使用済み核燃料「中間貯蔵施設」を上関町に!

使用済み核燃料「中間貯蔵施設」を上関町に持ち込もうとする問題を、9月27日の山口県議会の一般質問で、持ち時間30分のほとんどの約28分を使い、県の姿勢を質すも、まともな答弁が、全く返ってこなかった。

2、使用済み核燃料「中間貯蔵施設」について

原発を建て運転すれば、今回のような使用済み核燃料の処分は必ず避けられない問題になってくる。そこで最初に上関原発から伺います。

上関原発は、法に基づき2001年に電源開発基本計画に組み入れられ、それが単なる閣議了解で重要電源開発地点の指定に変わって以来も、いまだ計画浮上から41年も計画は進んでいないが、電源三法交付金は支給。

「重要電源開発地点の指定に関する規程」では、複数の指定要件を定め、要件のいずれかに適合しなくなった場合、指定を解除する。と解釈するのが自然である。

6月定例会の答弁でもあったが、GX基本方針では原発新設は「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」に限定され、上関原発建設計画はABWR(改良型沸騰水型)だから、上関が要件にある「電源開発の計画の具体化が確実な電源」ではなくなっているのではお尋ねです。

産業労働部理事答弁

 使用済み核燃料「中間貯蔵施設」についての御質問のうち、まず、重要電源開発地点指定に関するお尋ねにお答えします。

 原発の新設については、国が本年2月10日に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」において、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを具体化していくとされています。

 また、その他の開発・建設については、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展、今後の状況を踏まえて検討していくとされたところです。

 一方、上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な問題に関しては、国から、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されています。

 このことから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。

だから、上関町長は、今年2月に経済産業大臣と中電に、見通しの立たない原発の代わりの代替案を求めた。渡りに船とばかりに中電は、関電と一緒になって使用済み核燃料の中間貯蔵施設をやろう。と、関電の金と技術力を使って中間貯蔵施設を造って、何とか上関町の不満を和らげようとしている。と言うことではないか。お尋ねです。

中電さんは、電力販売で関電と競合関係にあり事業者向けの営業を巡りカルテルを結んだとして、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令(707億1,586万円)を受けている。関電に煮え湯を飲まされたようなものだが、よう一緒に組んだなと不思議だが、8月2日の西村経済産業大臣の記者会見で、原発の積極活用を目指す政府方針が後押ししているのが分かった。

「原子力発電を利用するうえで使用済み燃料の貯蔵能力の拡大は重要な課題。エネルギー基本計画でも、事業者間の連携による取り組みの重要性を明記しており、今般の動きはこうした方針に沿ったものと意義あるものと考えている。」と、述べた。

原発敷地内の使用済み核燃料の保管場所が満杯になれば原発は運転できないからだ。

そこで、むつ市に関電は頼んだが拒否された。むつ市がこれまでなぜ関電の使用済み核燃料を拒否してきたのか。それは、再処理工場の操業の見込みも立たず、永久貯蔵地になることを恐れたからだ。中間貯蔵の乾式キャスクの耐用年は50年程度にすぎない。使用済核燃料の放射能は、5千兆Bq/tUから100年後に1/10、1千年後に1/400 にしか下がらない一方、保管容器の寿命ははるかに短い。このことについては福井県若狭町議会全員協議会による三菱重工業神戸造船所視察の際の質問への回答(2004年6月5日)参考資料①を参照ください。

さらに、関電がむつ市の中間貯蔵施設への使用済み核燃料の持ち込みを拒否された理由として、「むつ市の施設は、BWRの受け入れ施設だ。関電のPWRの燃料は許可を取っていない。」との市長インタビューが報道されている。

そうすると、中電の島根原発はBWRだが関電の原発はPWRだから一緒にやれるのかも疑問です。

また、日本には 46 トンもの余剰プルトニウムがあり、原子力委員会は、2018年7月31日に「我が国におけるプルトニウム利用に関する基本的な考え方」を改訂し、「保有プルトニウム量が減らない限り再処理工場を操業しない」方針を打ち出している。そのため、むつ市の中間貯蔵施設について、規制委員会の更田前委員長は、再処理工場が稼働せず、むつ市から使用済み燃料を再処理工場へ搬出することができないまま保管容器の寿命50年が過ぎてしまうことを恐れていました。上関でも、この懸念はまったく払しょくされていません。

