3 上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題について(R7.6)

(1)原発の最大限活用に係る国民意識に関する県の認識、(2)原発回帰に関する情報と県の分析(3)原発建設費に係る支援制度導入要請に関する情報開示、」(4)上関原発計画に係る中国電力の動向に関する認識、(5)本体工事着工と公有水面埋立免許期間の伸長許可の整合性、(6)核のゴミの最終処分場に関する県の姿勢、(7)関電への対応、ア 株主総会の対応について イ 関電の核のゴミの持ち込みに係る県の説明責任、(8)上関町長の議会答弁 ア 県との事前相談・調整 イ 知事発言を踏まえた認識、(9)周辺市町の首長の意見に関する認識、(10)2市4町議員連盟申入れ時の声の受け止め、(11)公有水面埋立免許期間の伸長許可の根拠、(12)国の政策に飲み込まれるとの懸念の声に対する見解 以上の12項目について質す。

(1) 今年は、広島・長崎の原爆被爆80年、核時代の幕開けから80年、被ばくの過小評価を繰り返してきた80年。また、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から39年、福島第一原発炉心溶融事故発生から14年になります。
1年6か月前の能登半島地震による甚大な被害は、30年前の阪神・淡路大震災による直下地震の驚異や、14年前の東北大地震による地震・津波による福島第一原発重大事故と今なお続く深刻な原子力災害を、改めて思い起こさせました。震源地の珠洲市高屋地区に計画通り「珠洲原発」が建設されていたら、福島事故が繰り返されていたことでしょう。

にもかかわらず、第7次エネルギー基本計画では、原発の「可能な限り依存度を低減する」が削除され、さらに次世代革新炉への建て替えを、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内」へと条件も緩められたし、「原発の60年超への寿命延長」など「原発の最大限活用」を打ち出した。しかし、日本原子力文化財団による2024年度世論調査の結果でも、原子力に対する態度 (原子力発電の利用)の項目を見ると、今後の原子力の利用に関して、積極的な原発利用層である「維持」「増加」はそれぞれ13.2%、5.1%と少数派で、もっとも多い意見は「徐々に廃止」39.8%、次いで「わからない」33.1%、「即時廃止」が4.9%で、国民の大多数は「原発の最大限活用には反対」であり、国民の意識から完全に乖離している。

これらについて県としてはどのような認識なのか、先ずお聞かせください。

(2) データセンターや半導体産業などへの電力需要増に対応するために原発回帰が宣伝されているが、それは施設の立地地域に限定された話で、日本全体に占める割合は小さいもので、再エネの拡大、蓄電池や送配電網などで十分対応できる。第一、原発は安定した電源とは言えないもので、福島事故で全原発が突然止まったし、事故や定期検査で数か月間止まるのはざらにある。まして40年超の老朽原発が増えるので一層不安定になる。との指摘は、的を得ていると考えるが、県は日本原子力産業協会に高い会費を払って原子力発電関係の情報収集を図っているとの議会答弁だが、こうした点についての情報と県としての分析についてお聞かせください。

(3) 関連して、新たに原発を建てようと思っても、最新の原発では1基1兆円以上で、工期遅延で3兆 円にも跳ね上がる。建設中の利子負担や竣工後50~60年かけての減価償却に追われ利益が出ず、経営の重荷となるのは必至で、電力会社も、新設へのアドバルーンは上げても、具体化には二の足を踏んで、「投資リスクを大きく低減させる国の制度が必要だ」と政府に求めている始末だ。

英・ 仏両政府のような電気料金や税金をフル活用して、巨額の建設費を国民へ巧みに転嫁する支援制度の導入を求めている。との情報も県民に開示すべきではないか。伺います。

(4) さらに、三菱重工業は、関西・四国・九州・北海道電力4社と共同で120万kW級の革新軽水炉「SRZ-1200」を開発中で、10年先の2030年代半ばの実用化を目指している。今はまだ設計段階で、新規制基準適合性審査に通る設計にするため、原子力規制委員会との設計内容摺り合わせに励んでいて、建設費の見積もりなどできないにもかかわらず関西電力は2024年11月に最大3,794億円規模の公募増資を実施し、「原発の新増設やリプレースを見据え、企業財務を強化し、(次の)原発に備えるという長期的な視点に立った判断。大きな投資に耐えられるようにする」と宣言。九州電力も2025 年5月19日公表した「2035年度までの経営ビジョン」に「次世代型原子炉の開発と設置を検討」と盛り込んだ。経産省は「九州は、原発再稼働もいち早く受け入れてきた。安定した電力供給は半導体産業の誘致といった地域振興に欠かせない。」とエールを送っているけれど、両電力とも具体的な立地点や立地計画は曖昧なままで、政府による支援策引き出しに余念がない。という。

