上関町に、使用済み核燃料を持ち込むな!
使用済み核燃料を青森県六ケ所村の再処理工場で、プルトニウムを回収し、再び燃料として利用する計画は、プルトニウムを利用するはずであった高速増殖炉の開発が頓挫し破綻しています。
日本はすでに46トンものプルトニウムを保有。8キロあれば長崎型原爆が作れますから、日本は潜在的な核大国なのです。
また、事故と不祥事続きで再処理工場は、なんと26回も完成時期が先送りされ、24年度のできるだけ早期とする方針も怪しくなっており、再処理を待つ使用済み核燃料で受入れプールはもう満杯になっています。
仮に、再処理工場が完成しても、フル稼働できぬ深刻な事情があります。2018年に、原子力委員会は「日本が保有する原爆材料のプルトニウムが減らない限り、六ヶ所再処理工場を操業させない方針」へと転換しています。(「我が国におけるプルトニウム利用に関する基本的な考え方」の改定)
日本の余剰プルトニウムに神経をとがらせる米国や周辺諸国の眼があり、これを恣意的に撤回することなどできません。
一方、各原発サイトにある使用済み燃料プールの容量には限界があって、関電の使用済み燃料プールは再稼働すると、4年~6年で満杯になってしまいます。
トイレなきマンションと言われる原発が、文字通り詰まって流れなくなるのです。そこで計画されているのが中間貯蔵施設です。とりあえずこの「詰まり」を解消しようというのです。
中間貯蔵施設の最大の問題は、名前に「中間」とついているものの、実際には永久貯蔵になりかねないということです。最長50年とされている貯蔵期間が終了した時には、六ケ所再処理工場は閉鎖されており、搬出できる再処理工場はありません。高速増殖炉は実用化される見通しもなく、第二再処理工場が建設される目途も立っていません。
危険性に関していうと、確かに原発の様に、暴走し短時間で拡大するような事故は起こりにくいかもしれません。
しかし、保管が長期に及ぶ可能性と放射能の総量が原発に比べてはるかに大きいことを考慮すれば、中間貯蔵施設が抱える潜在的な危険性は決して小さいとは言えません。
今回の、上関町への中間貯蔵施設問題は、上関町長の判断だけで済ます問題ではありません。国・政界・経済界が後ろに控えている大問題との認識での対応を山口県としてすべきです。
核燃料サイクルが、実現しようがしまいが核のゴミの最終処分が、そう簡単に実現しないという事実に変わりはありません。使用済み核燃料が行き場を失い。大渋滞を起こそうとしている今こそ、この根源的な問題と正面から向き合う、絶好の機会なのです。
原発を再稼働せんがために、その場しのぎで仮置き場を作って、さらに多くの核のゴミを生み出し続けるというのは、大変無責任な行為です。核のゴミを私たち世代の責任であると考えるのであれば、なによりもうこれ以上核のゴミは増やさないことです。