3期目初の6月定例県議会で通算33回目の一般質問!

1、地方財政の確立について

国の財政措置の状況を踏まえた、地方財政確立に向けた県の御所見を、お伺いいたします。

国におけるこれまでの骨太方針においては、「前年度水準を確保する」とされ、2023年度の地方財政計画、いわゆる地財計画においても、地方の一般財源総額がほぼ前年度の水準を確保されたところです。そうした背景には、国の厳しい財政状況を地方にまで転嫁しない、いわば「縮小化への歯止め」としての機能が期待されていましたが、近年の地財計画を見ると、むしろ前年度水準を「上限化」しているようにも思われます。

現在の我が国の財政は、国も地方も急激な高齢化を反映し、恒常的に社会保障費が増加する傾向にあります。これに加えまして、最近のトレンドである脱炭素化やデジタル化の推進、あわせて、コロナ禍はもとより、ロシアのウクライナ侵攻以降は、物価高騰への対応も迫られています。そうしたことから、地方自治体の仕事は、増加の一途をたどっており、今まで通りの地方財政規模を確保するのみで、十分なサービス提供ができるのか、大いに疑問があります。特に、地方で提供される社会保障サービス等を支えるのは、現場の労働者です。2023年の地財計画においては、全国ベースで地方公務員を0.3万人増加させることを見込んでおり、それ自体は、自治体における人員確保を国も一定程度認めているものと理解できます。

本県においては、令和5年度は、積極型の予算として、村岡県政においては、過去最高額の約7,940億円の当初予算を計上され、やまぐち未来維新プランに沿った「新たな県づくり」 を本格的にスタートする予算とされ、4つの視点(「安心・安全」の確保・「デジタル」実装の加速化・「脱炭素」社会の実現・「人」づくり、新たな「人」の流れの創出)を踏まえ、「3つの維新」のさらなる進化を図る。さらに、「新型コロナ対策・物価高騰緊急対策」にも引き続き取組みを進めていくこととされたところです。

令和5年度に限らず、今後も、社会保障の充実・確保、人への投資も含めた地域活性化、人口減少対策、防災・減災、物価高騰対策、地域公共交通の再構築など、増大する財政需要を的確に把握し、それを支える人件費を重視し、十分な一般財源確保を図る必要があると考えますが、国の地方行政への財政措置の背景や状況を踏まえ、今後の地方財政の確立に対する県の御所見を、お伺いいたします。

村岡県知事答弁

 国の地方への財政措置については、現行制度上、国が、毎年度、その翌年度における地方団体の歳入歳出総額の見込みである地方財政計画を作成し、地方交付税等を通じて財源を保障する仕組みとなっています。

 平成23年度以降、いわゆる一般財源総額実質同水準ルールが示された上で、高齢化に伴い増嵩する社会保障費への対応をはじめ、地方創生や地域経済の活性化、防災・減災対策など地方の実情に沿ったきめ細かな施策を実施するために必要な財源が確保されてきました。

 こうした中、令和5年度の地方財政計画は、保健所等の体制強化として職員数が増員されるとともに、地域のデジタル化の加速や脱炭素化を促進するための事業費が計上されるなど、前年度を上回る一般財源総額が確保されており、地方の意見を反映した内容であると、大変評価しています。

 本県の最重要課題である人口減少をはじめ、昨年度策定したやまぐち未来維新プランに掲げる重要課題に対して、中長期的に取り組んでいくためには、これまで国に対して要望してきたとおり、持続的で安定的な地方財政措置が不可欠です。

 私は、引き続き、国に対し、こうした地方の実情を踏まえた地方一般財源総額の確保や、地方交付税の法定率の引上げを含めた交付税総額の安定的な確保などについて、政府要望や全国知事会等、あらゆる機会を通じて、強く求めてまいります。

地方財政の確立(再質問)

地方財政の確立のため、国に「言うべきことはいう」で、強く要請すべきとの観点から、さらに伺います。

2022年度地方財政対策では一般財源総額が骨太方針2021に記載されたとおり、ほぼ前年度の水準が確保されました。地方交付税についても同様に、前年比6,153億円増と三位一体改革以降では最高の水準となっています。しかし、歳出における一般行政経費の内訳を見ると、補助事業分は2.2%増加していますが、地方単独事業分への配分は抑制的に0.3%増に留まっています。補助事業分を厚くし、地方単独事業分を抑制的にしている傾向は、この10年間近くに及んでいます。しかし、地方における支出は、社会保障に関連した地方単独分こそが増加しており、その財源への手当が抑制的であるため、結果的に、自治体が人員抑制による財源対応に陥るといった悪循環が指摘されています。このため、地方単独事業分を含めた社会保障経費を確保し、これに見合った地方一般財源の総額が補償されるべきです。

