上関町における原子力施設計画について

2023年12月7日、山口県議会一般質問

5、上関町における原子力施設計画について(質問&答弁)

 上関原発の位置づけは、二井元知事の6分野21項目の意見書の提出をもって県知事同意と受け止められ、法に基づき2001年に電源開発基本計画に組み入れられた。それが、「電源開発に係る地点の指定について(2004年9月10日閣議了解)に従い、「重要電源開発地点の指定に関する規程」が2005年2月18日付けで定められ、しかも、(地点の指定の特例)として、附則第2条に、「経済産業大臣は、現に平成14年度(2002年度)電源開発基本計画に含まれている電源であって、第2条に規定する対象電源については、第4条第1項から第5項までの規定にかかわらず、重要電源開発地点として指定することができる。」とされた。

 したがって、この規程第4条の3の定め、「資源エネルギー庁長官は、第1項の申請があった場合には、あらかじめ、重要電源開発地点の指定が行われる前に申請された地点の所在地を管轄する都道府県知事に対して、申請された地点に係る意見の照会を行わなければならない。」が空文化され、上関原発が、「重要電源開発地点に指定」されてしまっている。しかも、(指定の期間)は、第6条で、「指定を行った日から運転を開始した日までとする。」とされてしまっている。

 そこで、お尋ねです。こうした重要な変更に対して、本県に国から意見照会もなかったことに対する県の認識をお聞かせください。

 また、原子炉設置許可申請の審査の棚上げ状態が10年以上続き、設置許可が出てもいない段階にもかかわらず、「国から、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解」が示されていることをもって、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。との答弁が繰り返されているが、建設計画の見通し対する県の判断の具体的根拠について、お聞かせください。

 上関原発建設が必要だとした主な理由の一つは、当時の電力需要で、「電力不足解消のための電源開発が必要」だとされてきたが、決算特別委員会資料によっても県内の電力需要量は令和4年度は11,234,864MWhであり平成22年度比86.6%にまで減少しています。加えて、フクシマ事故前の原発1基当たりの建設費は約4500億円程度と言われていたものが、わが国では新設例がないものの海外の新規原発は1兆円超と言われている程、採算性にも状況変化が起きています。こうした状況変化などを踏まえた上での上関原発建設の県の見通しに関する認識をお聞かせください。

 そもそも、上関原子力発電所計画に係る知事意見のチェックはどのように行ってこられたのか、特に、6分野21項目の要請事項に対するこの間の具体的な検証・評価についてお聞かせください。

 次に、原発を稼働・発電すれば、核のゴミは必ず出る。使用済み核燃料の中間貯蔵問題に直面している関西電力に対し、歴代の福井県知事は、1997年以降、使用済み核燃料の中間貯蔵施設は、県外への立地を求め、原発サイト内への設置を拒否しています。

例えば、福井県の西川前知事は、サイト内貯蔵(中間貯蔵)では、雇用も生まれないし税収増にもつながらないとして、自身の最大の後援者の福井商工会議所の川田達男会頭の「中間貯蔵も最終処分も全く見通しが立たない。貯蔵ビジネスと捉えて意識転換しないと、進まない」との提案も退けられています。さらに、2004年に美浜町が誘致を表明。2017年には高浜町長が敷地内での乾式貯蔵を検討。それらを西川前知事は許されていません。原発を15基も受け入れてきた、ことあるごとに国の振興策を引き出すことを(増設やもんじゅの運転を認める)交換条件にしてきた、あの福井県の歴代知事でさえも、使用済み核燃料の中間貯蔵だけは避けた。それは、さすが福井県知事でも、最終処分地になることを恐れ、金にもならないことも熟知していたからです。 

杉本現福井県知事も、10月13日に関電のロードマップは受け入れて3基の原発の運転を認めましたが、ロードマップ通りにいかない場合は例外(原発サイト内貯蔵)もありうるという関電の主張を、「例外はない」とはねつけています。海千山千の福井県の政治家でさえも忌避している厄介ものの使用済み核燃料「中間貯蔵施設」です。

