「新しい戦前」に現実味と危機感

新しい戦前に現実味と危機感~山口宇部空港の「特定利用空港」指定を糾弾する~

安倍政権が15年、憲法学者らの「違憲立法」との批判をよそに集団的自衛権の行使を認める安保法制を強行採決。

そして、政府・防衛省は、2023年8月25日に安保関連3文書に基づき、総合的な防衛体制の強化に資する取組について(公共インフラ整備)・・・「特定重要拠点空港・港湾(仮称)」を閣議決定している。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koukyou_infra/dai1/siryou2.pdf

これは、デュアルユース(軍民両用)のもとに、平時から空港等を軍事使用するという計画である(批判の強まりに対し、政府はなんと「特定重要拠点」から「特定利用」に言い換えた!)。
この目的は、「台湾海峡有事」という対中国戦争態勢づくりのために、琉球弧=第1列島線において、制海権・制空権を確保すること、そして合わせて「南西諸島」への全国部隊や膨大な規模の兵站物資の動員態勢づくりのためである。

ところが、政府は、この空港港湾の軍事化という明らかな事実を、「民間空港・港湾の災害時などでの活用」という詭弁のもとに、関係する自治体管理の空港・港湾についての「指定」を強行し始めた。(2025年度には特定重要拠点空港等に「道路」も指定)。

「総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備」に関するQ&A |内閣官房ホームページ

ことさらに台湾有事が煽られ、他国からの武力攻撃を受けた際に住民が避難できるシェルター(防空壕)を沖縄県の石垣市など5市町村に設ける工事が始まっている。このシェルター整備は、「国家安全保障戦略」において武力攻撃より先だって先島諸島(八重山・宮古)の住民や観光客を山口・九州に避難させるため、迅速な避難に困難性がある市において、一定期間避難可能で堅牢な施設として整備するとしている。

「有事体制」への住民の巻き込みは沖縄に限られたことではない。政府は自治体が管理する空港や港湾を「特定利用空港・港湾」に指定し、自衛隊などが好き勝手に活動できることを露骨に狙っている。港湾などが戦争の出撃拠点となったことの反省から、戦後はその管理の多くを自治体に委ねてきた。それをなし崩しにするものだ。

こうした、明らかな危惧を、何らの危機感も示さずに、「災害時にメリットがある」として、山口宇部空港を特定利用空港に受け入れた山口県知事の姿勢を断固糾弾する。

この間の山口県議会の動き

令和7年6月定例会 土木建築委員会議事録6月30日_(未定稿)

<特定利用空港にかかる質問・答弁等(中嶋委員)>

中嶋委員

内閣官房(8月25日)で、閣議・口頭了解されている内容が、港湾課のホームページにも示しされてい、その時に特定空港のことも、附属資料2というかたちで出されていますが、書いてあるのは、これはデュアルユース、要するに軍民両用の下に平時から空港等を軍事使用するという計画であると。

閣議は1回だけ開かれただけで、あとは申し送り事項だけの事務局会議が開かれて、今日御説明いただいた、4月1日の国のあれが、示されました。

この中で明らかになったのは、11空港が指定をされているけど、そのうち8は国管理の空港。県管理の空港は3つ、そのうち2つは福江空港と徳之島空港の離島と、藤本議員も本会議で質問されました和歌山県の南紀白浜空港、県営はこの3つが今指定されています。

そして次に山口宇部空港が候補にあがっているということのようです。

そこで急逝された和歌山県知事は、危惧があるじゃないかと。これに対して、県は照会してはどうかということですけれども、そういうことであるとか、香川県知事、高知県知事、沖縄県知事なんかの危惧についても、そういう情報は県としては把握しているから、国に照会するつもりはないという答弁だったと思いますけれども、まずこの点について、港湾課長としてどのような認識をお持ちか、お聞かせください。

港湾課長

議会での本答弁で申しましたとおり、高知県等において国に確認している内容については承知しているので、そのへんについて、改めて本県から国へ同様の確認をすることは考えていません。

中嶋委員

総合的防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議が8月25日に開かれ、示された資料の中に書いてあった、必要な空港・港湾等について、民生利用とのデュアルを前提としてと記載をされてあったものが、今年の4月1日に更新で、県が今日示した資料では、これがそっくり削除されていて、特定利用空港・港湾については民生利用を主としつつに変えている。

まさにこれは台湾海峡有事という対中国戦争体制づくりのために、琉球弧、第1列島線において、制海権、制空権を確保することという記載が、1回目の会合では盛り込まれている。そしてあわせて、南西諸島への全国部隊や膨大な規模の兵站物資の動員体制づくりのためであると、防衛省が説明している。

ところが、政府はこの空港・港湾の軍事化という、明らかな事実を、民間空港・港湾の災害時などでの活用という詭弁、物語をつくって、関係する自治体管理の空港・港湾の指定を強行され始めているということだと思う。

8月25日は、特定利用空港ではなくて、関係閣僚が出席の会議の中で言っているのは、特定重要拠点空港という仮称が明らかに打ち出されている。その後、マスコミとか軍事評論家の方々の批判を受けて、それはまずいだろうということで、特定利用空港という名前に12月に開かれた持ち回りの資料の中では変わっている。

こういう危惧があることについて、県として、もう少し詳しく県民の皆さんにも理解できるようにしないと、災害のためであるだけでは不十分ではないかと思う。

早速、北九州空港で築城基地の戦闘機F15がタッチ・アンド・ゴーの訓練をやったというニュースが飛び込んできて、びっくりしたけれども、さらに沖縄では、昔で言う、防空壕を造るという計画が、今、着手されているという報道もされている。

まさに、安倍政権が2015年9月に、憲法学者らの違憲立法との批判をよそに成立させた集団的自衛権行使を認める安保法制につながる。先ほど言いました8月25日は安保関連3文書に基づくいわゆる今回の総合的な防衛体制の強化に資する取組、公共インフラという流れの中で行われているということではないかと。

県としての今までの経緯の報告、そしてまた、宇部市の空港の地元関係団体との意見交換で概ね了解が得られているというような発言もあったように聞きました。そしてまた、この地元関係団体がどの団体かという問いに対して特に答弁がなかった。

