上関原発と中間貯蔵施設について(再質問)(R7.2)

上関原発と中間貯蔵施設について(再質問)

再質問をします。時間が延びないように1点に絞らせていただきます。

埋立免許許可と同時に行った知事要請に対して中電は、発電所本体の着工時期の見通しがついたと判断できる状況になった時点で、改めて山口県ご当局に相談させていただきます、と文書回答をしています。さらに、先程、鈴森理事も言われましたけれども、出発になった事柄ですけれども、令和2年11月定例会での宮本輝夫議員の一般質問。埋立免許、占用許可と要請、いわゆる、アクセルとブレーキを同時に踏んでいることに矛盾を感じる、に対する当時の商工労働部理事答弁は、県の要請は埋立免許者としての立場ではなく、あくまでも上関原発建設計画が存する県の立場から要請したものであり、またこの要請は、中国電力の電力供給計画において、上関原発について着工時期が未定とされていることなど、原子力発電所本体の着工時期が見通せない状況にある中で、当面埋立工事を再開すべきではないと考え、再開の時期についてその見通しがつくまでは、工事を施工しないよう要請したものでした。中国電力のホームページでの、上関原発の建設計画の着工予定は未定になっているままなのを確認の上での再質問です。

先程の答弁にもございましたけれども、令和2年当時の答弁とほとんど変わっておりません。中電は、この4月には、事業進捗状況報告を町、県に提出しなければなりません。その際、もともと、法を超えて知事名で要請している事項なのですから、法に捉われることなく、先述した経緯も含めて、知事要請に対する現状報告、説明を中電に求めるのが当然ではありませんか、所管する産業労働部よりお答えください。

さらに、2月20日に、市民団体の皆さんの中電本社への要請行動に同席した際、応対した中電担当者は、島根原発の燃料プールがすぐに満杯になるわけではない。しかし、関西電力との関係ですが、当社単独で建設、運営する場合は、島根原発の使用済燃料だけでは小規模な施設となり無駄である。だから、規模の問題とか、建設、運営コスト等の面を考えまして共同開発が必要と判断していると、やる気満々に答弁されました。関電は、2,000トンウランの原発ゴミの福井県外搬出を福井県に確約しています。2,000トンウランの中には、広島型原爆6万~8万発分の核分裂の危険性があるウラン235が含まれている。だから近隣市町も、問題があるではないか、国なり中電に永久的な施設にならないかという問題と、安全性という問題の説明を求めていきたいとなっている。なぜに県が無関心でいられるのか理解ができません。せめて、県の主催で推進、反対の専門家を招いた公開シンポジウムなどを早急に開催すべきではないかと思いますが、見解を伺います。こういうことは島根原発においても行われていますし、四国電力が伊方原発で中間貯蔵施設を設置する際に、推進、反対の専門家を招いたシンポジウムも行われています。

さらに、エネ庁は、再処理工場は国の核燃料サイクルの中核施設だ、必ずやり遂げると力んで見せますが、そもそも、核燃料サイクルのもう1つの中核施設である、高速増殖炉もんじゅは、既に解体中の身です。再処理工場と高速増殖炉の2つが竣工してはじめて核燃料サイクルは成立するものであるのに、国は、彼らはその前提の議論をわざと欠落させています。つまり、再処理工場は必ずやり遂げると意気込んで見せたところで、高速増殖炉抜きでは、核燃料、プルトニウムリサイクルもおぼつきません。この状態のまま、六ケ所の再処理工場ができるとは思いませんけれども、仮に六ケ所の再処理工場を竣工すると、余剰プルトニウムが増え続け、それが再処理工場の操業の足かせとなるのは、11月県議会で私も指摘をさせていただきました。それでも、県は永久になりかねない上関の中間貯蔵施設を傍観し続けるおつもりですか、お答えください。