こうした核燃料サイクルの現状を冷静に見据えて判断すべき問題を突きつけられているのでは、お尋ねです。

電気事業連合会による2023年3月末時点の「使用済み燃料の貯蔵状況と対策」によると、中電の島根原発は、管理容量680tUに対し使用済燃料貯蔵量460tU(67.6%)で現行の貯蔵施設を活用する。一方、関電の美浜原発は620tUに480tU(77.4%)、高浜は1730tUに1380tU(79.8%)、大飯は2100tUに1820tU(86.7%)になっており、関電の当面の対策方針は、「福井県外における中間貯蔵について、理解活動、可能性調査等を計画的に進め、2023年末までに計画地点を確定し、2030年頃に2000tU規模で操業開始する。計画遂行にあたっては使用済み燃料対策の重要性に鑑み、迅速かつ的確に対応し、できる限り前倒しをはかる。」と、している。

しかし、この間の関電の対応は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設立地条件は、福井県外(関電原発の電気消費地の関西各県)を「原則」として①広大な敷地、②安定した地盤、③港湾などのインフラ整備、を挙げ、これまでに210自治体・地域団体を訪れ、「理解を求める活動」を2千回以上実施するも立地選定に至らず。(福井新聞(2015.10.3)と、また、第3回使用済燃料対策推進協議会(2017.10.24)で、岩根関電社長は、「消費地理解活動について原子力全般に関して延べ32,000回以上、するとともに中間貯蔵施設については延べ6,800回以上、自治体等への訪問説明を精力的に実施するとともに、シンポジウムにて国と連携して中間貯蔵施設の必要性・安全性等について丁寧に説明するなど、福井県外における中間貯蔵施設の立地に向けて鋭意取り組んでいる。引き続き、できる限り早期に具体的な進捗が見えるよう、懸命に取り組んでいく。」としながらも、結局、「大飯3・4号再稼働条件として、福井県外に使用済燃料2000tU規模の中間貯蔵施設立地点を2018年中に公表すると公約しながら達成できず。」、そして、関電は、2023年末までに中間貯蔵施設を確定できなければ、高浜1・2号と美浜3号は運転停止と確約」している中で急浮上したのが上関で、関電にとって渡りに船だ。

また、上関町長の調査受け入れ表明を受け、西村経産相や全国原子力発電所所在市町村協議会長の福井県敦賀市長、関西電力は、直ちにコメントを発表するなど、強い関心が示されている。

こうした背景を考えると、村岡知事が「上関町の判断について云々…」と、静観を決め込む事では無い筈で、核燃料サイクルの行き詰まりの尻ぬぐいの一翼を押し付けられようとする重大事との認識をお持ちでないのか、知事の所見を伺いたい。

産業労働部理事答弁

次に、施設設置に係る調査・検討に関し、上関町の不満を和らげようとしている、核燃料サイクルの現状を冷静に見据えて判断すべき問題を突きつけられている、尻ぬぐいの一翼を押し付けられようとしているとの3点のお尋ねにまとめてお答えします。

この度の中国電力による調査は、上関町からの地域振興策の検討要請に対し、島根原発の安定稼働に資すること、国のエネルギー政策にも合致すること等から、中間貯蔵施設の設置に係る調査・検討を進めたい旨を回答し、上関町が調査の実施を了承され、現在に至っているものと承知しています。

なお、上関町は、中間貯蔵施設の設置については、事業者から具体的な計画が提示された後に判断することとしており、現時点、施設設置の是非を判断しているものではありません。

上関町長は、自分も町議の時、東海第2原発の使用済核燃料乾式貯蔵施設を視察し、金属キャスクに手で触った。「なんだ、倉庫じゃないか」と感じている。町民に実際に見てもらって判断してもらいたい。として 9月6日~14日で開催された上関町議会で、東海原発への住民視察旅行の為の補正予算を提出。

