会計年度任用職員制度の導入は(2)

2018年3月8日 県議会一般質問

2、 地方公務員の臨時・非常勤等職員の処遇改善は

(1)会計年度任用職員制度の導入は

イ 勤務条件に関して質問します。

① 現在国会では「働き方改革」関連法案の提出をめぐって激しい論戦が行われていますが、この中にいわゆる「同一労働・同一賃金」を実現するための法改正が含まれており、基本的な考え方として、任期の定めがあるかどうかや勤務時間の長短など任期や勤務形態に関わりなく、同一職場における均衡・均等待遇が法律上義務付けられることとされています。

雇用形態間の勤務条件に差がある場合は、ガイドラインなども示され、その差が不合理といえる場合は是正が義務付けられることとされ、会計年度任用職員制度と同時期に施行が予定されています。

そこで、人事委員会にお尋ねします。

新たに規定された「会計年度任用職員」については、一般職の職員に分類され、労働基本権の制約を受けることが想定されています。

私は公務員にも労働基本権を回復すべきと考えていますが、その問題はここではおくとして、基本権制約の代償措置として人事委員会制度が設けられていると解されています。

会計年度任用職員制度についても、その労働条件に関わる制度設計等について、勧告・報告及び意見申し出等適切に対応すべきと考えますが、人事委員会の考え方をお伺いします。また毎年の給与勧告ではどのように取り扱われる予定でしょうか伺います。

また、会計年度任用職員の処遇については、職務給の原則、均衡・権衡の原則、情勢適応の原則さらには平等取扱いの原則等に基づき適切に判断する必要があります。

そのためにも給与など勤務条件について、常勤職員と差がある場合にはその差が合理的なものといえるかどうか明確なものとする必要があると考えますがいかがでしょうか。

人事委員会委員長の答弁

会計年度任用職員制度の導入についての3点のお尋ねにお答えいたします。

① まず、会計年度任用職員制度の制度設計等に対する勧告・報告等についてです。

会計年度任用職員制度が、任命権者において適正かつ円滑に実施されますよう、地方公務員法及び地方自治法の改正の趣旨を踏まえ、必要な勧告・報告等を行っていきたいと考えております。

② 次に、毎年の給与勧告での取扱いについてです。

人事委員会では、例年、正規職員を対象に給与勧告を行っており、正規職員の給与を基礎に会計年度任用職員の給与を決定することにより、勧告内容が反映されるものと考えております。

③ 次に、給与などの勤務条件が正規職員と差がある場合は、その差が合理的なものかどうか明確にする必要があるのではないかとのお尋ねについてでございます。

会計年度任用職員の給与等の勤務条件につきましては、職務の内容や責任の程度を正規職員と比較・考慮し、地方公務員法に定められた職務給の原則や均衡の原則等に基づき、適切に決定することにより、制度の趣旨に沿ったものにしていく必要があると考えております。

② 給与の決定に関しては

会計年度任用職員の給与・報酬に関して、総務省の事務処理マニュアルでは、給与または報酬の決定にあたっては、類似の職務に従事する常勤職員の使用する給料表の級に位置付け、その給与決定にあたっては、職務の内容、責任職務遂行上必要となる知識、技術(学歴・免許)や職務経験をもとに決定することとされています。報酬の決定にあたっても職務関連手当なども含め同様の考え方のもとで時間比例により支給することとするなど、抜本的な見直しが求められています。

本県では、事務補助職員の初任時給与は月額138,800円、各種手当も常勤職員との均衡を考慮して支給されていると聞いていますが、現在の臨時的任用職員や非常勤職員の給与決定の基本的考え方及び今後の見直しに向けての基本的考え方についてお答えいただきたい。

③ 期末手当についてですが、改正法、マニュアルにおいて任期が6月以上の職員には少なくとも期末手当を支給することが求められていますが、現在の臨時・非常勤等職員に対する支給状況はどうなっているでしょうか? (支給割合、支給月数)についてお教えください。

④ 社会保険・雇用保険等に関しても、適切な加入が求められています。

社会保険に関しては、週20時間以上など一定の要件を満たした場合。また、雇用保険に関しては、雇用保険法6条6項の規定による、離職した場合の給付つまり退職給付等となると思われますが、求職者給付及び就職促進給付の内容を超える場合を除き加入することが義務付けられています。

現在の臨時・非常勤等職員の加入状況について、短期の雇用を繰り返したり、基準に該当するのに加入していないなどの例がないのかお示しください。

⑤2020年4月施行とされていますが、条例・規則改正や制度周知さらには募集などを考えるとおおむね1年以内に、さらに細かな内容を含めすべての物事を、労使での協議も含めて決めていく必要があります。現時点ではまだまだ検討段階かも知れませんが、早急に検討を加速化させていただきたいと思いますがいかがでしょうか。また、大まかなスケジュールはどうなっているのかお尋ねします。

総務部長の答弁

臨時・非常勤職員の勤務条件等についてです。

② まず、給与決定についてですが、臨時・非常勤職員の

賃金等については、その業務内容等を踏まえて、正規職員の初任給の水準等も勘案し、決定しています。

 また、今後の見直しに向けては、総務省から示されているマニュアルや他県状況等を踏まえ、検討してまいります。

③ 次に、期末手当についてですが、現在、事務補助を行う臨時的任用職員及び非常勤職員には支給していません。

④ 次に、社会保険・雇用保険への加入状況についてです。臨時的任用職員については、社会保険には加入していますが、雇用保険は退職手当条例の適用があることから加入していません。

 また、非常勤職員については、社会保険・雇用保険ともに加入しており、いずれも適切に運用しているところです。

⑤ 次に、今後のスケジュール等についてですが、平成32年4月の制度導入に向け、今後、具体的な制度を構築した上で、必要となる条例改正や制度周知等を行いながら、円滑な移行かつ適正な運用が図られるよう、検討を進めてまいります。