18年11月議会質問③運転免許証の自主返納

報道によると、警察庁が発表した75歳以上の運転者の認知症のおそれがある方は、改正道路交通法が2017年3月12日に施行されてから今年3月31日までの約1年間に「認知機能検査」を受けた210万5,477人のうち、認知症のおそれがあるとされる「第一分類」に判定された人は5万7,099人、率にして約2%に上ったそうです。そして、「第一分類」と判定され、医師の診断などを経て「免許の取り消し、停止」になった方は1,892人であったとのことです。

山口県の場合は、検査を受けた28,717人のうち、認知症のおそれは704    人、率にして約2.5%、最終的に免許の取り消し、停止は3人だったようです。

しかし、いったん「第一分類」と判定されると、運転免許証を自主返納したり、そのまま放置して失効を待つなど、40%以上が、運転免許証の更新をあきらめられているようです。

2017年度の自主返納件数は、全国で42万3,800件で前年度比7万件以上の増のようです。

そこで、警察本部長にお尋ねします。山口県警察では、「運転卒業証制度」を導入・実施されていますが、この制度は、どのような効果をもたらしていると評価されているのか、また、今後、どう取り組んでいこうとされているのかお伺いします。

警察本部長答弁

運転卒業証制度の効果と今後の取組についてお答えいたします。

本県では、運転に不安を感じる65歳以上のドライバーが運転免許証を返納しやすい環境を整備するための取組の一つとして、平成20年に「運転卒業証制度」を開始しました。

この制度は、ドライバーが免許証を自主返納された場合、運転卒業証と運転卒業者サポート手帳が交付され、手帳を提示すれば、この制度にご協力いただいている自治体、事業体からバス、タクシーの料金割引などのサービスを受けることができるもので、本年10月末までに累計約34,000人の高齢ドライバーが免許証を自主返納されました。

この制度の効果についてですが、平成20年から平成29年にかけて、高齢ドライバーの免許人口が約17万3千人から25万6千人へと約50%増えているにもかかわらず、高齢ドライバーが引き起こした人身事故件数は、逆に約1,300件から1,100件へと約15%減少していることを考えますと、高齢ドライバーが引き起こす交通事故の抑止に一定の効果を挙げているものと認識しております。

しかし、運転に不安を感じながらも、車がないと生活が不便であることから、免許証の返納をためらう高齢ドライバーも多くいらっしゃいます。このため、このような高齢ドライバーが免許証を返納しやすくするためには、地域社会が一体となって、生活交通の利便性の向上を図る必要があると考えております。

こうした観点から、県警察としましては、本年全ての自治体に対して、免許証を返納した高齢ドライバーへの支援措置、たとえば、コミュニティバスの運行や公共交通機関の利用料金の割引などでございますけれども、こういった支援措置の新設・拡充を要請したところであります。

こうした中、美祢市においては、国土交通省から地域公共交通再編実施計画の認定を受け、乗り合いタクシーの運行地区の拡大などを行ったと聞いており、県警察としましても、このような自治体の制度の利用に着目しているところであります。

県警察としましては、引き続き、自治体や事業体と協力して、運転に不安を感じる高齢者が運転免許証を返納しやすい環境の整備に努めてまいります。