当初予算では4492千円で、企業調査費で計上されていたものに、(款)県支出金・(項)県補助金を電源立地等推進対策交付金、広報・調査等交付金として9008千円増額して、計13500千円に増額補正し、町民理解促進のために研修旅費、食糧費、船舶車両等借上料を補正増額計上した。

8月18日の上関町臨時町議会の終了後、直ちに町長は中電に調査等の受け入れを4項目の要請を付して受諾回答。当日夕方、村岡知事は、「町の判断について私が評価を申し上げるのは控えるべきだと思っている。」、8月9日の会見でも「判断の主体は町、私が口を出すのは控えたい。」と報道されている。

しかし、裏では、「上関町民の東海原発視察旅行」の経費を、元は国の交付金だが、県が仲介して全額補助し、実質的に県が、住民懐柔策に積極的に手を貸していることではないか。お尋ねです。

使用済み燃料は、原発が生み出す死の灰の塊であり、強力な放射線と膨大な崩壊熱を出しています。例え金属キャスク(貯蔵容器)に収納されていても、決して直接人間が素手で触るべきものではない。

視察は、使用済み燃料と中間貯蔵施設の危険性の高い実態を正確に上関町民に伝えるものではなく、むしろ放射能や放射線に関する誤った知見を広めようとするものではないのか。多数の上関町民が「使用済み燃料中間貯蔵施設の実体を誤解するような東海原発視察のための県補助金の支出は撤回すべきではないか。お尋ねです。

県のほぼ全額補助で、上関町が東海原発の乾式貯蔵施設の住民視察会を実施することなので、少なくとも県として次のような点について、日本原子力発電(株)に照会すべきである。そこで、お尋ねです。

  • 乾式貯蔵施設に住民が入室して視察するようだが、住民はどのような放射能汚染防止の措置が取られるのでしょうか。また、線量率測定の機器、測定方法はどうなのか確認されていますか。
  • 貯蔵されている使用済み燃料の仕様データ(燃料の型、原子炉にどのくらいの期間装荷されていたのか、燃焼度、冷却期間等を示してください)
  • 各貯蔵キャスクの表面汚染密度
  • 各貯蔵キャスクの二重蓋の圧力実測値
  • 施設の空間線量率の実測値(測定箇所、測定方法等)
  • 施設の吸気口と排気口の温度実測値

以上の6点について、知事は常日頃から、「県民の安心安全がきちんと確保されるのかが最大の関心ごとだ」と、おっしゃっているので、安全確認をされた上での補助金交付でなければ矛盾するが、お尋ねです。

原発問題では、推進派、反対派の学者の両方の主張が同時に聞けるのは裁判以外ではほとんどありません。しかし、伊方原発サイト内に四国電力が乾式貯蔵施設を造るための講演会は両方の学者を呼んで行われている。また、福井県では、この8月27日に、NUMOとの対話集会が開催されている。

原発はトイレなきマンションだ。とも言われ、今回は、事もあろうにこのトイレを山口県に持ち込もうとする話だから、本県でも、このようなシンポジウムを、この際、電源立地等推進対策交付金を使って開催すべきではありませんか。お尋ねです。

福井でのNUMOとの対話集会における長沢(ながさわ)啓(ひろ)行(ゆき)大阪府立大学名誉教授の講演会資料によると、伊方原発の乾式貯蔵施設の場合、「四国電力による現実的評価」によっても、15年冷却後の使用済燃料を24体収納したキャスクの放射線量率は、キャスク側面表面で197.4μ㏜/h、側部表面から1mで86.0μ㏜/hと非常に高い状態です。このキャスク45基を建屋なしで貯蔵施設に設置すると、その半径約85m圏内を「3ヶ月で1.3m㏜を超える放射線管理区域」に設定しなければならないほど放射線量率が高くなる。そのため、分厚いコンクリート遮蔽壁のある貯蔵建屋が必要になると評価されている。

