人口減少問題について(9月山口県議会質疑①ー1)

議会名
所属会派 質問者 質問日 区分 答弁
R6.9定例 社民党・市民連合 中嶋光雄 9/26(木) 一般 知事

1 県政の重要課題について

(1)人口減少問題

先ず、人口減少問題についてです。

知事は、「若者や子育て世代からは、子どもを2人程度は持ちたいとの希望はあるが、経済的な負担感や子育て環境に不安を感じるとの声があった。」との認識を述べておられます。

いわば、少子化の背景には、未婚化・晩婚化、妊娠・出産期や子育て期の孤立感や負担感、子育てに係る費用負担、仕事と子育ての両立の難しさ等々の様々な課題がある。結婚・子育てには時間も金もかかり、不安だということでしょう。
人口減少問題は若者の貧困問題だと指摘する経済学者がいます。価値観の多様化による晩婚化・非婚化が原因ではなく、経済的貧困による結婚しない・できない若者の増大が進行していることが根本的原因としています。
そこで、知事にお伺いいたします。
人口減少問題のうち、結婚しない根本的原因とされている若者の経済的貧困問題への具体的な施策についてお伺いします。

村岡県知事答弁・・・中嶋議員の御質問のうち、私からは、県政の重要課題に関し、人口減少問題についてのお尋ねにお答えします。

 若者が結婚を躊躇する理由の一つとして、所得が低いなど経済的な不安定さなどがあることから、私は、若い世代の所得を増やすとともに、雇用を安定させていくことが重要と考えています。

 このため、厳しい経営環境下にあっても賃上げができるよう、初任給や若年層の賃上げをした企業等に対して、最大100万円の支援をするとともに、若者の経済的負担を軽減できるよう、奨学金返還支援制度を創設した企業等に対して、60万円の奨励金を支給しています。

 また、山口しごとセンターに専任のキャリアカウンセラーを配置し、個々の状況に応じたきめ細かな就職相談を実施するとともに、スキルアップ研修など、正社員を希望する方の雇用転換に取り組んでいるところです。

 こうした取組に併せ、不本意ながら非正規で働いている方の希望や意欲・能力に応じた正規雇用労働者への転換や、待遇改善施策の充実について、全国知事会を通じて国に要望しているところです。

 私は、人口減少問題の克服に向け、引き続き、若い世代の所得の向上につながるよう、取組を進めてまいります。

 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。


岩国基地における機種更新等(9月山口県議会質疑①ー2)

議会名 所属会派 質問者 質問日 区分 答弁
R6.9定例 社民党・市民連合 中嶋 光雄 9/26(木) 一般 産業労働部理事

1 県政の重要課題について

(2)岩国基地における機種更新等

岩国基地における機種更新等についてです。

この件に関し、岩国基地対策室からメール報告を受け、驚いています。

昨年11月に岩国基地を飛び立ったオスプレイが屋久島沖で墜落し、8名が死亡した事故を受けて、米軍は全世界でオスプレイの飛行を停止していたが、今年3月に米軍は飛行を再開。しかし、飛行範囲を、緊急着陸可能な飛行場から30分以内に制限している。また、米連邦議会でも運用を疑問視する声が上がり、安全面での懸念を払拭できないままの運用が続いている。という。

この3月の飛行再開に際し、沖縄県議会は、「オスプレイの飛行再開に抗議し配備の撤回を求める意見書」及び「同抗議決議」を採択されている。

さらに、米空軍事故調査委員会が公表した「事故調査報告書」では、墜落原因は判明したものの、事故の引き金となった「ギアボックス」内でひびが生じた根本的な理由を特定できておらず、操縦士の判断ミスなどの複数の要素が連鎖して墜落に至ったと結論付けている。つまり、ギアボックスの「壊滅的な故障」と人為ミスの連鎖だとしている。

この「事故調査報告」を受け、沖縄県知事はコメントを発表。「米側の自分たちが優先という態度が見える。」「欠陥機を飛ばすべきではない。」、「飛行が継続されることは県民に不安を与えるものであり、県として引き続きオスプレイの配備撤回を求める。」と強調されています。

そこで、

特に、オスプレイの安全性に関しても防衛省の言い分をそのまま受け入れ、国の要請に理解を示す。としていますが、①事故が絶えないオスプレイの機種更新に名を借りた配備に反対すべきです。②日米地位協定を抜本的に改定し、政府において米軍機事故等に対する調査・権限が行使できるよう、政府に強く求めるべきです。お尋ねします。

