6月県議会報告(一般質問)

2017年6月27日(一般質問)

本年度の開始にあたっての、本庁部課長・出先機関の長合同会議における知事の訓示を拝読させていただきました。

2つの突破すべき課題。チャレンジプランの目標達成と行財政構造改革の本格着手の2つを掲げられ、その実現のために、5つの具体的推進方針を示されています。

そこで、その中で話されている、「県庁における、働き方改革の推進」について、特に、時間外労働の縮減について、いくつかお尋ねいたします。

総務省より地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果が3月末に公表されています。

この調査結果を時間外勤務の縮減の第一歩として活用していく努力をされたいとの思いからのお尋ねです。

この結果を見ますと、資料の1頁右側の欄、本庁で時間外勤務が月に60時間を超える人が5.4%、その内60時間を超え80時間以下が3.2%、80時間を超える人が2.2%となっています。全体トータルの話しですけれども、80時間超と言うのは、言うまでもなく厚労省通知、いわゆる労災認定基準において、「業務と脳・心臓疾患の関連性が強いと評価できるとされている時間。」こう言う風に位置づけられています。つまりは職業病あるいは過労死、こういうことに繋がりかねないという風に言われている訳ですが、これが全体で見ると5万人超、本庁で見ると4万人弱、こういう格好になっている。

これが全国的に起きている問題で、県庁や大きな市役所などの本庁では不夜城と言われる位の実態があちこちにある。これでは自治体そのものがブラック企業だといっても過言では無い。そこで、本県ではどうなのかと聞いたところ、本庁で60時間超が228人、60時間超80時間以下が137人、80時間超が91人だったそうで、全国平均からすれば数字的には低いように見えますが、それにしても過労死ラインを突破している人が90人を超えているという状況になっている。

この調査結果そのものを、全体を見て、知事はどのように評価されているのか、予想よりも時間外が多いと見ておられるのか、そこのところの感想をまず知事に、お伺いします。

組合の役員を長年経験してきた私の、この調査結果の感想は、実態はこんなものではない。と言うこと。サービス残業にカラ残業が水面下だという現実があるということ。そのことは別にして、この調査で私が注目したいのは、出退勤時間の把握方法。と言うことなのです。調査結果によると、資料の2頁(1)のところを見てもらうと、タイムカード、ICカード等の客観的な記録によるものは25%。任命権者からの現場確認によるものが30%。そして一番多いのが、職員からの申告と言うのが44%となっている。出退勤時間の管理については、資料3頁にありますように、今年1月に厚労省が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表しています。このガイドラインは基本的には自治体職場にも当然適用される筈ですけれども、使用者には労働時間を適正に把握する責務がある。という風に明記をして、始業・終業時刻の確認及び記録の原則的方法として使用者が始業・終業時刻を確認し記録する方法としては、原則として、次のいずれかによることとして、①使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。②タイムカード。ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。このことが例示されています。これが原則的な方法だと思う訳です。そこで総務省の調査結果によると、この原則的な方法と言うのは約半数でしか取られていないという結果になっている。厚労省のガイドラインは、さらに、やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合は、ということで、3項目の具体的な方法を(2)のところに上げています。で、総務省も今年2月8日に通知を出し適切に対応するよう要請を行ったとしていますが、県としては自己申告による把握方法が、このガイドラインで示されているのに合致しているという風に捉えられているのか、時間外労働を適正に正確に把握するためには、このガイドラインが示す原則的な方法を取ることが必要だと思うのですが、本県での現状はどうなっているのでしょうかお示しください。また、このガイドラインの趣旨というものを県内自治体にも徹底されてきているのかどうかについても、お伺います。

(徹底がしきれないというか、これを守ってないという実態がありますから、そこのところの徹底方を是非努力をお願いしたいと思います。)

さらに問題だと思うのは、時間外勤務が、労働基準法第33条第3項、「公務のために臨時の必要がある場合において、云々というものを根拠にして一部の職場を除いて36協定を締結しないまま所属長から命令されている。こういう実態にある。労基法第33条は「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」の規定であって、恒常的な業務をこなすために時間外勤務命令というものを所属長が勝手にやれるという根拠になるのかどうか問題だと言わざるを得ない。と思っていますが、この際、どのような見解なのか伺っておきたいと思います。併せて、非現業の地方公務員についても、地公法上は労基法第36条が適用除外になっていない訳ですから、当然のこととして現業はもとより非現業職員についても時間外協定が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。併せて、お伺いします。

