなかったのかということでありますけれども、今年度、県教委に対して依頼はございません。それから、抑止力を強くすることが、自衛隊にとっての一番の勝利などと一方的に小学生に刷り込むことが、許されてよいのかという視点で、相談があれば、その対応は、ということであったかと思いますけれども、依頼があった場合には趣旨や内容等を踏まえて、適切に判断してまいります。