パートナシップ宣誓制度の導入を

2,性の多様性と格差について

(1)パートナーシップ宣誓制度について

 我が国の男女格差はなぜ大きいのか? 世界経済フォーラム発表によると、今年のジェンダーギャップ(政治的文化的性差)指数は、146ヵ国中125位です。

教育・健康分野と比べると、政治・経済分野における格差が際立っています。この数値が語る実態が、最優先の政治課題にならないこと自体が問題ではないでしょうか。ジェンダー視点に立脚した、構造的格差の分析が必要です。

 雇用などの際に、事業主による性別を理由にした差別を禁止した法律である、男女雇用機会均等法が成立したのは1985年、男女共同参画社会基本法は1999年、女性活躍推進法は2015年、政治分野における男女共同参画の推進法は2018年、今年はLGBT理解増進法も成立。振り返ると、法の理念と実態との乖離が積み重ねられて今日に至っていることがよく分かります。

性と言えば、つい男女ふたつの性を思い浮かべてしまいがちで、法における性の位置付けも同様であろうかと思われます。

 しかし近年、性は男女の二元論で語られるものではないことが、社会常識になりつつあり、LGBTQ概念の登場は、性を捉える意識を劇的に、かつ大胆に変えてきています。男女二元論に違和感を抱いていた潜在的多数派の感覚は間違っていなかったのです。「男か、女か」という二分類に、肉体的・精神的な科学的根拠を見出せなくなったことも大きい。男女ではなく、無限の性が両極の間に、グラデーションのように存在することが明らかになった。男女二つの性に基づく固定的役割分担や格差に苦悩する人々は、想定以上に多かったと考えられます。

 近代における男女二元論によるジェンダー政治にこそ問題の淵源があったと言えます。歴史的に見れば、多様な性のあり方を発見することができるにも拘らず、近代国家を支える家父長制度には、男女の固定的役割分担を定めたジェンダーイデオロギーが必要不可欠であった。特に戦争や経済には、男女の差別と分断イデオロギーが突出しています。

多様な性を認めず、性を制度として統制し構造化するためには、男女二つの性が前提条件として必要とされたのだ。よって、法的に性別を変えるには困難を極め、人権を損なう手術(生殖機能を無くす)が課せられていた。10月25日、最高裁はこの「性同一性障害特例法」の要件を憲法13条違反とした。画期的な決定と言えます。

 そこで、パートナーシップ宣誓制度についてお尋ねです。

 6月県議会で、この制度について村岡知事は、石丸県議の代表質問に対して、導入するかどうかを含め、ワーキンググループにおいて、検討していきたい。と答弁されました。

いまや19都府県が導入、日本全体の人口に対するカバー率はもう75%を越えています。いまだ導入されないのは何か隘路があってのことなのかを含め、改めて県のご所見をお聞かせください。

環境生活部長答弁…●県では、性の多様性に関する理解促進に向けた取組を加速するため、本年7月に、関係課で構成するワーキンググループを設置しました。●このワーキンググループでは、県民に向けた理解増進施策や、事業主としての県職員への対応等について、当事者団体の意見や他県の例などを踏まえ、検討を進めています。●お尋ねの「パートナーシップ宣誓制度」についても、導入するかどうかを含め、まずは、このワーキンググループにおいて検討しているところです。

➡➡➡24年1月23日に、村岡知事は、LGBTなど性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を、県として導入する方針を、ようやく表明した。