中国電力の上関原発については、こうした動きすら全くない状況だ。こうした点については県としてはどのような認識なのかお聞かせください。

(5) 上関原発の妨害予防訴訟で、地裁岩国支部の裁判長が原子力規制委員会に対し原子炉設置許可申請の審査見通し等を問うた「調査嘱託」に対する回答(参考資料①)は、「上関原子力発電所に係る設置許可申請に係る審査会合の開催は、申請者により、当該申請が新規制基準を踏まえた内容となるよう補正等がなされることが前提となるところ、(現時点までに、申請者から所要の補正等はなされていないことから)原子力規制委員会は、その時期等について承知しておらず、審査会合の予定ないし見通しについて述べることはできない。」である。

つまり、法的にも制度上も、現時点で本体着工時期の見通しは全くたっていないことが明白になったわけだが、にもかかわらず公有水面埋立期間伸長許可を出し続けていることとの整合性が取れていないことをどう釈明するのかお尋ねです。

(6) 原発を運転すれば必ず出てくる使用済み核燃料の処分問題は目途が立つどころか全くフン詰まり状態になっている。

原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場に関する共同通信社の47都道府県知事アンケートで、処分場受け入れや調査に「賛成」はゼロだったそうだが。中国地方5県では「調査・処分場受け入れに反対」が岡山、島根の2県。「判断できない」など事実上のゼロ回答が広島、山口、鳥取の3県。村岡知事の回答は、「国は、現時点で調査や処分場の受け入れの判断を求めるものではなく、受け入れに関し何らの見解もない」だったと報道にある。

そこで、現在、核燃料サイクルは事実上破綻している状況の中で、上関町への関西電力の使用済み核燃料持ち込みが検討されているが本県としての見解はどうかとどう問われても、「上関町における使用済み燃料中間貯蔵施設については、現在あくまでも施設が立地可能なのかどうか調査が実施されているところであり県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えております。」との繰り返しに終始しているが、核のゴミの最終処分場に関しての見解についても同様の姿勢なのかお聞かせください。

(7) 関西電力と言えば、「電力自由化」の流れに反するカルテルを首謀しながら、違反していたことを公正取引委員会に最初に自主申告したため、独占禁止法の課徴金減免制度によって処分を免れ、さらに、送配電会社の顧客情報を不正閲覧して顧客奪還に活用するなど、人々の命、暮らしよりも自社利益を最優先させる関西電力の姿勢は目に余ります。

ちなみに、カルテルで707億円の課徴金の支払いを命じられた中国電力社長が島根県庁に出向き島根県知事に謝罪。丸山知事は関西電力の責任が一切問われないのは理解しがたい。関西電力に対して賠償請求するよう強く求めたそうだが、  中電の大株主たる本県として憤りもせず、明日26日の中国電力株主総会を今回も白紙委任状で済ますのか。また、関電の核のゴミの本県への持ち込みを成り行き任せで済ませてはならないが、それで県知事として県民への説明責任が果たせているとお思いなのかお聞かせください。

(8) 6月10日の上関町議会で使用済み核燃料の中間貯蔵施設受け入れの判断に周辺自治体の民意を考慮するかどうかを問われた西町長は、「議会制民主主義のルールで判断されるべきだ」と述べ、受け入れについては上関町で判断されるべきだとの考えを示した上で、「周辺の自治体への説明は、国や中国電力が行っていくものだ」と答弁した。と報じられているが、この答弁は事前に県に相談・調整があったうえでの答弁だったのかどうかお聞かせください。

なお、(原発本体と他の原発の使用済み核燃料が同時に同じエリアに存在することについて)「こういう場所は日本中どこにもない。負担としては非常に過大」との2023年12月26日定例記者会見での村岡知事発言を踏まえてのお考えもお聞かせください。