こうした学者の指摘を無視して、手で触れても大丈夫だからとする東海原発への視察のために、県として上関町に補助金を交付してよいのですか。お尋ねです。

また、参考資料②の下の図を見てください。三菱重工の遮蔽解析の線量当量率の評価結果ですが、キャスク表面側部(底部)は1511μ㏜/h。つまり1.5m㏜/hです。手でさわったら被爆する危険性が高いということでは、どうお考えですか。お尋ねです。

今回の騒動で、上関ではまたまた分断が現れており、町を2分した問題になっています。町民たちが町の将来をどうしたいのか本音の議論をして結論を出すべき問題であり、軽々に判断する前に、それを促すのが県の役割ではないかと思います。また、もし建設となれば、建設による環境影響は言うに及ばず、船舶の運航が頻繁になり、周辺自治体への影響も考えられます。単に、上関町と山口県の2団体で判断すべきでなく、県としては周辺自治体の考えも十分に踏まえる必要があると思います。

交付金により、施設に問題がないことを確かめるための見学より、住民同士が話し合う本音の議論の場を作ることにお金を使うべきだと思います。知事のご所見を伺います。

産業労働部理事答弁

次に、電源立地等推進対策交付金に関し、県が住民懐柔策に積極的に手を貸している、東海第二原発視察のための県補助金は撤回すべき、安全確認した上での補助金交付でなければ矛盾、シンポジウム開催、被爆する危険性、住民同士の議論の場に関する7点の御質問にまとめてお答えします。

上関町において、原子力関連施設への視察研修費に関する補正予算が可決成立しましたが、この予算は、市町が実施する原子力発電に関する知識の普及等の広報・調査等に要する経費に充てるため、国が交付する電源立地等推進対策交付金を活用しています。

この国交付金は、県を経由して町に交付される、いわゆる間接交付という仕組みとなっており、県の一般財源は充てられていません。

このため、町の予算においては、県交付金とされているものであり、県は、制度上の手続きとして、国への交付申請等の事務を行っているものです。

したがって、お尋ねのように県が住民懐柔策に積極的に手を貸している等の御指摘は当たらず、補助金の撤回等も考えていません。

 なお、事業そのものについては、事業主体である町において適切に行われるものと考えています。

使用済み核燃料の中間貯蔵施設は、原発再稼働のためのものであることを今回の騒動は山口県民に突き付けている。「迷惑施設を受け入れた地方と押し付けた都市部」の関係は、フクシマ事故で「原発再稼働を容認する立地自治体と反対する過半数の国民」に変わっている。

そこで、今回の「中間貯蔵施設」問題等に対処するためにも、この際、「県民投票条例」を策定すべきである。県知事のご所見を伺います。

村岡知事答弁

中嶋議員の御質問のうち、私からは、県民投票条例についてのお尋ねにお答えします。

我が国の地方自治制度は、議会の議員と首長をともに住民が直接選挙で選ぶ二元代表制による間接民主制を基本としています。

この制度の下で、県としては、県民の負託を受けた知事と県議会が、県民の皆様の御意見を踏まえ、議論を深めることによって、県行政の推進を図っていくべきと考えていることから、お尋ねの条例制定は考えていません。

その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

また、核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)が北海道幌延町に高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する深地層研究を実施することとなったことを契機に、幌延町は、「深地層の研究の推進に関する条例」を制定し、「研究の期間中及び終了後において、町内に放射性廃棄物の持ち込みは認めないものとする。」と規定されている。これを受け北海道も、「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」(参考資料③)の制定に至っている。

今回の騒動のバックには国・経済産業省の意向が強く働いていることは容易に推察できることから、こうした押しつけに対抗するためにも北海道に倣い、本県も同様な条例を制定すべきである。

以上の2点について、県知事のご所見を伺います。

9月15日、関電の高浜原発2号機が、40年超で3例目、12年ぶりに再稼働。国内で12基目の再稼働です。

しかし、使用済み核燃料については、原発は13ヶ月運転し3ヶ月の定期検査のサイクルで、定検の際に原子炉の核燃料の三分の一の取り換えを繰り返している。取り出し直後の核燃料は膨大な崩壊熱を出し続けるので冷却し続けなければ溶融する超危険な代物です。