疑問点に対して、お尋ねします。

港湾課長

県といたしましては、引き続き、市と情報共有を図るとともに、適時ホームページ等を通じて情報提供を行いながら、国が進めている本取組の主旨であるとか、地元関係団体の意見も踏まえて、空港管理者として適切に対応してまいるということです。

中嶋委員

部長が本会議で答弁されましたから、港湾課長としては答えようがないということかもしれませんけど、私はこういう問題は当部だけの問題ではないと思うんですよ。

8月25日の内閣府の官房長官が議長になりながら国交大臣も防衛大臣も文科大臣も農林水産大臣もあらゆる関係部署の大臣も一堂に揃われての会議を開かれて、閣議口頭了解をされた問題だと思うんですよ。

私も、いわゆる安保法制とか大風呂敷を広げましたけれども、こういう問題こそ当部だけではなく、庁内調整であるとか、よく県議会開会前には局議を開かれるという報告になってますけれども、そういう中で熟議がされて、今後どうされるとされているのか、その点についてお尋ねです。

港湾課長

国が進める特定利用空港・港湾の取組は、自衛隊・海上保安庁が、平素から必要に応じて空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との連絡・調整を設けるものであります。

このため、山口宇部空港の管理を所管する土木建築部といたしましては、関係部局とも連携しながら、慎重に対応を検討しているところです。

中嶋委員

8月25日の付属資料2によると、円滑な利用に関する枠組みを設けることにより、有事のみならず平時においても円滑な利用を確保するという文言があったんですけれども、今日報告された資料はこの部分がそっくり抜け落ちている。

だから、国に照会していただかないと、私たちだけでなく、県民の皆さんが危惧されることは解決できないんじゃないかと思いますので、最後に、なんでこういうことまで照会されないかをお尋ねします。

港湾課長

有事の際も利用されるおそれがあるのではないかといったお話だろうと思いますけれども、国からは、この取組は有事の利用を対象とするものではなく、あくまで民生利用を主とし、また、空港に新たに自衛隊の基地であるとか駐屯地を設置するといったことはないというふうに説明を受けているところです。

総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議           R5.8.25 公共インフラ整備の取組の基本的な考え方            R7.4.1更新
安全保障環境を踏まえた必要な対応を実効的に行うため、南西諸島を中心としつつ、その他の地域においても、必要な空港・港湾等について、民生利用とのデュアルユースを前提として、 自衛隊・海上保安庁の艦船・航空機が利用できるように、整備又は既存事業の促進を図る。

 ○併せて、自衛隊・海上保安庁が、平時から円滑に空港・港湾等の利用ができるよう、インフラ 管理者との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設ける。

上記を満たす施設を、特定重要拠点空港・港湾(仮称)とする。

安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、南西諸島を中心としつつ、その他の地域においても、 自衛隊・海上保安庁が、平素から必要な空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で 「円滑な利用に関する枠組み」を設ける。これらを、「特定利用空港・港湾」とする。

「特定利用空港・港湾」においては、民生利用を主としつつ、自衛隊・海上保安庁の艦船・航空機の 円滑な利用にも資するよう、必要な整備又は既存事業の促進を図る。また、平素から円滑な自衛隊の 人員・物資輸送等に資するよう、「特定利用空港・港湾」と自衛隊の駐屯地等とのアクセスの向上に向 け、道路ネットワークの整備を図る。

【整備】 ○空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路 の整備などを行う。

円滑な利用に関する枠組みを設けることにより、有事のみならず平時においても円滑な利用を確保する

【整備】 ○空港の滑走路延長・エプロン(駐機場)整備や 港湾の岸壁・航路の整備、道路ネットワークの整備 などを行う。
【既存事業の促進】 ○自衛隊・海上保安庁の早期かつ円滑な利用に資するよう、既存の整備計画を活用し、整備の促進や追 加工事の実施を行う。

円滑な利用に関する枠組みを設けることにより、有事のみならず平時においても円滑な利用を確保する。

【既存事業の促進】 ○既存の整備計画を活用し、整備の促進や追加 工事の実施を行う

R5.8,25に、関係閣僚が出席の上で、閣議了解したものを、国民に真の意図を隠すために事務局で修正して公表

2025.10.1 土木建築委員会質問

  • 特定利用空港について

〇今回請願が出されている市民団体に対し・・・

7月25日の【山口宇部空港の「特定利用空港」指定を拒否することを求める要請書】への回答交渉が7月25日県庁で行われましたが、対応された港湾課長ほかの担当者の答弁は、

①県では地元関係団体に丁寧に説明を行ってきたところであり、一般市民が参加できる説明会の開催を国に求める考えはありません。

② 県としては、山口宇部空港について地元宇部市と情報共有を図りながら、国が進めている本取り組みの趣旨や地元関係団体の意見も踏まえ、空港管理者として適切に対応してまいります。

そして、地元関係団体とは山口宇部空港騒音公害対策協議会で、6月11日に説明を行い7月22日に要望を含めた回答をもらっていると明かしましたが、この協議会の役員などや、その回答内容については答えられない。情報公開請求をしてもらわなければここでは言えない。でした。

先ずは、何故、情報公開請求してもらわなければ答えられなかったのか、お尋ねです。

答弁・・・第3者に関する情報が含まれて・・・(意味不明)

〇次に、開示請求によって、ようやく開示された文書に基づき、お尋ねです。

・R6.12.25…宇部市長が港湾課から確認依頼のあった3項目への回答文書で、「現時点では騒音協、地元漁協、岬・恩田・常磐地区(小学校区)の自治会連合会、空港隣接自治会の代表者等を想定している。」とあるが、この点への対応はどうしたのか。

答弁・・・市のことで、答えられない。

・R6.10.11…WEB併用で、内閣官房・国交省・防衛省の担当と、県は土木建築部長ほかの出席で開催した、「総合的な防衛体制の強化に資する取り組みについて『公共インフラ 正式説明』質問・確認事項」なる文書によると・・・、県は、多岐に渡って国に質問・確認を求め、国は回答している。

 例えば、

*県の「弾道ミサイル対処での利用とはどういう場合か、航空機が発進等する場合があるということか」に対し、国は「弾道ミサイル等に対する破壊措置が必要な場合等に、PAC-3部隊を展開場所に輸送するための利用を想定している」と回答。また、「PAC-3部隊の展開を国は特定利用空港で実施した例がある」とも回答。

