2018年9月・公契約条例の制定を

これまでも公契約条例の制定について取り上げてきましたが、答弁は「国の動向を注視するとともに、他の自治体での導入事例や検討状況などの情報収集に努める」で、議論が進まないままです。

しかし、今や全国各地でみずからの意思により次々と条例制定が進んでいます。独自に賃金等の下限額を設定する条例を制定している自治体は全国で19、理念を定めた条例はその他多数、また、都道府県レベルでも、平成26年の長野県を初め奈良県、岐阜県、岩手県、愛知県、そして沖縄県が条例を制定しています。

特に、長野県や奈良県では知事の選挙公約に掲げ、速やかに条例制定に至ったとも聞いています。

また、愛知県では、建設工事で予定価格が六億円以上の工事請負契約、一千万円以上の業務委託契約に、受注者だけでなく、全ての下請業者と再委託事業者にも、一日当たりの賃金単価の平均額や最低限の労働者の賃金の報告書を求めることを規定するなど、公契約条例を労働・雇用施策の推進手法として活用している例も見られます。

私は、6月定例会で建設技能者の人材不足の解消について伺いましたが、中小・零細企業の労働者不足や処遇改善は喫緊の課題になっています。

公共工事設計労務単価は、ここ数年引き上げ傾向にありますが、なお低水準であり、単価の引き上げが自動的に現場の技能労働者の労働条件の改善や賃金増額につながるわけではありません。今の状況は、低賃金がゆえに職人が定着せず、職を求めて首都圏へ流出、その結果、地方の人材不足が生じ、技術の伝承ができなくなり、後継者が育たないという労働・雇用環境の悪循環に陥っています。

政府も働き方改革実行計画を策定し、同一労働同一賃金、長時間労働の是正のほか、賃金引き上げや労働生産性の向上などを掲げるなど、今や国を挙げて改革を推進しています。

こうした中、まずは県民や労働者の目に見える形で、公契約における適正な労働条件や賃金水準の確保に率先して取り組む姿勢を示すことが重要であり、そのためには実効性ある条例を制定することが必要と考えます。そして、条例制定により、透明性、競争性の確保、工事やサービスの質の向上など、さまざまな課題解決に加え、労働・雇用環境の改善により県民生活を豊かにし、生涯にわたり住み続けたい県として、定住促進にもつながっていくものと考えます。

そこで、公契約条例を制定する自治体が増加する中で、本県においても県民や労働者の声を聞きながら公契約のあり方を考え、条例制定に向けた検討を進めていくべき時にきていると考えますが、御所見をお伺いいたします。

会計管理局長答弁・・・

公契約条例の制定についてのお尋ねにお答えします。

公契約における適正な労働条件や賃金水準の確保は、労働・雇用環境の改善につながる重要な課題と認識しています。

このため、県としては、公共事業の労務単価を毎年引き上げ、入札参加者等に適正な額による賃金の支払いを要請するとともに、人件費の割合が高い業務委託等に、低入札価格調査制度を導入するなど、労働環境の確保に努めているところです。

こうした中、他県においては、6県が公契約に関する条例を制定していますが、いずれも適正な労働環境に係る基本理念や現行法令の順守を定めたものとなっており、最低賃金法に定められた最低賃金を上回る、独自の賃金条項を規定した条例を制定した県はありません。

公契約条例については、多様な職種を網羅する賃金水準を自治体が独自に設定することや、同一企業内の同一職種において、公契約に従事する者としない者との間に賃金格差が生じることなど、様々な課題が指摘されています。

また、国においても、公契約の法制化について検討されているところですが、賃金等の労働条件は関係法令に反しない限りにおいて、労使が自主的に決定するものであり、賃金等の基準を新たに設ける公契約法の制定には、慎重、かつ幅広い観点からの検討が必要としています。

こうしたことから、公契約条例の制定について、県としては、労働関係法制を所管する国の法制化に係る動向を注視するとともに、引き続き、他の自治体での検討状況など、情報収集に努めてまいります。