3,保育士の人材不足
本県において、保育士の人材不足が深刻化しており、募集しても応募がないという現状が顕著です。特に公立保育所では、パートタイムや会計年度任用職員が全職員の半数を占め、正規職員を上回る状況も見受けられます。以前自治労山口県本部が行った調査でも、保育現場における課題として、正規保育士の負担が大きいことや、書類作成の業務が多いことが挙げられていました。適切な正規職員の配置は、保育士確保において不可欠であり、労働環境の改善も急務と考えます。
そのような状況下で、会計年度任用職員の処遇の悪さから他県への人材流出が顕著になっているとの報告もあります。県内での保育士確保に向けて、さらなる取り組みが求められます。今後は、多様化する子供たちのニーズに対応し、安全かつ適切な保育を提供するため、適切な人員配置が必要です。
政府は昨年末に、「こども未来戦略」において、保育士の配置基準を75年ぶりに改定することを発表しました。幼児教育・保育の質の向上を目指し、2024年度からは3・4・5歳児の職員配置基準を改善し、経過措置を設けるとされています。しかしながら、経過措置の間も、一部公立保育所では改善が進まない状況が続く恐れがあります。これに関して、国が定める基準を最低として、公立保育所に遵守させることが不可欠です。また、県としても、配置基準の議論に留まらず、保育士の雇用環境や保育の質の向上に向けた新たな政策が必要です。
このような中、保育士確保に関する対策事業や支援制度が構築されていますが、その実績についてお伺いします。また、県としては、職場環境の改善や保育の質の向上を目指す新たな政策についても模索されているかどうか、改めて見解をお尋ねします。
健康福祉部長答弁・・・保育士の人材不足についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、保育士確保に関する対策事業や支援制度の実績についてです。
県では、県内保育士養成施設の学生を対象とした修学資金の貸付や、潜在保育士の再就職支援などに取り組んでおり、これらにより、これまでに531人の就業に結びついています。
次に、職場環境の改善や保育の質の向上に係る新たな政策についてです。
まず、職場環境の改善に向けては、ICT活用の推進など業務改善に向けた啓発セミナー等を開催し、保育士の働き方の見直しを促進します。
また、保育の質の向上に向けては、私立保育所等を対象に、3歳未満児クラスについて、国の基準を上回る保育士の配置に対する補助制度を新設することにより、さらに手厚い人員配置を促進することとしています。