12月議会質疑(2)

 

 

色弱者への配慮を
色覚検査と教育指導
就職時の配慮
カラーユニバーサルデザインの取組

色弱、色覚障害は、先天的で男性に発現することが多く、およそ日本の男性の5%、女性の0.2%、男性の20人に1人が発症をするというふうに見られており、日本は約300万人の色覚障害の人がいると統計的には試算されている。

昔は色盲検査と言われていたが、色覚検査を学校で必ず受けなければならなかったが、いじめや差別を受ける恐れがあるなどのことがあって撤廃をされて、10数年間、必須ではなくなっていた。しかし、そういう検査を受けなかった子供たちが、自分が色弱であるということに気付かぬまま成長して、就職時に初めて自分が色弱であることに気付き、希望した職種、例えばパイロットや自衛官、警察官、消防士、運転士になりたいことを断念しなきゃいけないという事例が報告されるようになり、日本眼科医会から希望者に対する検査の実施の推進要望されたとのことだ。

文科省は、平成26年4月30日付けで「学校保健安全法施行規則の一部改正等について(通知)」、色覚異常及び色覚の検査に関する基本的事項について、保護者等への周知その徹底を図られたとのことが、この辺りの経緯と、少なくとも10数年間の空白期間があった訳だから、現状と今後の方針について教育長に伺う。

さらに、例えば、色弱のみなさんには、タイプによっては緑の地に赤というのは、黄土色の中でほとんど字が見えない、学校で、まさにこれ黒板の状況なんですね。緑の黒板に赤のチョークで先生が文字を書いても、色弱の方には書かれている文字がほとんど読めない現象がおきる。今、健常者にもみんなにも分かりやすくするために、小学校の教科書は全部カラーになっている。

そういう意味で、先ず県教委としてどのように配慮して指導しているのか。

実は、今回この質問をすることにしたのは、千葉県内及び兵庫県内の自治体・一部事務組合の今年度消防採用時において色覚検査実施状況を調査したところ、約4割りで「色覚異常があっても消防業務に支障がないという理由によって色覚検査を行っていない」ことが明らかになり、一方で、約6割では「色覚異常によって消防業務に支障があるという理由によって色覚検査を行っている」ことが明らかになっている。

ちなみに、県内12消防本部に文書で調査協力を依頼したところ、「色覚検査を求めていない」が3本部。「色覚検査を求めて、採用に影響する」が7本部。「色覚検査を求めているが、採用に影響しない」が2本部で、色覚検査の実施状況及び採用の可否が異なり、不均衡が生じている。

採用時の色覚検査について厚生労働省は2001年に「色覚検査で異常とされても大半は支障なく業務が行える」ことから、雇入時健診での色覚検査を廃止し、就職に際して根拠のない制限を行わないよう通達を出している。しかし、各事業者の必要性に基づく検査実施を禁じてはおらず、いわゆる「努力目標」となっている。ナイーブな問題を孕んでいる。

(基発第634号、平成13年7月16日、厚生労働省労働基準局長、労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について)

一方で、就職時に初めて自分が色弱であることに気付き、希望した職種を断念せざるを得ないという事例があいついで報告されている。

これは議論を深めなければならない社会的問題だ。

この厚労省通達について、県としての認識はどうか。

次に、問題は、今の社会は、塗装・印刷・コンピューター技術の発展によって、従来は白黒表示だった様々なものが急速にカラー化している。例えば、公共施設の案内表示・サイン・案内図や、教科書などの教材もそうだ。

色分けによって情報を伝えやすくしたつもりが、かえって一部の人には情報が伝わりにくくなるケースがある。

そして、以前は「障害者」は不便が多くて当たり前だという意識が強かったが、バリアフリーやユニバーサルデザインの思想の普及により、当事者でなく社会の側も、不便に対応するような工夫をしていこうという意識に変わってきている。

そこでお尋ねは、本県のカラーユニバーサルデザインの取組の現状がどうなっているのか。例えばこんなことをやっていますと具体的に特徴的な例を挙げてもらいたい。

最後に、やはり色弱者にも優しい県政を。2020年には東京でパラリンピック・オリンピックが行われる。これに合わせ、国は「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を策定している。どの方にも優しい、そして障害がある、ハンディがある、事情があるなしにかかわらずそれぞれが輝いていく、そうしたユニバーサルデザインの先進県になる県づくりの抱負を、村岡知事に問う。

