9月議会報告(一般質問)

2017年9月28日
質問

先月、8月1日より、「一定の所得がある高齢者」は、医療と介護サービスの自己負担額の上限がともに引き上げられました。
医療は70歳以上が対象で、年収370万円未満世帯は、外来1万2000円が1万4000円になり、さらに来年の8月には1万8000円にされます。年収370万円以上世帯は、4万4000円が5万7600円にされます

介護サービス利用料も単身の場合で、年収約383万未満では、3万7200円が4万4400円に、7200円も負担増になりました。

また、現役世帯も大変です。40~64歳が負担する介護保険料は、医療保険料から月平均で大企業社員〔健保組合〕では727円増。公務員〔共済組合〕では1972円増となります。協会けんぽでは下がるとされていますが、とにかく大変な負担が先月の8月からはじまり来年も再びより負担増となります。

安倍首相は、「森友・加計疑惑隠し」や自衛隊日報問題、年金支給漏れ、そして権力の私物化疑惑隠しで、臨時国会を冒頭解散しようとは、無茶苦茶な暴挙です。しかもそれ以外の悪政が見えなくされています。陰に隠れて医療・介護などの連続した負担増の問題もそうです。

さらに、ほとんど自治体議会での議論もなく、国保加入市民も知らないままに国保の都道府県単位化が来年の2018年からはじまります。これは、戦後の国保がはじまって以来の大改正です。

そこで、先ず、国保の困難な状況への基本的な認識についてお尋ねします。

「平成27年度市町村国保の財政状況」(17年2月28日公表)によれば単年度収支差でみた場合の赤字保険者は58%に及んでいます。しかし、最も苦しんでいるのは加入住民です。加入世帯の平均所得が下がる一方で、保険料はますます重くなってきています。この間、保険料の引き上げに踏み切れない市町は単年度赤字を回避するため一般会計からの繰り入れをしていますが、それでも、この10年でも、国保保険料は1世帯当たり136,544円が、152,324円と、15,780円も上がって、家計にとってますます重くなってきています。(平成27年度)

国保保険料は、随分高いということを理解しなければいけないと思います。

重い負担、払いたくても払えない実態があります。山口県では滞納とされているご家庭が24,693世帯、率にして11.5%。正規の保険証ではない3カ月に1回の更新と、加入世帯との面談が求められるという短期被保険者証が8,090世帯、3.8%、さらには滞納が続いたことによる保険証が使えない資格証明者という事態に陥っているご家庭も3,512世帯、1.6%もおられます。(厚労省;平成27年度国民健康保険(市町村)の財政状況について、より)

心配なのはこれらのご家庭では、深刻な受診抑制が強まっていることです。

私は、本当の国保の危機とは、この保険料負担が過重になっていることと、受診抑制のことだと考えます。

特に、資格証明者の世帯では、医療機関に受診すると、後日、患者負担部分は返ってきますが、一時的に医療費全額を支払うことになります。とても払えません。だから医療機関に行かないで我慢する。過酷な受診抑制の実態があるのです。

そこでお伺いします。基本的な認識です。

国保に加入されている世帯の保険料負担が極めて重くなっている事態をどのように認識されていますか?

また、資格証明書とされたご家庭の深刻な受診抑制についてどのように認識されていますか。そもそも実態をどのように把握されているのでしょうか。

それに伴い無理で強引な収納と滞納整理が強いられることはありませんか。お尋ねします。

答弁

 国民健康保険事業について、数点のお尋ねにお答えします。

 まず、国保に加入している世帯の保険料負担の重さに対する認識についてです

公的医療保険制度について、加入者の所得に占める保険料の割合を比較すると、協会けんぽの本人負担分は7.6%であり、市町村国保は9.9%となっているなど、国民健康保険の保険料負担は、他の制度より重い状況にあると認識しています。