*県の、「航空機の離発着・停留・給油作業等以外の利用があるのか」に対し、国は「滑走路上で航空機を安全に停止させるために必要な着陸拘束装置(機動バリア)を利用した着艦訓練が想定される」と答弁。

そこで、 山口宇部空港での着陸拘束装置の使用は断固拒否すべきだと質すも、「国から現時点で具体的な訓練の計画は示されていないため答える状況にない」と答弁。

「着陸拘束装置を使う、弾薬を含むPAC-3部隊を空輸で輸送するなどは軍事目的での使用そのものだ」、山口宇部空港の特定利用空港指定は拒否すべきだと質すも、「この取り組みは有事の利用を対象とするものではないとされている」と答弁

 さらに問題は、(案)として、「山口宇部空港における空港の施設の円滑な利用に関する確認事項、3項目が、すでに、示されている。

他に開示された文書には、このような文書は無いので、これが、県への最初で最後の国政府からの正式説明会だったのか。伺う。

答弁・・・国とのやり取りは、この回のみである。

・R7.1.22…宇部市への説明会が県庁で(内閣官房・国交省・防衛省と、宇部市長外に県土木建築部長ほかの出席で)、WEBで行われ、さっき言った、確認事項、3項目(案)が示されている。この段階で、宇部市は正式同意し、市民のことは削除されているようだが、この間の経緯が分かれば説明してください。

・R7.6.11・・・騒音協執行委員会結果文書には、「日没後の訓練は行わないでほしい」、「災害対応を想定するのであれば戦闘機ではなく輸送機での訓練が妥当ではないか」等との要望を県は受けているが、また、R7.7.22…騒音協会長名で知事宛てに、文書で、「やむを得ない」が3項目の要望事項を付しておられる。

これへの対応について、どうだったのか、伺う。

・結局、R7.7.30・・・内閣官房他から知事あてに「総合的な防衛体制の強化のための公共インフラ整備について(依頼)」の文書を受け、R7.8.7・・・知事名で、「訓練は日没後は行わないこと」など6項目の要請を付して文書回答。

R7.8.29・・・確認事項。3項目を交わしている。

るる述べた、要望・要請事項は、無視されているが、今後どう対応するというのか。伺う。

・つまるところ、開示された「総合的な防衛体制の強化に資する取り組みについて「公共インフラ 正式説明(R6.10,11)」質問・確認事項なる文書で、17項目の県からの質問・確認事項に対する国の回答で、県としては、はなから山口宇部空港を特定利用空港として受け入れると決めていたのではないか。との疑念が深まるばかだが、どうだったのか、尋ねます。

〇「ジュネーブ諸条約第1追加議定書 第四編 文民たる住民 第48条基本原則では、「自衛隊が使用するだけで軍事目標とされ、攻撃対象となることから、特定利用空港の受入れを撤回すべき」だと質しても、「国は特定利用空港・港湾となった後も自衛隊・海上保安庁による平素の利用に大きな変化はなく、そのことのみによって、当該施設が攻撃目標とみなされる可能性が高まるとは言えないとしており、県としては受け入れを撤回することは考えていません」との答弁の繰り返しばかりで、到底納得しがたい。

〇特定利用空港の指定に関し、総花的な「3項目からなる確認事項」だけでは県民の不安・懸念はぬぐえない。現在の「山口宇部空港供用規程」では、到底対応しきれるわけがないので、最低限、自衛隊・海上保安庁の平素における運用や訓練等に関する具体的な「空港使用協定」を結ぶべきではないか。伺う。

答弁は・・・「訓練は日没後は、行わないよう、引き続き国に要請し続ける」だけで、

「国から現時点で具体的な訓練の計画は示されていないため答える状況にない」と、また、「山口宇部空港の特定利用空港指定は拒否すべきだとのお尋ねですが、この取り組みは有事の利用を対象とするものではないとされており、撤回することは考えていません」・・・の繰り返しに終始。

●土木建築委員会の2日目に、委員会に付託されていた、「山口宇部空港の特定利用空港指定に反対する請願」の採決がありました。

採決の前に、副委員長が、自民党会派を代表してとし、「国からは特定利用空港の取組は、武力攻撃事態のような有事の利用を対象とするものではないと説明がされており、あくまでも平素における空港の利用を対象としたものであることから、請願の指摘はあたらない」と、不採択とすべきだとの意見を述べました。

続いて、私から、「本請願は、軍事的な抑止力や対処力を高めることを通して、防衛体制の強化を図ろうとするもので、紛れもなく軍事化・軍拡の一角を構成するものであり、専守防衛を踏み越える憲法違反の疑いが高いものでもあることから、県議会として反対の意思を表明すべきとの請願です。

昨日、私は、この立場から9項目について質問をしましたが、ただ、『自衛隊等の訓練は日没後は行わないよう、引き続き国に要請していく』と言うだけで、県としては受け入れを撤回することは考えていない。との答弁でした。

従って、本請願を採択すべきであり、委員先生方にもお願い申し上げます。」と、賛成の意見を主張しました。

採決の結果は、委員長を除く6委員の賛否は1対5で、本請願は委員会では、不採択となりました。残念です。

本会議最終日の採決での賛否は・・・

◎賛成…社民党1・共産党3・草の根1 の5県議  

×反対…自民・公明・立憲・国民・自民系の41県議


4、原発と地域振興及び環境破壊について

2025年9月県議会

(1)中間貯蔵施設と地域振興

中間貯蔵施設について上関町議会が5年前から非公開で重ねていた秘密協議会の内容を、中国新聞が情報開示請求で判明したものを報道し、そして、中国電力が、「上関原子力発電所の建設に時間を要するなか、2023年2月、上関町長から、まちづくりのための財源確保につながる新たな地域振興策を喫緊の課題として検討するようご要請をいただきました」と検討に至った経緯などを説明したことから、この問題が一気に表面化した。