そして、最後の質問です。昨日の藤本県議の質問に対し、理事は第7次エネ基でも、上関の位置付けはその他の開発などうんぬんに含まれている、変わっていないと答弁されました。県は、電気事業連合会、そして、日本原子力産業協会のいつからスポークスマンにでもなったのですか。答弁の真意をお聞かせください。県民の安全安心、県民に寄り添う気が感じられません。そうであるならば、まさに、原産協会からただちに脱退すべきじゃないですか。オウム返しでないまともな答弁をお願いし、質問を終わらせていただきます。

産業労働部理事答弁・・・

上関原発と中間貯蔵施設についての再質問にお答えします。

まず、上関原発に関し、中国電力からの説明を求めるべきといったお尋ねについてです。

中国電力は、発電所本体の着工時期の見通しがついたと判断できる状況になった時点で、改めて県に相談するとしております。

上関原発は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えていることから、着工時期の見通しに関し、中国電力に説明を求めることは考えていません。

次に、県主催によるシンポジウムの開催に関するお尋ねについてです。

上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在は、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

次に、県は、永久になりかねない中間貯蔵施設を傍観し続けるつもりか、についてのお尋ねです。

エネルギー政策は国家運営の基本であることから、再処 理施設の稼働など核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものであり、また、上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在は、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

次に、日本原子力産業協会についてですが、県はこの協会には、原子力発電関係の情報収集を行うために入会しているものであり、脱退することは考えていません。


上関原発と中間貯蔵施設について(R7.2)

上関原発と中間貯蔵施設について

2月18日、石破政権は第7次エネルギー基本計画を閣議決定、「可能な限り原発依存度を低減」するとの文言を削除し、原発回帰を鮮明にした。

原発新増設についても、岸田政権のGX基本方針では「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」とされ、廃炉があり、敷地にめどが立つのは美浜と敦賀のみで、敦賀2号が新規制基準不適合になった日本原電にその余裕はなく、美浜で関電が新炉を建設しなければ新増設は実現しない筈であったが、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内」での建て替えと条件を緩和し、九電の川内3号炉の新増設を可能にしようと目論まれている。

しかし、国が支援する枠組みを盛り込むようにと電力業界が注文を付けていたスキームは曖昧な表現にとどまり、要望した国支援なしに関電、九電ともに新炉建設することは不可能でしょう。

朝日新聞は、「原発回帰は大手電力が切望していたとはいえ、政府の支援策がなければ投資に踏み込めない事情も浮かぶ」と書き、九電や関電幹部の「本音」を紹介しています。

九電幹部「うちがやるのは、あちら(関電)がやったあとだ」と、当面は様子見の構え。

関電幹部「エネ基を旗印に、すぐにリプレースできるわけではない」「重要なのは、本当に採算がとれる支援制度が出てくるかだ」「リプレースの検討に向けた次のステップに踏み出すと、すぐに表明するのは難しいだろう」と。(2025年2月19日)

そこでお尋ねです。

エネ基はおおむね3年ごとに見直されるが、第7次エネ基においても上関原発は新増設の対象にすらなっていません。

これまで三度、公有水面埋立期間伸長許可と同時に、「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しない」ようにと村岡県知事名で要請をしていることは周知の事実であるが、公有水面埋立期間伸長にあたっての審査表では「指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があること」となっているにもかかわらず、前回、前々回の期間伸長許可にあたり知事要請をあえて捨象(しゃしょう)されたのは非合理的と言わざるを得ません。

そこで、かかる要請を出した県知事として、県民に説明責任を果たすべきと考えますので、新エネ基での原発新増設の書きぶりも踏まえての見解をお尋ねします。

次に、中国電力と関西電力が上関町に計画する使用済み核燃料中間貯蔵施設をめぐり「推進」か「反対」かが争点にもなって行われた田布施町議選で反対を掲げた6人全員が上位当選され、早速、2月28日に6名全員の連名で議員提案として、「上関町での中間貯蔵施設の建設に反対する決議」を議長に提出されました。

