介護・障害福祉・医療分野の職員処遇改善を!

1,介護・障害福祉・医療分野の職員処遇改善について

高齢化の進展により、医療・介護の需要は急速に増加している。地域医療や介護サービスの提供を支える医療・介護人材の確保が不可欠である。しかし、事業者における医療・介護人材の確保は困難な状態が続いており、 特に介護人材は、賃金が低いことやキャリア形成を十分に行う労働環境が整備されていないことなどから、確保するのが難しい状況にある。        厚生労働省は、こうした課題への対応として、平成21年度から平成23年度までは介護職員処遇改善交付金により平成24年度からは 当該交付金を介護報酬に移行して 創設した介護職員処遇改善加算の制度により、介護職員の賃金改善を図ってきた。また、順次、介護職員の資質向上や雇用管理の改善、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みの構築について、それぞれ事業者による取り組みが促進されるよう拡充してきた。

しかし、厚生労働省調査によっても、22年の介護職員の賞与を含めた1月当りの平均給与は29・3万円、看護補助者は25・5万円で全産業平均(36・1万円)との差は大きい。全国老人保健施設協会などによると、介護職員の23年度の賃上げ率は1・42%で、今年の春闘での平均賃上げ率(3・58%)を大きく下回る状況だ。

特に介護分野では、低賃金のために他産業に移る人が後を絶たず、離職者数が右肩上がりで増加している状況だ。

こうした状況を踏まえ、政府は11月2日、総合経済対策『デフレ完全脱却のための総合経済対策』を閣議決定し、医療・介護・障害福祉分野では「2024 年度の医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講じる」とし、「春闘における賃上げに対して介護業界の賃上げが低水準であることを踏まえ、必要な人材を確保するため、令和6年の民間部門における春闘に向けた議論に先んじて、さらなる処遇改善を行う。収入を2%程度(月額平均6000円相当)引き上げるための措置を、令和6年2月から前倒しで実施するために必要な経費を都道府県に交付する。」として、介護職員処遇改善支援事業等(364億円)、障害福祉サービス事業所における福祉・介護職員の処遇改善支援事業(126億円)を、また、「医療分野では他の産業に賃上げが追いついていない現状を踏まえ、緊急の対応として、他の職種より給与水準が低く、人材確保や定着が困難な看護補助者の処遇改善を目的に収入を引き上げるための措置を実施するために必要な経費を都道府県に補助する。」とし、看護補助者の処遇改善事業(49億円)を、令和5年度補正予算案でそれぞれ示しています。

そこで、お尋ねです。

介護事業所及び障害福祉サービス事業所等は、先ず、県に処遇改善計画書等を提出して申請することからスタートすることになっていますが、この事業が真に有効に利活用されるために県はどのように取り組まれるのかお聞かせください。

一方、病院に勤務する看護補助者は看護師長及び看護職員の指導のもと、食事、清潔、排せつ、入浴、移動等の療養生活上の世話など、介護事業所に勤務する介護職員と同様の業務も行っている。医療機関において看護補助者の必要性はすでに定着している状況にある。

看護職員の負担軽減のため設けられた急性期看護補助体制加算や看護補助加算において令和4年(2022年)度入院・外来医療等における実態調査(病棟看護管理者票)の調査結果として新たなデータが示され、看護師の業務負担軽減策としての「看護補助者との業務分担」については「効果がある」「どちらかと言えば効果がある」の回答が90%超となっていた。しかし、医療機関に勤務する看護補助者数は2014年以降減少しており、定着が困難な看護補助者の処遇の改善は喫緊の課題である。

 看護師不足も課題となる中、給与水準の引き上げや処遇改善により看護補助者の確保定着が促進され、看護師から看護補助者へのタスクシフトシェアが円滑化することで現場における効果的かつ質の高い医療の提供が期待される。

こうした点からも今回の施策は歓迎すべきもので積極活用すべきと考えますが、県の具体的ご所見をお聞かせください。

 なお、公立医療機関の場合は、今年度中に給与引き上げ条例改正(案)および補正予算(案)の議会提出が必要になりますが、この点も併せて県のご所見をお聞かせください。

村岡県知事答弁…

中嶋議員の御質問のうち、私からは、介護・障害福祉分野の職員処遇改善についてのお尋ねにお答えします。

 高齢化の進行により介護ニーズが増加し、また、障害福祉サービス等の充実が求められている中、福祉・介護人材を安定的に確保するためには、職員の処遇改善を図ることが重要です。

このため、県では、これまでも、市町や関係団体等と連携し、国の福祉・介護職員処遇改善加算制度等の活用により、賃金の改善が図られるよう、施設管理者向けの研修、社会保険労務士などの専門的な相談員の派遣等を通じて、事業所に対する制度の周知や助言に努めてきたところです。

このたびの国の処遇改善事業については、現時点において具体的な事業内容は示されていませんが、既存のベースアップ等の支援加算に上乗せする形で行うものとされていることから、まずは、当該加算の取得促進に努めてまいります。

 私は、引き続き市町や関係団体等と緊密に連携しながら、処遇改善の支援に努め、福祉・介護人材の確保に取り組んでまいります。

健康福祉部長答弁…

看護補助者の処遇改善についてお答えします。

先月示された国の経済対策においては、看護補助者の処遇改善事業が国の補正予算に計上されていますが、現時点、詳細な内容が示されていないことから、国の動向を把握して対応してまいります。

また、公立医療機関における対応については、国の事業内容を踏まえ、各設置者で適切に対応されるべきものと考えています。