上関町に、「使用済み核燃料の中間貯蔵施設(案)」が急浮上

使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」はいらん!

1982年に計画が浮上した上関原発建設は、41年が経過した現在も、計画地から海を挟んで真正面に僅か4㎞しか離れていない祝島島民の反対などで全く進んでいません。

この間、原子炉設置許可申請に必要な陸上、海上でのボーリング調査等への現地での激しい抵抗や法廷闘争で反対運動が続けられていますが、フクシマ原発事故以降は旧原子力保安院の審査は棚上げされたまま、新原子力規制委員会でも原発再稼働に対する新規制基準は策定されましたが新増設については新たな規制基準すら検討もされていない状況が続いています。

しかも、自公政権は昨夏の第6次エネルギー基本計画に「原発新増設」の文言を盛り込んでいません。

しかし、この6月の国会で、GX脱炭素電源法(国が前面に立っての原子力推進、運転期間の実質延長などを法制化)が可決され残念です。まさに、福島原発事故の教訓からの「原発依存度の低減」と「原発40年ルール(運転40年で原則廃炉、20年延長は例外)」の国民合意の内容を踏みにじるものです。

脱原発社会の実現に向けた福島の復興に逆行し、安全を覆し、原発回帰という原子力政策の大転換となる。ただ、原発の新規リプレースについては、「GX実現に向けた基本方針」において、「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象」とされたことから、国内唯一の新規立地計画の上関原発について、政府は現時点でも建設を想定していないとする姿勢を変えていません。

この間、上関町は、昭和59年度から令和3年度決算までの38年間に電源立地地域対策交付金(初期対策相当分)を50億6百万円、原子力発電施設等立地地域特別交付金25億円、広報・調査等交付金1億4千万円、そして中国電力から多額の寄付金を得ています。

こうした背景のもとで、上関町長は経済産業大臣と中国電力に、「新たな地域振興策」を要望。渡りに船とばかりに中国電力は、「上関原発建設予定地に隣接して中電が用地買収している林地に「使用済み燃料中間貯蔵施設に係る調査・検討」を単独での建設・運営は難しいので関西電力との共同開発で進めたい。」とする回答を8月2日に上関町長に示しました。(朝から役場前は(中電帰れ等の)横断幕を掲げた脱原発市民と警察とのもみ合いで大混乱でした。)

まさに、「原発マネーを求める地元×経営体力不足の中国電×核燃料保管先確保が急務の関電」と、「核燃サイクルにしがみつく国」の4者の騙しの策動そのものです。

核燃料サイクルというアメリカには50年前に見限られ放棄された計画にしがみつく日本は、実は原子力後進国だ。英語圏では福島第一原発事故ではなく福島核災害Fukushima Nuclear Disasterと言われており、「福島核災害では、4号炉燃料プールに熱い使用済み核燃料が大量に存在し、その状態確認も電力と水の供給も長時間途切れたことから、アメリカは燃料プールにおける使用済み核燃料溶融を強く懸念し、横田基地からアメリカ市民の緊急脱出を行った」…まさに奇跡的な偶然によって箱根以東の東日本全域が無人の核の荒野となる最悪の事態が避けられたのだ。と言うことを忘れてはならない。
原発再稼働に突き進む岸田政権、電力業界の云うことに騙されてはならない。
8月18日の上関町臨時町議会で、中間貯蔵施設の建設に向けた調査の受入れについては、議決は必要なく、行政報告で足りる。一応議員の意見は聞くが判断は町長自ら行えば良いことだ。とし、直ちに中国電力に受諾をFAXで伝える暴挙。

建設できるかどうかの調査で中電が町内を説明に回ってくれている。(自信ありげに)、調査と実際の建設とは別物だ。そうなれば町民や周辺自治体住民の意見も聞いて判断すれば良いことだ。と、まさに、今だけ.金だけ.自分だけ.…で子や孫に否、未来世代にまで「原発ゴミ」を付け回す子孫への国家的犯罪だとの想像力の欠片も感じられない。

8月26日に、上関町への原発使用済核燃料中間貯蔵施設について、上関町長が立地調査受入を直ちに受け入れた事を受け、上関町総合文化センターで原子力資料情報室の伴英幸共同代表が「中間貯蔵に必要な施設群」について講演。…会場に入りきれない程の人が集まり関心の高さが感じられた。

9月14日には原水禁山口が山口県知事への申し入れを予定しており、9月20日から開催の山口県議会でも県知事の姿勢を厳しく追及したい。

今日、原発の再稼働を良しとしない国民が多数の筈で、人として当たり前の判断ができる多くの市民がおられることに希望をつなぎ、山口県知事が核のゴミ受入れのための施設建設に同意しないよう取り組みを強めねばならぬ!

最後に、中間貯蔵施設に関して根源的な問題点について、貴重な資料提供をいただいている「サヨナラ原発福井ネットワーク」の山崎隆敏さんに感謝申し上げたい。闘いはこれからだ!