原発ゼロ基本法案

原発は、一度過酷事故が起こると手の施しようがなく、仮に事故が起きなくとも、放射性廃棄物を排出し、10万年という途方もない年月の間、管理しなくてはなりません。福島第一原発事故後の実態を見れば、原発なしでも電力供給にまったく問題はありませんでした。

このような中、社民党を含む野党4党は、2018年3月、原発ゼロ基本法案を共同で衆議院に提出しました。その内容は、全ての原子力発電所を速やかに停止し、法施行後5年以内に全ての原発の廃炉を決定すること、原子力発電から再生可能エネルギーへの導入や省エネルギーの徹底にシフトすることなどを柱とした法案です。

政府の原子力政策の行き詰まりは明らかであり、私は、原発事故原因の徹底した究明と事故の収束を優先させながら、実効性ある防災・避難計画を策定するとともに、既存原発の再稼働を断念して、核燃料サイクル計画から全面撤退し、再生可能エネルギーの導入を促進するため、国が政策の抜本的な見直しを行うことにより、原発ゼロ社会に転換しなければならないと考えます。

そこで、お尋ねいたします。

2018年3月に、野党4党が共同で国会に原発ゼロ基本法案を提出しましたが、残念ながら与党はこれまで一度も法案の審議に応じず、議論すら行われていません。今日の原発をめぐる状況に鑑み、原発ゼロ基本法案について、また、国のエネルギー政策の方向について、県の御所見をお聞かせください。

商工労働部理事答弁

 原発ゼロ基本法案及び国のエネルギー政策の方向についてのお尋ねにお答えします。

 エネルギーは、国民生活の安定向上並びに国民経済の維持・発展に欠くことのできないものであり、エネルギー政策は国家運営の基本です。

 したがって、原子力など様々なエネルギーをどう利用するかについては、エネルギー政策の基本的視点である、安全性、安定供給、経済効率性及び環境適合を踏まえ、国の責任において判断されるべきものと考えています。

また、お示しの原発ゼロ基本法案については、審議の進め方も含め、国会の場において判断されるべきものと考えています。

コメント…原発ゼロ基本法案への答弁、納得いきません。

 福島原発事故は、地震や津波の被害と原発の放射能の被害が複合、増幅し合い、救援と事故処理、そして住民避難がともに困難をきわめる原発震災となりました。原発事故から8年余を経た今も、原発事故の原因は十分に解明されず、汚染水や汚染土の処分問題などが深刻さを増し、事故の収束すらおぼつかない状況であります。

 しかも、原発事故の処理にかかわる費用は、賠償、除染、廃炉費用などで政府の試算の見直しが行われ、現在は約22兆円とされている一方、非営利の民間研究機関である日本経済研究センターの試算では、最大で81兆円を見込んでいます。

 原発の電力は安いというのは全くの虚構であり、いずれにせよ、これらの費用は全て税金か電気代に転嫁されるのでありますから、県民生活にも影響する問題だ。