次に資格証明書を交付されている世帯の受診抑制に対する認識と、実態の把握についてです。

 資格証明書を交付された世帯の被保険者は、医療機関の窓口で資格証明書を提示することで受診でき、直ちに受診抑制につながるものではないと考えています。そのため、その実態把握はしていません。

次に、無理で強引な収納と滞納整理が強いられることはないのかとのお尋ねです。

 このたびの制度改革後においても、保険料の賦課徴収の主体は市町であり、市町が個々具体の事案に応じて適切な対応を行うことは変わりありません。

質問

さて、2018年度から、国保の都道府県単位化が始まります。これまで住民に身近な行政である市町だけが国保の保険者でしたが都道府県も入り財政責任を担い、市町は実務全般を担うということだそうです。

国は政省令などで様々な新基準、規定、係数を都道府県に示し、都道府県は、それに基づいて県全体の事業費納付金を決定し、各市町が納めるべき事業者納付金や市町標準保険料率を決めます。

国の指標に基づく保険者努力支援制度では、収納率や医療費適正化効果で、市町ごとの努力が点数評価され格差がつけられた交付金が配分されることになります。なんだか国のトップダウン方式の公的医療費削減と収納率向上ありきで、市町の地方自治が失われ、なにかと市町は締め付けられてくるのではないかと、そんな気がしてなりません。

もしそのようなことになったら、国保加入住民の生活と健康といのちを、さらに脅かすことになってしまうのではないでしょうか。

まず、大きな問題は、各市町が納めるべき事業費納付金の金額です。これによって各世帯の保険料負担がほぼ決まるからです。この新たな保険料負担が現状よりさらに重くなることが全国的に懸念されています。

国は新たな保険料で激変緩和措置を行うとしていますが、この激変緩和とは大幅な負担増に向けて段階的に引き上げを図る手法で、そもそも激変緩和が言われること自体が、大幅な値上げがあると見るべきです。

また、県から下ろされる交付金金額はどうなるのかです。国は国保事業の必要額の100%としていますが安心は全くできません。不足分は市町負担とされるはずです。

質問します。示される納付金の関係で保険料がさらに重くなる懸念はありませんか。

知事答弁

中嶋議員のご質問のうち、私からは、国民健康保険事業に関して、事業費納付金の関係で保険料が重くなる懸念はないかとのお尋ねにお答えします。

このたびの国民健康保険制度改革は、国による財政支援の拡充により国民健康保険の財政基盤を強化した上で、都道府県が財政運営の責任主体となることにより、加入者の年齢構成や所得水準に伴う国保の構造的な問題を解決しようとするものです。

平成30年度からの新たな制度では、県は、県全体の保険給付に必要な費用をもとに、市町の医療費水準や所得水準に応じて、市町の負担額を事業費納付金として算定し、各市町は、その額や、市町が独自に行う保健事業等に必要な費用も考慮した上で、保険料を決定します。

これまで保険料は、個別市町ごとの医療費をもとに決定されていましたが、改革後は、当該市町の医療費水準や所得水準に基づき、市町の負担額が県全体で調整されることから、現行制度での保険料と比較して増減が生じるものです。

お尋ねの懸念につきましては、県全体として見た場合に、保険料で賄う費用の総額が制度改正によって増えるものではありませんが、一定以上の負担増が生じる市町に対しては、保険料が急激に上がらないよう激変緩和措置を講じ、適切に配慮してまいります。

質問

県からの交付金は十分といえますか。

市町の保険事業の後退の懸念は、ありませんか。

これらの判断に必要な、県からの納付金などの仮算定が、この9月8日にようやく示されましたが、他県の状況、例えば埼玉県では既に国保運営協議会が5回も開催され3回も仮算定が示されている例を見るにつけ、もっと早期に示すべきだったと思われませんか。

さらに、自治体の窓口業務を地方独立行政法人に委託することを可能とする法改悪が閣議決定され、関連法が一部改正され、国保の窓口、相談業務という、もっとも住民と接し、経験と知識がいる本来の仕事を地方独立行政法人に丸投げされる懸念が生まれていますが、国民健康保険課職員さんの待遇や雇用はどうなりますか。しっかりとした経験と知識がある職員の人手の厚さこそ住民サービスの基本です。この事をいかがお考えでしょうかお尋ねします。