県政の重要課題についての御質問のうち、岩国基地における機種更新等に関する2点のお尋ねにお答えします。

まず、オスプレイの配備に反対すべきとのお尋ねです。

昨年11月に屋久島沖で発生したオスプレイの墜落事故について、国からは、事故原因に対応した安全対策を講じることにより、同種の不具合による事故を予防・対処することが可能との説明がありました。

また、本年3月の運用再開以降、日本国内において、新たなトラブル等の発生もなく、安全に飛行を行っていることなどから、国として、オスプレイの機体の安全性に問題ないとの見解が示されているところです。

 オスプレイを含む航空機の安全性については、専門的な知見を有する国の責任において確保されるべきものであり、また、国の説明については、一定の理解ができるものと考えられることから、県として、オスプレイへの機種更新に反対する考えはありません。

次に、日米地位協定を改定し、政府において、米軍機事故等に対する調査・権限が行使できるよう求めるべきとのお尋ねです。

日米地位協定の改定については、基地を抱える都道府県で構成する渉外知事会において、これまでも、事故時の日本側の権限を明確にするため、基地の外における日本国の当局の捜索や差押え、検証を行う権利の行使などについて、日米両政府に対し、要望しているところです。

県としては、引き続き、課題をともにする関係都道府県と連携し、国や米側に粘り強く働きかけてまいります。

再質問・・・米軍機事故等に対する調査権限が日本政府にないのに、国が安全と言っても何の意味もないのではないかと思うんですけれども、この点についてお聞かせください。

オスプレイについての再質問にお答えいたします。

国に調査権限がないのに安全と言っているのはどうかというようなお尋ねだったと思います。

事故調査報告書は、米側において作成されたものではございますけれども、「このたびの事故を受け、日米間では、前例のないレベルで技術情報に関するやりとりがなされており、特定された事故原因に対応した各種の安全対策の措置を講じることにより、同種の不具合による事故を予防・対処することができると考えている」というふうに国から説明を受けておりまして、県としては、国の説明は一定の理解ができるものと考えております。


長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨返還(9月山口県議会質疑①ー3)

議会名 所属会派 質問者 質問日 区分 答弁
R6.9定例 社民党・市民連合 中嶋 光雄 9/26(木) 一般 観光スポーツ文部長

1 県政の重要課題について

(3)長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨返還

9月11日、社民党の大椿ゆうこ参議院議員が、福島みずほ党首名で厚生労働大臣あてに「長生炭鉱遺骨調査に関する要請」を行いました。

『長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会』は坑口開口と遺骨調査の為、寄付を集め始め、当初目標額を超えましたが、新たな工事費や調査費などの為、さらなる募金活動を行っています。

同会の長年の取り組みが、今、多くの人々の共感を呼んでいます。

地元・宇部市も、「国による遺骨収集等が進むよう努めていきます。国によって遺骨収集等が進められる際には本市もこの事業に協力していきたい」と表明しています。つまり国の決断を待っているのです。』などと主旨を説明したうえで、①10月26日までに坑口を開ける予定なので、坑口を開けた後に、厚生労働大臣ならびに厚生省に現地視察を要請。②長生炭鉱における遺骨収集・返還事業を、厚労省・人道調査室の事業として再確認し、今後の調査、遺骨発掘・収集、鑑定・返還等に協力を要請しました。

長生炭鉱に関するメディアの関心もかってないほど高まっています。

そこで、お伺いします。

「刻む会」が資金を集め、調査・工事に向けた具体的な準備がほぼ整い、まさに24日から、坑口を開けて遺骨の場所を特定すべく調査の初期段階を担う工事が開始され、本坑道の潜水調査も行われます。

この件に対するこれまでの議会答弁は、「県としては、引き続き、刻む会の皆様などからの御要望等を国に伝え、国による遺骨収集等が進むよう努めてまいります。」などに留まっています。

事態は動き出した訳であり、今後、県としても国に具体的な要請を行うべきです。その見解をお尋ねします。

長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨返還についてのお尋ねにお答えします。

お示しの長生炭鉱の水没事故において、多くの方々が亡くなられたことは大変痛ましく、改めて犠牲者の方々に哀悼の意を表します。

遺骨の収集、返還については、国の責任において対応されるべきものであることから、県ではこれまで、日韓親善と人道上の立場から、「刻む会」の皆様などの御要望や御意見を国に伝えてきたところです。

