2018年9月議会・自然と共生した再生可能エネルギーを

 

 

再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な低炭素の国産エネルギーです。

2012(平成24)年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)が開始されたことを契機に、その導入が大きく進んでおり、現在、導入された再生可能エネルギーの9割以上が太陽光発電となっているようです。

そもそも、太陽光発電の技術は本来、個人の各戸の屋根に設置してエネルギーの自給を目指したり、小地域で共同で地産地消を図ったりして、電力供給網から離脱(オフグリッド)してエネルギー自立を実現するにふさわしい技術だと専門家は言っています。

しかし、FITによって全国各地でメガソーラー(1MW以上の出力を持つ太陽光発電施設)の建設ラッシュが起こっています。脱原発の実現への期待が導入当初高まりましたが、今や、景観を乱すだけでなく、今までにない大規模な土地造成・森林伐採による環境悪化、水源への影響、災害誘発など、様々な問題が浮き彫りになっています。

そこで、2016(平成28)年11月定例会で、我が会派の佐々木代表が、「再生可能エネルギーの普及促進が求められていますが、特にメガソーラー導入に当たって、地域住民の理解や自然環境保全との調和、両立は絶対に欠かせない条件です。全国、多くの自治体では、メガソーラー導入にあたって、自然環境や生活環境への影響が懸念される事態に対処するため、環境影響評価制度や環境影響評価条例、景観保全条例などの対象事業とするなどの取組が進んでいます。そこで、メガソーラーの導入に当たっては全国の先進事例に見習い、本県でもこうした取り組みを進めるべき」と県の対応を質しております。

今のところ本県では、メガソーラー計画が持ち上がった時に建設を抑制する有効な手段となる条例等を持ち合わせていない。従って、担当部署の皆さんのご苦労は大変なものであろうとお察ししていますが、今後も、手をこまねいて居ればメガソーラー建設圧力はますます強まるだろうと思います。なぜなら、経産省のエネルギー基本計画では、2030年までに原発を今からさらに22基も再稼働させて30基の運転を確保するといったとんでもないことになっていて、それではあまりに露骨なので、それと並んで再生可能エネルギーを主力電源と位置づけ、原発と同様に電源構成全体の2割ほどを担わせる。原発を生き残らせるために『再生エネルギーもちゃんとやっている』というポーズを取っている

だからこそ、今のうちに事業者に対して適切な環境配慮を求める条例・制度を早急に作っておかなければ担当部署は大変なことになりはしないかと懸念しております。

 

具体的にお尋ねします。

(1)メガソーラーに係る森林保全規定について伺います。

近年の報道状況から、メガソーラー事業における環境保全等に係る主な問題点として、

①傾斜地等における土砂災害

②造成工事に伴う濁水による内水面漁業・漁業・農業等、関連産業への   影響

③森林伐採に伴う保水力の低下による地下水、湧水等の水象・水質への影響

④森林伐採に伴う動植物・生態系への影響

⑤森林伐採及び太陽光パネルの存在による景観への影響

⑥地域住民が重要視している場所への水害等の影響

⑦事業計画や工事着手前の住民説明の不足

などが挙げられています。

これらの問題等に対処しようにも、現行の森林法・施行令・施行規則・施行細則および林地開発許可制度の実施に関する要綱には、もともとメガソーラー事業への対処は想定に入っていないのではないのか、お尋ねします。

さらに、例えば兵庫県では、昨年、事業用地5千平方メートル以上の太陽光発電施設等を設置する業者に、地域住民への事前説明や事業計画の届け出を義務付ける条例を制定。景観や安全面の施設基準に適合しない場合は業者に指導や監督をする。事業計画や設置者の変更の届け出をしない、虚偽の届け出をした場合などは罰金。この基準に森林の保全規定を追加。50㌶以上の施設を整備する際は、区域内に60%以上の森林を残すよう義務づけ土砂災害を防止する運用を始めた。と報じられています。

そこで、本県でも兵庫県にならい森林保全規定を設けるべきですが、お尋ねします。

(2)メガソーラーに係る環境アセスメントについて伺います。

調査したところ静岡県では、広大な森林伐採を伴うメガソーラー建設計画が各地で持ち上がり、森林からの土砂流出や環境破壊の懸念が生じていることから乱開発の規制を検討し、敷地面積が50㌶以上または森林伐採が20㌶以上に及ぶ場合は環境アセスを義務づける等の静岡県環境影響評価条例施行規則を改正したところであり、平成31年3月の施行後は、太陽光発電活用と地域の環境や景観の両立を図ることが可能になるとしています。

報道による最新事例でなくとも、環境省が出している「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集」(平成30年6月版)によれば、32府県が太陽光発電事業を環境影響評価手続の対象とすることで、事業者による適正な環境配慮を促しております。本県も習い、メガソーラーを環境アセスメントの対象とすべきですが、お尋ねします。