さらに改善すべき課題があります。

本県が、平成21年7月から乳幼児・ひとり親家庭・障害者に対する「福祉医療費助成金」に患者負担を導入したことから、各市町では住民からの切実な願いを受けて、県が支出しなくなった助成金を補てんして無料化を継続している上、さらに助成対象年齢を拡大するなど、その意義を踏まえ、住民が安心して暮らせる基盤を創っています。

こんな自治体の努力に、子供の医療費助成を窓口無料化で行うと国からの市町国保への国庫負担がペナルティとして減額交付されています。これは子育て支援に逆行する極めて不当なやり方です。

さすがに全国市長会などの強い要望で、就学前までの子どもの減額ペナルティは来年度廃止されます。しかし、その上です。小学校以上の子どもには相変わらず減額ペナルティが続き、さらには、重度心身障害者(児)や、ひとり親家庭への医療費助成への減額ペナルティも続くことになります。

全国市長会や全国知事会など全ての地方自治団体は不当な減額ペナルティの廃止だけでなく、子供医療費助成は国の制度として一律に行うべきだと要望しています。当然だと思います。

また、全ての地方自治団体は、国保の低所得者対策と、そして子どもの数を保険料の均等割りに入れると、子どもの数の分だけ保険料負担が重くなるため、子どもに関わる均等割り保険料軽減措置の導入や、国庫負担引き上げなどの財政支援なども要求していますが、これらも当然な国への要求です。

質問します。国に向けてです。地方自治を尊重し国庫補助割合の増額と自治体で行っている医療費助成制度減額ペナルティの廃止、子どもの均等割り保険料の低減などを今後ともあらゆる場で強く要望していただけますか。

また、当面、中学生までの減額ペナルティ分の補てんを県は市町にすべきですが、いかがですか。

国保は、加入者の皆さんの生活といのち、健康の問題です。

都道府県化の議論にあたり全国知事会の問題意識は高すぎる保険料で「少なくとも協会けんぽ並みの保険料にするためには1兆円が必要」と釘を刺しました。そのため、国は国保に対して新たな3400億円の財政支援をすることになり、2015年度から保険者支援制度が拡充され3400億円中1700億円が市町の国保会計に財政補填されていますが、国保の都道府県化に伴って大きな金を入れているといっても、それはどうなるかわからない心配なお金だし、一時的なものなのですから、自治体が、議会が、県民が一生懸命この問題を明らかにして、社会保障なのだということ、国の責任でこれが維持されているのだということをしっかり言っていく必要があると思います。

もう一つは、国保に加入している方々の状態です。大変厳しいことになっているという風に見ていただきたいと思います。

国保保険料は、絶対に上げてはいけない。と思っていますし、無理な滞納整理をしてはいけません。本当に丁寧な対応をしていって、市民の暮らしを守る。そして国民健康保険は、現役のみなさんも退職すれば、必ず後期高齢者医療制度の前には国保に入られる筈です。生活保護の医療扶助ではない筈です。だからこそ国民皆保険の基本である。そのことをしっかり守って国保を大切にし、そして何よりも市町の地方自治を維持し、そして、住民の生活といのち、健康を守っていただきたいと思います。

究極には、国保の都道府県化にあたり、市町自治が尊重されるのか、否定されるのかかが、問われています。

そこでお尋ねです。県国保運営方針は「技術的助言」であり、保険料等賦課決定権限はこれまでと同様に市町にある。そして、一般会計法定外繰入は市町の政策的判断で実施するものについては必ずしも解消削減すべきものではない。この3点について、最後に確認しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