県としては、引き続き、「刻む会」の皆様などからの御要望等を国に伝え、国による長生炭鉱犠牲者の方々の遺骨収集等が進むよう努めてまいります。


朝鮮学校の子どもたちの権利(9月山口県議会質疑①ー4)

議会名 所属会派 質問者 質問日 区分 答弁
R6.9定例 社民党・市民連合 中嶋 光雄 9/26(木) 一般 総務部長

1 県政の重要課題について

(4)朝鮮学校の子どもたちの権利

朝鮮学校についての質問に対する答弁で、これまで一貫しているのは、「県としては、国際条約やこども基本法が求める子供の人権や学ぶ権利については、尊重すべきものと考えています。」で、あります。

在日外国人である子どもが、母語を学んだり、母国の文化や歴史を学ぶ民族教育は、子どもにとって重要かつ当然であると考えます。

事実、海外の日本の子どもたちに目を転ずると、文科省の資料によると、国内の小学校、中学校又は高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする日本人学校は、令和6年4月15日現在では、世界49カ国・1地域に94校。また、補習授業校は、令和6年7月1日現在では、世界51カ国・1地域に242校が設置されており、このうち、一部は、授業時数や授業科目が日本人学校に準じているもの(いわゆる「準全日制補習授業校」 )があります。教育の特色としては、国語を中心に、施設によって算数(数学)、理科、社会などを加えた授業が、国内で使用されている教科書を用いて行われています。

そこでお尋ねです。

子どもの学び、成長への支援に関し、先述した答弁と照らし合わせ、朝鮮学校の子どもの学ぶ権利について、現状の認識を具体的にお聞かせください。

次に、「子どもの最善の利益」を保障するには、子どもの国籍や民族、思想などは問われてはならないと思うが、見解をお聞かせください。

さらに、「県民の理解が得られない。」と言う言葉は、朝鮮学校の子どもたちに対するヘイトだという県民の声があるが、県としての見解をお聞かせください。

県政の重要課題に関するお尋ねのうち、朝鮮学校の子どもたちの権利についてのお尋ねにお答えします。

まず、朝鮮学校の子どもの学ぶ権利に関する県の現状の認識についてです。

 県としては、朝鮮学校を、学校教育法に定める各種学校として認可しており、その教育活動を妨げてはいないと認識しています。

 また、外国人の子どもについては、国籍を問わず、公立の小中学校への入学が可能であるなど、教育を受ける権利について一定の保障がなされていると考えています。

次に、「子どもの最善の利益」を保障するには、子どもの国籍や民族、思想などは問われてはならないと思うが、県の見解はどうかとのお尋ねについてです。

こども基本法では、全てのこどもについて、「その最善の利益が優先して考慮されること」、「差別的取扱いを受けることがないようにすること」、「教育を受ける機会が等しく与えられること」などが基本理念として規定されています。

県としては、これらの基本理念は当然尊重すべきものと考えています。

次に、「県民の理解が得られない」という言葉は、朝鮮学校の子どもたちへのヘイトであるという県民の声に対する県の見解についてです。

 朝鮮学校補助金の支給については、朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、現時点では、県民の理解が得られないと判断しているところです。

 この補助金は、県民との相互理解の増進を図ることを目的としたものであり、県民の理解が得られないとして補助金を支給しないことが、朝鮮学校の子どもたちに対するヘイトであるとの御指摘は当たらないものと考えています。

再質問・・・前川喜平文科省事務次官が講演で、「国と自治体が朝鮮学校の子どもたちを差別するのは官製ヘイトである。人権は生まれつき全員がもつ。国家が与える権利ではない。」と言われています。この指摘にどう応えられますか、お尋ねします。

朝鮮学校補助金に関し、前川氏の指摘にどう応えるかとの再質問にお答えします。

 先ほど答弁しましたとおり、朝鮮学校補助金の支給については、朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、現時点では、県民の理解を得られないと判断しているところです。

この補助金は、県民との相互理解の増進を図ることを目的としたものであり、補助金を支給しないことが、朝鮮学校の子どもたちに対する差別的取扱い、官製ヘイト、人権侵害であるとの御指摘は当たらないものと考えています。