提案理由は、「令和6年2月27日に上関町での中間貯蔵施設の建設に反対する田布施町民の会から提出された陳情書及び同年5月17日に田布施町連合婦人会から提出された陳情書に賛同し本案を提出する。」とされており、この陳情2件は3372人分署名も提出されていたものだが、いずれも継続審議、議員の任期満了に伴い審議未了廃案になった経緯があるが、今回の決議は、可決される見込みだと聞いています。

こうした上関町近隣の住民の声に、県は真摯に耳を傾けるべき時ぞ今と、考えますが知事のご所見を伺います。

産業労働部理事答弁・・・

上関原発と中間貯蔵施設についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、第7次エネルギー基本計画における原子力発電に関する記述と知事要請についてです。

 原子力発電に関し、第7次エネルギー基本計画は、次世代革新炉の開発・設置について、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えを対象として具体化を進めていくとしています。

 また、その他の開発などは、各地域における再稼働状況や理解確保の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくとしています。

 一方、上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な事柄に関しては、国からは、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されているところです。

 こうしたことから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。

 また、公有水面埋立免許の期間伸長許可により中国電力は、法的には埋立工事を施行できる状況にあります。

 しかしながら、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていない状況や、中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっていません。

 このように、引き続き発電所本体の着工時期が見通せない状況にあることから、原発建設計画が存する県の立場からは、埋立工事のみを先行すべきではないと判断し、発電所本体の着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施行しないよう、要請しているものです。

次に、上関町近隣の住民の声についてです。

 上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、県民の間で様々な意見があることは承知していますが、現在は、あくまでも、施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。


自殺問題について(R7.2)

自殺問題について

1月末の厚生労働省の発表によると、2024年の自殺者数は暫定で2万268人、前年より1,569人、7.2%の減少となりました。

我が国の自殺者数は、1998年以降、14年連続して3万人を超える状態が続き、2003年には統計を取り始めた1978年以降で最多の3万4,427人となりましたが、その後は減少し、2012年には3万人を下回り、19年には2万169人まで減少。しかし、コロナ禍に入った20年に増加するなど、近年は、高止まり傾向と言えると思います。

更に長期的な推移で見ると、第二次世界大戦後、1955年前後に自殺者が増加し、1958年に2万3,641人をピークとする最初の山を形成した後、高度成長期には1万4千人台前半まで減少したものの、その後は増加傾向となり、1986年には2万5,667人をピークとする2つめの山を形成し、1998年に急増しています。  その後も高水準で自殺者数が推移し、昨年は2,663人にまで減少した交通事故の死者数に比べ、ここ数年は7~8倍という多さとなっています。

わが国は、若年層の死因の1位が自殺であります。2024年の子どもの自殺者数は過去最多の527人、内訳は小学生15人、中学生163人、高校生349人となっており、15歳から39歳の各世代での死因で自殺が最も多いのは先進国では日本だけに見られる事態で、人口10万人当たりの死亡率も他の国に比べて高い傾向となっています。

本県でも、自殺者数は2009年の409人をピークに減少傾向にあるようですが、依然として年に200人を超える方が自殺に追い込まれている状況にあり、また、29歳以下の若年層や女性の自殺者数が増加傾向となっているようです。

そこでお尋ねします。

本県における自殺の現状をどのように認識し、今後、特に若年への対応を含めた、具体的な自殺対策をどのように進められるのかお聞かせください。

健康福祉部長答弁・・・

自殺問題についてのお尋ねにお答えします。

本県において、依然として自殺者数が多く、若年層や女性については増加傾向にあることは、深刻な状況と認識しており、県では、昨年度改定した第4次自殺総合対策計画に基づき、自殺対策に取り組んでいるところです。

まず、自殺予防を呼び掛けるフォーラムや、いのちの大切さを学ぶ高校生への特別授業により、啓発活動を行うとともに、若者が日常的に利用しているLINEを活用した相談体制を整備しています。