答弁

次に、保険給付費等交付金は十分といえるのかとのお尋ねです。

県は、市町が保険給付に必要とする費用の実績に応じ、その全額を保険給付費等交付金として市町に交付することとされており、必要な額を支払う仕組みとなっています。

 次に、国保事業の後退の懸念はないかとのお尋ねです。

このたびの制度改革は、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保を図り、持続可能な制度として安定させようとするものであり、国保事業の後退につながるものではないと考えています。

次に、試算をもっと早期に示すべきだったのではないかとのお尋ねです。

 先般、改革後の保険料の試算に必要な算定方法や数値が国から示されたため、これを踏まえた試算を行い、可能な限り早期に公表したものです。

次に国への要望についてです。

 県は、これまでも、全国知事会等を通じ、子どもの均等割保険料軽減措置の導入、国の定率負担の引上げ等の財政支援や、現物給付による医療費助成を行った場合の国庫負担減額調整措置の廃止を要望してきたところであり、今後とも、必要な対応を行います。

次に、中学生までの減額ペナルティ分の補填についてです。

 県は、市町と共同で福祉医療費助成制度を実施することに伴う減額調整措置分の2分の1を市町に助成していますが、市町独自の判断で実施されている中学生までに対する医療費助成について、これに伴う減額調整措置分の助成は考えていません。

次に、都道府県化に際しての市町村自治の尊重についての3点のお尋ねです。

 まず、国保運営方針は技術的助言であるかとのお尋ねですが、国保運営方針は、国民健康保険法に基づき都道府県が市町村の意見を聴いて定めるもので、市町村には、国保運営方針を踏まえた国民健康保険の事務の実施に努める義務があり、技術的助言ではありません。

次に、保険料の賦課決定権限はこれまでと同様に市町にあるかとのお尋ねですが、新たな制度においても、国民健康保険法の規定により、保険料の賦課決定は市町が行うこととされています。

次に、一般会計からの法定外繰入のうち、市町の政策的判断で実施するものについては必ずしも解消削減すべきものではないのではないかとのお尋ねですが、国は、政策的判断によるものであっても、保険料の負担緩和を目的とした繰入れは解消又は削減すべきとの考え方を示しています。

再質問(質問時間切れで、答弁なし)

なおも、国保都道府県化の目的は何なんなのか、不安です。

2015年には「団塊の世代」が前期高齢者(65~74歳)に到達し、その10年後の2025年には超高齢社会が到来するが、どうするんだ。が盛んに言われ、厚労省も「社会保障費の将来推計」を色々出しています。

人口推計および経済の見通しの取り方で数字は違ってきますが、この内の一つの推計によると、2015年から2025年の10年間で、年金給付は58.2兆円、割合で48%が、61.9兆円に、割合は41%になる。医療給付費は38.9兆円、32%だったのが53.3兆円、35%になる。

つまり、年金給付は10年間で金額はあまり伸びず割合は下がる。これはすでに団塊の世代が年金を受給していることと、今後、年金給付を受ける人口が減ること、そして年金額そのものを下げる年金改革が終わっているので年金給付額の抑制効果がでるという推計です。一方、医療給付費は金額で14.4兆円も増え、割合でも3%伸び、年金に接近していくという推計になっています。

また、国の推計では、団塊世代が全員75歳以上になる2025年には、国民医療費の総額は61.8兆円にもなる見込みとなっています。

ようするに、国・厚労省の問題意識は、「年金改革=削減は終わった。次は医療適正化=削減だ」という意図が透けて見えます。

そこで出てきたのが国保の都道府県化ではないか?

