2024年6月県議会
4、新たな「人材育成・確保基本方針策定指針」について
総務省は、昨年12月に1997年に策定された「地方自治・新時代における人材育成基本方針策定指針」を全面改訂し、「人材育成・確保基本方針策定指針(以下「総務省指針」という)」を策定し公表するとともに、すべての地方自治体に対し基本計画の改定(策定)を求めている。
まず、「総務省集計によると、教員や警察などを除く一般行政職のうち、2022年度に主に自己都合で仕事を辞めたのは1万2501人。13年度は5727人で、約10年で2.2倍となった。待遇への不満や業務量の増加が影響しているとみられる。30代までの若手が全体の3分の2を占め、住民サービス低下や組織弱体化が懸念される。(中略)22年度の普通退職者の年齢別は、30歳未満が4244人で13年度比2.7倍、30歳以上40歳未満が4173人で同3.1倍となり、若手の増加が鮮明だ。(共同通信 4月20日)」と、報じられた。
そこで、本県の「人事行政等の運営の状況」から定年前退職者の最新公表の過去5年間の推移をみると。H30年度・55人、R元年度・61人、R2年度・49人、R3年度・71人、R4年度・96人(前年度比35%増)となっており、概ね増加傾向である。
「若手の退職、県職員も増加」との報道。また、参考資料②のとおり、総務省「ポストコロナ期の地方公務員のあり方に関する研究会」資料でも、国家公務員の若年層職員の離職理由は、「自己成長」「長時間労働」が上位を占めるなど、人員確保・離職防止の面からみれば、賃金面も重要な課題である一方、リスキリングやスキルアップの機会や長時間労働の是正といった、人材育成、職場環境課題に取り組むことも人材育成の観点からも重要な課題と提起されている。
そこで、先述した結果に関し、年代別退職者の把握や退職理由の分析について、所見をお尋ねします。
その上で、新たな「総務省指針」に基づく「人材育成・確保」にかかる県の基本方針の改正・策定についての考え方をスケジュール感を含め、お聞かせください。
なお、当然、方針策定に際しては、十分な検討と実効性の両面が求められていることから、すべての職員の働き方にも大きな影響を与えることは必然であり、方針策定に現場の職員・労働組合の参画は必須と考えますが、こうした配慮についても、お聞かせください。
総務部長答弁・・・「人材育成・確保基本方針策定指針」についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、年代別退職者の把握や退職理由の分析についてです。
お示しのあった、本県の過去5年間の定年前退職者のうち、知事部局については20代が52人、30代が51人、40代が35人、50代が92人となっています。
その理由は、結婚や家業の継承、キャリアアップに向けた転職等、様々ですが、中には、自分の思いと実際の職務との相違といったものもあり、県としては、こうした退職を防ぐためにも、職員が業務にやりがいや成長実感を得られ、働きやすい職場づくりを進めていくことが重要と考えています。
次に、「総務省指針」に基づく「人材育成・確保」にかかる県の基本方針の改正・策定についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。
県を取り巻く環境が大きく変化する中、人材の育成・確保は重要であることから、本県の人材育成基本方針についても、国の新たな指針に沿って、必要な検討を進めることとしていますが、具体的なスケジュールや進め方については、現在お示しできる状況にありません。
再質問・・・日本総合研究所の推計では、2045年に現行の水準の行政サービスを維持するには、地方公務員数の充足率は78.0%まで低下。町村は64.6%で、小規模自治体ほど人手不足が深刻なる。と。そこで、新たな総務省指針に盛り込むべき考え方の内、「市町の人材確保への県の役割強化を含む広域連携体制の構築」、「市町の専門人材の確保に係る県の支援」について、今後は、単独市町での確保のみならず、広域での確保策の検討、特に県が、専門人材の確保を支援していくことが重要で、市町がその行政需要に対応できるよう、県において必要な人材を確保の上、市町支援業務にあたらせたり、市町職員として派遣するなどの支援を検討していくことなどとなっている。急務のデジタル人材のほか、技術人材、医療・保健人材等の重要性が増大しているが、県として対応は?
「山口県版複線型人事制度」が優良事例として照会されているが、PDCAを回して、当面する課題は何か?
総務部長答弁・・・市町における専門人材の確保支援についてお答えします。これまでも、県が主催するデジタルに関する研修会への市町職員の受入や、国の求めに応じ、災害時に、県の技術職員を市町に派遣することを念頭に置いた人材確保に努めているところです。
県としては、引き続きこうしたことに取り組むとともに、国の新たな指針に沿って、必要な検討を進めてまいります。
次に、複線型人事制度についてです。
本県では、複線型人事制度として、税務や用地取得事務などの特定分野において、公募によるエキスパート人材の育成に取り組んでいるところです。
「エキスパート認定」された職員は、その分野の中心人材として活躍している一方で、特定の業務経験が長期化し、配属先が限られる中で、モチベーションをどう維持するかといった課題があると考えています。
その課題に対しましても、職員の意向をきめ細かく把握しながら、効果的な人事配置に努めるなど、業務にやりがいや成長実感を得られる制度となるよう取り組んでまいります。