(9) これに先立つ5月28日には上関町周辺の4市町(柳井市、周防大島町、田布施町、平生町)の首長が会議を開かれ、田布施町議会で安全性への懸念などから建設に反対する決議が可決されたことや、周防大島町議会に、町が主体となって、推進と反対の専門家を招き、確かな情報で判断するための住民説明会を求める請願書が今月提出されたこと、平生町では賛否を問う民間の住民アンケートが行われていることなど住民の関心が高まる中、1市3町の市長と町長は、国の資源エネルギー庁をそれぞれ訪れ、中間貯蔵施設に関する説明会を求める声が出ている状況などについて、直接伝える方針を決められています。

なお、マスコミの取材で、複数の首長から「本音では来てほしくない」などと困惑されたり、「県知事が周辺市町の立場を踏まえて、判断してほしい」との意見であることが伝わっているが、このことを県としてどの程度認識しているのかお聞かせください。

(10) 本県にとって人口減少対策は1丁目1番地だ。この間の取り組みで、県内移住4578人で8年連続で最多更新。NPO法人ふるさと回帰支援センターによると、移住希望地の都道府県ランキングで山口県は2020年の20位が2024年度は6位にまで上昇している。さらに、転出超過が最も多い福岡県に新たに相談拠点を設置する施策も講じられようとしている。

こうした中で、これらの努力に水をぶっかけているのが上関町の使用済み核燃料中間貯蔵施設計画であることが、6月3日に行われた、「上関原発」建設計画に反対する2市4町議会議員連盟による県知事申し入れでの参加議員の訴えで鮮明になった。

例えば、参加女性議員は、「柳井市では、子育て支援を通じて人口問題に取り組んでいる。中間貯蔵施設が建つと、息子が帰ってこんじゃろう。との話を聞かされる。」、「いざ避難の際、周防大島には本土への橋が一本しかなく不安に思う声が多い。」、「安全安心で自然豊かなところで子育てしたいので平生町に移住してきて10年になる。平生町にはお試し住宅があって関東からの家族がこういうところで暮らしたいと過ごされていたが、上関での件が起こり、こんな問題があるところでは暮らそうとは思わない。と帰って行かれた。残念です。」、「田布施町地域おこし協力隊でやってきて、移住者キックオフミーティングで村岡知事に我が子を抱っこしていただいた写真を今でも大事に持っている。3年間の任期を終え、人口が18人に減ってしまった島に12年。ずっと住み続けようと家・土地を買おうと思っていたが、中間貯蔵施設を調べれば調べる程にショックで、買うのをやめた。自分だけでなく対岸で事業をされている方も、なんで関電のゴミを、あんな危険なものを、どうして美しい、人がいない所に持ってくるんだと怒っておられる。県と上関だけで決めないで…。」などと。全ての市議・町議の思いや意見を、時間の制約で伝えられないのが残念だが、こうした声を県知事はしっかりと受け止めておられるのかお聞かせください。

(11) 2月県議会(3月5日)での私の一般質問に対する答弁を、次の質問をするために、そのまま引用させてもらいます。

答弁は、「上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な事柄に関しては、国からは、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されているところです。

こうしたことから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。

また、公有水面埋立免許の期間伸長許可により中国電力は、法的には埋立工事を施行できる状況にあります。

しかしながら、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていない状況や、中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっていません。

このように、引き続き発電所本体の着工時期が見通せない状況にあることから、原発建設計画が存する県の立場からは、埋立工事のみを先行すべきではないと判断し、発電所本体の着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施行しないよう、要請しているものです。」でした。

そこで質問です。

県は、これまで3度、中国電力の申請に応じるままに、経産省資源エネルギー庁の一課長の「重要電源開発地点指定が現在も引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除は考えていない」との文書をもって許可しています。

しかし、経産省は「事情の変化がない」との判断について「事業者(中国電力)からの重要電源開発地点解除の申し出がない中で、その指定を国みずからが解除する必要はない」(2017年5月12日衆議院経済産業委員会における世耕大臣の答弁)としています。

これでは、中国電力は政府が解除していないことを根拠に、政府は中国電力から解除の申し出がないことを根拠に引き続き有効としていることになります。

両者が相手を根拠にしている状態では、虚構の「回答」と言わざるを得ません。このような虚構を伸長の根拠にすることは行政の不作為と言う他ありません。

県も、「上関原発を位置づける重要電源開発地点の指定について、現時点に至るまで何ら変更はないとの主張」の確たる証拠だ。正当な理由になるというのだから、「何をか言わんや」だ。

重要電源開発地点の指定に関する規程 (抜粋)(参考資料②)は次のとおり、

第四条第5項の一に、供給計画に記載がされていること。(注1)

