議会名 | 所属会派 | 質問者 | 質問日 | 区分 | 答弁 |
R6.9定例 | 社民党・市民連合 | 中嶋 光雄 | 9/26(木) | 一般 | 農林水産部長 |
2 農業・農村政策について
(1)食料・農業・農村基本法における国の施策について
(2)種子の安定供給について
(3)みどりの食料システム戦略について
(4)農業大学校のカリキュラムについて
(5)有機農業を学べる仕組みについて
(6)県における農業施策について
(7)地域計画の策定について
「食料・農業・農村基本法」(以下、基本法という)が見直され、2023年版の農業白書もまとまった。これまで「強い農業」を目指したはずだが、資材高騰や気候変動などで、農畜産業は危機的である。わずか38%に低迷する自給率を引き上げ、所得確保につなげられるか。農家が再生産する取引価格でなければ、農業の持続的発展は見込めず、中山間地の過疎化・疲弊は続き、地域コミュニティの危機は深まるばかりです。
現在私たちが暮らす地球はエネルギーの争奪に明け暮れています。そのエネルギーは機械や車などを動かすものです。人間のエネルギーは何でしょうか?もちろん食べ物です。なければ生きて行けません。
そこで、食料の自給を最大の目標にし、環境保全を重要視する立場で伺います。
まず、食料安全保障の観点から首をかしげるのは、安定的な備蓄よりも、農産物や農業資材の安定的な輸入を図ることに重点が置かれていることです。自給率と食料安全保障向上に向けては、政府買上げによる需要創出、備蓄米の増産が必要で、食料の輸入先との関係を強化しても有事になると自国が優先となり、当てになるものではないと訴えている経済学者がいます。
種子においては、多国籍企業の外国産に頼っている品種が多く、種子の輸入が途絶えると作物も作れなくなるにもかかわらず、種子の安定供給は、謳われていません。
今回の基本法において、食料自給率の向上や適正な価格形成に関して、国はどのような施策を考えているのかお示しください。
また、食料安全保障の観点からも、種子の安定供給は重要だと考えますが、国、県の認識と取組をお示しください。
みどりの食料システム戦略は、将来にわたって食料の安定供給を図るために、持続的な食料システムを構築することが急務として策定されました。基本法においても、農林水産業のグリーン化の位置づけで環境負荷低減等、新たに持続可能な農業を主流化する考え方の導入として盛り込まれています。
今後、具体策が示されていくものと思われますが、これまで、みどりの食料システム戦略に基づく農業分野における温室効果ガスの削減、化学農薬の使用量低減、有機農業の拡大の取組・支援の状況について、お聞かせください。
また、農林水産省は、2050年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大することを目指しています。この達成に向けた人材育成に農業大学校の役割は重要だと考えます。
農業大学校で有機農業を学べるカリキュラムはあるのでしょうか。農業従事者の方が有機農業を学びたいと希望したときに、県普及指導員の指導や座学など学べる仕組みがあるのでしょうか、お聞かせください。
農業の持つ役割は、まさに公益事業だとの発想で、足元の資源を見直し、「地消地産・地域循環型経済・ローカルな自給圏構築」が進めるべき施策だ。と推奨する考え方がある一方、県における農業施策についての見解を、お聞かせください。
先日、知り合いから地区内の農地が点々と太陽光発電に変わっていく。見に来いと言われ、話を聞くと。儲からんから農業をやめた地区内の人が管理に困って農地を手放す。だから面と向かって文句も言われんで困っている。どうにかならんかとの相談でした。
まさに耕作放棄地の拡大。そこに目を付けた業者の農地買いあさり問題。(この7年間で485haが太陽光発電設備の5条農地転用…参考資料①参照)。さらに不在地主の相続未登記農地(所有者不明農地)の点在。こうした農村が増えている中で、「人・農地プランから地域計画」の策定にむけた、県の取り組みをお聞かせください。
以下、答弁は、なんとも味気ないものでした。
農業・農村政策についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、食料・農業・農村基本法における国の施策についてです。
食料自給率の向上については、現在、国において、具体的な施策を盛り込んだ基本計画を改定中であり、適正な価格形成については、新たな法制化を検討中です。
次に、種子の安定供給についてです。
国では、民間ノウハウも活用して品種開発を強力に進める必要があるとの認識のもとで、種子の開発が進められています。
県としては、農産物を生産する上で、優良種子の確保は重要であると認識しており、令和5年に「山口県種苗条例」を制定し、優良な種子などの安定供給に取り組んでいます。