国が都道府県を使って、地域医療構想を作らせ、さらに医療費の支払いのシェアが大きい国保の財政運営を都道府県にやらせることによって医療費の削減をしようとしているのではないか。ということ。

*国は、「医療費の削減を都道府県が率先してやりなさい」と。

*都道府県は、「地域医療構想を策定し、医療供給体制の締め付けをやらされる。…国保運営方針で、効率化!標準化!広域化!を。市町村に、これだけの国保料を100%集めなさい。1円たりともまけられぬ。」と。

*市町村は、「わかりました。従います。」と、そして「住民に対し、保険料上げさせてもらいます。払えなかったら差し押さえます」と。

*住民は、「もう、たえられない。」と、悲鳴をあげるしかない。

(このあたりで、質問時間切れで、副議長が「時間です。と」)

こんなスキームになっているのではないか。との疑念がぬぐいきれませんので、この点について、改めてお尋ねします。

それと、県国保運営協議会が決めた市町村ごとの標準保険料率を基準に、市町村は、保険料率の決定作業に入ることになる制度に変わる訳だが、この過程での県議会のかかわり方についてはどうなのか、お尋ねします。

(自席から、答弁を求めるも、時間切れ。と、議長が再質問を認めず)

質問

核兵器禁止条約の採択についてお尋ねします。

核兵器禁止条約が、7月7日、国連において122ヵ国の賛成を得て、ついに採択されました。核兵器の使用や、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転などを幅広く法的に禁止するとするもので、さらに、核を使用するとの威嚇の禁止も最終的に盛り込まれ、核抑止力という考え方を明確に否定することにつながる、画期的な条約と言えます。また、条約は、前文の中で、核兵器の犠牲者(ヒバクシャ)や核実験被害者の「受け入れ難い苦痛や損害」に留意することが明記されました。日本語に由来する「ヒバクシャ」という文言が盛り込まれことは、筆舌しがたい経験をし、核廃絶や平和への願いを世界に発信し続けてきた広島、長崎の被爆者の思いがくみ取られたことにほかならず、今回の条約の実現に向けた重要な主体として、被爆者をはじめ核兵器廃絶を求めるNGO・NPOなど日本の市民社会が大きな存在感を示したことは、大いに評価できる。まさに、歴史的な瞬間でした。

ところが、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器の恐怖や非人道性を経験しているにもかかわらず、高見澤国連軍縮大使が交渉会議第一日目に「交渉への不参加」を表明し、「核兵器禁止条約」の交渉会議への参加を拒否しました。この日本政府の対応は、核兵器の廃絶を求める国際世論の盛り上がりに逆行するだけでなく、平均年齢が80歳を超え、「存命のうちに核兵器の禁止を見届けたい」との被爆者の悲願を裏切り、そして核廃絶を求める日本の主権者の民意に背を向け、アメリカに追随した許し難い対応であった。と糾弾せざるを得ません。

しかし、核兵器禁止条約採択に向けた交渉会合には、国連加盟193カ国中、米英仏露中の核保有国と北朝鮮、韓国などが欠席、124ヵ国が参加。NATO加盟国のオランダが反対、シンガポールが棄権した以外の全ての国が賛成をし、採択されました。

これに対して米英仏は今後署名も批准もしない。との共同声明を出し、こともあろうに、これに我が国が同調したと伝えられ、傷口に塩を擦り込まれるような心痛む思いであります。

それに加え、米国オバマ前政権において、核の先制不使用議論があったことは知られていますが、頓挫した背景に、核の傘に依存する我が国は、既定路線を変更する考えがないことにより、先制不使用を進めるのは無理だ。との意見などがあった。と紹介されていることにも、我が国の主体性のない外交に無念を覚えます。

本条約採択を長年訴えてこられた日本の被爆者の声をくみ取り、条約前文に「ヒバクシャ」の文言が入り採択された意義は、大変大きく、唯一の戦争被爆国であるにもかかわらずアメリカの核の傘の下で、アメリカに追随する日本政府の姿勢は、日本人として本当に恥ずかしいと思うのは、被爆地のみなさんだけでは無いと思っています。

条約は、日本やNATO諸国など、未批准国、核の傘の下にある国々には効力はありませんが、条約は国際的な規範となるのであって、核抑止力、自体が正当化できなくなるものと考えるのが通念であり、歴史的な第一歩を噛みしめながら被爆国として、核兵器廃絶への歩みを強く進めることが正義ではありませんか。

