2018年6月県議会・反対討論

反対討論(2018.7.6)

社民党・市民連合の中嶋光雄です。反対討論を行います。

我が会派は、提案をされています議案のうち、第3号及び第4号について反対をいたします。他の5議案については賛成をいたします。そして、意見書2件にも賛成します。請願3件は全て不採択ですけれども、全て採択すべきであると考えますので、不採択に反対をいたします。

まず、議案第3号及び第4号の反対理由について発言をいたします。

いずれも平成31年4月から指定管理者制度を導入することに伴い、関係条例の一部を改正しようとするものですので、一括して反対意見を述べさせていただきます。

指定管理者制度は2003年に、政府主導の「官から民へ」の規制緩和の流れの中で導入された制度であり、公の施設の管理運営を民間に委ね、経費削減とサービス向上を同時に図ることが目的とされています。

本県でも既に多くの施設で導入され、平成27年12月定例会では43もの施設において一斉に指定管理者の指定更新に係る議案が提案可決されています。

指定管理者制度の導入が、県民サービスの向上に寄与するためには、委託労働者の雇用、身分保障の確保が大前提であり、低コストの管理運営で安上がりの労働者を生むことにつながっては断じてなりません。

近年、非正規・低賃金の不安定雇用が蔓延しています。官公庁も例外ではなく、「官製ワーキングプア」が問題視され、「地方公務員の臨時・非常勤等職員の処遇改善」について2月定例会の一般質問を通じて追及してきました。

また、労働環境に問題があると行政サービスの提供に悪影響を与えるおそれがあることから、間接雇用の労働者の賃金などをチェックするため、公契約条例を制定すべきだとする一般質問も行い、公契約条例を制定する自治体も出てきていることも指摘してきました。

しかし、本県においては、指定管理者の労務管理に関する情報は事実上ブラックボックスとなっています。情報公開条例では、指定管理者を情報公開の実施機関として位置付けておらず、請求権がありません。また、協定書や業務仕様書で調査権が認められているとは言うものの、実効性がありません。

例えば、28年6月定例会で、「指定管理者や委託業者との災害時の協力体制について」尋ねたところ、答弁は、「避難所等の防災拠点としての活用が想定される指定管理施設については、業務仕様書において、災害時に優先して避難者等を受け入れることなど、緊急時の対応を定めていることから、協力体制は確保できていると考えており、県の全ての指定管理者や委託業者との協定書などを総点検することは考えていない。」との答弁しか返ってこなかったことなどからして、実効性があるとは到底思えません。

指定管理料として税金が投入されるにもかかわらず、その使途を十分に検証することができないのは問題です。改めて、公契約条例の制定を要求し、反対討論にします。

また、ようするに、議案第3号は、「やまぐち維新プラン」の生活維新で、「障害者の活躍」について「2020東京パラリンピックを契機に、スポーツや文化芸術活動へ参加しやすい一層の環境づくりや、障害者トップアスリート・障害者アーティストの育成が必要」と細かく謳いながら身体障害者福祉センターの相談機能部門は切り離し、プールと体育館のみを残して、この管理業務に指定管理者制度を導入することで行財政構造改革による人件費削減を図ろうとするものに他ならず、謳い文句と違うので反対です。

また、議案第4号は、山口県立都市公園条例に亀山公園と共に直営で残していた山口きらら博記念公園へ指定管理者制度を導入しようとするものだが、亀山公園がほとんどのエリアを山口市が管理しているため特に県として管理をしていないのと違い、山口きらら博記念公園は、「きらら博」、「国民文化祭」、「国体」、「ジャンボリー」と大イベントを連続開催してきた公園で、明治150年プロジェクトの中核イベントである「山口ゆめ花博」の会場にもなっている県の象徴的公園施設の筈だが、「ゆめ花博」でお役御免とばかりに、行財政構造改革で幕引きを図ることに違和感を覚えざるを得ないことも反対する理由だと申し添えておきます。

