4,学校教育について
文部科学省の誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」(概要)によると、小・中・高の不登校が約30万人に急増し、90日以上の不登校であるにもかかわらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けられていない小・中学生が4.6万人に達しているとしています。山口県に当てはめると、400人程度だと思われます。そこで、山口県内でのこのような児童生徒についての現状と認識についてお伺いいたします。文部科学省では、1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える。2.心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する。3.学校の風土の「見える化」を通じて、学校を「みんなが安心して学べる」場所にすることにより、誰一人取り残されない学びの保障を社会全体で実現する。とされています。市町では宇部市のように不登校の児童生徒を対象にふれあい教室を設置しています。小学校、高等学校に比べて異常に高い出現率の中学校ですが、そのことをどのように認識し、市町への支援をどのようにされているのかお伺いをいたします。
山口県教育振興基本計画(2023年度~2027年度)では、社会の多様化と子どもの権利利益の擁護という項目の中で、社会の多様化が進む中、誰一人取り残されることのない共生社会の実現が重要、子どもたちの抱える困難が多様化・複雑化し、個々の状況に合わせた教育環境の整備が求められている、2023年4月に施行された「こども基本法」を踏まえ、子どもの意見を考慮した施策の展開が必要であるとされています。そうであるならば、なぜこれまで小規模校・分校の募集停止がされてきているのでしょうか。生徒の個々の意見を考慮すれば、大規模校よりも、小規模校・分校を希望している生徒の権利・利益の擁護が最優先されるべきであり、募集停止などは基本計画の目標に反し矛盾していると考えますが、県教委の見解をお伺いします。
高等学校の中途退学者数は、(中途退学率1.1%)371人いるという現実があり、不登校と併せると延べ700人を超える生徒が、教育の機会を享受できていません。と同時に、昨年の宇部西高校、高森みどり中学校、今年の周南地域と柳井地域の5校を2校にすることに対して地域に親しまれ地域の活性化につながっている学校の廃止に反対をしている県民の方が多くおられます。今議会にも、熊毛北高校の存続を求める請願書が提出され、請願者代表の方は、JR岩徳線を利用して通学する生徒がいなくなれば鉄道の廃線につながりかねず地域住民にとって死活問題だ。などと危惧されながら請願書を提出されました。これからの日本の社会を築く生徒たち、地域の活性化のことを考えれば、これ以上の公立高等学校の小規模校・分校の募集停止はすべきではありません。
生徒、保護者、また、地域の方の声を高校再編整備計画にどのように反映されてきたのか、県教委の見解を改めてお伺いいたします。
県教委は大規模校にすることによって、お互いが切磋琢磨して能力向上が図られると、言われていますが、現場で教鞭をとっておられる先生方からは大規模校で、不登校あるいは中途退学の生徒が増えているという話を伺っています。現状認識をお聞かせください。
全国の不登校児童、生徒の登校対策に取り組んでおられる方からは、学校での居場所づくりと同時に、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の取り組みが今まで以上に必要であると言われています。今後県教委は市町とともに、このことに関しどのようにされていかれるのかお伺いいたします。
また、近い将来、廃校が決定されている公立の高校の小規模校・分校を「学びの多様化学校」に再編する必要があると思いますが、県教委の見解をお伺いいたします。
副教育長答弁・・・不登校対策についての数点のお尋ねにお答えします。最初に、「山口県内の児童生徒の現状と認識」についてです。国の調査では、本県の令和4年度の小・中・高等学校の不登校児童生徒数は、3,378人であり、このうち、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けられていない小・中学生の状況は公表されておりませんが、一定数いることは承知しており、不登校対策は、喫緊の課題であると考えています。
次に、「中学校の高い出現率の認識と市町への支援」についてです。中学校においては、進学に伴う新しい環境への不適応等のいわゆる「中1ギャップ」などにより、不登校の出現率が小学校、高校と比べて高く、対策を講じていく必要があると認識しており、市町に対し、教育相談体制の充実に向けたスクールカウンセラーの配置などの支援を行っているところです。
次に、「大規模校における不登校、中途退学の現状認識」についてですが、在籍生徒数と不登校生徒数、中途退学者数との間に関連はないと考えています。
次に、「学びの多様化学校」についてですが、他県の状況等の把握に努めているところであり、引き続き、市町教委と連携し、設置の可能性を検討していくこととしています。
次に、「小規模校・分校の学びの多様化学校への再編」についてですが、現在進めている県立高校の再編整備の中で、高校を学びの多様化学校へ再編することは考えておりません。
次に、高校再編整備計画についての2点のお尋ねにお答えします。まず、小規模校や分校の募集停止などは、山口県教育振興基本計画の目標に反し、矛盾しているのではないか、とのお尋ねについてです。県教委では、本県の将来を担う子どもたちに、より質の高い高校教育を提供できるよう、山口県教育振興基本計画の目標を踏まえながら、再編整備の検討を行っており、御指摘は当たらないと考えています。
次に、生徒、保護者、地域の方の声を高校再編整備計画にどのように反映してきたのか、とのお尋ねについてです。再編整備計画については、パブリック・コメントや地域説明会などを通して、広く県民の方々から御意見をお聞きしながら策定をしてきたところです。