2024年2月定例会で、私は、「原発交付金で上関町の振興が図れるのか?」と、阿武町と高知県東洋町との財政状況と人口減少率の比較表を示し見解を尋ねましたが、答弁は、「市町におけるまちづくりについては、地域の実情や住民のニーズ等を踏まえながら、その財源も含め、各市町において主体的に判断し、実施されるべきものです。」とそっけないものでした。

原発は立地地域を豊かにする。経済活動上の利益が得られるとの主張がある。

しかし、新潟県・柏崎刈羽原発の柏崎市の産業への影響という点で検証した、2015年~2016年の新潟日報の報道及び新潟大学経済科学部の藤堂史明教授の考察によると、1970年代から追跡した事実で、「建設業のみ顕著な生産増で、卸売・小売業やサービス業(電力除外)など他産業への波及なしです。さらに、2024年2月7日の新潟日報は、利益が得られるという主張と矛盾するのが、建設業以外の不振~個人所得は他市と差はわずかとの検証結果を報道している。

その上、40年以上、原発を立地させてきた結果、新潟県の財政は、令和5年度の実質公債費比率が18.4%で、都道府県の財政ワースト2に悪化している。

従って、2023年11月定例会、2024年2月定例会でも尋ねたが、関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の候補地探しで、これまで管内の210自治体に理解活動を続けてきたが、名乗りを挙げる自治体はなく、それどころか京都府宮津市は「ふるさと宮津を守り育てる条例」を施行し、地域の自然や生活環境の保護をうたう条例の理念にそぐわぬものとして「原子力関連施設」を明記。その宮津市は、 2019年度の<将来負担比率>は243.0となり、 夕張市に次ぐ全国ワースト2位にランクされていた。2021年度には財政再建団体に指定される可能性もあったが、この深刻な財政危機の中でも、電源三法交付金の誘惑などには惑わされず、中間貯蔵を頑として拒んでいるのです。

そこで、一時の金に目がくらみ、未来の子孫たちへの迷惑を省みない政治とは決別するためにも、中間貯蔵施設建設拒否の表明をすべきです。県知事にお尋ねします。

参考資料

2024年2月7日 新潟日報

【誰のための原発か】地域経済編―個人所得〈下〉他市と差はわずか、完成後は検査で流入するが・・・「稼げる部分は売り尽くした」

(2)核燃料サイクル破綻の矛盾の押し付け

中国電力が上関町や県に中間貯蔵施設建設は可能だとする調査結果を伝えたことについて、さっそく、島根原発が立地する松江市の市長は2日の定例の会見で国が責任を持って核燃料サイクルを確立して行く必要があると述べました。その上で、島根原発に核廃棄物が留め置かれることがないよう国に要望を続けると述べ上関町の状況を注視する考えを示しています。

つまり、原発を受け入れている地元市長として、国・事業者が責任をもって、使用済み核燃料は必ず県外に搬出して欲しい。との手前勝手な表明です。

国に要望を続けると言うが、そもそも核燃料サイクルが破綻しているからこそ、原発再稼働を進めるために出てきたのが中間貯蔵施設です。

しかし、世界では使用済み核燃料再処理から撤退する動きになっている。フィンランドだけでなくスウェーデンも処分地を決めて安全審査中、そして、イギリス政府も再処理するなどして保有する100トン超の民生用プルトニウムについて、地層処分を前提に「固定化」を進めると発表。プルトニウムが核兵器に転用されないようセラミックにして閉じ込める方法などが検討されている。イギリス原子力廃止措置機関が固定化の研究開発を続け、10年内に、核物質の処理などに向けた新たな施設を建設する方針だという。さらに、フランスも精密調査をスタートしており、海外の場合は、核燃料サイクルではなくて直接処分に向かっている。

つまり、世界ではプルトニウムを分離することによって核兵器に転用されるという危険性について気づいて、アメリカを中心に再処理の計画は中断しています。

そして、またMOX燃料の経済性の無さにも気づいています。

直接処分、最終処分は、地下深く閉じ込めるということですが再処理をしたとしても危険な高レベル放射性廃液が出ますので、結局、同じような処分をしなきゃいけない訳です。そういう意味では長期的に管理することを考えると再処理などのような余計なことをせずに、そのまま静かに直接処分したほうがいいだろうという考え方になっている。

従って、まずは政府が、これまでの核燃料サイクル計画、その過ちをちゃんとまず正直に認めて謝罪することだと思います。そうすれば、おそらく国民は安心してそしてまた信頼性も上がると思います。

その上で、現実的にあった計画を再構築すれば、賛成とか反対といった二項対立ではなく冷静な議論が可能になるのかと思います。

そこで、再処理や高速増殖炉の未来が見えないのに、原発再稼働だけ進めて、日々、新たに使用済み核燃料を作り続ける矛盾に対する県の認識をお聞かせください。

その上で、原子炉等規制法には、中間貯蔵施設の建設に町や県の同意を必要とする規定はないが、実際には同意なく建設するのはむつ市の例からして、できる筈がない。そこで、具体的に究極の迷惑施設を山口県に押し付けようとする上関中間貯蔵施設計画に、山口県知事としてきっぱりと反対表明すべきだが、お尋ねです。

(3)瀬戸内海国立公園の「普通地域」を核のゴミ捨て場に?

今回の報告は立地可能性調査に関するもので、施設の事業計画が示されていません。貯蔵計画量を含む事業計画を示すと、施設が主として関西電力のためであることが浮き彫りになるのを避けたいためでしょうが、県の認識を尋ねます。

また、重点調査項目である地盤においては、ボーリング調査とともに文献調査も行われています。しかし、9月14日に、「地震被害想定見直し、山口県が新たに活断層6本を調査対象に・・・国東半島沖から周防大島町付近の活断層など」と読売新聞が報じています。この国立研究開発法人産業技術総合研究所が昨年度実施した最新の海底活断層調査結果が反映されていません。この調査によれば、国東半島沖から周防大島に連続的に伸びる活断層があり、その長さは少なくとも60㎞、延長部まで含めると70~75㎞とされ、最大でマグニチュード7.8~7.9の規模の地震が起きる可能性があると言う。この点が含まれていない報告書は、調査が不十分であることを示すものでは、お尋ねします。