そこで、とりわけ、保育、子育て支援、地域医療の確保、介護や児童虐待防止、生活保護、障害福祉、生活困窮者自立支援など、多岐に渡って急増する社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫していることから、地方単独事業分も含めた十分な社会保障経費の拡充を図ること。また、これらの分野を支える人材確保にむけた自治体の取組を十分に支える財政措置を講じるよう、国に強く細かく要望するべきですが、ご所見を改めて伺います。

総務部長答弁

 令和5年度の地方財政計画においては、一般財源総額が前年度比1,500億円増となっておりまして、こども・子育て支援の強化として、児童福祉司を令和6年度までの2年間で約1,060名、それから、児童心理司を令和8年度までの4年間で約950名増員するほか、保健所等の人員体制強化も図られているところです。

 国に対しては、引き続き、人口減少の深刻化や社会保障費等が増大していくなどの地方の実情を踏まえた上で、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額の確保・充実、地方交付税総額の安定的な確保等が図られるよう、適切な地方財政措置について要望してまいります。

地方財政の確立(再質問)

新型コロナウイルス感染症が、5月8日から季節性インフルエンザと同様の、5類感染症に指定が変更されました。

例えば、ワクチン接種について、自己負担となれば、接種控えが起こる可能性もありますし、通常の定期的な接種となれば、市町や医療機関における新たな準備も必要となってきます。

県や保健所が行ってきた、緊急搬送先の調整作業なども変わってくるなど、財政面、また体制面での対応が求められていますが、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン接種体制や保健所も含めた医療提供体制について、自治体での混乱が生じることのないよう、十分な国の財政措置が行われるべきですが、細かくご所見を伺います。

健康福祉部長答弁

 5類変更後、引き続きワクチン接種や保健所も含めた、医療提供体制等のコロナ対策について、自治体で混乱が生じないよう、国の財政措置が行われるべきというところでございます。

 5類変更等に伴うコロナ対策については、国民や保健・医療の現場に混乱を生じさせることがないよう、その費用についても、国において十分かつ確実な財政支援を講じるよう、全国知事会を通じて国に要望しております。

地方財政の確立(再質問)

「平成の大合併」による県内合併市による周辺部の旧町村の人口減少が軒並み顕著になっています。

総務省は「合併後の市町村の姿の変化に対応した交付税算定」で、2014年度から5年間をかけて、支所経費の算定充実、人口密度等の補正係数の引き上げ、標準団体の面積の見直しなどを進め、合併時点で想定されなかった財政需要として6700億円程度を交付税の算定に反映させてきました。

こうした措置の拡充を国に重点要望すべきですが、ご所見を伺います。

知事も県の人口減少対策について言及されたからです。なおさらです。

また合併にかかわらず、2005年に普通交付税算定から廃止されていた人口急減補正が2010年に復活、2016年に拡充された経緯もあることから、人口減少率ワーストグループに位置する本県としては、本気で国に対し、段階補正を拡充するなど、地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を細かく要望すべきとお思いですが、改めてご所見を伺います。

総合企画部長答弁

 まず、合併市町の地方交付税について、国に拡充を要望すべきとのお尋ねですが、合併後の交付税算定の見直しについては、令和2年度をもって完了しておりますので、さらなる措置の拡充を国に要望する考えはありません。

 次に、国に対し、地方交付税の財源保障機能・財源調整機能の強化を要望すべきとのお尋ねですが、同様の要望を地方六団体が、国に対して行っております。国と地方の協議の場においても、毎年協議が行われておりますので、これに加え、県として要望する考えはありません。

2 マイナ保険証の運用中止について
(1)マイナ保険証の運用中止の要請について
(2)現在の保険証とマイナ保険証との間に差別・不利益が生じない配慮について

マイナンバーカードの取得は本来、法的にも任意です。しかるに政府は、健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードへの一体化を図ろうとしています。

現在の健康保険証で何の不都合がないのに、それに運転免許証やクレジットカードともつながり、経営では消費税のインボイスともつながっていきます。個々人の資産管理も徹底され医療・介護などの社会保障の負担増にもつながりかねません。

様々なナンバー化は個々に必要であるとしても、国の一元的番号制は個人情報の強制的な管理となり情報漏えいの心配もあります。零細経営でマイナンバーの設備投資についていけないことや「独居老人」などでデジタル化に対応できない人々の社会的生存権を奪うことにもなりかねません。

また、地方交付税の交付金でカード取得率ごとに自治体間の格差をつけるとしていますが、地方交付税は自治体の財源であり、自治体間の「格差を是正し均衡化をはかる」という原則からも外れています。