また、中学校・高校の教員等に向け、子どもの自殺予防の研修を実施するとともに、身近な人の自殺の兆候に気づき、適切な支援につなげるゲートキーパーを養成しているところです。

引き続き、啓発活動や相談支援・人材育成に取り組むこととしています。


高齢者の防犯対策について(R7.2)

高齢者の防犯対策について

ルフィ広域強盗事件など、匿名・流動型犯罪グループによる事件対策等について、特にその多くは高齢者が狙われていることから、県警察の取組についてお尋ねをします。

「光市の住宅街でSNSの『闇バイト』に応募した関東地方の少年3人を強盗予備容疑で逮捕」、「下松市で、事務所強盗容疑で37歳男逮捕 闇バイトの実行役に指示か」と報道されたように本県でも起こっています。

匿名・流動型犯罪グループの特徴は、主犯者が直接犯罪を行うのではなく、指示役となり、実際に犯罪を実行する実行役をSNSなどで募集し、その応募者は、一般人の、特に若い人が多いということです。そのため、警察でも、犯人の特定や犯罪の予防が困難になっていると考えます。

また、その手口も巧妙で、劇場型的に事前に電話等で危機感をあおり、その後警察官や銀行員に成り済ました者が現れ、対象者に安心感をもたらし、堂々と犯罪をするために、だまされたことに気づくのが遅れる傾向にあると聞いておりますし、劇場型の詐欺だけではなく、関東では強盗事件も多発しています。

高齢社会が進展している日本ですが、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年に本県は46.8万世帯に、うち世帯主65歳以上世帯が24.1万世帯で、さらにそのうち一人暮らしの世帯が10.7万世帯で44.3%を占めるまで増えると推計されていますから、ますます匿名・流動型犯罪グループから狙われる対象者が増えてくることが容易に想像できます。

また、うそ電話詐欺の令和6年に認知した件数は111件(前年比27件増)、被害額は43,115万円(前年比26,105万円増)と急増しています。

犯罪の予防と検挙の両面に積極的に取り組んでおられることは承知をしていますが、犯罪を元から断つということは、非常に重要な取組だと考えます。

そこで、今後、高齢者の、高齢者に限らず県民の安全、安心を守る取組をどのように進めていかれるのか、県警察本部長にお尋ねいたします。

県警察本部長答弁・・・

高齢者を含めた県民の安全、安心を守るための県警察の取組についてのご質問にお答えいたします。

「匿名・流動型犯罪グループ」は、闇バイトなどを通じて実行犯を募集し、離合集散を繰り返す犯罪集団で、その背後には暴力団の関与が疑われるなど、この種事案への対策は喫緊の取組課題となっております。

県内でも同グループが関与したとみられる強盗事件などが複数発生しているほか、昨年認知したうそ電話詐欺は件数、被害額ともに前年から大幅に増加し、高齢者は被害者のうち約4割でありますが、被害額では6割を占めるなど、高齢者が同グループによる強盗や詐欺などの被害に遭わないための対策がますます重要となります。

県警察では、同グループによる強盗などの凶悪事件への対策として、深夜帯の住宅地周辺における、赤色灯を点灯したパトカーによる見せる警戒活動とともに、防犯講習、SNSなどを通じて、住宅への鍵かけ、防犯設備の充実などの被害防止対策広報を強化しているほか、令和7年度には街頭防犯カメラ設置補助事業に取り組むこととしております。

また、うそ電話詐欺における犯行利用番号の大半が「+(プラス)」などから始まる国際電話番号であり、固定電話・ひかり電話では、国際電話利用契約の利用休止を申し込めば、継続的に発着信を拒否でき、うそ電話詐欺の被害防止上極めて有効であるため、巡回連絡などの活動を通じて直接的な申込み支援を強化し、令和6年9月の運用開始から、県警察が本人に代理して700通以上の申込書を送付しております。

また、高齢者は、ATMを操作させて犯人側にお金を振り込ませる還付金詐欺被害の割合が高いことから、ATMが設置されている金融機関、コンビニエンスストアなどに対して、携帯電話で通話しながらATMを利用する客に対する声掛け強化を要請するなどして、還付金詐欺対策の強化を推進しております。