(答弁)部長

 時間外労働の縮減について4点のお尋ねにお答えします。

① まず、総務省調査の結果に関し、本県の時間外勤務の状況に対する評価についてです。

本県の数値は全国平均と比較し下回っていますが、時間外勤務の一層の縮減に取り組む必要があると受け止めております。

② 次に、本県での労働時間の把握については、事前の命令と事後の確認の徹底を図るなど、管理職員による適正な勤務時間管理に努めており、厚生労働省の示すガイドラインにも沿っていると考えています。

なお、ガイドラインが示す原則的な方法を取ることが必要ではないかとのご指摘ですが、タイムカード等の導入については、設置コストの問題などがあることから、考えておりません。

③ 次に労基法第33条は「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」の規定であって、恒常的な業務をこなすための時間外命令の根拠になるのか問題だとのご指摘についてです。

  公務員の時間外勤務の根拠規定については、災害等の場合を定めた労基法第33条第1項に加え、同条第3項が適用されることから、「公務のために臨時の必要がある場合」においては、災害等の場合に限らず時間外勤務をさせることができることとされております。

④ 次に、非現業の地方公務員について、地公法上は労基法第36条が適用除外になっていないことから時間外協定が必要ではないかとのお尋ねについてです。

  県職員の36協定の締結については、労基法の規定に照らし、人事委員会が業種ごとに事業所を定めており、土木事務所や保健所など一部の出先機関を除き、不要となっています。

再質問・・・36協定を結ぶべき職場で結ばれていないのは問題なわけで、人事委員会が置かれていない市町では、当該首長が労基署の役割を果たす訳です。そんなところで実際はなお結んでいない訳だから、まったく抜け穴だらけ、こんな状況は大変問題だ、ここのところの指導は、助言はやらないといけんと思います。

労基法33条3項は、時間外勤務発令の根拠になる。と答えられるわけだが、33条にどういう表題がついているのか、まさに災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働でしょう。ところが80時間超もやっていますというね。こういうのは、もう恒常的に人が足りないから残業させている。問題だと思いますよ。なんでこんなことが起こっているか。この間の行財政改革、集中改革プランや定数適正化、こんなことやってきたために自治体の人員が大きく削減されて、職員の皆さんには、まさに人災ですよ。これ、33条で毎日の時間外を正当化できるというのは、あまりにも乱暴な解釈と言わざるを得ません。この解釈の結果、36条協定を結ばれることなく、多くの地方公務員の時間外勤務が事実上、野放し、青天井になっているのが総務省の調査結果なのですから、そこをしっかりと直視すべきでしょう。このことを強く申し上げておきたい。少なくとも時間外勤務が必要なすべての職場が労使の代表と36協定を締結するように県自らが改める。その上で市町にも進める。助言をする。この努力をやるべきだと思いますが。いかがでしょうか

現在、政府で働き方改革が検討されています。長時間労働の是正が予定されていますが、当然、自治体労働者にも適用すべき訳で、労働基準法の1条には、「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない。」労働条件と言うのは、そういう人たる。に値する生活を営むために必要を満たすものでなければならない。と、こう明示されている訳です。無茶苦茶な80時間を超えるような残業をさせておいて、それで人たるに値する生活がおくれる訳がない。是非、知事には時間外勤務の縮減を図っていく強い決意をお示しいただきたい。)

(答弁)部長

時間外勤務について、働き方改革をしっかりやれということを含めまして、いろいろご意見をいただきました。県では働き方改革をしっかり進めたいと考えておりまして、再質にもありました36協定の締結をする職場を拡大すべきとありましたが、それについては非常に難しいんでございますけれども、36協定の締結が不要な所属についても、時間外勤務の縮減に向けた取り組みの一つとして、36協定の趣旨を踏まえて独自に紳士協定を締結しております。こうした取り組みをしっかりとすることによって、時間外勤務時間2割削減を目標に、県庁で働き方改革を今後進めてまいりますが、市町や民間の範となるよう、県庁を挙げて取り組んでいきたいと考えております。