かねてより、現在の健康保険証で何の不都合もないことや、カード化による情報漏洩の心配などをしてきましたが、マイナンバー法などの関連法が可決してしまいました。しかし現在、マイナ保険証は、予測されたとおり、様々な弊害・トラブル・事故が発生し、国民の7割が不安を感じています。

最も深刻な弊害は、他人の医療情報がヒモづけられていたというもので、事例では約7300件が確認されたと言われています。全国保険医団体連合会調べでは、1432医療機関のうち約6割の893医療機関でトラブル(例、「無効」などが表示され、被保険者の資格情報が反映されないなど)が発生したとされています。

そのような状況から、日本医師会も会長談話として、マイナ保険証についての政府の運用方針の受け入れは困難であり、国民がマイナ保険証を取得しないからといって保険医療を受けにくくなることがないように配慮してほしい旨を述べています。

2万円のマイナポイントをつけてまでして何とか普及させようとしたマイナンバーカードの無理強いが、自治体にも多大な負担をかけた上で、結局このような問題をひき起こしたと言わざるを得ません。しかも今後マイナンバーカードに様々な情報がヒモ付けられ、政府に管理される中で、漏えいの危険性も増すという点で、国民の不安はつのるばかりです。つきましては、現行の保険証を2024年秋までに廃止することは中止すべきです。

そこで、次の3点について伺います。

1.マイナ保険証は、すべての保険証において正しい情報・システムが確認されるまで、運用を中止するよう政府に強く要請すること

2.現在の健康保険証を利用する人たちの意思を尊重し、マイナ保険証との間に差別・不利益が生じないよう配慮すること

3.マイナンバーカードの取得は個人の任意であることを、あらためて周知させること

そもそも、政府はデジタル化における自治体業務システムの標準化を2025年までに完了させる目標を掲げていますが、規模や人材不足などから無理があります。また、システム化を進める一方で、ついていけない住民の存在や旧制度と新制度の過渡期には両制度での業務対応も求められるなど、自治体職場における一層の繁忙は必至です。加えて、マイナンバー法の改正による戸籍等への記載事項における「氏名の振り仮名」の追加については、市町において相当な業務負荷が予想されることから、こうした作業で必要となる人員やシステム対応、なにより現場における意見を十分に勘案しながら、必要な経費を国の責任において確保させなければなりません。県のご所見を伺います。

健康福祉部長答弁

 まず、マイナ保険証の運用中止の政府への要請についてです。

 マイナンバーカードへの健康保険証の紐づけ誤りについては、国が全医療保険者に対して、本年7月末までに加入者データの点検を終えるよう、要請するとともに、新規加入時の資格取得届へのマイナンバー記載の徹底を図るなど、再発防止策が取られているところです。

 また、県では、健康保険証との一体化に向けては、これまでも全国知事会等を通じて、広く国民の理解を得ることや、安全・安定的な運用が図られることを国に要請しており、運用の中止を求めることは考えていません。

 次に、現在の保険証とマイナ保険証の間に差別・不利益を生じないよう配慮することについてです。

 健康保険証については、全ての被保険者が円滑に保険診療が受けられるよう、何らかの事情によりマイナンバーカードを持っていない方への対応についても、同様に国に要請しており、制度設計の責任を有する国において、適切に対応されるべきものと考えています。

総合企画部長答弁

 マイナンバーカードは、法の規定により、国民の申請に基づき交付されるものであり、カードの取得が義務ではないことについては、デジタル庁のホームページやマイナンバーカード総合サイトに掲載されていることから、県において、このことをあらためて周知することは考えていません。

次に、市町のシステム改修等に伴い必要となる経費の確保についてです。

 県はこれまでも、自治体業務システムの標準化など、国の政策に伴い影響を受ける自治体システムの改修等に対しては、国が技術的・財政的支援を行うよう、全国知事会等を通じて要望してきたところであり、この度の「氏名の振り仮名」の追加に係るシステム対応等についても同様に、市町の意見を踏まえ、国に必要な支援を求めてまいります。

マイナ保険証の運用中止(再質問)

マイナ保険証には様々な問題が噴出しています。河野デジタル相は、現行の保険証を存続すれば、医療機関や薬局に手作業による事務負担が残ると国会で言われたようですけども、まさに詭弁です。マイナ保険証を持たない人は、確かに資格確認書を健康保険証の代わりとして使うとするようで、結果的に医療現場での負担は河野大臣が言うほど軽減されるわけではありません。

それどころか、マイナンバーカードは申請してもすぐには手元に届かず、紛失してもすぐには再発行されないので、その間の無保険状態をどうすればいいのか、保険証がない場合とりあえず10割負担になりますが、死にそうな患者さんに支払能力はあるのかと尋ねるわけにもいかないではありませんか。どう対処すればいいのかなど、問題点は多く指摘されています。