なお、国においても、環境省がこの7月3日に、大規模な太陽光発電所を、環境影響評価(環境アセスメント)法の対象に加える検討を開始することを明らかにしており、法の対象になると事業者は計画段階で、環境影響の調査や住民説明会の開催が義務付けられることになります。8月には、有識者を交えた検討会を立ち上げ、具体的な議論を開始した国の動きなども踏まえての見解をお示しください。

(3)県民に寄り添った行政処分について伺います。

2月定例会で槙本議員が、岩国市美和町の元ゴルフ場開発予定地での、事業区域面積が200㌶を超えるメガソーラーの建設計画が地元住民との十分な合意がないままに進められているとすれば、問題がある。県は、この岩国での計画を含め、メガソーラー建設計画にどう対応するのか質されました。

答弁の要旨は、「再生可能エネルギー発電事業は、地域住民の合意形成も含め、一義的には国の責任において適切な事業実施の確保が図られるべきもの。

事業計画の認定等を行う経済産業省に対し、地域の不安が増大し、陳情書等が提出された状況を詳しく伝えるとともに、十分な合意形成に向けて事業者を指導するよう要請した。その後、岩国市からも地域の事情に配慮するよう要請を受けており、今後、市とも連携し、国に対し適切な対応を求めてまいります。

その上で、FIT法に基づき認定された今回の事業計画については、事業者から林地開発の許可申請があれば、県において森林法に照らし厳正に審査することになります。

また、こうした問題は全国的に生じていることから、全国知事会においても、再生可能エネルギー発電事業者に対して、地域住民への事前説明を義務づけるなどの法整備を図るよう国に要望しているところです。

県としては、今後とも、メガソーラー建設計画については地域住民の理解を得て実施されるよう、国の動向や他県の状況に関する情報収集に努めながら、適切に対応してまいります。」

「地域住民の理解を得て実施されるよう、適切に対応する。」との趣旨の答弁でしたので、県としては県民に寄り添った意思形成が図られるものだろうと思っていました。

ところが、我が街・山陽小野田市と宇部市にまたがる山林等、約91haに30MWのメガソーラー計画については、一番影響を受ける自治会の同意なしに、森林法の定めによる四つの要件(水害・災害・水の確保・環境保全)を充たしておれば許可しなければならないとして、許可されたようです。この行政処分と2月定例会答弁とは全く整合性がありませんが、どうなっているのか、お尋ねします。

計画地下流域の石束自治会に事業者代理人より昨年2月に賛同を求める説明会が開催されていますが、自治会として同意しないままで経緯していたところ先月の8月22日付けで「山口県が林地開発許可を出したようだ」と、人づてに聞かされたことを受け、9月4日に石束自治会臨時総会が開催され、自治会として改めて納得できないことが全会一致で確認され、当面、太陽光発電事業の林地開発に係る事業者からの許可申請書の添付書類のうち、

①同意をしていない周辺権利者たる石束自治会との話し合いの経緯の状況を記載した書類

②山陽小野田市長の意見書

③許可に当たり条件を付している場合は、その内容を期した書類

の3点についての公文書開示請求を自治会として9月19日に行われたところ、翌日の20日付で、早速、決定期間延長通知書が自治会長に送付されてきました。

情報公開条例の規定に基づいた処分には違いないが、自治会としては事業者から同意を得たいとの働きかけについて、ほとんど受けた認識がない中での寝耳に水の林地開発許可であり、事業者が同意が得られなかった理由・経緯をどのように述べているのか正確に知ったうえで、事後の対応を協議しようとの意図での開示請求が、事業者と思慮される第三者の意見を聞かなければならないとして21日間も延長された判断は、県民に寄り添った処分とは到底思えず、この県民の知る権利及び利益を著しく侵害する処分についての見解、妥当性について、お尋ねします。

また、21日間延長した根拠についてもお尋ねします。

念のため確認しておきますが、石束自治会は同意していないからか本件の林地開発許可がされたことを許可権者たる県知事からも、その他だれからも通知されていませんが、こうしたケースの場合、行政不服審査法でいうところの「処分があったことを知った日」は何月何日なのか、最後に、お尋ねします。

農林水産部長答弁・・・

自然と共生した再生可能エネルギーについてのお尋ねのうち、メガソーラーに係る森林保全規定についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、現行の森林法等におけるメガソーラー事業への対処についてですが、県では、林地開発許可に際し、森林法で定める災害防止や環境保全等の許可要件に則した審査に加え、関係市町から意見を聴取するとともに、10haを超える大規模開発は、森林審議会に諮問することとしています

お尋ねのメガソーラー事業についても、こうした許可要件や手続きに基づき審査を行っているところです。

次に、本県でも兵庫県のような、森林保全規定を設けるべきではないのかとのお尋ねです。

県では、森林法や県要綱に基づく基準に照らし、法面の安

定性や洪水調整池の規模、景観や周辺環境への影響等について、まず書類審査を行い、更に現地調査を実施した上で、許可の適否を判断しているところであり、森林が果たす災害防止機能や環境保全機能は確保できるものと考えています。