村岡知事答弁

中嶋議員の御質問のうち、私からは、ユニバーサルデザインの県づくりについてのお尋ねにお答えします。

 年齢や障害の有無等にかかわりなく、誰もが、住み慣れた地域で、心豊かに安心して暮らすことができる社会の実現に向けては、高齢者や障害者等の日常生活や社会生活を制限する様々な障壁を取り除くことが重要です。

このため、県では、「山口県福祉のまちづくり条例」や「ユニバーサルデザイン行動指針」に基づき、年齢、性別、身体等に関わらず、「すべての人」に利用しやすい環境を整備していくユニバーサルデザインの取組を推進してきたところです。

 こうした中、お示しのとおり、国においては、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、「ユニバーサルデザイン

2020(にーぜろにーぜろ)行動計画」を策定し、「ユニバーサルデザインのま

ちづくり」と「心のバリアフリー」の両面から取組を進めていくこととされました。

 国が示したこの方向性は、本県のこれまでの取組と軌を一にするものであり、私は、今後、国の動きとも呼応し、県民、事業者、市町等の理解と協力を得ながら、一層の取組を推進することとしています。

具体的には、高齢者や障害者等の移動や施設の利用における利便性・安全性の向上を図るため、公共的施設等のハード面でのバリアフリー化を進めるとともに、より多くの県民に、障害のある方への配慮やちょっとした手助けを行う「あいサポート運動」への参加を呼びかけるなど、「心のバリアフリー」が広まるよう、県民運動として取組を展開してまいります。

私は、こうした取組を通じて、誰もが分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて取り組んでまいります。

教育次長答弁

①まず、平成26年の文科省通知の経緯等についてです。

文科省は、色覚検査については、その結果が異常と判別された場合でも、大半は学校生活に支障がないことから、平成15年度からの健康診断の必須項目から削除し、色覚に不安を覚える児童生徒及び保護者に対し、要望に応じて個別に検査、指導を行うなど、必要に応じ、適切な対応ができる体制を整えるよう通知したところです。

 その後、就職時に初めて色覚による就業規制に直面するという実態の報告等があったことから、平成26年に、より積極的に保護者等に周知を図るよう改めて通知を発出したところです。

県教委では、これらの通知を踏まえ、平成15年度以降、色覚検査を希望される児童生徒及び保護者に対し、適切な対応ができるよう体制を整備するとともに、市町教委に同様の対応を求めたところであり、引き続き、適切な対応に努めてまいります。

②次に、県教委として、どのように配慮して指導するのかとのお尋ねについてです。

県教委では、教職員は色覚異常について正しく理解し、

学習等において、適切な指導を行う必要があると考えており、例えば、授業での板書や掲示物、実験・実習における工夫や、登下校時の安全指導における配慮などを行っているところです。

県教委といたしましては、色覚に不安を覚える児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、今後とも市町教委等と連携を図りながら、適切な対応に努めてまいります。

商工労働部長答弁

平成13年に労働安全衛生規則の一部改正が行われ、雇入時健康診断の健診項目としての色覚検査は廃止されたところであり、同時に、厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長あてに、規則改正の趣旨を関係者へ周知徹底し、その運用に遺漏がないよう求める通達が出されています。

この通達では、各事業場における個別の必要性に基づく自主的な色覚検査を禁止するものではないが、職務に必要とされる色の識別能力を判断する際は、各事業場で用いられている色の判別が可能か否かの確認を行う等にとどめることが望ましいとされているものと認識しています。

健康福祉部長答弁

県におきましては、色覚に障害のある方にもわかりやすい色使いや表記の方法を示した「カラーバリアフリーガイド」を策定し、庁内はもとより、県内市町や建築士会等に対し、理解と協力の働きかけを行っています。

 また、公共的施設の案内板等の整備基準を定めた「設計マニュアル」において、文字の色を、地色と明度の差の大きい色とすることや、図形、記号等によって表示するなど、識別を容易にするための基準を定め、整備を促進しているところです。

県としては、こうした取組を通じ、今後とも、市町や事業者等の理解、協力を得ながら、カラーユニバーサルデザインの推進に努めてまいります。