医療従事者の処遇改善について

2024年6月県議会

6、医療従事者の処遇改善について

2024年診療報酬改定では医療現場で働く職員の賃上げ財源として、ベースアップ評価料が新設されました。目的を明確に限定して賃上げ対応として、原資を割り当て評価するやり方です。2024年の春闘で他産業は昨年以上にベースアップしている中、医療現場の給与水準が他産業よりも低いために、人材が流出してしまっている、あるいは集まりにくいことから、ベースアップ評価料をしっかり活用して、医療の質の向上と経営改善にむけた人材確保のために、診療報酬で措置された財源を、医療機関で勤務する職員の賃上げに充当すべきです。

自治労で毎年行う医療従事者の意識調査2024年度では、79%が離職を検討という結果になっています。理由として、「業務が多忙」が最も多く、次いで「人員不足」、「賃金に不満」となっています。特に看護補助者においては、確保及び定着を促進するための国の政策として看護補助者の処遇改善事業が2月より実施されています。しかしながら自治労の加盟病院調査によると、全国的には約60%程度の実施にとどまっています。山口県内では約20%と全国的に見ても低い状況にあり、福岡県では70%の実施となっています。

中医協の調査においてコメディカル(医師・歯科医師・薬剤師・看護師を除く医療関係職種)の給与の平均は全産業平均を下回っており、特に看護補助者については全産業平均を大きく下回り、介護職員と比べても下回っている状況にあります。

今後の山口県の医療提供体制の確立の為、医療業界への人材確保と他産業への人材流出防止は喫緊の課題です。県としても人材確保のためにも、診療報酬改定による賃上げを促すと共に、今回の医療制度改革をしっかりと応援し診療報酬改定の趣旨をしっかり伝えることが必要と考えます。

  1. 人材の流出が懸念される中、ベースアップ評価料の導入による賃上げについて、山口県内の医療機関での実施率や、対象となる職種、導入による効果についてお聞かせください。
  2. 看護補助者の処遇改善事業について、実施率の低さについてどのような課題があると考えていますか?また、看護補助者確保について、今後の改善策についての見解をお聞かせください。
  3. 他産業と比較して、医療従事者の給与水準の低さや長時間労働等の勤務環境が人材流出の要因として指摘されています。この問題に対する具体的な対策として、県としてどのような支援や施策をお考えかお聞かせください。
  4. 自治労の調査によると、医療従事者の約79%が離職を検討しているとのことです。離職率低減のための施策についてお聞かせください。
  5. 医療従事者の定着率向上を目指すために、労働環境や福利厚生の改善に関する計画や予算措置についてお聞かせください。

健康福祉部長答弁・・・まず、ベースアップ評価料による賃上げについてです。

ベースアップ評価料は令和6年度の診療報酬改定により、国において新設されたものであり、県はその実施状況について把握する立場にありません。

次に、看護補助者の処遇改善事業と看護補助者の確保につ

いてです。

看護補助者の処遇改善事業については、対象となる医療機関のうち約5割が申請を行う見込みであり、各医療機関が各々の実情に応じて実施されるものと考えています。

また、看護補助者の確保については、このたびの診療報酬改定により、看護補助者の賃上げを実施するとともに、医療機関等において、働きやすい勤務環境を整備していくことが、必要と考えています。

次に、医療従事者の給与水準の低さや長時間労働等の勤務環境への対策、離職率低減、定着率向上に向けた労働環境や福利厚生の改善についてです。

医療従事者の給与水準については、その前提となる報酬制度を、国の責任において制度設計すべきものであり、県独自の支援は考えていません。

また、医療従事者の勤務環境の整備や離職防止、定着率向上については、県では、「医療勤務環境改善支援センター」を設置し、研修会の開催や、社会保険労務士等のアドバイザー派遣などを通じ、勤務環境の改善等に自主的に取り組む医療機関を支援するなど、取組を進めているところです。