こうしたもののほか、従来から実施してきた講習やキャンペーンによる広報に加え、高校演劇部と連携したメッセージ性の強い広報や警察音楽隊の集客力を活用した広報により、広く県民に対して、被害防止対策を情報発信しております。

県警察といたしましては、引き続き、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪に対し、検挙と防犯を両輪とした総合的な対策を強力に推進することにより、高齢者を含めた県民の安全・安心を守ってまいります。


障がい者への合理的配慮(R7.2)

障がい者への合理的配慮について

(1)資格確認書について

(2)手話の普及について

(3)全パトカー等への新型警光灯搭載について

まず、12月2日から健康保険証が発行されなくなり、マイナ保険証への移行が進められて医療現場は混乱し政府も迷走を続けています。

特に、視覚障がい者の方々は一人ではマイナ保険証を使おうにもカードリーダーで顔認証や暗証番号の入力ができず、21年10月にマイナ保険証の本格運用の開始から3年以上がたっても不便な状況は変わらず、視覚障がい者の間で不満の声が上がっているが、国の対応は不充分かつ鈍いと言われ続けています。

そこで、せめて県として、高齢者や視覚障がい者には「資格確認書」を健康保険証なみに発行し続けるよう国に強く要請すべきでは、認識をお聞かせください。

健康福祉部長答弁・・・

障がい者への合理的配慮に関するお尋ねのうち、健康保険証の新規発行廃止に伴う資格確認書の発行についてお答えします。

マイナ保険証での受診が困難な高齢者や視覚障害者については、申請により資格確認書を発行するものとされており、すべての高齢者や視覚障害者に資格確認書を発行するよう、国へ要望することは考えておりません。

次に、聴覚障がいに関する2つのニュースに関しお尋ねします。

1つは、聴覚障がい者の交通死亡事故に関する判決です。2018年2月に当時11歳の女子児童が交通事故によって死亡した際の逸失利益が争われた裁判で、一審の大阪地裁判決は全労働者の賃金平均の85%に減額していたことに対し、今年1月20日の大阪高裁判決は、逸失利益を減額しないこととし、その後、遺族と運転手側双方が上告せず判決が確定しました。

これまでの同様の裁判例では、2021年に本県下関市で視覚と聴覚に障がいのある女子高校生が重い後遺症を負った交通事故で、広島高裁は逸失利益を全労働者の賃金平均の8割と認定したほか、同年、名古屋地裁は事故死した聴覚障がいのある男子大学生について、大卒男性の賃金平均の9割と判決しました。対して今回の大阪高裁の判断についてある識者は、「当然の結論であり、画期的な判断だが、障がいを理由とした逸失利益の減額そのものを一律NGとした訳ではない」としました。即ち高裁は、障がいが「顕著な妨げ」となっている場合には、逸失利益の減額が可能だという前提を崩しておらず、その上で、障がいの程度やコミュニケーション能力、就労や職場環境、障がい者を取り巻く将来像などについて様々な証拠を吟味し、「顕著な妨げ」が認められないから、逸失利益の算定に当たって減額しないという結論を導いたこととなります。

この判決で「この女子児童は学年相応の言語力と学力を身に付けており、健常者と同等に働くことが十分に可能であった」としており、コミュニケーション能力、言語力と学力という点で手話の存在も極めて大きかったと思います。

「おはようございます」(手話で)

私はたったこれだけの手話くらいしかできませんが、それでも耳の不自由な方に挨拶するととても親近感を持っていただけます。

2011年、「言語」には「手話」を含むと条文化された改正障害者基本法案が参議院本会議において全会一致で可決、成立し、日本で初めて、手話の言語性が法律に定められました。