質問の第2は、広報広聴制度について、お尋ねします。

本県の公式ウェブサイトで「知事への提言」「県民相談について」のペイジを開くと、それぞれ、「山口県では、県民の皆様と共に、県づくりに積極的に取り組んでいくため、県づくりに対するご意見・ご提言を募集しています。

お寄せいただいたご意見・ご提言は、県庁内で事業化を検討し、今後の県政へ反映させるよう努めます。」、「県では、県民の皆様からの、県行政(県税、環境問題、福祉、農林関係、土木、教育等)に関する各種問い合わせや意見、要望などの「県民相談」をお受けしていますので、お気軽にご相談ください。」と書かれ、相談窓口一覧および相談方法(インターネット、電話、ファックス、封書・はがき、来訪・電話)の案内が出ています。

ここまでは、だいたいどこの都道府県も似たりよったりです。

いわゆる「広聴」にあたる部分です。しかし、この先の「広報」は本県では、「知事への提言・県民相談受付状況」表で、部署別の受付件数をまとめて公表しているだけで、具体的にはどのようなやりとりがされているのか第三者からは全く見えません。  しかも、県民からの県行政に関する問い合わせや意見、苦情、提言などの「県民相談」(いわゆる「県民の声」)について、中国5県および九州8県の状況を調べたところ、その内容や回答を全く公表していないのは山口県と熊本県だけであることが分かりました。全国的にも稀なケースだと思われます。

そこで、お尋ねです。「県民の声」はあらゆる政策形成の源泉であるという認識のもと、県民が発する自由な意見・要望・提言に真摯に耳を傾け、誠実に政策や施策等へ反映するよう努める(受動的広聴)べきです。同時に、積極的に県民ニーズの更なる把握に努める(能動的広聴)べきです。

また、県民から寄せられた意見等への対応状況については、当然、遂次公表すべきと思います。

ぜひ他県のように県民の声は、速やかに「見える化」(情報公開)すべきですし、公表することで県職員のサービス向上や県政の透明化にも繋がると思いますが、ご所見をお伺いします。

同時に、ご承知のとおり、先進県では「広報広聴戦略プラン」が策定されるに至っています。そこで、例えば、愛知県の「広報広聴アクションプラン」等を調査・検討されてはどうかと思いますが、あわせてお伺いします。

(答弁)知事

 中嶋議員のご質問のうち、私からは、広報広聴制度についてのお尋ねのうち、県民から寄せられた意見等への対応についてお答えします。

 私は、県政運営を進めていく上で、県民のみなさまのご意見・ご提案をしっかりとお聞きし、それを県政に的確に反映させていくことが非常に重要であると考えています。

このため、私自身も、知事就任後、新たに「元気創出!どこでもトーク」を実施するなど、あらゆる機会をとらえて、率先して地域に出向いて、様々な分野の皆様と意見交換を行い、県民の皆様の声や貴重なご提案を伺っているところです。

 また、「知事への提言」や「県民相談」等を通じて、県民ニーズの把握に努めるとともに、毎年「県政世論調査」を実施し、県政の課題や各種施策に対する県民の意識調査を行い、県政の運営と施策立案のための基礎資料として活用を図っているところです。

 こうした取り組みを通じていただいたご意見等については、しっかりと検証・検討を行い、県の取り組みに反映させることとしており、これまで、農林水産業の切実な後継者不足に悩む声を踏まえた担い手支援の拡充や、いわゆる「小1の壁」に悩む、子育て世代のニーズに応えた放課後児童クラブの延長支援制度の創設など、様々な施策の実現に繋げてまいりました。

 なお、「どこでもトーク」や「県政世論調査」の結果等は、出来るだけ公表を行っており、今後も引き続き、可能なものについては、公表に努めてまいりますが、ご質問の「県民相談」等の公表については、事実関係の確認が難しいことも多く、慎重に対応する必要があるため、公表を行うことは考えていません。

私は、今後も、広く県民の皆様の声に耳を傾け、いただいたご意見等を施策に反映し、県民の皆様と共に「活力みなぎる山口県」の実現に向けて取り組んでまいります。

(答弁)部長

広報広聴制度についてのお尋ねのうち、広報広聴戦略プランについてお答えします。

 本県では、毎年度、広報広聴事業を推進するための基本方針を策定し、これに基づく具体的な取組を進めており、新たに戦略プランの検討等を行うことは考えていません。

県としては、今後とも、基本方針に沿って、引き続き効果的な広報広聴事業の実施に努めてまいります。

再質問・・・ 知事への提言、県民相談の多くがインターネットを活用したものである。インターネットを効果的に活用し、広報広聴を連動させることが重要である。県民から寄せられた意見等について、ほとんどの県で公表しているのに、なぜ山口県は情報公開しないのか。公表をして、広報に活用したり、情報を共有したらどうか。)

