会計年度任用職員の処遇改善を!

(2)会計年度任用職員について

 持続可能な社会には、物資の生産のみならず、人間の再生産(出産)が不可欠です。出産にまつわる関係性は、持続可能性を確保するために、どのような制度設計がなされてきたのだろうか。社会を支えるための人口をどう維持するのか、責任と負担の偏りが限界に達しつつあるのが、今日の「少子高齢社会」であることは確かだ。

 「産めよ増やせよ」と煽ってみたり、「子どもは二人まで」と制限をかけたりと、国家と人口の関係は切り離せないだけでなく、権力の内面化を伴う極めて複雑な問題を宿命のように持っている。

「産む性」であるが故に、女性は家父長制度の下での「保護」が図られてきた。非正規労働者の70%が女性、かつ低賃金であるが、所得税の配偶者控除や年金の第3号制度で守るという論理である。その一方、母子家庭や単身非正規低賃金労働者は、格差と貧困の只中に置かれたままである。そして、家事・育児・介護等、家庭における無償の「愛に基づく」労働が女性にあてがわれてきた。しかし、労働者不足が深刻な昨今、税や年金制度の変更は確実視され、女性の労働力を有効活用しようという潮流になっている。

このような折、労働市場での性差における経済格差の研究者、米ハーバード大学教授のクラウディア・ゴールディン氏がノーベル経済学賞を獲得したことは偶然とは思えない。ジェンダー視点の経済学への期待が高まり、ジェンダー平等と人権に基盤を置いた思想・施策が求められている。

そこで、お尋ねです。

非正規公務員の約8割が女性。公募制度でも、女性が雇い止めになることが多い。仕事の質や熱意、市民対応の善し悪しで評価されず、単に一年経ったから後任を公募する。このような「会計年度任用職員」に関し、本議会に議案第11・12号が提案されており一定評価しますが、この際、公務職場における会計年度任用職員の正規化含め抜本的処遇改善にジェンダー平等の視点をもって取り組むべきと考えますが、県のご所見をお聞かせください。

平屋副知事答弁…性の多様性と格差についてのお尋ねのうち、会計年度任用職員についてお答えします。会計年度任用職員の任用や給与等の処遇については、制度の趣旨や国の事務処理マニュアル等を踏まえ、適切に運用しているところです。また、正規職員の配置については、その業務の量や性質等を踏まえた上で、適正に行っているところであります。県としては、引き続き、会計年度任用職員の任用等について、その性別にかかわらず、適切に対応してまいります。

再質問・・・会計年度任用職員。1年単位の仕事だと言われますけれども、スキルを要する長期間の仕事じゃないですか。毎年履歴書を出し面接を受け、そして毎年毎年1ヶ月の試用期間まである。公募制だと、公募によらない再度の任用回数は国で一律に制限を設けているわけではないと言われながら、すぐに平等取り扱いの原則や成績主義を持ち出す、これって本当に実態と合わないと思いますが、いかがでしょうか。 期末手当を出す代わりに賃金が下がった例。10月から最低賃金が928円になり、大慌てをした市町の例があることを御存知でしょうか。今議会の議案第8号・9号の施行期日は、令和5年4月1日から遡及。議案第10号は令和5年12月1日から適用ですが、会計年度職員に係る議案第11号・12号では勤勉手当の支給についてはさりとて、報酬の引き上げも令和6年4月1日にする。4月に遡及しない。これって差別そのものじゃないですか。改めてお伺いして再質問といたします。

平屋副知事答弁・・・会計年度任用職員についての3点の再質問にお答えを申し上げます。まず、会計年度任用職員については1年単位の仕事ということであるけれども、スキルを要する長期間の仕事ということで、毎年の履歴書提出、面接、毎年1ヶ月間の試用期間があるという運用については、これは実態に合わないと思うがいかがか、というお尋ねがまず最初のご質問でありました。先ほどもご答弁申し上げました繰り返しとなりますけれども、会計年度任用職員の任用や給与等の処遇については、制度の趣旨や、国の事務処理マニュアル等を踏まえて適切に運用しているところであります。 それから2点目は期末手当を出す代わりに賃金が下がった例があって、最低賃金が928円になって大慌てした市町がある例をご承知か、というお話がございました。これについて、他団体の事例については、詳細は承知をしておりません。 それから次に、今回の議案第11号・第12号について、報酬の引き上げが令和6年4月1日いうことになっていることについて4月に遡及しないのは差別そのものではないか、いうことでのご質問がございました。本県の会計年度任用職員については、年度当初の任用時に示した給与等の勤務条件を年度末まで適用していく、ということで運用しております。人事委員会勧告により、常勤勤務の給与を改定した場合でも、当年度当初に示した給与を年度末まで適用している、いうことでありますので、4月に遡及して給与改定を行うことは考えておりません。

 再々質問・・・会計年度任用職員の報酬についてです。4月に、例えば4月に遡及させる条例を市町が制定しても、県としては何ら問題ないと思いますけれども、この点について伺います。今年5月、総務省が遡及改定についても、常勤職員と同様に取り扱う旨の要請を通知を出されているではありませんか。なんら問題ない。当然と考えますが、見解をお伺いをいたしたいと思います。

平屋副知事答弁・・・会計年度任用職員についての再々質問3点ございました。順次お答えを申し上げます。まず、県内市町が遡及して改定をする条例改正等を行った場合に、県として問題はないのではないか、というご質問でございました。県といいますか、各団体、県内市町がそれぞれの事象を踏まえてどのように判断されるかは、これはそれぞれの団体の判断でございますので、これについて検討して御見解を申し上げる立場にはないと考えております。 それから2点目は、国の通知に照らして、給与の遡及適用ができるのではないか、というご趣旨のご質問だったと思います。今お示しのありました国からの通知は、今年5月に国の方から出されたものでありますけれども、その時点においては、すでに今年度における会計年度任用職員の雇用は行われている状況にございました。従いまして、先ほどご答弁申し上げましたとおり、本県の会計年度任用職員については、その年度当初の任用時において給与等の勤務条件を示して年度末までこれを適用する、という形で運用しております。人事委員会勧告により常勤職員の給与を改定した場合でも、年度当初に示した給与を年度末まで適用している、という実態でございますので、4月に遡及をして給与改定を行うことは考えていないところであります。

●コメント…総務省は、今年5月2日付け会計年度任用職員の給与改定について、改定の実施時期を含め常勤職員に準じることを基本とするとして、正規職員と同様に4月にさかのぼって改訂するように自治体に求める通知を出しています。10月20日には地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(総務副大臣通知)が出され、改めて適切に対処すよう要請されています。・・・県は来年度からは行うと言うが、遅い。今度から4月に遡及すべき。