高浜の場合4年で、関電全原発でも5~7年で燃料プールが順次満杯に、満杯になれば原発は運転できない。だから上関にだが、中電の長谷川島根原子力本部長が9月7日の島根県議会の委員会で、上関町で計画する中間貯蔵施設の完成時期について「計画段階でまだ造ることができるか分からないが、仮に造れば十数年はかかる」との見通しを示した事を、福井県議会で斉木武志県議(越前若狭の会)が取り上げ、関電は2030年ごろに2千トン規模の中間貯蔵施設の確保を目指すと表明しているが、「約束は事実上、果たせない」と、指摘し質問。杉本福井県知事は「国の原子力政策の根幹は核燃料サイクルを確立すること」などと述べることしかできなかったそうです。

浮かび上がってきた、今回の上関への使用済み核燃料の持ち込み問題の本質は、山口県に、中間貯蔵施設をもってきて永久貯蔵を押し付けようとすることだ。と疑うのが自然ではないか。知事の政治的英断を求めて、伺います。

  • 今回は、上関町が、「原発交付金が無くなれば」、やっていけないので中間貯蔵施設での交付金を当てにしての問題だと事の本質を矮小化すべきではない。単にそうであれば、県が「地方交付税制度があり、財政需要に対する収入の不足分は国から配分される仕組みだから、「原発マネー」が無くても自治体の財政は成り立つようになっている」と、技術的助言を行えば足りる話だ。

そうではなく根の深い大問題だ。

軽水炉原発・再処理工場・高速増殖炉、の三つが三位一体で「核燃料サイクル」。

うち高速増殖炉(もんじゅ)は、ナトリウム漏えい事故など相次ぎ2018年3月に廃止措置。➡プルトニウム増殖とリサイクル計画が事実上破綻。➡もんじゅに端を発する「核燃料サイクル」の破綻の連鎖で、原発サイトのプールにため込まれた使用済み核燃料の行き場がなくなっている。プールが満杯になれば燃料交換ができなくなり、原発の運転もできなくなる。

  • 六ケ所村再処理工場の竣功は、22年度上期としていたのを「24年度上期のできるだけ早期」に変更。延期は26回目。➡設備トラブルによる審査の長期化などで、核燃サイクルは行き詰っている。➡六ケ所再処理工場が「事業困難」になったとき、使用済核燃料は搬出元の原発に返すことが青森県及び六ケ所村と協定されている。➡現状は、六ケ所は、共同貯蔵施設になっている。
  • むつ市の「中間貯蔵施設」は、2013年に完成したが、新規制基準に適合したのは2020年で、この間15年かかっている。さらに、今年8月28日に原子力規制委員会が保安規定をようやく認可。一連の審査が終了。これから追加の安全対策工事が始まる段階です。➡むつ市は協定で、貯蔵期間は…①貯蔵建屋ごとの使用期間は50年間。②金属キャスク貯蔵容器ごとの使用期間も最長50年。③操業開始後40年目までに、搬出について協議することとしている。(再処理工場へと搬出)
  • 原発サイトでは使用済み燃料貯蔵プールが満杯に近づく一方、六ケ所村再処理工場はプルサーマル実施に応じた操業しかできず、リラッキングや乾式キャスク貯蔵施設立地に躍起となっている。

結局、使用済み核燃料の中間貯蔵問題で、何が問われているのか?…原発の運転が続く限り、使用済み燃料が生み出され、「永久貯蔵」が避けられない。

これらのことが、山口県に突き付けられているのではないですか、お尋ねです。

東海村に視察に行くのであれば、東海第二原発の再稼働に対して、「再稼働には周辺6自治体の実質的な事前了解が必要だと定められている」。

地元同意について、立地自治体と県とする地域が多いなか、より厳格な協定と言えるが、こうしたことに学ぶ視察こそ必要とは思われませんか。今回の件で、上関周辺の首長も疑義の声を挙げられているだけに、なおさらだと思いますが。いかがですか。お尋ねです。