実は健康保険証の廃止で、医療現場よりもさらに深刻な状況を抱えるのが介護現場だと言われているようです。ほとんどの介護施設では、入居している高齢者の容態が悪化したときに備え、本人から健康保険証を預かり、入居者の健康状態に何か異変があれば、すぐにその健康保険証を使って医者に診てもらえるようにしています。

介護施設の主力となっている、特養に入居できる要介護3は理解力や記憶力がかなり低下している状態の方、要介護4は徘徊などの問題行動も増えるので常に見守りが必要な方、要介護5は意思疎通もままならない状態です。

こうした人たちが自分の暗証番号を覚えて管理するのはまず無理でしょうから、施設はマイナンバーカードと暗証番号を預からなくてはなりませんが、暗証番号を預かるということは入居者の実印を預かるようなもので、その責任は重大です。

県では、このような状況をどのように認識されているのかお尋ねします。

健康福祉部長答弁

 介護現場では入居者によってカードの暗証番号を覚えることもできず、一方で施設側はカードと暗証番号を預かることとなって責任が重大である、こういう状況の認識についてでございます。

 国は、高齢者施設等の方々から、入所者のマイナンバーカードの管理に不安を抱いているという声を受けまして、現在、現場の実態に合った対応等について検討を進めており、制度を所管する国において、きめ細やかな対応が図られるものと考えております。

マイナンバーカードの取得(再質問)

先に、全国知事会、デジタル社会推進本部長として村岡知事は、5月30日に、河野大臣および総務大臣に、マイナンバーカードの安全・安定的な運用に向けた緊急提言をされました。評価いたします。これほど問題が噴出しているのですから、マイナンバーへの紐づけの中止など、さらに踏み込んだ行動を取られるべきではないでしょうか。改めて、是非ともご所見をお聞かせください。

総合企画部長答弁

 マイナンバーの紐づけ中止などを、先に実施した、全国知事会の緊急提言により更に踏み込んだ行動を取るべきその所見を伺う、とのお尋ねですが、全国知事会では、国に対し、チェック体制の構築や誤った情報の紐づけの防止を担保する制度の構築等に取り組むように要請を行っています。

 国においては、マイナンバー情報総点検本部を設置をして、データの総点検や再発防止を徹底するための手順、システムなどの対策もですね、進めるとされておりますので、これは要請に沿うような形で取り組まれているというふうに考えておりますので、それらをしっかりと進めて、マイナンバー制度の信頼回復に努めていただきたいと考えております。

3、会計年度任用職員の処遇改善について

本年5月に、地方自治法が改正され、自治体の非正規職員に対し、今まで未支給であった勤勉手当の支給が可能となりました。これで会計年度任用職員にも公務員のボーナス(期末手当・勤勉手当)である勤勉手当がパートタイム・フルタイム共に支給できることとなります。

これは同一労働・同一賃金にむけた改善の一歩として当然です。今や62万人を超える会計年度任用職員は「地方自治の重要な担い手」だからです。

2024年4月からの施行にむけて各自治体の条例化の実施が問われています。また、勤勉手当の支給のための人事評価については労働条件と権利を尊重し適正さが求められます。そして、今後とも会計年度任用職員等の非正規の諸手当の格差是正をはかり雇用安定と処遇改善が問われています。

そこで、県が率先垂範して会計年度任用職員の処遇改善に取り組むべきですが、ご所見を伺います。

総務部長答弁

 会計年度任用職員の処遇については、これまでも、制度の趣旨や国の事務処理マニュアル等を踏まえ、適切に運用しているところです。

 こうした中、会計年度任用職員の適正な処遇確保を目的とした地方自治法の改正により、令和6年度から会計年度任用職員に勤勉手当を支給することが可能となります。

 県としては、このたびの法改正の趣旨等を踏まえ、今後対応を検討してまいります。

会計年度任用職員の処遇改善(再質問)

会計年度任用職員の処遇改善の運用に行うにあたって、再質問いたします。

これについては、当然、財源の裏付け、裏打ちが必要です。この制度は2020年4月から始まり、国において2020年度には一般行政経費として1738億円が計上され、2021年度は制度の平年化による期末手当の支給月数増加分に対応し、さらに651億円が上積みされました。

しかし、今年度からはすでに予算上組み込まれたものとして扱われるため、地方財政計画上も特段の記載はなくなりました。

しかし、現場の実態からすると、昇給制度の導入や、給料、報酬の基本額改善まで盛り込まれた予算とは言い難く、今も職場における継続的な処遇改善の取組が必要となっています。

