食料・農業政策について(R7.2)

食料・農業政策について

(1)農家の窮状に対する認識について

(2)所得補償制度の導入について

(3)学校給食への有機農産物の導入について

ウクライナ戦争や異常気象などあり、もはや食料を輸入し続ける時代は終わり、自給率38%という異常に低い日本では、食料・ 農業問題は農業者だけの問題ではなく、消費者・国民の命の問題として真剣に考える必要があります。耕作放棄地の拡大や担い手の高齢化が進んでいる農業現場の危機的状況を考えれば、急いで食料・農業政策を大転換する必要があります。

しかし、財務省の財政審議会は、昨年秋に「自給率の重視は不適切」「企業的な大規模化でコスト削減」「備蓄米の削減」「農業予算は高水準、早期に是正すべき」などの答申を出しました。 この答申は世界的な食料危機への問題意識がなく、したがって国民の命である国産食料を確保するという独立国の責務も気概も欠落していると言わざるを得ません。

国の農業予算は、総予算が増加しているにもかかわらず40年前の6割で、以降減り続けており、「農業予算は高水準」との指摘は事実と異なります。

県議会図書室で、本県農林水産業費の歳出予算に占める割合を調べてもらったところ60年前(1965年度)の10.89%が国と同じく減り続け、新年度(2025年度)では4.8%に配分が半分以下に減らされています。

諸外国と比べても国の、そして国に追随した県の農業者への支援が少なく、 コメ農家は「時給10円」と言われ、兼業農家の多くは赤字が実態です。農業予算の削減が農業を疲弊させ、自給率の低下を招いています。今後5年から10年で担い手は激減し、中山間地域だけでなく、大規模なコメ生産地すら維持が困難になると各地から悲痛な声が上がっています。

そこで、伺います。

知事のところには、農家の皆さんの窮状が届いているでしょうか。肥料や飼料、生産資材、そしてエネルギーなどの物価高騰により、農家の皆さんは年々厳しい経営状況になっています。また追い打ちをかけるような異常気象による農作物の出来高の変動にも悩まされています。まず、知事のご認識をお聞かせください。

ご案内のとおり、農作物の保険制度には、農業共済制度と収入保険制度がありますが、今日的な物価高騰などの農業者の負担増加に対応する制度とはなっておらず、所得が減少し厳しい経営を余儀なくされています。

やはり、持続可能な農業を進め、次の担い手が安心して就農するためには所得補償制度のような制度の導入を国に求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

次に、みどりの戦略に示された有機農業拡大の取り組みの加速化及び地域の農業経営を支援する観点からも県教育委員会とも連携して学校給食に有機農産物を積極導入することが有効と考えますが、お考えをお聞かせください。

農林水産部長答弁・・・

まず、農家の窮状に対する認識についてです。

近年、肥料や飼料、生産資材などの物価高騰や異常気象による農作物の生産リスクが高まる中で、農家の経営は厳しい状況にあると認識しています。

このため、令和4年度から実施している肥料や飼料の価格高騰対策について、来年度も引き続き実施するとともに、新たに酪農家の生産コスト上昇分の一部を支援することとしています。

次に、所得補償制度の導入についてです。

所得補償制度については、農地の流動化を遅らせるなどの課題もあることから、農地の集積や経営体の育成を進めている本県としては、所得補償制度の導入について、国に求めることは考えていません。

次に、学校給食への有機農産物の導入についてです。

 県では、学校給食における地産・地消の取組を推進しており、有機農産物については、地域の実情の中で地場産食材の一つとして活用されるものと考えています。


新型コロナ禍への対応を踏まえた対策(R7.2)

新型コロナ禍への対応を踏まえた対策について

(1)今後の感染症対策について

(2)困窮事業者対策について

(3)公立・公的病院への支援について

コロナパンデミックから5年という一つの節目を迎えました。知事が毎日のように記者会見をされていたこともついこの間のことのように思い出されます。また、県庁内では当初は暗中模索、五里霧中とも形容される中で、保健所の皆さんを始め、その業務に当たられた全ての職員の皆さんに心からの敬意を表します。そして、県庁外にあっても医療従事者を始め、介護、清掃、物流などの分野において所謂エッセンシャルワーカーと称される多くの方々の尽力でようやくここまで辿り着くことができました。改めて、これらに関わってこられた方々に心からお礼を申し上げたいと思います。

新型コロナは国の方針により2023年5月8日から「感染症法上の位置づけが2類相当から5類に変更」となり、今も感染は続いてはいますが、社会全体で大きくフェーズが変わったのはご案内の通りで、議事堂のこの演壇からもアクリル板が姿を消し、何気ない日常が戻ったかの感もあります。