(答弁)部長

広報広聴制度について、インターネットで寄せられる意見が相当多いと、そういう中ですね、しっかり公表して、広報に活用したらどうかと、あるいは情報を共有したらというお話でございました。

その中で他県のお話もございましたけれども、他県においてはですね、実際には寄せられた意見の内容や回答の全てを公表しているわけではございません。ごく一部を公表しているという状況でございます。本県におきましては、むしろ議員のおっしゃった能動的な広聴といいますか、「どこでもトーク」の提案内容でありますとか、「県政世論調査」の結果等については、出来るだけ情報公開を行っておりまして、決して他県に見劣りするものではないと考えております。

今後も、これまでと同様、可能なものについては公表に努めていくこととなりますけれども、お示しの県民相談等についてはこれまで通り、公表を行うことは考えておりません。

質問の第3は、先の質問に関して他県の状況を調査するなかで、お隣の福岡県のホームペイジの「県民の声・声の広場」に行きあたりました。

それをそっくり紹介しますと、受付日2017/04/14 朝鮮学校への補助金についての反対意思表明 (カテゴリ:教育・文化/教育)

日本国に居住する以上、その害悪になる思想集団に対して公金にて補助を行うことそのものに問題があると考えます。  また、その認識が県になく、確認ならびに事実関係の把握ができないのであれば、即刻支給停止のうえ、県、朝鮮学校双方に公金支給に値する集団であるという事実を説明する責任があると考えます。  切迫する東アジア情勢の中、影響力のある福岡県知事ならびに県職員の皆様は、判断の誤りを放置することなきよう。問題があるとされる集団に公金補助を行うことは、子々孫々への憂いとなりますので、是非とも再議いただきたい。

  •  本県では、外国人学校を設置する学校法人が行う地域又は日本の学校との交流事業に要する経費について、その一部を補助する制度を設けております。  朝鮮学校への補助金は、朝鮮学校の学校運営に対する補助金ではなく、この補助制度に基づいて、朝鮮学校の生徒と地域の皆さんや日本の学校との交流事業に対し、補助を行っているものであり、補助金の目的に沿って事業が行われているかどうか、確認した上で交付しております。  交流事業の実施により、朝鮮学校の生徒が、地域の皆さんや日本の学校と積極的に交流を深め、日本のことや日本人の考え方をより一層理解してもらうことは重要なことだと考えており、今後も適正な執行に努めてまいります。
  • 人づくり・県民生活部 私学振興・青少年育成局 私学振興課

以上、そのままのコピペです。

そこでお尋ねは、朝鮮学校に対する対応ぶりが隣県同士で、正反対になっている理由と言うか、本県が取っておられる補助金支給の停止の理由についての説明をお聞かせください。

(答弁)部長

 県では、北朝鮮の行動に対する国際社会からの批判など、朝鮮学校を巡る様々な状況から、朝鮮学校に補助金を交付することは県民の理解を得られないと判断し、平成25年度に補助金の予算計上を見送っており、現在もその状況に変化がないことから、引き続き予算計上していないところです。

 なお、朝鮮学校に対する対応が福岡県と隣県で正反対とのご指摘ですが、それぞれの自治体の判断によるものです。

質問の第4は、赤字路線バスに対する補助金について伺います。

国土交通省は、一定の運行回数や輸送実績があり、複数の市町を走る路線を支援する「地域間幹線系統確保維持費」について、現在、運行経費の45%を上限に国と地元自治体が2分の1ずつ支援しているものを、今年10月から来年9月を対象として算定する2018年度分から、この上限を40%に引き下げる案を検討していました。そして、収益性の高い路線運営や補助金依存からの脱却を促すため、上限引き下げで補助金が浮いた分について、増収させれば補助を増やすなど、利用促進に取り組んだ事業者を支援する仕組みに回すことなども言われていました。