先月開催されました原水禁福島大会において、東京電力福島原発事故から7年目になっても収束するどころか、廃炉のめどがたたず、いまだ87,000人もの人たちが避難生活を余儀なくされている。福島は、いまも原子力緊急事態にあり、凍土遮蔽壁は失敗し、空も、陸も。海も汚染が進み、原発事故は進行中である。

震災は止めることはできないが原発は止めることができる。核兵器は廃絶することができる。そのような発言が続いています。

現在、核弾頭の保有は、アメリカが約6900発に対し、北朝鮮は10発程度とされ、核超大国が、核の使用をちらつかせて、小国を脅し、これに対し小国が、核開発に走る悪循環、核抑止力の神話を断つ好機が、核兵器禁止条約の採択で訪れた訳であり、北朝鮮に対する日本政府の説得性のある態度で、朝鮮半島の非核化と平和的安定を目指すことが、進むべき道ではないでしょうか。

朝鮮半島の核をめぐる情勢が緊迫している現状だからこそ、日本は率先して条約を批准し、北朝鮮に対しても核開発停止を求める道義的資格を保持すべきであると考えます。

政府は核兵器保有国と非保有国の橋渡しとの発言を繰り返していますが、物事の順序として、脅威を保持する核保有国が、まず、廃棄するとの約束をして、非保有国の開発阻止を求め、促していくことが、最も重要で、それが必要だと思います。

そこで、お尋ねいたします。

核兵器禁止条約の採択を受け、政府の態度をどのように受け止めておられるのか伺います。さらに、本県議会は「非核平和山口県宣言」を決議していますし、県内全ての市町が非核平和宣言ないし議会決議をしている本県として、どのようなスタンスで臨む考えなのかご所見をお聞かせください。

答弁

核兵器禁止条約の採択について、2点のお尋ねにお答えをいたします。

まず、政府の対応について、核兵器のない世界の実現を目指す我が国の基本的立場から、熟慮を重ね、総合的に判断されたものと受け止めております。

次に県のスタンスについては、お示しの県議会による核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現を願う「非核平和山口県宣言に関する決議」と同じ願いの下、核兵器のない世界に向かっていくための手法については、国において、しっかり検討していただき、そうした国の取組を尊重する立場に立っております。

質問

最後に、電力需給の構図激変と上関原発計画についてお尋ねします。

資料(*別添)をご覧ください。中国電力が7月20日付けでHPに出されたプレスリリースです。

日本の電力需給の構図が激変していることが良く分かります。

かつて原発を推進していた時は夜の電力がだぶつくので安くしていましたが、もはや原発が増える見込みもなくなりました。深夜の電力を安く売ることはもうできなくなり、昼間の電気は太陽光の増加で安くなってきたと正直に説明されています。

この資料の図からは、発電は、時々刻々変動する電力需要に応じて発電量を変動させなければならず、電力需要はベース、ミドル、ピークの三種に分けられ、三種の需要に応じて電源も三種に分けられている理由が良く理解できます。

国は、原発はベースロード電源で優れた電源だと印象操作をしてきましたが、

この図から読み取ることができるのは、優れた電源は出力調整可能な電源であって、原発は優れた電源どころか、出力調整不能な、使い勝手の悪い劣った電源であることも分かります。

そこで質問です。それでもなお、県知事が許可権限を有している上関原発に係る公有水面埋立の免許を、福島原発事故で原発の安全神話が崩壊しても、出し続けている理由を科学的知見に基づき、県民にも分かるように論理的に説明してください。