しかし、経済活動という点では人の移動が大きく制限されたことによって、飲食、サービス、公共交通などその影響を大きく受けた業種もあり、その窮状をしのぐために活用した所謂「ゼロゼロ融資」の返済に向けた収益力の回復が今後は課題となる中、2024年に休廃業や解散した県内企業は570件で前年比25.55%増加し、過去最多(東京商工リサーチ下関支店調査)となり、コロナ禍の手厚い支援が終了し事業継続の再考が促されたことや、代表者の高齢化が要因のようです。

そこで、お尋ねします。

新型コロナ禍への対応を振り返り、それらを教訓として今後の感染症対策や、困窮事業者対策にどのように取り組むのかお聞かせください。

加えて、新型コロナ感染症が蔓延し、地域ではその対応に苦慮していたのですが、率先して対応していたのは公立・公的病院です。これら病院は地域のコロナ患者を受け入れるため、専用病床を確保し、いつでも受け入れ可能な体制の整備を進めていたのです。

新型コロナが5類に変更されたものの、依然として患者は戻らず、物価高騰による材料費の値上げなどで大変厳しい経営状況と聞いています。このような時こそ公立・公的病院をしっかり支援し、県がもっと関りを強め、地域の医療を守るための役割を果たすべきだと思うのですが、県の見解をお伺いします。

健康福祉部長答弁・・・

(1)今後の感染症対策についてです。新型コロナウイルス感染症の県内発生確認後、県では市町や関係団体と連携し、変異を繰り返すウイルスに対応した、実効的な感染症対策に取り組んだところであり、こうした経験を踏まえ、今後とも起こり得る感染症危機に対する、平時からの備えの充実を図っているところです。

具体的には、昨年度改定した感染症予防計画に基づき、保健医療提供体制の構築、保健所の機能強化、感染症専門人材の確保・育成等の対策を実施するなど、感染症対応力の強化に取り組んでいます。

(3)公立・公的病院への支援についてです。県では、救急医療やへき地医療等を担う公立・公的病院に対し、医療提供体制を確保するため、これまでも必要な財政的支援を行ってきたところです。

 こうした取組に加え、人材確保が喫緊の課題となっている中、職員の賃上げなど、生産性を向上させる取組に対する支援金を支給し、医療人材の確保・定着を図ることとしています。

 また、物価高騰対策については、市町の公立病院を除き、国の交付金を活用し、医療機関等が質の高いサービス等を継続できるよう、光熱費や食材料費に対する支援に引き続き取り組みます。 

 また、持続可能な経営に資するよう、国からの財政支援についても、知事会等を通じて、引き続き要望してまいります。

産業労働部長答弁・・・

(2)困窮事業者対策についてのお尋ねにお答えします。

県では、来年度予算において、経営状況が厳しい中小企業の多岐にわたる経営課題解決への取組を支援する「経営改善・再生支援資金」を新たに創設し、資金繰り支援に万全を期すこととしています。

また、やまぐち産業振興財団に設置した、「よろず支援拠点」における相談対応をはじめ、商工会議所等の経営指導員による窓口相談や巡回指導、専門家派遣などにより、中小企業の経営改善を図ります。

今後とも、関係機関と連携して、中小企業が事業活動を継続していけるよう、必要な支援に取り組んでまいります。

 


職員の賃金改定について(R7.2)

1 職員の賃金改定について

  • 今年度の人事委員会勧告について
  • 県職員の多忙化の状況について

一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する一連の条例案が提案されています。隣県島根では昨年の11月定例県議会の初日(11月25日)に提案され即日可決されていますので、遅きに失した感がします。

働く人々のゆとりや豊かさがこの30年間ほどで失われています。地方公務員の賃金と労働条件は、言わば地域の基本にもなってきました。この30年間ほどを見ると、その基になる人事院勧告(県は人事委員会勧告)、つまり労働基本権制約の代償としての人事院勧告には、実質賃金のゆとりを失わせる傾向があったと思われます。

1999年から23年間、月例給は6回も下げられています。ボーナス(特別給)は9回も下げられている。これは実質賃金の低下です。そのほかに手当もあります。これに物価高騰ですから、名目の賃金も、そして実質の賃金も下げられてきたと言わざるを得ません。

それから地域手当も、何で東京都とこの山口県でそんなに格差があるんでしょうか。これも言っていることがおかしいじゃないですか。これは一極集中に歯止めをかけるんじゃなくて、進めるものです。全国一律にすべきなのが、勧告がおかしいと思います。