次に、みどりの食料システム戦略についてです。
県では、国の「みどりの食料システム戦略」に基づく計画を令和5年に策定し、温室効果ガスの削減に資する堆肥の使用を積極的に推進するとともに、化学農薬・化学肥料の使用量を低減した生産物を認証する「エコやまぐち農産物認証制度」の普及に取り組んでいます。
また、有機農業については、令和3年度に「山口県有機農業推進計画」を改定し、技術の確立・普及や、農業者の主体的な取組の支援などを行っているところです。
次に、農業大学校のカリキュラムについてです。
農業大学校では、有機栽培等への理解促進や、有機JASなどの認証制度に関する知識習得に加え、病害虫防除や、有機質肥料の使用方法など、有機農業に関する講義を行っています。
次に、有機農業を学べる仕組みについてです。
各農林水産事務所に担当職員を配置し、有機農業に関する技術的な相談対応や指導を行っています。
次に、県における農業施策についてです。
県では、「やまぐち農林水産業振興計画」において、多様な人材や中核経営体の確保・育成、県産農林水産物のさらなる需要拡大、持続可能な生産供給体制の確立、基盤整備と防災力強化を図ることとしています。
この内、需要拡大に向けては、地産・地消の取組の強化を図るとともに、大都市圏や海外の現地ニーズに的確に対応した供給体制の整備などを進めてまいります。
次に、地域計画の策定についてです。
これまで、市町において、県内約350の地域で「人・農地プラン」が作成されてきましたが、令和4年度に、国は、農地利用等を明確化する「地域計画」の策定を法定化したところです。
これを受け、県では市町と連携し、話合い活動のサポートに加え、策定マニュアルの提示や優良事例の紹介など、計画策定を支援しており、その結果、「人・農地プラン」に示された農地をほぼ取り入れた「地域計画」の策定が見込まれています。
なお、所有者不明の農地については、農業委員会の告示、県による裁定等の手続きを経て、農地中間管理機構に貸し付けることで、担い手への集積を進めています。
再質問・・・スーパーでお米がなくなりおおごとでした。百姓は高く売りたい、消費者は安く買いたい。矛盾はエンドレスです。
物財費などの高騰は無視されて、米などは赤字販売を強いられ、百姓の跡継ぎや高齢化が農業を破壊している実態を直視すべきです。
そこで、農業の環境に対する価値、水田による洪水防止機能等の多面的価値を付加した、農産物を再生産できる価格形成が政府の責任で図られるべきです。
このため、戸別所得補償制度の復活を政府に強く求める考えはございませんか、見解をお聞かせください。
そして、減反、転作を進める国に従って、「麦、そば、野菜」を植えてきた農家ほど、5年間で水田として一度も水張をしなければ交付金は出さないという「制度厳格化」に、農家は強く反発、営農組合ほど怒り心頭ですけれども、まさに、猫の目農政に県は、どう思って取り組んでおられるのか、お聞かせください。
農業・農村政策に関しての再質問にお答えします。
まず、戸別所得補償制度の復活を政府に要請すべきではないか、とのお尋ねです。
戸別所得補償制度は、農地の流動化を遅らせるなどの課題もあることから、農地の集積や経営体の育成を進めている本県としては、この制度の復活を要請することは考えておりません。
次に、「麦、そば、野菜」を植えてきた農家に、5年間で水田として水張をしなければ交付金は出さない「制度厳格化」に、どう思って取り組んでいるのか、とのお尋ねです。
「水田活用の直接支払交付金」の交付対象水田の見直しについては、水田率の高い本県にとって影響が大きいことから、県としては、国に対し見直しを要望しているところです。
議会名 | 所属会派 | 質問者 | 質問日 | 区分 | 答弁 |
R6.9定例 | 社民党・市民連合 | 中嶋 光雄 | 9/26(木) | 一般 | 産業労働部理事 |
2 農業・農村政策について
(8)太陽光発電施設の設置規制等に関する条例の制定について
一方、太陽光発電については、農地に限らず、近年、件数の増加に伴ってトラブル事案が発生している地域があるほか、設置後の維持管理、設備の廃棄等に対する住民の不安が高まっており、加えて大規模施設等の設置による土砂災害の発生なども懸念されている状況にあります。県として、「太陽光発電施設の設置規制等に関する条例」を制定すべきです。見解をお聞かせください。
農業・農村政策についての御質問のうち、太陽光発電施設の設置規制等に関する条例の制定についてのお尋ねに、お答えします。
太陽光発電施設については、電気事業法や再エネ特措法に基づき、国が指導監督を行っているため、設置規制等に関するルールの制定についても、国において検討されるべきものと考えています。