上関町周辺自治体の首長ばかりでなく県内複数の首長が懸念を表明されています。そこで、県が主導して、最低限、次の4点について、行うべきですが、お尋ねです。

①30キロ圏内は、原子力災害時にリスクを負う。国そして中電および関電による周辺自治体への説明

②30キロ圏の自治体との「事前了承権」を認める安全協定の締結

③計画遂行に30キロ圏の自治体の合意も必要となるよう改め、法令などに明記

④地球環境に配慮し世界的視野に立った判断を

放射性廃棄物は10万年も管理し続けなければならない代物で、山口県でも、

山口市徳地に9万年前に阿蘇火山の火砕流が到達していた。(山大の助教)

火砕流は水より軽いので海や河川湖沼は障害とならず、水面を疾走する。この火砕流は深刻で、有機物の発火点を遥かに超えるような高温の物質に埋没した場合、使用済み核燃料からの徐熱が長期間不可能となり、逆に加熱されるので、条件によっては、使用済み核燃料の破損や溶融にまで発生し得る。

また、周防大島町の外入自治会には、祠の下の畑(海抜16m)まで津波が到達した。との言い伝えによる「安政南海地震津波到達碑」がたてられている。

それでも永久貯蔵にされかねない使用済み核燃料の中間貯蔵施設に対して、県は静観するだけなのですか、お尋ねです。

調査・検討の段階だから見守る。でいいのでしょか。参考資料④を示しました。

放射性廃棄物の最終処分のためには、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」により、文献調査➡概要調査➡精密調査➡施設建設地の選定の各段階に進むにあたっては、地域の意見を聴き、反対の場合は先へ進まないとなっています。

しかし、中間貯蔵施設の場合は、何の法令もないようで、あるのは「電源立地等初期対策交付金相当部分」が知事同意年度から9.8億円に増えることなどだけで、まるでイケイケどんどんではないでしょうか。県としての対応策を早急に考えておかないと、結局押し付けられるのではと危惧します。この点について、お尋ねです。

産業労働部理事答弁

最後に、北海道と同様の条例制定、永久貯蔵の押し付け、永久貯蔵は避けられない、東海第二原発に係る周辺市村の了解、30キロ圏の自治体合意、県の静観、県としての対応策に関する7点の御質問にまとめてお答えします。

 現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、当該施設に関し、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

最後に、1.9万トンもの使用済み核燃料を生み出した責任は、誰に、どのように?・・・が問われている。この問題を未来に先送りすることは許されません。

しかし、出発点は、目先の利益あるいは、目先の電気のために危険な使用済み燃料を生み出し続ける原発再稼働などは論外であり、ドイツの様に原発を全廃することです。その上で「死の灰」問題の国民的議論を、情報公開と専門家の知見の徹底開示をやったうえで、国民が話し合って決めるべきことだと申し上げ、一回目の質問とします。

【再質問】・・・最新のニュースで、対馬市長が最終処分場への調査受け入れを拒否したと政治判断をされました。そういう政治判断を知事に求めたかったんですけれども、知事が全くお答えいただけなかったのは残念でなりません。

私は、原子力委員会は2018年に保有プルトニウム量が減らない限り再処理工場を操業させない方針へと転換していますと本会議で求めました。これについては、色々、藤本県議が言われたように、実質的に難しいということですけども、それだけではなくて、原子力委員会が2018年にこういう方針を出さざるを得なかったのは、同時に日米原子力協定も自動更新されたからです。ご案内のとおり、その背景には、日本のプルトニウム保有量の多さが国際的に懸念されているからです。だから、プルトニウム量が減らない限り操業させないと。プルサーマルで減らない限りやらないと。これをどうお受け止めですか。このことをやられれば必ず中間、永久貯蔵になるであろうことを申し上げます。

産業労働部理事答弁・・・使用済み核燃料中間貯蔵施設についての再質問にお答えいたします。

政府のプルトニウムの方針に関するお尋ねであったかと存じますけれども、こうした国のエネルギー政策に関する事項につきましては、国の責任において判断されるべきものと考えておりますので、これにつきまして、独自に見解を述べることは考えておりません。

この問題を、酒本県議、藤本県議、井原県議、木佐木県議、河合県議に、私・中嶋が取り上げた。また、自民党の西本県議は賛成の立場で発言した。

まだ、闘いはこれからだ!