それから、配偶者の扶養手当の廃止という勧告もいかがなものか。ほとんどの家庭は共働きです、富裕層以外は。

配偶者の扶養手当が必要な家庭とはどういう家庭ですか。今や失業中、子育て、介護、心身の病気などで、しっかり働きたくても働けない御家庭です。それを削るという勧告は、もう地域に連動させて貧困化を進めるものに必ずなっていきます。

また、若い人の賃金、初任給を上げるということは当然ですけど、50歳においては、諸手当も含めてせいぜい2,000円程度の賃上げにしかならない状況も出てきています。年齢による格差が大きくなっています。これでは物価高騰についていけないじゃないですか。

今後、労使でしっかり議論をしていただきたいと思いますが、先ずは、山口県当局としては、今年度の人事委員会勧告のこのような点について、どのような認識をお持ちでしょうかお聞かせください。

次に、働き方で地域のお手本となる県職員の多忙化の状況についてお伺いします。

職員の皆さんの実質賃金も上がっていませんが、加えて問題なのは、人手の不足による多忙化傾向です。そのことによる労働強化は、職員の皆さんの疲労と心身の健康破壊をもたらします。このことを当局の皆さんはどのようにお考えでしょうか。

条例定数と実員数の乖離が激しくなっていませんか。また、職員の定期健康診断の有所見率、健康不調者が増えている。精神疾患による病休者が増えていませんか。これは人件費コストの削減をし過ぎるからでは…。

人手が足りない疲れた職員のその仕事は、いやが応でも県民のへの親切・丁寧な対応ができなくなるのではないでしょうか。やはり必要な職員の人手数の改善が必要だと思いますが、これらに対する認識もお伺いします。

総務部長答弁・・・

職員の賃金改定についての3点のお尋ねにお答えします。

まず、今年度の人事委員会勧告への認識についてです。

 職員の給料・諸手当については、国及び他の地方公共団体並びに民間の給与水準などとの均衡を図ることを原則とする人事委員会勧告を基本として決定すべきものと考えています。

 このたびの勧告についても、人事委員会が、国及び民間等の給与等の状況を踏まえ行ったものと考えており、県としては、引き続き、人事委員会勧告を尊重する姿勢に立って適切に対応してまいります。   

次に、県職員の多忙化の状況に関する2点のお尋ねにまとめてお答えします。

 職員の心身の不調については、職場や業務に関することだけでなく、様々な要因が重なって起こるものと考えられますが、県としては、全ての職員が心身ともに健康で、その能力を十分に発揮できるよう、働きやすい職場環境の整備と職員の健康管理に努めることが重要であると考えています。

また、職員数については、これまでも組織のスリム化や業務量の削減等を定員管理に適切に反映する一方、保健所の体制強化やデジタル化の推進等の主要課題に対しては、重点的な職員配置を行っており、その結果、令和2年度以降は増加傾向となっております。

このたび最終案を取りまとめた「新たな行財政改革推進方針」においても、この考え方で定員管理に取り組むこととしており、具体的な目標として、知事部局等の職員数について現行水準の維持を掲げたところです。

県としては、今後、この方針の下で、引き続き必要な行政サービスを安定的に提供できるよう、人的基盤の一層の強化を図っていくこととしており、それに向け、デジタル化を活用した業務の効率化や新たな働き方の実現を図る「やまぐちワークスタイルシフト」等の取組を進めてまいります。


巳(み)のり多き年となりますように祈ります

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

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平素の皆様のご支援ご鞭撻に心より御礼申し上げます。

さて、旧年中は、政治とカネ・裏金疑惑に国民の目は厳しく、衆院選では与党が過半数割れし、国会では与野党の熟議の行方に関心が寄せられています。

また、能登半島地震と豪雨、南海トラフ地震臨時情報の発表など自然災害への不安も高まっています。

こうした中、12月県議会では、防災・減災、国土強靱化や産業基盤の整備を推進するため、補助・直轄公共事業について、農林水産関係及び土木関係で、合わせて229億4,900万円が補正計上されるとともに、物価高により厳しい状況にある県民や事業者の負担軽減を図るため、国の重点支援地方交付金を活用して、Lpガス料金や特別高圧を受電する中小企業者等の電気料金に対する支援対象期間(R5.10月~R6.4月)が追加されました。

しかし、依然として物価高騰に賃上げが追いつかないなど家計を苦しめている状況は続いており、引き続き県政をチェックする役割を果たしてまいります。

結びに、市民の皆さんの声を県政に届けることをお約束した私の初心を忘れることなく、格差拡大や、小さな政府を追及しすぎて社会の歪みが顕在化していることに思いを巡らせながら、もっと生活者や働く者に合った県政の推進をめざし奮闘しなければとの決意を新たにしています。

本年が皆さまにとって、巳(み)のり多き年となりますよう祈念いたします。