今まさに、村岡知事の政治姿勢が問われています。上関で受け入れるつもりなのか、村岡知事のお考えをお聞かせください。

議会名 所属会派 質問者 質問日 区分 答弁
R5.11定例 社民党 中嶋 光雄 12/7(木) 一般 産業労働部理事

上関町における原子力施設計画についての数点のお尋ねにお答えします。まず、重要電源開発地点の指定に関する手続きの制定等の際に、国から意見照会がなかったことに対する県の認識についてです。重要電源開発地点の指定手続きは、平成15年に、国の電源開発基本計画を規定した電源開発促進法が廃止され、それまで同法が有していた意義や機能を受け継ぐための措置として、エネルギー政策を所管する国の責任において制定されたものであり、県として見解を述べることは考えていません。

次に、エネルギー政策における上関原発建設計画の見通しに関する県の判断の具体的根拠についてです。重要電源開発地点指定制度は、推進することが特に重要な電源開発の円滑な推進を図るために、閣議了解に基づき設けられた制度であり、その地点指定は、個別の電源開発について、国のエネルギー政策上の位置付けを具体的かつ明確に示すものです。国は、上関原発に係る「重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない」との見解を示していることから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。

次に、上関原発建設の見通しに関する県の認識についてです。上関原発建設計画は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。したがって、お示しのような状況等を踏まえた建設の見通しに関し、県として見解を述べることは考えていません。

次に、知事意見のチェックについてです。知事意見のうち安全確保等については、平成22年に連絡調整会議を設置し、国の対応状況のチェックを開始しました。この会議は、福島第一原発の事故以降、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていないことから、現在は開催していませんが、今後、国の安全審査の進捗状況に応じて、適切に対応することとしています。

最後に、中間貯蔵施設に対する県の考えについてです。現在はあくまでも、使用済燃料中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、当該施設に関し、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

●再質問・・・関電によると、使用済核燃料中間貯蔵施設の立地条件は、福井県外を原則として①広大な敷地、②安定した地盤、③港湾などのインフラ整備を挙げ、シンポジウムにて国と連携をして、中間貯蔵施設の必要性や安全性等について丁寧に説明するなど、関電は、福井県外の自治体などへの訪問説明を2015年11月末現在で2800回以上行ったが、海外、県外貯蔵目途立たずと報道があります。隣接した京都府の舞鶴市や宮津市には、港や関電の施設があるなど適地であるにもかかわらず、両市の市長とも断固拒否されています。宮津市においては、ふるさと宮津を守り育てる条例を2015年に制定され、核燃料物質の貯蔵等の施設を立地しようとする者は、市長の許可を受けなければならないとまで拒否の姿勢を鮮明にしておられます。

関電の電気消費地でもない山口県が、何故に関電の使用済み核燃料の受け入れを断ると言われないのか、再度知事にお伺いをいたします。

上関町における原子力施設計画についての再質問にお答えいたします。関電の使用済燃料の受入れについてのお尋ねでございますが、上関地点における使用済燃料中間貯蔵施設につきましては、現在はあくまでも、その立地が可能なのかどうか、調査が実施されているところでありまして、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

●再々質問・・・中間貯蔵施設についてでありますけれども、まさにこれは京都府だけではなく和歌山県の白浜町には関電の火力発電所建設予定地の広大な用地があった。ここも、関電は、何度も和歌山県に頼まれた。和歌山県の御坊市議会でも誘致の要請があったけれども、これも、市民のみなさんが「なんでそんなものを受け入れる必要があるのか」ということで、話が立ち消えになっております。これに関して、和歌山県の当時の県知事は、NUMOが最終処分地の適正マップを公表したときに、「うちにはそんな話を持ち込んでもらっては迷惑だ」とわざわざコメントをされているほど、関電の電気消費地の各県は猛烈な反発を起こされています。

 それが、何故、山口県に持ち込まれるということに対して県知事が異を唱えられないのか、意見を述べられないのか不思議でならない。このことについて再度お伺いをいたしまして私の質問を終わります。

上関町における原子力施設計画についての再々質問にお答えいたします。繰り返しになりますが、上関地点における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在はあくまでも、その立地が可能なのかどうか、調査が実施されているところであり、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

繰り返し答弁…上関原発問題では。山口県は思考停止状態だ!