四に、 電源開発の計画の具体化が確実な電源であること。(注2)

五に、 電力需給対策上重要な電源であること。(注3)

第七条 経済産業大臣は、指定を行った重要電源開発地点が第四条第五項に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき、その指定を解除することができるものとする。と定められている。

説明が長くなったが、先に引用した2月議会答弁で、県自らが、「中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっていません。」と認識しているのだから、るる言った要件に適合しなくなっているのは明白ではないか。

付言すると、(注1)…中国電力がOCCTO(電力広域的運営推進機関)に提出している供給計画において、上関原発は供給計画に入っていない。また、政府は第7次エネルギー基本計画において2040年時点の発電電力量における原子力の割合を2割程度としたが、この中に上関原発は含まれていないことは明白。

(注2)…中国電力の経営計画では着工時期や竣工時期は未定となっており、建設計画が具体的ではない。

(注3)…上記OCCTOに提出した供給計画によれば、向こう10年間の需要予測は2001年に国の電源開発基本計画に組み入れられた当時よりも大幅に減少しています。この傾向は電力の自由化の進展の中で続くことになると考えられます。他方、供給力は島根2号炉の再稼働により大幅に増えることになります。もはや上関原発計画は需給対策上重要な電源ではなくなっている。

少なくとも上記3要件にすでに適合していないのですから、本来なら指定解除すべきところで、経済産業省が解除しない理由は先に述べました。それは明らかに政府の不作為です。山口県知事として政府の不作為を追認し、公有水面埋立免許の期間伸長許可の正当な理由の根拠とすべきではないと思うが、改めて見解を伺います。

(12) 2023年11月8日の知事定例記者会見で、(中国電力社長が知事と面会後「周辺市町に説明し理解を求めるよう指示を受けた」と発言したことに)「そうした発言はしていない。あたかも県が(施設建設を)進める側の立場と取られかねないミスリードだ」と苦言・・・「周辺市町から丁寧な説明を求める声があるので、情報提供と説明について十分お考え頂きたいと申し上げたが、『理解を得てくれ』とは申し上げていない。ここは私の基本的な姿勢に大きく関わるので明確にしたい」と強調されている。

つまり、村岡知事は、中間貯蔵施設についてあくまで中立、という立場だということなんだろうが、2025年度予算で経済産業省資源エネルギー庁は山口県と上関町への電源立地地域対策交付金として約13億5千万円を盛り込んだ。使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設に対する県知事の同意まで手続きが進んだ場合に備え、24年度から約7億5千万円増やしている。

村岡知事は中立なんだと言われるが、国は着実に外堀を埋め始めているのは明白で、このまま何も表明されないままでは同意とみなされ、なし崩し的に、国の「原発最大限活用」政策に飲み込まれる恐れ大だが、こうした懸念の声に対する見解をお聞かせください。


2 国民健康保険における資格確認書について(R7.6)

  • 先日、後期高齢者医療広域連合から、「マイナンバーカード周知リーフレットの送付について」の文書が届いた。内容は、7月末までに、全ての被保険者に8月からご利用いただける「資格確認書」をお届けする。で釈然としないながらも安心しました。

マイナ保険証は国民の4人に1人くらいしか使っておらず、4人に3人くらいは既存の保険証や資格確認書を使っている。という。

6月6日の衆議院厚生労働委員会で、マイナ保険証の有無にかかわらず国保加入者への保険証代わりの「資格確認書」を全員に交付するとした渋谷区や世田谷区の対応を問われ、厚生労働大臣は、「自治事務なので、最後は自治体の判断」と答弁した。従って、県として各市町に、このことを積極的に技術的助言すべきではないか伺います。

村岡知事答弁・・・中嶋議員の御質問のうち、私からは、国民健康保険における資格確認書についてのお尋ねにお答えします。

デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードの更なる普及と利活用の拡大により、社会保障制度を含む多様な分野において国民の利便性向上を図るため、昨年12月以降、健康保険証はマイナ保険証を基本とする仕組みへ移行しているところです。

このマイナ保険証は、過去の診療データ等に基づくより良い医療の提供や、救急現場における適切な応急処置などに活用され、様々なメリットがあることから、今後も、その普及及び利用促進が図られていくことが重要です。

お示しの資格確認書は、関係法令等に基づき、マイナ保険証による受診が困難な場合などに交付するものと定められており、国民健康保険については、様々な年代・属性の被保険者がいることから、全員一律に資格確認書を交付する状況にはないとされています。