また、手話を言語として位置づけ、耳が不自由な人が暮らしやすい環境を整えるよう、2013年に鳥取県が手話言語条例を制定したことを皮切りに、2025年1月末現在で39都道府県、21区、364市、など556の自治体で手話言語法の条例化をしています。

私は聴覚に障がいを持つ方にとっての手話は、自らを表現し、意思疎通する上で、特に災害時においては自らの生命を守る極めて大事なアイテムだと思います。そのためには今よりもさらに、手話がコミュニケーション手段として普及し、利用の促進が図られるべきと考えます。

そこでお尋ねを致します。

本県でも、令和元年(2019年)10月に「山口県手話言語条例」を制定され、「手話は『言語』って知っちょってかね?」などの啓発を行われていますが、県内くまなく日常的に手話が言語として普及し、利用が促進されるように、今後どのように取り組まれるか、ご所見をお聞かせください。

村岡県知事答弁・・・

手話の普及についてのお尋ねにお答えします。

手話は、聴覚に障害のある方が社会参加し、自立した生活を送るための情報の獲得やコミュニケーションの手段であることから、私は、学校や職場、地域などあらゆる生活場面において、手話を普及していくことが重要と考えています。

このため、聴覚に障害のある方が、手話を使用して生活することができる地域社会の実現に向けて「山口県手話言語条例」を制定し、手話の普及促進に取り組んでいるところです。

具体的には、子どもや若い世代が手話に親しめるよう、わかりやすく紹介したポスターやリーフレットを作成し、保育所や学校、店舗など、県民の目に触れやすい場所に配布し、手話に対する理解促進に努めています。

また、参加者への手話研修などを取り入れた「あいサポート運動」を学校や企業と一体となって展開するとともに、9月23日の手話言語の国際デーにあわせ、市町や関係団体と連携し、県内各地の名所旧跡をシンボルカラーのブルーにライトアップする啓発活動に取り組んでいます。

加えて、県聴覚障害者情報センターにおいて、広く県民に対し、手話に関する情報提供や相談などを行うほか、地域における手話の普及の担い手である手話通訳者の養成やスキルアップを支援しています。

私は、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現に向けて、手話の普及に取り組んでまいります

2つは聴覚障がい者に配慮したパトカーの導入ニュースです。

聴覚障害者団体からの要望を受け警察庁が開発した新型警光灯搭載小型パトカーが昨年10月から全国で順次導入されているようです。

これまでの警光灯は内部のライトが0.5秒間隔でフラッシュ点灯するパターンのみであり、追跡や現場に急行する緊急走行か、通常のパトロールでの走行か、聴覚障がい者は区別ができません。そこで、緊急走行とは違うパターンで点灯する機能を追加して、聴覚障がい者が判断しやすいよう配慮したそうです。全ての電球が発光ダイオードになって視認性も向上しており、今後、全てのパトカーへの配備が期待されます。

そこで、山口県警察では、当面どう対応されておられるのか。また、全パトカー等にこの新型警光灯を搭載すべきと考えますが、県警察本部長のご所見をお聞かせください。

県警察本部長答弁・・・

新型警光灯搭載の小型パトカーについてお答えします。

聴覚障害者に配慮した新型警光灯搭載のパトカー等につきましては、昨年10月以降、警察庁から全国の都道府県警察に対して、小型パトカー及び交通事故処理車が配分されています。

山口県警察には、本年2月、小型パトカー4台が配分されており、今後、警察署に配備し、その導入趣旨を踏まえ、適切かつ効果的に運用していくこととしております。

また、緊急走行時と通常の警ら時における発光パターンの違いについて、県民の皆様に広く周知するための情報発信を行っているところであります。

次に、すべてのパトカー等への新型警光灯の搭載につきましては、国から配分されるものは、警察庁において整備が進められ、今後は警ら用パトカーや交通用パトカーにも拡大される方針であり、将来的には、減耗更新するすべてのパトカー等に順次搭載されるものと承知しています。

また、県において調達するパトカーにつきましても、減耗更新に合わせて導入していきたいと考えております。