2024年6月県議会
アメリカは宇宙空間での軍事作戦、監視、GPSシステム、金融取引などさまざまな分野で衛星通信にどの国よりよりも大きく依存しています。
日本でも、2008年に宇宙基本法を成立させ、宇宙開発利用は、…我が国の安全保障に資するよう行わなければならない。とし、「平和利用原則」を破棄し、「非軍事」から「非侵略・防衛」に舵を切り、第2次安倍政権で宇宙に関する包括的日米対話で、安全保障・軍事が宇宙開発の最重要課題、宇宙状況監視、海洋状況把握、宇宙と地上の3次元的ネットワークの構築~積極的平和主義にもとづく宇宙安全保障計画~など段階的にエスカレートさせています。
そうした中、山陽小野田市に、赤道上空の日本の静止衛星に宇宙ゴミが衝突しないように監視する「宇宙状況監視レーダー」を防衛省が設置する計画が浮上。
これまで、①2017年11月、②2019年8月、③2021年12月の3回しか住民説明会は開かれず、2回目は「施設整備工事の概要説明」にすぎず、防衛省による住民説明会は実質2回のみで、しかも住民からの、「レーダー電波による健康影響や有事の際に敵の攻撃目標になる可能性」などの不安や疑問には、まともに答えないままで建設が強行され、いよいよ今年3月末までにレーダーの運用を開始する予定でしたが、資材不足によるとして運用開始が今年度にずれ込んでいます。
この間、(本会議でも一般質問で取り上げ、)「単に宇宙ゴミを監視するだけでなくロシアや中国の不審な衛星を監視するもの、また、赤道上空の静止衛星軌道だけでなく、日本上空からオーストラリア上空を8の字を描いて周回する準天頂衛星「みちびき」をも監視。さらに問題は、埴生の宇宙状況把握(SSA)レーダー基地が、宇宙領域把握(SDA)体制(中露などの衛星の運用・利用状況及びその意図や能力を把握するための監視衛星打ち上げ)と連動して米軍と情報共有するなど明らかに軍事基地化ではないか。また、レーダーによる健康被害が出ないよう国に詳しい説明を求めるべきだ。」と質問してきましたが、答弁は、「防衛は国の専管事項。国の責任で、地元市や地域住民に安全性等を十分に説明するなど丁寧に対応してもらいたい」などの答弁に留まっています。
地元では、「宇宙監視レーダー基地建設に反対する会」が組織され、昨年9月に県知事宛に、「電磁波の常時モニタリングやレーダー基地直下の活断層調査など」を防衛省に要請するよう申し入れましたが、その後の「会」と中国四国防衛局との話し合いの中で、山口県からは何らの要請も受けていない。とのことです。
そこで、改めてお尋ねです。
電波自体の健康への影響について、レーダーの出力の程度が不明であることに起因する漠然的不安が拭えません。例えば既往の国内レーダーに比べてその程度はどの程度で、なぜその程度では健康影響はないといえるのか。仮に軍事機密等のゆえに詳答できないとされる場合であっても、この漠然的不安の根幹は“高速で移動する小物体を4万キロも離れた地点から詳細に捉えるのだから(周辺環境に影響が出かねないほど)極めて高い出力で照射しているのではないか”等の率直な疑問があるので、例えば既往の民生用等の電波の到達距離と出力の関係、その健康影響との関係はじめ推測可能な関連事例を可能な限り援用して、演繹して実態を理解できるよう。防衛省への照会を求めたい。お尋ねです。
また、中国四国防衛局から本年3月28日の「会」への回答で、「運用開始前にレーダーが出す電波をレーダー周辺で実測を行う。実測における行政や市民の方々の立ち合いについては、市とも相談し検討する」とあった。山陽小野田市からも実測への立ち合いの要請を行ったと聞いている。
そこで、運用前の実測について、期日、実測方法、場所及び個所数、について明らかにするよう。県から防衛省に照会されたい。お尋ねです。
さらに、問題は、2021年12月におこなわれた防衛省の住民説明会では、令和8年度までにSSA衛星を打ち上げる予定。との説明だったが、参考資料①のごとくSDA衛星の打ち上げにと、住民に何らの説明も無く、軍事的グレードアップが図られているのは何故か?住民軽視・無視そのものではないか?照会されたい。
総務部長答弁・・宇宙状況監視レーダーに関する3点のお尋ねに、まとめてお答えします。
まず、電波の健康への影響について、国からは、レーダーの電波については、事前の検証により人体に影響を及ぼさないための基準値を下回っており、また、レーダーの運用前にその確認のための実測を行い、運用後も定期的に検査を実施すると説明を受けています。
また、レーダー運用前の実測について、国からは、電波の実測時期等について、現時点で確定的に申し上げられないが、レーダーの運用開始前に、電波の実測を行うと聞いています。
さらに、住民に何らの説明もなく、軍事的グレードアップが図られているのではないかについては、国からは、当該レーダー施設は、SDA体制構築にあたっても、宇宙ゴミや不審な衛星等を監視する目的に変更はなく、新たな役割は追加されていないとの説明を受けています。
こうしたことから、いずれについても県から国に照会する考えはありませんが、当該施設は、宇宙政策を推進する国が必要と判断し整備を進めているものであることから、国の責任において、地元市や地域住民に安全性等を十分に説明するなど、国に対し、丁寧な対応を求めてまいります。
再質問・・・元々JAXAのSSAレーダーは、一番遠くは1,350kmまでを観測することができましたが、新しいSSAレーダーは、今よりも小さい物体を観測できるよう、観測能力を向上させ、現在は高度650kmにおいてソフトボールサイズ(直径10cm級)の物体を観測できるようになりました。
そのために、レーダーアンテナのサイズを大きくしたり、より出力が高く、より長いパルスを採用し、最大処理距離も3000kmまで拡張しました。
つまり、JAXXは出力も高くして最大処理距離を伸ばした。と言っている。
宇宙監視レーダーは上空36,000Kmを監視するもの。防衛省が説明する「微弱な電波」を発するだけだ。との説明には到底納得できない。改めて、電波の影響等について照会すべきだが?
総務部長答弁・・・繰り返しになりますが、レーダーの電波による健康への影響について、国からは、「事前の検証により人体に影響を及ぼさないための基準値を下回っており、また、レーダーの運用前にその確認のための実測を行い、運用後も定期的に検査を実施する」と説明を受けています。
このため、改めて、県として国に照会することは考えていません。
再質問・・・住民には「防府北基地レーダー地区(旧海上自衛隊 山陽受信所 跡地)」と説明しているにもかかわらず、土地利用規制法の4回目の注視区域指定の候補では、(区域)山陽小野田市・(名称)小月航空基地のままとなっている。これは、県の無関心さに乗じた、防衛省の恣意的な住民への情報隠しでは?防衛省に照会すべきでは?
総合企画部長答弁・・・土地利用規制法、たぶん重要土地等調査法のことだと思いますけども、この4回目の注視区域の指定の候補で、「小月航空基地」のままになっているが、これについて防衛省に照会すべきだとのお尋ねですが、重要土地等調査法に基づく注視区域の指定は、これまで指定が4回行われ、対象の施設、区域が公表をされています。
4回目の指定で、小月航空基地は区域指定をされておりますけれども、山陽小野田市の宇宙状況監視レーダーに係る区域は指定されていないものと承知をしております。