働き方改革について

2018年3月8日 県議会一般質問(1)

1、働き方改革について

(1)中小企業への施策は

安倍首相は、今国会の施政方針演説で、「子育て、介護など、様々な事情を抱える皆さんが、意欲を持って働くことができる。誰もがその能力を発揮できる、柔軟な労働制度へと抜本的に改革します。…長年議論だけが繰り返されてきた「同一労働同一賃金」。いよいよ実現のときが来ました。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、「非正規」という言葉をこの国から一掃してまいります。…我が国に染み付いた長時間労働の慣行を打ち破ります。」

嘘をついていないのなら、見事な演説です。この国会は、「働き方改革国会」だとも言われています。

不十分な残業時間の上限規制や、一部専門職をこの規制から除外するなど、「働き方改革」関連法案には私自身は賛同しかねますが、国会の審議により裁量労働制に関する不適切データ処理問題などを受け、この法案から裁量労働制の対象拡大に関わる部分が削除されるようで、引き続きその議論は国会にお任せするとしても、本県としてワーク・ライフ・バランスやディーセント・ワークを実現するためにどのように進めていくかは、大きな課題であり、積極的に取り組まなくてはならないことだと思います。

そこで、お尋ねしたいと思います。

(1)県として対応すべき中心は、県下の中小企業に対しての取り組みということになると思います。中小企業の多くは大手企業の下支えをしているのが現状ですから、大手企業のしわ寄せが即、中小企業の経営に直撃します。ですから大手企業と同時に法を施行することが困難ということでしょう、中小企業は1年先送りのようです。であっても1年遅れです。中小企業で「働き方改革」が実現できるように、県の支援は重要だと思います。

本県では、国の動きに呼応し、地方創生推進交付金を活用した先進的な事業等に、関係機関と連携して積極的に取り組むため、山口労働局を事務局とする従前の政労使会議の体制を拡充し、県知事をトップとする「やまぐち働き方改革推進会議」が平成28年8月に設置されています。一歩前進だと評価していますが、安倍首相の言う、「非正規という言葉をこの国から一掃する」とか「同一労働同一賃金が、いよいよ実現の時が来た」と言えるような具体性、実効性ある施策の展開はこれからの議論のように思います。

たとえば県は、啓発的事業だけでいいのでしょうか。民間アドバイザーの養成支援だとか、モデル企業をサポートしたりする、それも必要です。しかし、これから法律で、時間外労働に罰則付きの上限規制を設定され、法的な強制力がある歯止めがかけられることになります。これは「月100時間までなら働かせても良い」というものであってはならないわけです。であるならばその不安を労働者から取り除くための施策が必要だと思います。それが働き方改革につながることは言うまでもありません。

2016年12月22日には「やまぐち働き方改革宣言」を発出され、県民に対し改革の決意を示されているところでもあり、山口における中小企業の働き方改革に向けた実効ある施策が必要と考えますが、どのように取り組まれるお考えでしょうか。伺います。

村岡知事答弁…働き方改革で中小企業への支援を充実

本県経済の発展や雇用の確保に重要な役割を担っている中小企業が、事業活動を継続し、持続的に成長するためには、長時間労働の縮減や企業の生産性の向上を図るとともに、柔軟な働き方を可能とする働き方改革を進めることが不可欠と考えています。

 このため、県としては、まず、平成28年9月に開設した「やまぐち働き方改革支援センター」のアドバイザーが、これまで延べ300社を訪問し、仕事と生活の両立や若者の定着に向けた職場環境づくりに関する提案・助言を行ってきました。

来年度は、新たに、社会保険労務士など企業に身近な民間の専門家を働き方改革のアドバイザーとして多数養成し、企業に対する相談支援体制を一層充実することとしています。

 こうした中、国においては、長時間労働を是正するため、月100時間以上の時間外労働などを行わせた使用者に罰則を適用する、労働基準法の改正に向けた準備が進められています。

 お示しの、時間外労働の上限規制に関する労働者の不安解消に向けては、来年度、国が全都道府県に「働き方改革推進支援センター」を設置し、労務管理等の専門家が、従業員や事業主からの電話による個別相談に応じるほか、企業を直接訪問し、処遇改善などの指導・助言を行うこととされています。

県としては、今後、国のセンターが行う、労務管理に関する指導・助言と、県のセンターが行っている、働きやすい職場環境づくりに関する提案・助言とを、一体的かつ効果的に実施するため、両センターが共同で企業訪問や出張相談会を実施するなど、きめ細かな支援に努めてまいります。

 私は、今後とも、関係機関との緊密な連携の下、中小企業の働き方改革の実現に向け、実効性のある支援に取り組んでまいります。