しかし、人口減少で利用者が減る中、増収や収益改善は言うべくして簡単ではありません。結果として。その路線を維持しようとすれば、当然のことながら、国の補助が減れば、事業者や市町の負担が増えることになります。補助の割合が大きい事業者にとって、大きな影響が出ることは必至であり、国と同じく財政状況が厳しい市町も肩代わりの地元負担の増加を懸念しています。

かかる路線は、乗客が少なく赤字路線であっても、利用する高齢者や学生らをはじめ交通弱者にとって、なくてはならない生活の足です。地方バスへの補助は、住民の生活を守ることが最大の目的であり、2002年に乗合バスの規制緩和が行われてからも、一定程度の路線が維持されてきたのは、この補助制度の存在が大きいと考えます。

安易な補助の引き下げによって、路線の縮小や撤退が進むならば、地方の公共交通の維持確保に重大な影響が生じることは火を見るよりも明らかであります。

そのような中、国土交通省は、さる5月31日業界や自治体からの反発が強かったこともあって、赤字路線バスに対する補助金上限引き下げを当面見送った。との報道がありました。

もしも補助額が減額されたり、その路線が廃止されたりする事態になれば、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保や、特に高齢者、障がい者、妊産婦等の円滑な移動にも支障をきたす恐れがあり、「国民の日常生活又は社会生活における交通に対する基本的な需要が適切に充足されるようにする」との交通政策基本法の趣旨の達成も困難になりかねません。あわせて、地方の疲弊を助長し、「地方創生」にも逆行する。と思うのであります。

そこで、お尋ねをいたします。国は過疎化が進行する地方の状況を鑑み、交通弱者の生活の足を奪い地域の切り捨てに繋がりかねない「地方バス補助の上限引き下げを行うべきではなく、交通政策基本法第13条の財政上の措置、とりわけ地方バス路線の維持確保のための予算を充実すべきと考えますが、県のご所見をお聞かせください。

(答弁)部長

路線バスは、地域住民の日常生活に欠かせない交通手段であり、地域の活性化を図る上で重要な役割を担っていることから、県では、複数市町にまたがる広域的な路線について、お示しのとおり、国と協調して、バス事業者に対し、運行経費の補助を行っています。

 また、この補助の対象とならない広域的な不採算路線についても、県単独事業として、市町に対し補助するとともに、本年度からは、地域住民にとって、より効率的で利便性の高い生活交通への転換を促進するため、市町が新たに取り組むデマンドタクシー等のコミュニティ交通についても支援することとしたところです。

こうした中で、「国は地方バス補助の上限引き下げをべきではなく、地方バス路線の維持確保のための予算を充実すべき」とのご指摘ですが、県としては、地域におけるバス路線は、地域住民の生活及び経済活動に不可欠であり、その維持・確保、拡充等を図ることは重要と考えています。

 このため、これまでも全国知事会等を通じて、必要な予算の確保や財政支援の拡充など、適切な支援を講じるよう、国に対し、要望してきたところです。

今後とも、国の動向等を注視しながら、適切に対応してまいります。

質問の第5、自殺防止対策について、お聞きします。

厚生労働省は、5月30日に閣議決定された「平成29年版の自殺対策白書」を公表しました。

平成28年の自殺者数は前年より8.9%減の2万1,897人で、7年連続で減少、22年ぶりに2万2,000人を下回りました。  しかし、人口10万人あたりの自殺者数は、19.5人(平成26年)で、世界保健機関のデータがとれる約90カ国中の6位。特に女性が3位と世界的には依然高く、フランスの15.1人、アメリカの13.4人という数字を見れば、その多さは明らかです。  また、15~39歳の死因は、事故やがんを上回って自殺が1位。他の主要国の同年代の若者は事故死のほうが多く、白書でも「国際的に見ても深刻」と指摘しています。

自殺者数は減ってはいるものの、国際的にみると、さらに改善が必要ということで、政府は、新たな自殺総合対策大綱の策定に向け、検討などを進めていますが、「今後10年間で、先進諸国の現在の水準まで減少することを目指し、自殺死亡率を平成27年比で30%以上減少」という目標を明記するとのことであります。

さて、この白書の中で、衝撃的なことは、2015年の5歳ごとの年齢階層別死因によると、男性は10歳から44歳の7階級で自殺が1位、女性は15歳から29歳の3階級で1位、ということであります。つまり、残念な話ですが、本来は無限の可能性を秘めた子どもたちが、自らの命を絶つ悲劇が繰り返されています。