ましてや、2024年度から可能となる勤勉手当の支給も始まるわけですので、これらの処遇改善に係る所要額の検討、ないしは調査を行われるなどして、所要の財源確保が図られなければ、この会計年度任用職員の処遇改善は絵に描いた餅に終わってしまうのではないかと危惧しますが、改めてご所見をお伺いします。

総務部長答弁

 会計年度任用職員の処遇改善につきましては、このたびの法改正の趣旨等も踏まえ、お示しの財源も含め、今後対応を検討してまいります。

4、コロナ「特例貸付」「ゼロゼロ融資」の返済免除について

コロナ感染症対応として無利子・保証人なしで生活困窮家庭への「特例貸付」が行われ、厚労省によると貸付決定件数は累計約382万3000件で総額1兆4431億円に上り、一時的に救済の役割も果たしました。しかし、今年1月に返済期限を迎えた貸付のうち、実際に返済が始まったのは45万件(18.6%)にとどまり、返済対応が難しいケースが相次ぎ問題になっていました。

そこで、厚労省は5月8日、自治体宛てに事務連絡「緊急小口資金等の特例貸付における償還猶予期間中の支援の取り扱いについて」を発出、返済を免除する対象者を拡大し、住民税非課税世帯でないと申請もできませんでしたが、課税世帯でも猶予期間中に返済困難と認められれば免除するとし、地域の社会福祉協議会が個別に判断することになりました。

困窮する中小零細経営に対しての無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済も厳しい状況は同じです。

今議会提案の補正予算において、返済負担軽減借換等特別資金の新規融資枠を400億円に拡大するととともに、これに伴う損失補償について、債務負担行為の変更をされたことには、今まさに返済のピークを迎えようとしている時だけに適切な対応だと評価するものですが、さらに踏み込んで廃業・倒産・自己破産を回避するために、返済を免除などの対応をすべきです。消費税のインボイス制度もはじめられることとなり事態を悪化させることが目に見えているからなおさらです。

「特例貸付」や「ゼロゼロ融資」の返済が目前にせまっています。中世の鎌倉時代からの債務・借金の放棄を求める法令である徳政令からも学ぶべきです。

そこで、伺います。

1、「特例貸付」について、返済中、返済の免除・猶予、返済期限を迎えているにも関わらず、返済や免除等の申し出がない件数、及び、返済や免除等の申し出がない方に対する県の対応をお聞かせください。

また、償還猶予や免除の範囲をさらに広げるべきと考えますが、県の認識を伺います。

2、「ゼロゼロ融資」の返済に対する現状認識および対応をお聞かせください。さらに返済免除などの公的対応について見解をお聞かせください。

3、すでに廃業・倒産・失業・自己破産された方々への一過性ではなく継続的な支援策の必要性についてもご所見を伺います。

健康福祉部長答弁

 特例貸付についてお答えします。

(ア)まず、生活福祉資金の特例貸付の返済状況についてです。

 本県における返済期限を迎えた貸付金は13,626件、このうち、返済中が3,874件で、返済免除が5,059件、返還猶予が12件、返済や免除等の申し出がない件数が4,681件です。

(イ)このうち、返済や免除等の申し出がない方々については、社協において、随時調査を行い、再度、免除申請の手続き等に係る案内文の送付を行うとともに、必要に応じて、生活状況等を丁寧に聞き取り、生活再建に向けた支援を行っているところです。

(ウ)次に、償還猶予や免除の範囲については、返済が借受人の生活再建の妨げとならないよう、返済免除及び猶予の要件等の見直しについて、これまでも全国知事会を通じて国に要望しているところです。

産業労働部長答弁

 まず、「ゼロゼロ融資」の返済への現状認識と対応についてです。

  コロナ禍から地域経済の正常化に向け、中小企業の収益力の回復が期待される一方で、長期に及んできたコロナの影響や物価高騰により、ゼロゼロ融資の円滑な返済に支障を来たし、倒産の増加が懸念されるなど、その経営は、引き続き厳しい状況にあります。

 このため、ゼロゼロ融資の返済の本格化に向けて、中小企業者が経営改善の取組に注力するための借換需要等が見込まれることから、県制度融資において、借換資金の融資枠を400億円に拡大し、十分な融資枠を確保することにより、中小企業の経営の安定を図ることとしています。

 次に、返済免除などの公的対応についてです。

 県では、ゼロゼロ融資において、お示しのコロナ「特例貸付」のような、返済免除の制度は設けていませんが、借換資金の融通や、ゼロゼロ融資に係る返済計画の見直し時の信用保証料補助、金融機関の伴走支援による経営行動計画の策定支援など、事業者の負担軽減に努めています。

