2、県の個人情報保護の姿勢について

2025年9月県議会

今年4月1日、県の情報セキュリティー対策の基本指針である『山口県情報セキュリティポリシー』の最新版が公表されました。

セキュリティポリシー自体は、かなり前から策定されているもので、その都度、改訂されてきましたが、「懲戒処分」という項目に「情報セキュリティポリシーに違反した職員等及びその監督責任者は、その重大性、発生した事案の状況等に応じて、地方公務員法による懲戒処分の対象とする。」と明記されていることです。といっても、懲戒処分の部分は、今回初めて登場した記述ではなく、以前から一言一句同じものが記載されていました。

数年前に遡りますが、本県では前副知事が主導した公選法違反事件がありましたが、この時、県職員に関する個人情報が、後援会の勧誘に使われていたということがありました。

しかし、県が、個人情報の関係で刑事告訴又は懲戒処分を行ったという話は聞いたことがありません。また、県内の県税事務所に勤務していた男性課長が、2021年4月~23年3月の間、税務システムを使って、104人分の同僚らの個人情報を興味本位で不正閲覧していたとして、2年前の令和5年8月21日付けで訓告の内部処分を行いました。

読売新聞の記事によると、県は、「外部への漏えいや2次利用が確認されなかった」という理由で法令に基づく懲戒処分ではなく、訓告としたと説明しています。より軽微で公表対象ではない処分としたということです。

個人情報に係る不正行為があったとしても、外部への漏えい又は2次利用が確認できなければ、懲戒処分の対象ではなく、内部処分として公表せずに処理するという県の運用実態も明らかになりました。

全国の自治体では、業務目的外で個人情報を不正閲覧等した場合、外部への漏えいや2次利用の有無に関係なく、懲戒処分とする事案が相次いでいます。本県において、公選法違反事件及び県税事務所の事案が前例となって今後の処分の基準となってはならないと思います。

先に述べた『セキュリティポリシー』の懲戒処分に関する記述部分は、事実上、形骸化しているおそれがあり、不祥事に対する抑止効果が無かった点は、誠に残念だと思います。

このほか、本県では、個人情報の漏えいも相次いでいます。昨年4月、NPO法人が県に提出した報告書で非公開とすべき計58法人、387名の個人情報を誤って公開しました。今年1月には、学事文書課で審査請求に係る審査会の答申を公表した際に関係者の氏名を誤って公開しました。

つい最近の7月には、教育委員会で教員採用セミナーの参加者29人分の個人情報が漏えいしました。

他にも漏えい事案があるようです。

そこで2点お尋ねします。まず1点目は、今後、職務上の権限を逸脱した個人情報等の不適切な取扱い事案が生じた際は、『山口県情報セキュリティポリシー』で明記されているとおり、地方公務員法に基づく懲戒処分を前提に関係者の処分が確実に検討・実施されるのでしょうか。 また、今後、個人情報保護に係る職員の処分の判断基準の見直しを検討するべきかと考えますが、県のご所見をお伺いいたします。

2点目は、相次ぐ個人情報の漏えいは、いずれの事案も初歩的なミスが原因ですが、『セキュリティポリシー』が現場で徹底されていないのではないでしょうか。漏えいが生じた部署だけではなく、 全庁挙げて取り組むべき具体的な再発防止策をお尋ねいたします。

総務部長答弁・・・個人情報保護の姿勢に関する御質問のうち、個人情報保護に係る職員の処分についての2点のお尋ねにまとめてお答えいたします。

山口県情報セキュリティポリシーにおいては、違反した職員等は、「その重大性、発生した事案の状況等に応じて、地方公務員法による懲戒処分の対象とする」とされています。

このため、これまでも、事案に応じて、行為の原因や内容、結果をはじめ、情報が流出した場合は、その規模や社会的影響等を総合的に勘案した上で、地方公務員法による懲戒処分とするかも含め、処分内容を決定してきたところであり、引き続き、この考えの下で適切に対応してまいります。

したがって、処分内容の判断に関して、今後、何らかの見直しを行うことは考えていません。

次に、個人情報保護の姿勢に関して、個人情報の漏洩に係る再発防止策についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。

県が保有する情報資産は、その取扱いを誤ると、県民生活や県政運営に大きな影響を及ぼすことから、適切に管理を行うため、山口県情報セキュリティポリシーで必要な対策を定め、全職員に周知するとともに、毎年、遵守すべき事項に係る研修や緊急時を想定した訓練を実施しているところです。

また、情報漏洩の事案が発生した際には、速やかに原因の調査・分析を行い、その結果に基づいて講じた対策についても全職員に周知して再発防止を図っており、今後も、こうした取組を継続してまいります。