答弁

原発は優れた電源ではなく、福島原発事故で原発の安全神話が崩壊しても、なぜ上関原発に係る公有水面埋立の免許を出し続けているのか、とのお尋ねにお答えします。

お示しの原発の効率性や安全性については、公有水面埋立法に基づく審査の対象とはなっていません。

 県としては、埋立免許権者として、公有水面埋立法に基づき、適正な審査を、公正な立場で行う責務があることから、どこまでも法令に従い、厳正に対処したところです。

再質問

電源のベストミックス論は、原発推進の論拠として使われてきた論理で、「原発は建設費は高いが燃料費は安い。石油火力は建設費は安いが燃料費は高い」「高い設備利用率で運転できる場合には原発が安く、低い設備利用率で発電する場合には石油火力が安くなる」

つまり、ベストミックス論は、設備利用率の大きさによって安い電源が変わることを論じているのみで、設備利用率如何に関わらず安い電源など存在しない。という科学的知見が示されています。

高い設備利用率を原発が実現できなければ、実現できる他の電源をベースロード電源として使った方が発電コストはやすくなる。と、いうことです。

もう一度、資料の中電が示している図を見てください。

平成18年から平成28年度の10年間でピーク時の電力需要は、大きく落ちています。島根原発はとまっています。原発がなくても、電力不足が起こるどころか、むしろ太陽光などの発電で昼間の電力が余っていることを示しています。

これでも、上関原発計画の後押しを、し続けつもりですか。

そろそろ中電の筆頭株主としての権利を、県民を代表して、行使すべきときではありませんか。公有水面埋め立て免許の取り消し。再度お答えください。

答弁

この10年間で昼間の電力需要は下がり、余っている、なぜ、あえて原発をやるのかとの趣旨の再質問にお答えをいたします。

 上関原発建設計画は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えております。

再質問

先ほど公有水面埋立法に基づいて厳正・適正に判断をしているというふうにおっしゃいました。

原発はこの間、知事は、前知事も含めてですけど、国策だから国のエネルギー政策に協力する基本的姿勢であると、こういうふうなことをおっしゃり続けていました。

ところが公有水面埋立法の許可権限は、国ではなく、県である。

これは沖縄県知事がやられたことでも明らかですし、はっきりと国もそのように言ってます。これは私が、この間何度も質問をしまして、一度もまともに答弁いただいてませんけれども、公有水面埋立法は昭和48年に改正されました。その時、法5条に掲げる四者の権利以外の財産権に関してもその保護については国会で論じられ、埋立法の不備を補うため、国交省は実際には埋立法5条に掲げられていない財産権対しても協議を行い、契約に基づいて補償を行うよう埋立事業者を指導しているとされています。そこで、埋立法を厳正に審査をするということですけれども、ご案内のとおりその他の財産権のことといえば、当然、何度も指摘していますけども、祝島の許可漁業、自由漁業のことです。そして、祝島の漁業は共同漁業権ではなくて、ほとんどの漁民の方が、許可漁業・自由漁業をやられてます。このことを当然、国交省は協議を行い、契約に基づいて補償するよう指導していると、態度はこうやられてます。そして、かつて二井知事が福島原発事故を受けて、次は仮に埋立免許の申請が出されても、許可することができない、というようなことで、まあ水産庁と協議をされましたけども、その時、協議をされた国交省が困って許可権者は都道県知事にあるのだから、都道県知事が判断してください。という回答しかできなかったという事実があります。そういうことがありまして、このことについては、まあ、土木建築部長さんではなくて、農林水産部ということになりますので、委員会でこの件については私がやる機会ありますので、貴重な時間、本会議ではご迷惑ですからやりませんけども。

お尋ねは、そういうことがあって公有水面埋立てを厳正に適正にされているということであれば、少なくとも土木建築部として、農林水産部にその都度合議されてきた事実があるのかどうかについてお答えを頂きたいと思います。

答弁

厳正に対処したとのことだが、農林水産部と合議等はしたのかとのご質問でございます。

 合議等はしておりませんが、埋立免許にあたりましては、公有水面埋立法上、埋立工事の施行区域内の漁業権者等の水面権利者の同意が必要とされているところでございます。

 水面権利者の同意はなされておりますので、埋立法上必要な要件を満たしていることから、埋立免許は適法なものであると考えております。