また、お示しの兵庫県条例にある地域住民への事前説明などについても、現行の許可制度で対応しているところであり、県独自の規定の制定は考えていません。

環境福祉部長答弁・・・

メガソーラーに係る環境アセスメントについてのお尋ねにお答えします。

太陽光発電施設については、供用後、操業に伴う排ガス・排水・騒音等が発生せず、著しい環境影響が想定されないことから、国は環境影響評価法の対象事業としておらず、県においても同様に環境アセスメントの対象としていません。

このような中、近年、林地開発に伴う大規模な事業計画の増加等に伴い、周辺の環境影響への懸念や地元住民の不信・不安が増大するなどの問題も顕在化してきています。

国においては、こうした状況を踏まえ、お示しのとおり、環境影響評価法の対象事業への追加について検討に着手したところです。

県としましては、まずは、こうした国の動きを注視していきたいと考えています。

農林水産部長答弁・・・

県民に寄り添った行政処分についての3点のお尋ねにお答えします。

まず、県が森林法に定める要件を満たしていることをもって許可したことと、地域住民の理解を得て実施されるよう適切に対処するとした2月定例会答弁との整合性についてです。

林地開発許可にあたっては、事業者に対して、県要綱に基づき、関係者の同意の取得を指導していますが、今回の事案については、一部の関係者の同意が得られなかったことから、これに代わる経緯書等により、事業者が今後とも十分な説明を行い、地元理解を求めていくことを確認したところです。

県としては、開発後の適正な維持管理や環境保全に係る協定の締結など、林地開発が地域住民の理解を得て実施されるよう、引き続き事業者を指導していくこととしており、2月定例会答弁と不整合との御指摘はあたらないものと考えています。

次に、開示請求を延長した判断についての見解と妥当性、また、21日間延長した根拠についてです。

情報公開請求の対象となる公文書に、第三者に関する情報が記載されていることから、県情報公開条例第9条の規定に基づき、第三者への意見照会が必要と判断したところです。

 なお、21日間の延長期間は、第三者に意見照会を行うため必要かつ合理的な期間と考えています。

最後に、行政不服審査法における「処分があったことを知った日」とはいつかとのお尋ねですが、原則として処分があったことを現実に知ることとなった日となります。

再質問・・・

先ほど、環境福祉部長、環境アセスについて、国の動向を見定めてという話でしたけれども、こういうのは、各県でもそうなんですけど、独自で作っておかないと、既に、今、事業計画が進んでいるとか、手続きが進んでいるというのは、後に法律、条例が整備をされても、それはもう適応できないということになってますので、一日も早く作る必要がある。これが各県で多く作られているという状況、そこのところをぜひ御認識をいただかないと。もう既に、県内でも計画が進んでいるかも分からないところには、県がこういう条件を付けようとしたって、もう既に間に合わないということになるから、早く作って欲しいと、そういうことを、ぜひもう一度、お尋ねをさせていただきたいと思います。

それともう一点、太陽光発電と言えば、本当に再生可能な自然エネルギーで環境に優しいというのが特徴です。自然のままの森林をですね、切り開いて、木を切り倒し、峰を削り、谷を埋め、川を殺して、とことん環境を破壊した上にメガソーラーを造るなどという話があり得るでしょうか。

山口県の第3次環境基本計画を読まさせていただきました。平成32年度までの計画です。これには、再生可能エネルギーの導入促進の項があります。太陽光発電の普及・拡大ということには、こんな書きぶりがしてあります。『エネルギーの「地産地消」や太陽光発電の普及・拡大は、エネルギーの地産地消や災害時の自立分散型電源の確保、産業振興等の観点から、家庭、工場・事業場、公共施設、防災拠点施設への、太陽光発電の普及拡大を図ります。』ということで、あの有名なソフトバンクさんも、工場の遊休地を活用してやるということで、森林を削りあげてメガソーラーを造るということについては、なんらかの規制を一日も早く作るべきだと、このように思います。

50haから100haもの森林を皆伐して太陽光パネルを敷き詰めようと、この山口県第3次環境基本計画も言ってないじゃないですか。森林保全規定を定めた条例を、環境アセスを含めて、ぜひ早急に作られるよう検討されるべきではないかということで、再度お尋ねをいたします。

環境福祉部長答弁・・・

一日でも早くメガソーラーをアセスの対象とすべきとの再質問にお答えをいたします。

先ほど答弁を申し上げましたとおり、太陽光発電につきましては、国において環境影響評価法の対象事業への追加について、検討に着手したところでありまして、この検討会は、今年度末には、検討結果を出すというふうな予定であるいうふうにも聞いております。

県としましては、その検討内容について、やはり、見極めて判断をする必要があるというふうに考えおりますので、まずは、こうした国の動きを注視していきたいというふうに考えております。