次に、請願についてです。第1号、第2号、第3号を不採択とすることに反対します。

請願第1号 「国の責任による35人以下学級の前進」を求めることについての不採択に反対をします。

本県では、平成14年度に中学校1年生の35人学級化の取り組みを始められ、順次拡大して、平成23年度に全国に先駆けて小中学校全学年の完全35人学級を実施、本年度も、「小1プロブレム」など課題の解決を積極的に行う学校に対して、30人学級加配教員を配置。そして児童生徒の状況に応じたきめ細かな指導体制の充実を図るため、35人学級化のための教員配置を継続するための給与費を確保されています。

本県の少人数学級、少人数指導の推進は全国に誇るべき先進的取り組みであり、子供の数が減少している今をチャンスとして捉え、国の責任において推進すべきとする本請願は、まさに時宜を得た請願であると思い、採択すべきです。

請願第2号 国の教育予算をふやして「高校無償化」を復活し、給付制奨学金制度の確立を求めることについての不採択に反対します。

OECD(経済協力開発機構)は、加盟国を中心に世界各国の教育制度や財政、教育の効果についての調査を実施し、国際的な指標として公開しています。最新は2015年11月に発行された「図表でみる教育2015年版」ですけれども、これによると、日本の教育機関に対する公的支出は、国内総生産(GDP)の約3.5%となっており、OECD各国平均の約4.7%を大きく下回っており、加盟国34カ国中最下位で、日本の最下位は6年連続だそうです。

また、日本の高等教育、大学等への公的支出は、GDPの約0.5%で、OECD平均の半分以下です。その結果、日本では大学等にかかる費用は私費に依存し、教育費の公的支出の割合は約3割にとどまっています。

さらに、大学の授業料に関しては、デンマーク、ノルウェーなど、北欧では無償です。フランスやベルギーなどのヨーロッパ諸国でも比較的低額に抑えられています。一方で、日本は韓国と並び、授業料が最も高額な国の一つになっています。

加えて、日本の奨学金制度は、諸外国に比べて、公的資金による給付型の割合が極めて低く、ほぼ全てが貸与型です。返済の必要のない給付型と違い、学生のその後の生活に負担がかかる日本の貸与型奨学金は、OECDでは学生ローン、英語でstudent loansと分類されています。

近年、経済格差の教育格差への影響が指摘されています。こうした教育環境下で、大学進学の意志があっても、家庭の経済状況によって進学を諦めざるを得ない子供や、卒業後に奨学金の返済に苦しむ若者の問題などが顕在化しています。

こうしたOECDの指標からも請願者の言われていることは至極当然であり、

教育予算の大幅増や高校授業料無償化制度の復活、国立大学の授業料値下げや給付制奨学金制度の確立など、社会全体が教育を支える方向に転換できれば、それこそ、出生率の向上も期待できるはずであります。

よって、本請願は採択すべきです。

最後に、請願第3号 「給食費の無償化」を求めることについての不採択に反対します。

憲法第26条は、義務教育は、これを無償とするとしています。

また、請願者も要旨で言われているように、学校給食は食教育の「生きた教材・食の教科書」として、学校教育法でも教育活動の一環に位置づけられています。

しかし現に、「夏休みにやせてしまう子どもがいます。学校給食を食べられないからです。育ちざかりの子どもにとって食事は大事です。いまは子ども食堂が全国に広がっています。山口県でも広がりつつあります。もちろんそれも大事だと思います。

子どもたちの居場所や食事のできる場所があるのは望ましいことです。ですが、そこで救済できるのは10人とか20人とか、あるいは月に何回とか限界があります。やっぱり政治が子どもたちの食事を守らないといけないと思うのです。

全ての小中学校で学校給食を実施し、給食費を無償にすることは、子育て支援に繋がると思います。平均年収が400万円の家庭で、私立高校と公立中学に通う子どもがいる場合、税金や授業料を引いていくと可処分所得は200万円を切ります。子育てにお金がかかるのは少子化の要因のひとつです。所得で線引きするとボーダーラインが生じるので一律に給食費の無償化を国の責任で行うべきです。

安倍首相も教育の無償化を言われているわけですので、本請願を採択することを求めます。

以上をもちまして、我が会派を代表しての討論にかえさせていただきたいと思います。

御清聴ありがとうございました。