 次に、廃業等をされた方々への継続的な支援策についてです。 

県では、廃業や倒産をされた方を対象に、産業振興財団に設置している「中小企業活性化協議会」において、再チャレンジに向けた事業計画の作成を支援するとともに、再起業に必要な事業資金について、制度融資や創業に関する補助制度などにより、後押しすることとしています。

 また、コロナ禍で離職を余儀なくされた方に対しては、山口しごとセンターによるカウンセリングやスキルアップ研修等を実施するとともに、関係機関と連携し求人企業とのマッチングを行い、早期再就職を支援しています。

 さらに、生活に困窮された方に対しては、社協及び市町が実施する自立相談支援機関において、生活の立て直しに向けた見守り支援や家計改善支援などを実施しています。

5、ふるさと納税について

食料品や生活必需品の値段が高騰する「物価高」が叫ばれる中、「ふるさと納税で返礼品を貰って家計を助ける」ことに注目が集まっているようです。

ふるさと納税制度は、自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度であり、2008年度に都市と地方の税収格差の是正や地域の振興につなげるとの趣旨でスタートして14年がたちました。この制度は、何回かの制度改正を行いながら今日に至っています。例えば2015年には、1人当たりの寄附金額の上限が引き上げられるとともに、ワンストップ特例制度が追加され、税制上の手続が簡略化されたことで寄附金額が急増しました。2019年には、返礼品は寄附金額の30%以下の地場産品という基準を守る自治体だけが参加できるようになり、制度的には、事務経費を含めても50%以内となっており、結果として、自治体の収入は寄附金の半分程度とのことです。
総務省によると、ふるさと納税制度が発足した2008年度には約81億円の寄附でしたが、2021年度の総額は約8,302億円となり、過去最高を更新し、制度が始まった2008年度に比して100倍になっています。
最も多く集めたのが北海道紋別市で実に約153億円、次いで都城市、根室市が約146億円となり、一時話題となった泉佐野市も5位の約113億円を集め、基礎自治体としては少なくない額と言えます。また、都道府県別の合計額では、北海道が最多の約1,217億円、宮崎県が約464億円、福岡県が約447億円ということで、山口県は約25.4億円であり、全国45位のようで少し寂しい思いです。ちなみに本県は、県単独では約1.5億円、全国18位のようです。
これらの金額の差は自治体の規模にもよりますが、寄附の返礼としての特産品の質と量、さらにはクレジットカードによる決済など、自治体としてのこだわりや仕掛けの差が現れていると言えるようです。特に特産品として人気が高いのは、松阪牛に代表される牛肉などの畜産品、タラバガニ、メロンなどに代表される海産物や農産物のようです。寄附を受け入れる側の自治体は貴重な財源と捉え、返礼品に熱が入るのは自明であります。全国の自治体によっては、その恩恵に大いに浴している自治体も少なくありません。
しかし、寄附を受け入れるというプラスの側面だけではなく、自治体での業務量が増大したり、寄附をする方の居住地の住民税が減ったりするなどの問題も指摘されています。例えば2021年度に寄附をして、2022年度に住民税が軽減される方は、全国では約741万人で、軽減額は実に約5,672億円となって、過去最多を更新しました。寄附者の居住自治体にとっては税収減となり、山口県では約31.7億円の減収となっている側面も忘れることはできません。

また、2016年からは企業版ふるさと納税制度が創設され、企業が2021年度に自治体へ寄附した額は、2020年度に比べて2.1倍の約225.7億円とのことであります。ちなみに管内の市町村も含めた都道府県別では、北海道が約39億円、山口県が約87百万円とのことであります。

そこで、お尋ねします。
本県におけるふるさと納税に対して、現状をどのように認識され、今後、どのように取り組むのかお聞かせください。また、制度開始から7年が経過した企業版ふるさと納税制度の本県の現状と今後の取組についてもお聞かせください。

総務部長答弁

 個人向けのふるさと納税についてのお尋ねにお答えします。

 本県では、平成20年度の制度創設当初から寄附の募集を開始し、平成30年10月から「つながる。やまぐち応援寄附金」として寄附者とのつながりを重視した寄附の募集に取り組むとともに、令和2年8月から、寄附者に本県の特産品等を返礼品として提供する取組を実施しています。

こうした取組により、平成29年度に201件で8百万円であった寄附の受入れが、令和3年度には3,458件で1億5千2百万円となっており、寄附件数、寄附金額とも大幅に増加しています。

 また、県外の方に向けて、県産品や豊かな自然、美しい景観など、本県の魅力を広く発信するとともに、地元産品を全国に向けて紹介することができる機会となっていると考えています。