さらに、施設に必要な港湾の計画地域に該当する海岸や海域の調査は行われていません。中国電力は上関原発の環境影響評価で海岸部の生物調査の見落としを指摘され追加調査を余儀なくされた教訓を忘れたのでしょうか。温暖化が進行するなど環境の変化がある中で当時の調査結果をそのまま採用することはできません。港湾を含む事業計画を明らかにし、その施設配置計画に必要な調査も行わずに、「立地の支障となる技術的に対応できない問題はないものと評価し、立地は可能である」と結論付けています。

くわえて、計画地周辺の海域が、生物多様性条約に基づき政府が生物多様性の保全を目的として国連に登録した海洋保護区であるとの環瀬戸内海会議の指摘をも全く無視しています。海洋保護区での埋め立てや港湾建設は生物多様性の低下をもたらす可能性があり、そのことに言及がない報告書は立地可能性の検証として全く不十分です。

しかしながら、非公開の上関町議会・全員協議会で中電からの中間貯蔵「適地判断」説明を受けた、施設建設に肯定的な町議は「中電の安全性の調査は信じられる」との発言報道や、18日のNHKの「上関町長 中間貯蔵施設“国・事業者・町が分担し町民に説明”」、その上で、「最終的な判断は議会を尊重し、町長が判断すべきだ」と述べた。との報道には、驚きを禁じえません。「上関町は議会と町長で判断する」とする傲慢を許してはなりません。

そこで、環瀬戸内海会議の指摘に真摯に向き合うこと、そして、いたずらに判断を先送りしないことこそ肝要だが、知事のご所見をお聞かせください。

産業労働部理事答弁・・・原発関連の御質問のうち、まず、中間貯蔵施設と地域振興、施設計画への意思表明、環瀬戸内海会議の指摘に関する認識、についての3点のお尋ねにまとめてお答えします。

使用済燃料中間貯蔵施設については、中国電力が、上関町から新たな地域振興策の検討要請を受けて提案し、町がその調査検討について了承し、調査が実施され、今般、立地可能性調査の結果が報告されたものです。

 上関町は、施設設置については、事業者から具体的な計画が提示された後に判断することとしており、現時点、その是非を判断しているものではありません。

 このたび、上関町に対し、立地可能性調査報告書が提出され、今後、町において調査結果の確認等の取組が行われていくものと認識しており、県としての見解や対応を申し上げる状況にはないと考えています。

次に、核燃料サイクルに関する認識についてです。

 エネルギー政策は国家運営の基本であることから、核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものであり、県として独自に見解を述べることは考えていません。

次に事業計画についてです。

事業計画は事業者である中国電力が作成するものであり、県として見解を述べる立場にはないと考えています。

次に、産業技術総合研究所の活断層調査結果の反映についてです。

中国電力は、上関原子力発電所原子炉設置許可申請書において、お示しの活断層をF-3断層群、F-4断層群として評価しており、今回の調査結果に反映している、としています。

再質問・・・知事は原発、中間貯蔵施設の二つの計画が同じ地区にあるのは全国どこにもない、過大な負担だと言われながら、判断を先送りされ続けています。

そして、上関周辺自治体での中間貯蔵施設反対の住民の声は日増しに高まっていることから、田布施町議会で田布施町長は、建設に対する賛成、反対の専門家を招いてシンポジウムを開催したい意向を表明され、シンポジウムや住民アンケート調査しての、対応の参考にする考えを示されています。

そこで伺います。まず、国は電源立地等初期対策交付金相当分として、1.4億円を立地可能性調査の開始年度から県知事の同意年度まで、立地県または市町村に交付するとなっています。このことで間違いないか、お尋ねです。

そのうえで、上関町だけの判断にこの問題を委ねるのではなく、知事の再三の表明及び上関周辺市議会での首長発言を踏まえれば、県がこの交付金を申請し、県内各地での、賛成、反対の専門家による公開シンポジウムの開催経費に活用すべきではないかお尋ねをして、再質問といたします。

中嶋県議の再質問にお答えします。

まず、電源立地等交付金制度についてですが、初期対策として、対象電源が設置される地点をその区域に含む県又は市町村に対し、立地可能性調査の開始年度から知事の同意年度まで1.4億円が上限として交付されます。

次に国交付金を活用した県のシンポジウム開催についてです。

このたび、上関町に対し、立地可能性調査報告書が提出され、今後、町において調査結果の確認等の取組が行われていくものと認識しており、県としての対応を申し上げる状況になく、現時点、県として交付金を活用して事業を行うことは考えていません。

再々質問します。上関町長は、立地可能報告書を第三者を入れた精査を町が大きな金や時間をかけて行うことは困難と議会答弁されています。上関町は多額の広報・調査等交付金をもらい続けておられるにもかかわらずこの体たらく。だったら、先ほどの交付金を活用して県がやるべきではありませんか。

上関町の広報・調査等交付金に係るご質問でございましたが、町における調査報告書の確認等の取組については、町において判断されるものであり、県として見解を述べる立場にはないと考えています。


3、鳥獣被害対策について

2025年9月県議会

本県の令和6年度有害鳥獣による農林産物被害額は3億4千8百万円で、これは20年前の平成17年の7億6千3百万円に比べて45.66%に減っています。

しかし全国的に、鳥獣被害は営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加さらには、森林の下層植生の消失等による土壌流出、希少植物の食害等の被害ももたらしており、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしています。

今年度当初予算において、「鳥獣害と戦う強い集落づくり事業」として413,204千円が計上され、野生鳥獣による農林業被害を低減させるため、地域ぐるみ活動を支援するとともに総合的な鳥獣被害防止対策(防護・捕獲対策や新たな技術の開発・実証)を推進するとしています。

先ず、これらの通年の取り組みの成果と反省も踏まえ現状をどのように認識されているのかと、今後の対策方針をお聞かせください。

また、「やまぐちジビエ利用加速化事業」が39,960千円計上され、ジビエ利用の更なる促進を図るため有害捕獲個体のジビエ処理施設への広域搬入体制整備や狩猟捕獲個体の搬入等など、野生鳥獣をジビエとして安定的に供給する体制を整備するとともに、ペットフードへの活用や学校給食での食育など利用拡大に向けた取り組みを推進するとしています。

