イージス・アショア

2019年6月議会

 イージス・アショアは、対外有償軍事援助(FMS)という米国独特の売買方式で契約されます。FMSは、契約価格、納期は見積もりであり、米国政府はこれらに拘束されない、代金は前払い、米国政府は自国の国益により一方的に契約解除できるという不公平な条件で、一般的な商売と異なり、購入する側に著しく不利な内容となっています。 これまでは、輸出産業を守るために農業を犠牲にし、農産物の自由化を進めてきましたが、TPP11の発効により、ほかに提供するものがなくなり、高価な武器を購入し米国の赤字を解消しようとしているのです。  

   防衛省は、イージス護衛艦を8隻体制とすることを既に決めていますので、全国をカバーできるミサイル迎撃体制は整っており、イージス・アショアは過剰な装備なのです。だから、これまで防衛大綱や中期防衛力整備計画にありませんでした。一国の安全保障政策の基軸となる大綱とそれに基づく武器調達計画である中期防衛力整備計画を、国会に諮らず閣議決定で決めるとは言語道断です。

   このような弾道ミサイル防衛システムの計画性とイージス・アショアの配備の必要性について、大きな疑問を持たざるを得ません。このことについて、知事の御所見をお伺いいたします。  

   次に、県民は、電磁波の影響を非常に心配しています。イージス・アショアのハワイの実験場は、広大な土地で、住宅地とは離れており、人的被害がないと言われています。それでも、ハワイの実験場の入り口には「放射線危険区域」という看板があります。ルーマニアの基地の上空も、電磁波の影響を避けるために飛行禁止区域になっています。京都府の京丹後市に米軍のXバンドレーダーが設置されていますが、ドクターヘリが9回もレーダー波を止めてほしいと願い出ています。強烈なレーダー波を出すので、周辺は6キロメートルの幅で6キロメートルの高さまで飛行禁止区域になっています。むつみ演習場にイージス・アショアが配備された場合、ドクターヘリや消防防災ヘリコプターによる海難事故の救出に影響は出ないのでしょうか。  

  防衛省がイージス・アショアに採用するのは、アメリカロッキード・マーチン社の「LMSSR」という開発途上にあるレーダー・システムです。この未完成のレーダー機器を持ち込んでも、正確な環境影響調査はできません。将来、電磁波の影響によって脳腫瘍や小児がん、白血病など、健康を損ねる県民が出た場合、誰が責任を取るというのでしょうか。電磁波の影響調査と健康被害について、知事の御所見を伺います。  

  また、なぜ山口県と秋田県かについて伺います。

    北朝鮮から山口・秋田を直線で結ぶと、グアムとハワイに行き着きます。このため、「グアムとハワイの米軍基地を守る」というほかに理由が見つかりません。日本を守るのではなく、アメリカを守るために山口・秋田は最適地なのです。米国の基地を守るために、なぜ日本が巨費を投じなければならないのでしょうか。このことについて、知事の所見をお伺いします。 15日に阿武町であった住民説明会を防衛省は強制的に打ち切ったそうですし、その前のむつみでは非公開の地元説明会をおこなったり、配備ありきの住民説明会であってはならないと思います。 知事は県民の安心・安全を守るためにも、毅然とした態度を示すべきであります。この議場でイージス・アショア配備に反対を表明するなら、村岡知事は、五十年、いや百年にわたり山口の平和に命をかけた知事として称賛されることは間違いありません。胸にある気持ちを是非お聞かせ願います。

    北朝鮮から山口・秋田を直線で結ぶと、グアムとハワイに行き着きます。このため、「グアムとハワイの米軍基地を守る」というほかに理由が見つかりません。日本を守るのではなく、アメリカを守るために山口・秋田は最適地なのです。米国の基地を守るために、なぜ日本が巨費を投じなければならないのでしょうか。このことについて、知事の所見をお伺いします。

  15日に阿武町であった住民説明会を防衛省は強制的に打ち切ったそうですし、その前のむつみでは非公開の地元説明会をおこなったり、配備ありきの住民説明会であってはならないと思います。 知事は県民の安心・安全を守るためにも、毅然とした態度を示すべきであります。この議場でイージス・アショア配備に反対を表明するなら、村岡知事は、五十年、いや百年にわたり山口の平和に命をかけた知事として称賛されることは間違いありません。胸にある気持ちを是非お聞かせ願います。

答弁

  まず、弾道ミサイル防衛システムの計画性とイージス・アショアの配備の必要性については、いずれも国の防衛政策に関する事柄であり、国民の生命・財産を守る立場から、国が責任を持って判断されるべきものと考えています。  

  なお、お示しのイージス護衛艦に関しては、我が国周辺において警戒監視任務等の所要が大幅に増加する中、8隻体制では、1年以上の長期にわたって防護態勢を取り続けることは困難であるとされています。

 次に、ドクターヘリや消防防災ヘリコプターによる海難事故の救出に影響は出ないのかとのお尋ねです。 この度の国の調査結果では、平素、ドクターヘリ等の緊急ヘリの運航に影響はなく、万が一にも運航に影響を与えることのないよう、今後、関係者と協議の上、具体的な連絡調整の手続きを定めるとされています。

  次に、電磁波の影響調査と健康被害についてです。 国によれば、イージス・アショアのレーダー波の影響については、搭載予定のレーダー「LMSSR」を開発中の米国からレーダーの諸元に関して必要な情報提供を受け、これに基づき計算されています。

  その結果として、レーダーから半径230mを超える場所では、レーダー波の強さは国の電波防護指針の基準値を下回ることから、人体への影響はなく安全とされており、また、このことを踏まえて設定する半径230mのレーダーの保安距離は、むつみ演習場の敷地内に収まっています。

 なお、これらについては、今後、県としても確認を行っていくこととしています。 次に、米軍の基地を守るために、何故日本が巨費を投じなければならないのかとのお尋ねです。  国からは、イージス・アショアは、あくまでも我が国の防衛のために配備をするものであり、むつみ演習場と秋田の新屋演習場に配備できれば、弾道ミサイルの脅威から24時間365日、日本全域を守り続けることができるとの説明を受けているところです。

 次に、県民の安心・安全を守るためにも、毅然とした態度を示すべきとのお尋ねです。  県としては、国の役割と責任に属する防衛政策を尊重する一方で、県民の安心・安全を確保する立場から、言うべきことは言うとの基本姿勢の下、引き続き、国に対し、住民の思いに寄り添った詳細かつ丁寧な説明を何度でも重ねるよう、強く求めてまいります。