 一方、本県の令和3年中の寄附に係る県民税の税額控除額は、令和3年度の寄附の受入れ金額を上回っている状況にあります。

 こうした状況等を踏まえ、寄附者や寄附金額の更なる増加につながるよう、新たな商品開発の支援等により、本県の特産品や魅力的な返礼品を充実させるとともに、ふるさと納税ポータルサイトを活用した効果的な情報発信などを行い、全国に商品や企業をPRしていきます。

 県としては、今後とも、関係人口の拡大や県内経済の活性化など様々な観点から、ふるさと納税制度の有効活用に取り組んでまいります。

総合企画部長答弁

 企業版ふるさと納税についてのお尋ねにお答えします。

 本制度は、地方創生の取組の充実・強化を図ることを目的に創設されたものであり、本県では、これまで、高度産業人材の確保や次代を担う人材育成などの取組で寄附を募集し、活用を進めてきました。

 この結果、令和3年度には10件で2千8百万円の寄附が寄せられるなど、寄附件数、寄附金額ともに拡大をしています。

 県としては、引き続き、本県に関係する企業等に対し、様々な機会を通じて制度のPRに努めるなど、更なる寄附の拡大が図られるよう取り組んでまいります。

6、GX脱炭素電源法について

一言…脱炭素といって原発推進、原発は安全でも安価でもない。原発の為に電気料金を上げ推進していくことを止めたい。二度と原発事故を起こしてはならない。

「国の責務」とするGX脱炭素電源法(原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の束ね法)が可決されました。その内容は、国が前面に立っての原子力推進、運転期間の実質延長などを法制化するものとなっています。

福島原発事故の教訓からの「原発依存度の低減」と「原発40年ルール(運転40年で原則廃炉、20年延長は例外)」の国民合意の内容を踏みにじるものです。

それは、原子炉等規制法から電気事業法に移管し、そのことで、経済産業大臣が認可を行うことになります。原則40年とする期間を実質的に廃止し、安全審査などで運転停止した期間については除外でき運転期間を上積みできることとなっています。また法として、その除外期間の認定がされておらず、経産省判断となり運転開始から70年までも可能となります。老朽原発の施設劣化は明らかであり、避難計画すらない中では大変危険になっていきます。

福島第一原発事故の反省をかえりみず、安全規制の緩和につながることは明らかです。脱原発社会の実現に向けた福島の復興に逆行し、“安全”を覆し、“原発回帰”という原子力政策の大転換となります。ただ、原発の新規リプレースについては、「GX実現に向けた基本方針」において「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象」とされたことから、国内唯一の新規立地計画の上関原発について、政府は現時点でも建設を想定していないとする姿勢を変えていません。

そこで、県として、こうしたGX脱炭素電源法に対する見解をお聞かせください。

産業労働部理事答弁

 GX脱炭素電源法についてのお尋ねにお答えします。

 この法律は、脱炭素電源の利用促進を図りつつ電気の安定供給を確保するため、本年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に基づき、地域と共生した再エネの最大限の導入促進、安全確保を大前提とした原子力の活用に向け、所要の関連法を改正するものと認識しています。

 このうち、原子力については、安全を最優先とすることなど原発利用に係る原則の明確化や、30年を超えて原子炉を運転しようとする場合における規制の厳格化、原発の運転期間に関する規律の整備などの措置が講じられたものと承知しています。

 また、「GX実現に向けた基本方針」では、今回示す方策は全て、第6次エネルギー基本計画の方針の範囲内のものであると明記しているところであり、県としては、当該方針に基づき制定された本法についても同じと理解しています。

 なお、上関原発については、国から、重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されていることから、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けは現在も変わっていないと認識しています。

改定原子力基本法(再質問)

GX脱炭素電源法について、改定原子力基本法では、「国の責務」としつつ、実際は、国民の理解の促進、地域振興、人材育成、産業基盤の維持及び事業環境整備などを含み、原子力産業を手厚く支援する内容が盛り込まれていると受け止めざるを得ません。原子力事業者が自らの責任で実施すべきものまで国が肩代わりするようなものです。

まさに、原子力産業を国民負担で救済をすることにほかならないのではないでしょうか。重ねてお尋ねします。

今年1月に発生した高浜4号機の制御棒落下事故に関して、関西電力は数か月前に特別点検を行ったにもかかわらず劣化を見つけることができなかったと言われています。

事故が起きてからでは遅い。運転期間の制限撤廃は、原発事故のリスクを高め、人々の生命とくらしを危険にさらすものではないでしょうか、重ねてお尋ねします。

産業労働部理事答弁

 GX脱炭素電源法に関する再質問にお答えいたします。

 まず、原子力基本法の改正についてです。

 GX脱炭素電源法により、原子力基本法が改正され、原子力発電の利用に係る原則の明確化として、安全を最優先とすること、また、GXへの貢献など、原子力利用の価値を明確化すること、また、廃炉・最終処分等のバックエンドのプロセスの加速化や自主的安全性向上・防災対策等の国・事業者の責務を明確化することなどの所要の改正が行われたものと承知しています。