被害防止の為に捕獲を進めるだけでなく、捕獲鳥獣を地域資源(ジビエ等)として利用し、農山村の所得に変えるような、有害鳥獣を「マイナス」の存在から「プラス」の存在に変える取り組みが重要になっています。そこで、出口戦略としてのジビエ活用に関して、ジビエ処理加工施設の実態把握及び育成支援については、どのような認識なのか、お聞かせください。

令和5年度に野生鳥獣の食肉処理を行った処理加工施設は全国で772施設、県内には15施設ありました。

令和5年度野生鳥獣資源利用実態調査報告(農林水産省)によると、全鳥獣、イノシシ及びシカの解体頭・羽数規模別施設数の割合は、50頭・羽以下施設が46.8%、51~100頭・羽が15.5%、101~300頭・羽が19.7%で、この3区分の施設が全体の82%を占め、家族経営ないし小規模経営がほとんどを占めています。(参考資料①)

今回の質問にあたり、操業5年、解体が101~300頭・羽規模で販路拡大など順調に経営が安定しつつあったところ、食品衛生法の改正等による行政の指導が厳しくなり、一転操業・経営が困難になったとの切実な窮状をお聞きしました。

具体的には、この施設で、50㎏のイノシシを食品加工する場合、10㎏は食肉製品(1㎏@3500円)、5㎏はペットフードやミンチ肉(1㎏@1000円)に商品化でき、35㎏の食肉加工残渣が出る。

売価(儲け)は、10×3500の35,000円と5×1000の5,000円の40,000円になる。これは直売の場合で、問屋を介すと6掛けが相場で、売り上げは、40,000円~24,000円になる。

一方、狩猟捕獲個体の搬入料が10,000円、食肉加工残渣の産廃処理費が35㎏×300円=10,500円で、設備減価償却費や電気料に人件費などの固定費もかかるので、到底、採算が合わなくなった。と嘆いておられました。

この方は,操業から5年間は、残渣は市の一般廃棄物処理施設での処分で良かったのですが、この施設の事業形態が、直接店売りよりレストラン等への卸売り・通信販売・ふるさと納税品などの売り上げが上回っているとの行政指導が入り、有害鳥獣捕獲個体を食品加工後の処理において、内臓等の解体残渣(ざんさ)の産業廃棄物処理費(1K=300円)がかかることになり食品加工施設の経営が立ちいかなくなったのです。

確かに、食肉等として事業者が利活用のために加工した際に生じる残渣については、各自治体の解釈にもよるが、基本的には産業廃棄物として事業者の責任で処理しなければならない。

しかし産業廃棄物の処理に相当程度の費用がかかる。そこで、捕獲活動による農林業への被害防止や、食品加工業の育成による地域振興の観点から、食品加工残渣を「あわせ産廃」として一般廃棄物処理施設で安価で受け入れることができれば経済的にメリットが大きく、産業廃棄物は事業者が自ら処理しなければならないが、市町村は処理が必要であると認める産業廃棄物を、一般廃棄物と「あわせて」処理することができる(廃棄物処理法第11条)とされており、食品加工残渣は、「動植物性残さ(食料品製造事業等から生ずる骨や内臓等の固形状の不要物)」として熊本市などでは受け入れている。(参考資料②)

そこで、有害鳥獣捕獲事業は農林水産部が鳥獣被害防止計画をもとに進め、処理事業も農林水産部が担うことがほとんどのようですが、廃棄物の専門知識を有した生活環境部と協力、連携し、捕獲事業と処理事業が一体となった有害鳥獣捕獲の事業計画を策定していくことが望ましい姿ではとの観点から、食肉加工残渣を「あわせ産廃」として市町の焼却施設で受け入れできるよう県が率先、推奨すべきでは。是非とも検討願いたく、ご所見をお聞かせください。

村岡知事答弁・・・中嶋議員の御質問のうち、私からは、鳥獣被害対策の現状認識と今後の対策についてのお尋ねにお答えします。

 有害鳥獣による農林業被害は、経済的な損失に留まらず、生産者の営農意欲の減退や耕作放棄地の増加など、農山村地域の活力を損い兼ねない大変深刻な課題です。

 このため、私は、市町や関係団体等と連携して、防護柵等の整備や有害鳥獣の捕獲を計画的に進めるなど、防護と捕獲の両面から、総合的な鳥獣被害対策に取り組んできたところです。

 こうした取組により、有害鳥獣による農林業被害額は、平成22年度の約8億円から、令和6年度は約3億5千万円と大きく減少していることから、これまでの対策の成果は、大いにあったものと認識しています。

 しかしながら、本県の農作物被害額は、全国で15位と、依然として高い水準にあり、また、シカやサル、特定外来生物などによる被害が広域に拡大し、増加するとともに、地域における捕獲従事者等の高齢化も深刻な状況となっており、これまでの取組に加え、より効果的・効率的な対策が求められています。

 このため、地域ぐるみ活動等による総合的な被害防止対策を引き続き推進するとともに、今後も被害地域の拡大や被害額の増加が懸念されるシカやサル、特定外来生物に対して、新技術の導入等による、さらなる対策の強化を進めます。

 具体的には、まず、ドローン技術を活用したシカやサルへの対策として、昨年度の実証試験により効果が認められたハンティングドローンによるシカの巻き狩りを推進するとともに、今年度からサルの追い払い技術の開発・実証も行っているところです。

 また、ヌートリアやアライグマといった特定外来生物への対策として、農林総合技術センターが作成した外来種特有の生態や行動等に応じた「被害対策マニュアル」に基づく取組を徹底し、より効果的な捕獲・防護を推進します。

 私は、引き続き、市町や関係団体等と連携しながら、有害鳥獣による農林業被害の軽減対策に取り組んでまいります。 

 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

農林水産部長答弁・・・鳥獣被害対策についての御質問のうち、ジビエ処理加工施設の実態把握と育成支援の認識についてのお尋ねにお答えします。

ジビエ処理施設の設置数については、平成28年度の10施設から、15施設に増加しており、処理量は、全施設で12トンから28トンに増加しているものの、全国平均の58トンには届いていない状況です。