警察庁の統計によると小中高生の自殺は、全国でこの10年間、年間300人前後で推移し350人を超えた年もあり昨年は小学生12人、中学生93人、高校生215人だったそうであります。その自殺の原因は学業不振など、学校問題が36.3%で最も多く、親子関係の不和など家庭問題、うつ病など健康問題と多岐にわたるようで、いじめが原因とされたのは6件、1.9%だったそうであります。自殺予防に詳しい専門家によれば、子どもの自殺はいじめや友人関係と言った学校に関わる要因の他、家庭や精神疾患など複数の要因からリスクが高い状態となり、その上で何らかのことが引き金になって起きる。いじめは深刻な問題だが、いじめ予防だけでは不十分だ。と言っています。いじめが疑われるケースでは、いじめ防止対策推進法に基づき、真相解明と再発防止のための調査が学校や教育委員会に義務づけられてはいますが、これまでの大津市、仙台市、取手市の例を見ても、調査結果が十分に共有されているとはいいがたく、いじめを苦にした自殺が後を絶たないのが現状です。

そこで、お尋ねをします。本県における自殺の現状と今後どのような対策を講じていくのかお聞かせください。

また、学校現場での児童・生徒の自殺防止に資する取り組みについてお聞かせください。

(答弁)部長

 本県の自殺の状況についてですが、自殺者数は、平成21年の409人をピークに、近年、減少傾向にあり、平成28年は218人で、人口10万人当たりの自殺死亡率は全国平均を下回る15.8人となっています。

 次に、今後の対策についてです。

県としましては、自殺防止対策は総合的に取り組むべき重要な課題であることから、「山口県自殺総合対策計画」に基づき、正しい知識の普及を図るための、こころの健康セミナーや自殺対策フォーラムを開催しています。

 また、行政・保健・医療関係者等に対する研修や、自殺の兆候に気づき専門機関へつなぐ役割を担うゲートキーパーの要請などの人材育成に取り組むとともに、圏域ごとのネットワーク会議等を通じて地域の関係機関との連携強化を図るなど、総合的に取組を進めているところです。

こうした中、国においては、地域レベルの実践的な自殺対策の取り組みが進むよう、昨年、自殺対策基本法を改正し、市町村による自殺対策計画の策定を義務付けるとともに、現在、新たな自殺総合対策大綱の検討が進められています。

 県としましては、今後示される国の大綱等を踏まえ、県計画を改定することとしており、この中で、これまでの取組を検証しながら、具体的な対策を検討してまいります。

また、今後新たに計画を策定することとなる市町に対して、必要な助言や情報提供を行うなど、市町の取組を支援してまいります。

 県としては、今後とも、市町や関係団体等と連携しながら、自殺対策の取組を進めてまいります。

(答弁)教育長

児童生徒の自殺はあってはならないことであり、何よりも未然防止の取組が重要であると考えています。

 このため県教委では、命を大切にする心を育む道徳教育や豊かな人間関係を築くための体験活動、医師等の外部講師による講話などにより心の教育を推進しています。

また、18歳以下の自殺が増加する長期休業明けの時期に、自殺予防に係る通知を発出し、各学校に注意喚起するとともに、各学校においても、きめ細かな校内研修等を実施し、自殺予防に係る教員の指導力や資質の向上を図っているところです。

加えて、子どもたちが発する心のサインをしっかり受け止めるため、生活アンケートの実施や、24時間こどもSOSダイヤルの設置などの取組を行っています。

 さらに、全ての小中高等学校において、スクールカウンセラーによる専門的な相談を受けることのできる体制を整備するとともに、県及び全市町に配置しているスクールソーシャルワーカー等による個別支援を行っています。

また、いじめの重大事態が発生した際は、国の法令や県いじめ防止基本方針等に基づき、いじめ調査委員会の設置等により、鋭意対応しているところです。

 県教委といたしましては、教員の資質向上や、外部専門家と連携した相談・支援体制の充実を図るとともに、市長教委や家庭、地域とも連携しながら、自殺防止に向けた取組や、命を大切にする教育の充実に努めてまいります。