こうしたことから、私は、お尋ねのあった市町への助言を行うことは考えていませんが、マイナ保険証の意義等について国民への普及・啓発を進めるよう、引き続き全国知事会等を通じて国に要望してまいります。


1 新しい戦前の始まりについて(R7.6)

  • 物価高が暮らしを直撃しています。3月の消費者物価指数は前年同月と比べ3.2%上昇、3%台の上昇率は4か月連続で、上昇は43か月連続です。他方で膨張続く防衛費。当初予算ベースで2021年度の5.3兆円が今年度は8.7兆円と過去最大を更新し続けています。

そして、台湾有事・中国の脅威がことさら煽られ、石垣島・南西諸島に陸上自衛隊で一番新しい駐屯地が造られ、ミサイル部隊を配備する流れの中で、台湾有事の南西諸島波及を念頭にした沖縄県・先島諸島からの住民避難初期計画策定を求められている。

また、山陽小野田市の宇宙監視レーダーが県・市にも無通告で本格運用されたこと。米海兵隊が岩国基地にステルス戦闘機F35Bの部隊を県・市に事前通知なく新たに配備したこと。

さらに、昨今、各地の祭りなどの行事に兵器と共に自衛隊が参加するようになって危惧していたところ、さらに、山口宇部空港を防衛力の強化に向けて自衛隊の訓練などで円滑に使えるよう国が指定する「特定利用空港・港湾」の候補として検討されていることが公表された。

まさに「新しい戦前」を実感させるこの4件について県の対応を伺います。

(1)先島諸島からの住民避難初期計画について

答弁・・・沖縄県先島諸島からの避難住民に係る初期計画の策定を求められていることに対する県の対応についてです。県では、国から沖縄県国民保護訓練の一環として計画作成の協力要請を受け、「先島避難住民の受入れに係る初期的な計画」を作成・提出し、3月に公表したところです。

(2)宇宙監視レーダーの運用開始について

答弁・・・宇宙状況監視レーダーは、本年3月から運用開始されていますが、国からは県と山陽小野田市に、令和6年度内に運用開始する旨の事前説明があったところです。県としては、当該レーダーは宇宙政策を推進する国の責任において適切に運用されるものと考えています。

(3)岩国基地へのF35B部隊の配備について

答弁・・・岩国基地へのF-35B部隊の配備に関するお尋ねにお答えします。お示しのF-35B部隊の展開については、その飛来等が確認されて以降、展開目的や理由、滞在期間等について、岩国市と連携して、国に対し照会を行ってきました。その後、国からの一連の回答等について、岩国市とともに評価した結果、「今回の部隊の展開は、新たな部隊の追加配備ではなく、一時的なものであり、岩国基地を拠点として運用される航空機の数に大きな変更はないとのことから、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと考えられる」と判断しました。その一方で、今回の部隊展開については、事前の情報提供がないなど、国から地元自治体への情報提供に課題があったことから、先日の政府要望において、国に対し、遺憾の意を伝えるとともに、迅速かつ適切な情報提供について強く要請したところです。県としましては、引き続き、地元市町と連携して、基地周辺の騒音や運用などの実態把握に努め、問題があれば、国や米側に必要な対応を求めてまいります。

(4)特定利用空港・港湾への対応について

答弁・・・国が進める特定利用空港・港湾の取組は、自衛隊・海上保安庁が、平素から必要に応じて空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との連絡・調整体制を設けるものです。県としては、山口宇部空港について、地元宇部市と情報共有を図りながら、国が進めている本取組の主旨も踏まえ、空港管理者として適切に対応してまいります。


上関原発と中間貯蔵施設について(再質問)(R7.2)

上関原発と中間貯蔵施設について(再質問)

再質問をします。時間が延びないように1点に絞らせていただきます。

埋立免許許可と同時に行った知事要請に対して中電は、発電所本体の着工時期の見通しがついたと判断できる状況になった時点で、改めて山口県ご当局に相談させていただきます、と文書回答をしています。さらに、先程、鈴森理事も言われましたけれども、出発になった事柄ですけれども、令和2年11月定例会での宮本輝夫議員の一般質問。埋立免許、占用許可と要請、いわゆる、アクセルとブレーキを同時に踏んでいることに矛盾を感じる、に対する当時の商工労働部理事答弁は、県の要請は埋立免許者としての立場ではなく、あくまでも上関原発建設計画が存する県の立場から要請したものであり、またこの要請は、中国電力の電力供給計画において、上関原発について着工時期が未定とされていることなど、原子力発電所本体の着工時期が見通せない状況にある中で、当面埋立工事を再開すべきではないと考え、再開の時期についてその見通しがつくまでは、工事を施工しないよう要請したものでした。中国電力のホームページでの、上関原発の建設計画の着工予定は未定になっているままなのを確認の上での再質問です。