さらなるジビエの利用拡大に向けては、新規需要の開拓や、品質確保に向けた取組の強化が必要です。

このため、まず、新規需要の開拓については、道の駅等における特産品イベントでの販売促進を行うとともに、ジビエ加工品等の新商品開発に加え、県庁内食堂や学校給食におけるジビエ料理の提供に対する支援を行っているところです。

また、品質の確保については、国産ジビエ認証の普及に向けた研修会の開催など、関係団体に対し、衛生管理等に関する意識啓発を進めるとともに、処理施設の保冷車等の導入に対して支援を行っています。

環境生活部長答弁・・・野生鳥獣の食肉加工残渣の処理についてのお尋ねにお答えします。

廃棄物処理法では、ジビエ処理加工施設などの食料品製造業者から排出される食肉加工残渣は、産業廃棄物に該当するため、事業者自らの責任において適正に処理することが必要です。

このため、県では、産業廃棄物の適正処理とジビエの利用拡大の両立が図られるよう、関係部局が連携して、食品加工残渣の取り扱いに関する事業者からの相談等に対応するとともに、国事業により処理費用の一部を支援しています。

なお、「あわせ産廃」については、例えば、地域で適正に産業廃棄物を処理できる民間施設がない場合に、廃棄物処理法において、市町村の判断により、一般廃棄物処理施設での受け入れができると規定されたものであり、あくまでも、各市町が法の趣旨を踏まえ実施するものと考えています。

再質問・・・今年4月現在のジビエ処理加工施設名簿によれば山口県ではたしかに15施設になっていますが、私が今回取り上げた方に話を伺った施設は破産廃業されましたので、現在は14施設に減っています。私の質問の段階では最新の調査で全国で772施設でしたけれども、事務局で最新の調査を調べてお聞きしたところ最新では602施設に減っているそうです。これは産廃処分の影響だと、違いないと思っております。

私がお尋ねした施設の方は、「やまぐち創業総合ポータルサイト 創業の窓口」の創業者紹介にも取り上げられ、お話のありましたように県内各地のイベントに出店をされ、ジビエの普及活動や山口県農業高校で臨時講師や(山口)東京理科大学での狩猟部創部に尽力された、意欲あふれる若手創業者でした。

そうにもかかわらず産廃処理費がかかるということで断念をされまして残念でなりません。

県として、創業者支援・育成の観点から何とかやりようがあるのではないか。そういう方向の中であわせ産廃という制度があります。これはぜひ県が推奨していただかなければ道が開けない。このことをやっていただければ、この方の再起の道が必ず開ける、と思っておりますので、重ねてお願いをしたいと思います。

環境生活部長答弁・・野生鳥獣の食肉加工残渣の処理についての再質問にお答えします。

創業者支援や育成の観点から、「あわせ産廃」のような方策を検討できないかとのお尋ねであったかと思います。

食肉加工残渣等の産業廃棄物の処理は、廃棄物処理法により、事業者自らの責任において行うことが求められており、県としては、産業廃棄物の適正処理とジビエの利用拡大の両立を図る観点から、事業者への相談対応や国の事業により処理経費の一部を支援しているところです。

なお、「あわせ産廃」の実施につきましては、繰り返しになりますけれども、あくまでも、各市町が、産業廃棄物を受け入れる民間施設がないなど、地域の実情に応じて、法の趣旨を踏まえ判断するものと考えています。

 

 

 


2、県の個人情報保護の姿勢について

2025年9月県議会

今年4月1日、県の情報セキュリティー対策の基本指針である『山口県情報セキュリティポリシー』の最新版が公表されました。

セキュリティポリシー自体は、かなり前から策定されているもので、その都度、改訂されてきましたが、「懲戒処分」という項目に「情報セキュリティポリシーに違反した職員等及びその監督責任者は、その重大性、発生した事案の状況等に応じて、地方公務員法による懲戒処分の対象とする。」と明記されていることです。といっても、懲戒処分の部分は、今回初めて登場した記述ではなく、以前から一言一句同じものが記載されていました。

数年前に遡りますが、本県では前副知事が主導した公選法違反事件がありましたが、この時、県職員に関する個人情報が、後援会の勧誘に使われていたということがありました。

しかし、県が、個人情報の関係で刑事告訴又は懲戒処分を行ったという話は聞いたことがありません。また、県内の県税事務所に勤務していた男性課長が、2021年4月~23年3月の間、税務システムを使って、104人分の同僚らの個人情報を興味本位で不正閲覧していたとして、2年前の令和5年8月21日付けで訓告の内部処分を行いました。

読売新聞の記事によると、県は、「外部への漏えいや2次利用が確認されなかった」という理由で法令に基づく懲戒処分ではなく、訓告としたと説明しています。より軽微で公表対象ではない処分としたということです。

個人情報に係る不正行為があったとしても、外部への漏えい又は2次利用が確認できなければ、懲戒処分の対象ではなく、内部処分として公表せずに処理するという県の運用実態も明らかになりました。

全国の自治体では、業務目的外で個人情報を不正閲覧等した場合、外部への漏えいや2次利用の有無に関係なく、懲戒処分とする事案が相次いでいます。本県において、公選法違反事件及び県税事務所の事案が前例となって今後の処分の基準となってはならないと思います。

先に述べた『セキュリティポリシー』の懲戒処分に関する記述部分は、事実上、形骸化しているおそれがあり、不祥事に対する抑止効果が無かった点は、誠に残念だと思います。

このほか、本県では、個人情報の漏えいも相次いでいます。昨年4月、NPO法人が県に提出した報告書で非公開とすべき計58法人、387名の個人情報を誤って公開しました。今年1月には、学事文書課で審査請求に係る審査会の答申を公表した際に関係者の氏名を誤って公開しました。

つい最近の7月には、教育委員会で教員採用セミナーの参加者29人分の個人情報が漏えいしました。

他にも漏えい事案があるようです。

そこで2点お尋ねします。まず1点目は、今後、職務上の権限を逸脱した個人情報等の不適切な取扱い事案が生じた際は、『山口県情報セキュリティポリシー』で明記されているとおり、地方公務員法に基づく懲戒処分を前提に関係者の処分が確実に検討・実施されるのでしょうか。 また、今後、個人情報保護に係る職員の処分の判断基準の見直しを検討するべきかと考えますが、県のご所見をお伺いいたします。