質問の第6は、上関原発建設計画についてです。

公有水面埋立免許は、どういうところを埋め立ててもいいですよ。と言うことだと思います。

その時に、こういう用途で使うから埋め立てて良い。と審査することになっている。ですから中国電力に埋め立て免許を与えるということは、原発をそこに作っても良い。ということと同じ。

そうすると、原発を造ってよいかどうかについて、判断しているのに、福島原発事故により安全神話が崩壊したにもかかわらず、原発の危険性について、原発の安全性については一切判断せずに埋立期間伸長の免許を、去年の8月3日に出されました。この時、知事は、万一の事故の場合も責任を負うつもりで許可されたのかどうか、お尋ねいたします。

また、福島事故以降、避難計画どうするんだ。という議論が全国各地で沸き起こっていて、避難の問題は、ようするに逃げれるのかどうか。という話なので、ここに造ってよいか。という立地審査と全く同じ議論になる。

そうすると、祝島に行こうともされない知事が、祝島のみなさんの避難問題をどのように考えられて許可されたのかについても、お聞かせください。

さらに、福島事故以前は、放射能汚染・原子力問題は環境問題ではない。というのが法律の枠組みだったが、福島事故による深刻な環境汚染をまのあたりにして、法律改正が行われて、環境基本法のなかに、放射能汚染、放射性物質による汚染という言葉が入った。

「環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」が、埋立免許の許可要件だから、最初に埋立免許した時と、去年の8月3日に期間伸長許可した時とは、放射能の考慮についての状況が全然違う筈だが、この点についてはどのように判断されているのかお伺いします。

(答弁)部長

上関原発建設計画についてのお尋ねのうち、まず、①原発の安全性について、万一の事故の場合も責任を負うつもりで許可したのか、また、②祝島の皆さんの避難問題をどのように考えて許可したのか、との2点のお尋ねにまとめてお答えいたします。

 原発の安全性と公有水面埋立免許とは、そもそも法体系を別にしており、お示しの昨年8月3日の許可については、あくまで公有水面埋立法に基づき、期間伸長の正当な事由の有無等について審査し、許可したものであり、原発の安全性や避難計画については、審査の対象となっていません。

③次に、福島事故以降、環境基本法が改正され、最初に免許したときと昨年8月3日に許可したときとは放射能汚染の考慮についての状況が全然違うはずだが、この点についてどのように判断したのか、とのお尋ねです。

 公有水面埋立法では、環境保全や災害防止に関する事項については、どこまでも埋立そのものに起因するものについて審査することとなっています。

このため、昨年8月3日の許可では、設計概要変更申請の審査対象である、護岸背後地盤の嵩上げについて、騒音等に係る環境保全や、土砂崩れ等の災害防止について十分配慮されているかどうかを審査し、許可したものです。

最後に、岩国基地への空母艦載機部隊の移駐についてお聞きします。

空母艦載機の移駐により、何が起こるのか。日本に米軍が居座る限りにおいて、最後の最後まで手放さない基地になる。岩国は100年先も基地の街であり続ける公算が強い。しかも、湾岸戦争以降、米国の戦争の中心は空母戦闘団である。米国が戦争を起こせば、戦争の中心を担う部隊が横須賀と岩国にいるということである。これは市民の意思とは関係なく、米国の戦争に加担していく道そのものである。こうした想像を巡らせることについて知事は県民に説明する責務を負っておられると思うが、この事について知事のご所見をお伺いして、1回目の質問を終わります。

(答弁)総務部理事

岩国基地への空母艦載機部隊の移駐に関し、移駐が戦争に加担していくと県民が想像を巡らせることについて、県は説明する責務があるとのお尋ねにお答えします。

米軍基地は、国が、我が国の安全と平和を維持する上で必要と判断し提供しているものであり、県としては、基地の存在そのものの是非を論ずる立場にはなく、また、お示しの移駐に関する懸念についても、外交・防衛政策に関する事項であることから、見解を申し述べる立場にはないと考えています。

県としては、国は「国家の存立と国民の安全確保」を、地方自治体は「住民のあんぜんと福祉の向上」をそれぞれ所管し、お互いが適切に役割分担し、協力しながら対応していくことが重要と考えており、引き続き、国の外交・防衛政策を尊重し、これに協力する一方、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、言うべきことは言うとの姿勢で対応することにより、その責務を果たしてまいります。