 原子力をどのように利用するかについては、安全性、信頼性の確保を大前提に、国において判断されるべきものであり、お尋ねのような法の改正趣旨に係る事柄に関し、県として独自に見解を述べることは考えていません。

 次に、原発の運転期間に係る改正についてです。

 このたびのGⅩ脱炭素電源法により、原発の運転期間については、最長で60年に制限するという現行の枠組みは維持した上で、事業者が予見し難い事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外するとされました。

 その一方で、事業者は、運転開始から30年を超えて運転しようとする場合、10年を超えない期間ごとに、施設の劣化に関する技術的な評価を行い、その劣化を管理するための措置等を記載した計画を作成し、原子力規制委員会の認可を受けることが、新たに法律で義務付けられました。  

 国は、この制度改正により、規制が強化されたものとしています。

 いずれにいたしましても、原発の安全性の向上に終わりはなく、県としては、今後とも、国及び事業者の責任において、原発の安全性を不断に追求していくことが必要であると考えています。

原子力基本法(再々質問)

原子力基本法について、原子力産業を国民負担で救済することに他ならないのではないかとお尋ねいたしましたけれども、これについてのご認識をお示しいただきませんでしたので、お示しいただきたいと思います。

産業労働部理事答弁

 再々質問にお答えいたします。

 原子力基本法の改正についてでございますけれども、先ほど申し上げましたが、原子力をどのように利用するかについては、安全性、信頼性の確保を前提に、国において判断されるべきものでありまして、御指摘のような、法の趣旨・内容等に係る事柄に関しまして、県として独自に見解を述べることは考えておりません。

7、不登校対策について

不登校は、子ども本人や家庭だけの問題ではなく社会的な大きな問題です。

文科省の2021年度調査では、小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は244,940人であり、児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は25.7人。不登校児童生徒数は9年連続で増加し、過去最多となっています。

フリースクール(小中学校に行けない子どもの「民間教育機関」とされている)も全国で急成長していますが、「入会金平均5万円、月額3万数千円程度」などと言われ、財政的にも家計の負担は大変ですし、数もしれています。

不登校の子ども自身も、その家庭も、極めてつらく困難な事態になっています。学校に行けなくなった子どもたちが安心して過ごせる場や学習権である「教育を受ける権利」を保障する公的な対応が必要になっています。

文部科学省も3月31日、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」として「COCOLOプラン」を公表。1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整える(5項目)。2.心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する(3項目)。3.学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする(6項目)。の3本柱(14項目)を掲げました。

そこで、主に、1.学校のノートパソコンなどの教育資材を家庭でも利用できるようにすること。2.不登校の子どもと親が相談しやすい窓口をつくられること。3.公的に身近に学年層に応じた学びの場を確保されたいこと。4.不登校の子どもの活動に公民館などの利用を無料にし、つながりを支援されたいこと。について県教委として、子どもの教育を受ける権利を保障するための不登校対策をどのように推進されるのか伺います。

副教育長答弁

 不登校対策についての4点のお尋ねにお答えします。

 まず、「学校のノートパソコンなどの教育資材を家庭でも利用できるようにしてはどうか」ということについてですが、現在、公立学校の児童生徒には1人1台タブレット端末を整備し、家庭でも利用が可能となっているところです。

 次に、「不登校の子どもと親が相談しやすい窓口をつくること」についてですが、子どもや保護者がいつでも気軽に相談できる窓口として、SNSを活用した「悩み連絡室@やまぐち」や、電話による「24時間子どもSOSダイヤル」などを設置しています。

次に、「公的に身近に学年層に応じた学びの場を確保すること」についてですが、現在、在籍する学校に行きづらい生徒に少人数指導を行う分教室や、在籍する学級での学習が困難になった生徒に個に応じた支援を行う「ステップアップルーム」を設置するなど、学びの場の確保に努めているところです。

 次に、「不登校の子どもの活動に公民館などの利用を無料にし、つながりを支援すること」については、公民館などの設置者が、実情に応じて判断されるものと考えています。

 県教委としましては、誰一人取り残されない学びの保障に向けて、引き続き、不登校対策に取り組んでまいります。

議事録(未定稿)の紹介です。長々と申し訳ありませんでしたが、ご意見やご教示など賜れば幸せます。