建設技能者の人材不足の解消を

県では、先月の30日に、「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する山口県計画」を策定したと報道発表されたばかりですが、これに関連してお尋ねします。

現在、人材不足で深刻な医療、介護、そして農林水産業の後継者に至るまで、次の時代を担う人材確保に苦労している話ばかり聞きます。これは、雇用のミスマッチで済まされない話になってきており、特に技能者といわれる職人の世界、この職人の世界でも人材不足は深刻です。例えば国土交通省が国勢調査を基に左官業の就業者の状況を調べたところ、90年に全国で19万9253人いた就業者が、2015年には7万3300人と63%のマイナスとなっているそうです。

建設業は地域のインフラ整備や老朽化対策、災害時における緊急対応や復旧事業において大きな役割を担い、当然、若手人材の確保と育成があって、これからの産業としても成り立つものです。しかし、建設業の就業者数が減少しているだけでなく、年齢構成も55歳以上が約38%、29歳以下が約11%と高齢化が進行しています。

当然この状況では、次世代への技術承継が困難となる事態になっていると言えます。建設業等の仕事は3K職場の代表格のように言われ、若者を遠ざけています。労働施策による労働環境の整備や賃上げ、職業訓練制度の充実などとあわせ、職人を育てる中小企業の支援が必要です。旧来の大量生産、大量消費の時代から、現在あるものを有効活用して次世代に受け継いでいくという価値観に変わりつつある中で、技術を受け継ぐ人材の育成こそ重要な課題と思います。

そこで、本県における建設業の就業者数の減少や人材不足の現状をどのように捉えているのか、また、持続可能な建設業の構築に向けて、特に、高卒後3年以内の離職率が顕著になっており、工業系高校や職業訓練校での取り組みのみならず、行政支援による若年層の定着、入職促進が必要と考えますが、本県として人材不足の解消にどのように取り組むのか、御所見を伺います。

なお、県では昨年3月に施行された「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」、いわゆる「建設職人基本法」の規定に基づき、「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する山口県計画」を福島県に次ぎ全国2番目に策定したと、つい先ごろの、5月30日に報道発表されました。

国では、建設業における長時間労働是正の取組として、公共工事において年度末に集中する施行時期を平準化するためとして、当初予算において「2ヶ年国債の倍増」であるとか、「ゼロ国債の設定」が行われ、地方自治体に対しては債務負担行為の奨励要請が行われていることには、別のやり方があろうにと異議がありますが、この「建設職人基本法」の施行、そして「山口県計画」の実施により、建設工事従事者が3K職場から解放され、マイスター制度のドイツのように、誰もが憧れる職業にしていくべきだと思っています。そうした方向に向かっての一歩が踏み出されるものと期待しておりますが、最後にご所見を伺います。

知事答弁・・・建設技能者の人材不足の現状と対策についてのお尋ねにお答えします。

本県建設産業は、社会資本の整備や災害発生時の応急・復旧対策における中核的な存在として、県民生活に密着した重要な役割を果たしており、今後とも地域を支える産業として、その活性化を図る必要があると考えています。

建設産業をめぐる現状につきましては、就業者の減少及び高齢化の進行が続いていることに加え、技能職を中心に人材不足が生じており、厳しい状況に置かれているものと認識しています。

このため、私は、建設業の担い手の確保、特に将来の担い手である若年層の入職促進・定着を図る必要があると考えています。

こうしたことから、社会保険加入対策等を通じて、就労環境の改善を図るとともに、高校生・女性向け現場説明会や合同会社説明会の開催等により、若い担い手を建設産業に呼び込む取組を進めています。

また、若年層の職場定着を図るため、これまでも、必要な技能等の習得を支援する新規入職者合同研修会を実施するなど、行政のみならず、関係団体・機関とも連携しながら、人材不足の解消に取り組んでいるところです。

私は、地域を支える建設産業が、今後も持続的にその役割を果たしていけるよう、引き続き、将来の担い手である若年就業者の確保・育成に取り組んでまいります。

土木建築部長答弁・・・

建設職人基本法に基づく県計画についてのお尋ねにお答えします。

この計画は、建設業が安心して働ける仕事の場となるよう、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に必要な環境整備等を目的として策定したものです。

県としては、引き続き、国・関係団体等と連携して、計画に沿った就労環境の改善の取組を推進することにより、人材不足の解消に取り組んでまいります。