先程の答弁にもございましたけれども、令和2年当時の答弁とほとんど変わっておりません。中電は、この4月には、事業進捗状況報告を町、県に提出しなければなりません。その際、もともと、法を超えて知事名で要請している事項なのですから、法に捉われることなく、先述した経緯も含めて、知事要請に対する現状報告、説明を中電に求めるのが当然ではありませんか、所管する産業労働部よりお答えください。

さらに、2月20日に、市民団体の皆さんの中電本社への要請行動に同席した際、応対した中電担当者は、島根原発の燃料プールがすぐに満杯になるわけではない。しかし、関西電力との関係ですが、当社単独で建設、運営する場合は、島根原発の使用済燃料だけでは小規模な施設となり無駄である。だから、規模の問題とか、建設、運営コスト等の面を考えまして共同開発が必要と判断していると、やる気満々に答弁されました。関電は、2,000トンウランの原発ゴミの福井県外搬出を福井県に確約しています。2,000トンウランの中には、広島型原爆6万~8万発分の核分裂の危険性があるウラン235が含まれている。だから近隣市町も、問題があるではないか、国なり中電に永久的な施設にならないかという問題と、安全性という問題の説明を求めていきたいとなっている。なぜに県が無関心でいられるのか理解ができません。せめて、県の主催で推進、反対の専門家を招いた公開シンポジウムなどを早急に開催すべきではないかと思いますが、見解を伺います。こういうことは島根原発においても行われていますし、四国電力が伊方原発で中間貯蔵施設を設置する際に、推進、反対の専門家を招いたシンポジウムも行われています。

さらに、エネ庁は、再処理工場は国の核燃料サイクルの中核施設だ、必ずやり遂げると力んで見せますが、そもそも、核燃料サイクルのもう1つの中核施設である、高速増殖炉もんじゅは、既に解体中の身です。再処理工場と高速増殖炉の2つが竣工してはじめて核燃料サイクルは成立するものであるのに、国は、彼らはその前提の議論をわざと欠落させています。つまり、再処理工場は必ずやり遂げると意気込んで見せたところで、高速増殖炉抜きでは、核燃料、プルトニウムリサイクルもおぼつきません。この状態のまま、六ケ所の再処理工場ができるとは思いませんけれども、仮に六ケ所の再処理工場を竣工すると、余剰プルトニウムが増え続け、それが再処理工場の操業の足かせとなるのは、11月県議会で私も指摘をさせていただきました。それでも、県は永久になりかねない上関の中間貯蔵施設を傍観し続けるおつもりですか、お答えください。

そして、最後の質問です。昨日の藤本県議の質問に対し、理事は第7次エネ基でも、上関の位置付けはその他の開発などうんぬんに含まれている、変わっていないと答弁されました。県は、電気事業連合会、そして、日本原子力産業協会のいつからスポークスマンにでもなったのですか。答弁の真意をお聞かせください。県民の安全安心、県民に寄り添う気が感じられません。そうであるならば、まさに、原産協会からただちに脱退すべきじゃないですか。オウム返しでないまともな答弁をお願いし、質問を終わらせていただきます。

産業労働部理事答弁・・・

上関原発と中間貯蔵施設についての再質問にお答えします。

まず、上関原発に関し、中国電力からの説明を求めるべきといったお尋ねについてです。

中国電力は、発電所本体の着工時期の見通しがついたと判断できる状況になった時点で、改めて県に相談するとしております。

上関原発は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えていることから、着工時期の見通しに関し、中国電力に説明を求めることは考えていません。

次に、県主催によるシンポジウムの開催に関するお尋ねについてです。

上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在は、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

次に、県は、永久になりかねない中間貯蔵施設を傍観し続けるつもりか、についてのお尋ねです。

エネルギー政策は国家運営の基本であることから、再処 理施設の稼働など核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものであり、また、上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在は、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

次に、日本原子力産業協会についてですが、県はこの協会には、原子力発電関係の情報収集を行うために入会しているものであり、脱退することは考えていません。