2点目は、相次ぐ個人情報の漏えいは、いずれの事案も初歩的なミスが原因ですが、『セキュリティポリシー』が現場で徹底されていないのではないでしょうか。漏えいが生じた部署だけではなく、 全庁挙げて取り組むべき具体的な再発防止策をお尋ねいたします。

総務部長答弁・・・個人情報保護の姿勢に関する御質問のうち、個人情報保護に係る職員の処分についての2点のお尋ねにまとめてお答えいたします。

山口県情報セキュリティポリシーにおいては、違反した職員等は、「その重大性、発生した事案の状況等に応じて、地方公務員法による懲戒処分の対象とする」とされています。

このため、これまでも、事案に応じて、行為の原因や内容、結果をはじめ、情報が流出した場合は、その規模や社会的影響等を総合的に勘案した上で、地方公務員法による懲戒処分とするかも含め、処分内容を決定してきたところであり、引き続き、この考えの下で適切に対応してまいります。

したがって、処分内容の判断に関して、今後、何らかの見直しを行うことは考えていません。

次に、個人情報保護の姿勢に関して、個人情報の漏洩に係る再発防止策についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。

県が保有する情報資産は、その取扱いを誤ると、県民生活や県政運営に大きな影響を及ぼすことから、適切に管理を行うため、山口県情報セキュリティポリシーで必要な対策を定め、全職員に周知するとともに、毎年、遵守すべき事項に係る研修や緊急時を想定した訓練を実施しているところです。

また、情報漏洩の事案が発生した際には、速やかに原因の調査・分析を行い、その結果に基づいて講じた対策についても全職員に周知して再発防止を図っており、今後も、こうした取組を継続してまいります。


1、防衛省冊子の小学校への配布について

2025年9月県議会質問

防衛省が子ども版防衛白書「まるわかり!日本の防衛」を全国の小学校に配布していることが分かりました。

我が社民党との交渉で、防衛省は、2021年度から冊子の作成が始まり、小学校に配布したのは24年度が最初。防衛省は都道府県教育委員会に相談し、調整が整った小学校約2400校に対して計約6100冊を送付したという。

青森・秋田・栃木・長崎各県に配ったことは明らかにしたが、その他については相手方との関係があり公表できないとしました。

冊子の中にはロシア・中国・北朝鮮を名指しして「日本が位置する地域は安全とは言えないと」説明する箇所や、ウクライナは抑止力不足のためにロシアに攻め込まれたとして、他国に対して日本を攻撃するのはやめておこうと思わせるために、戦争を起きないようにするために抑止力を強くすることが、自衛隊にとっての一番の勝利と記述する箇所がある。

こうした冊子の内容を文科省は了解しているのかとの質問に対する回答は、「教育機関への資料配布を希望する団体は多数あり、判断は各自治体に委ねていると回答した。また、防衛省の冊子は授業の中で教材として使うものではなく、図書館に置いて閲覧に供するものだと認識していたと。

しかし、防衛省が送付先の小学校に行っているアンケートの中には活用実績に関する質問があり、「総合的な学習の時間に使用」との選択肢が設けられていることも明らかになっています。

さらに、冊子には、24年度まで憲法と自衛隊との関係や専守防衛・非核三原則に関する記述があったが、25年度の冊子では削られ、「自衛隊の災害派遣」をはじめに掲げ、自衛隊の生活やキャリアコースの記事を増やしています。防衛省は記述が変わった経緯・意図を説明すべきです。

多様なルーツを持つ子どもたちがいる学校でこのような冊子を授業で用いるのは不適切として文科省は冊子の使われ方を確認すべきと思います。

結局、政府の政治的見解を発達段階の子どもに一方的に押し込む内容で❝軍事力には軍事力であり、平和のための戦争❞の見解に引き込んでいます。

国民の中にも様々な考えもあります。憲法の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との規定もあるなかで教育現場に混乱をもたらすものです。

そこで、先ず本県教委での防衛省冊子の小学校直接送付への対応状況をお聞かせください。併せて、子どもが公平な立場から政治や社会について学ぶことができるためにも、本冊子を義務教育の学校図書館なども含めて活用しないことを県教委として明らかにすべきだが、見解をお聞かせください。

副教育長答弁・・・防衛省冊子の対応状況についてですが、県教委に対して配布等の依頼はなく、対応はしていません。

次に、この冊子を、学校図書館なども含めて活用しないことを、県教委として明らかにすべきとのお尋ねですが、学校で使用する教材や資料等については、各学校において、適切に判断し、活用されるものと捉えています。

再質問・・・防衛省冊子についてですけども、山口県では、防衛省から直接配付がない、相談もなかったということでよろしかったでしょうか。問題になっているのは、今まさにないということですけれども、山口県だけない、ということが少し考えられないことで、なので、お尋ねなんですけども、今、熊本市の健軍駐屯地を皮切りに、国産で開発された、長射程ミサイルの配備が行われています。開発・整備の根拠となるのは、22年10月に閣議決定した、安保関連三文書だそうです。我が国への侵攻を阻止する上で鍵となるのが、スタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力であるとかされておりまして、長射程ミサイルを保有するということになってます。当時の岸田政権は、専守防衛に徹すると強調しましたが、阪田元内閣法制局長官は、専守防衛の真髄は、自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領域を直接攻撃できる能力を持たない、すなわち、役割と機能を「盾」に徹するということが、これまでの専守防衛だったはずだと指摘をしております。こういうことですけれども、「抑止力を強くすることが自衛隊にとっての一番の勝利」だなどと一方的に小学生に刷り込むことが許されてよいはずがありませんので、ぜひ、山口県に配付する防衛省は、一応各県教委に相談するということですので、もし、相談があればこういうことがないように、ぜひ、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねです。

副教育長答弁・・・相談はなかった、依頼はなかったのかということでありますけれども、今年度、県教委に対して依頼はございません。それから、抑止力を強くすることが、自衛隊にとっての一番の勝利などと一方的に小学生に刷り込むことが、許されてよいのかという視点で、相談があれば、その対応は、ということであったかと思いますけれども、依頼があった場合には趣旨や内容等を踏まえて、適切に判断してまいります。