18年11月議会質問⑤認知症対策について

「認知機能検査」は免許証を持つ人は対象となりますが、それ以外の人は対象外です。しかし、この結果で、見えてくるのは、運転者でも全国で約2%の人が、山口県で約2.5%の人が認知症を疑われるということですから、実際の総数は、これよりもはるかに多くなります。厚生労働省の調査では、2025年には、日本における65歳以上の高齢者は3,657万人、人口の3割以上に上り、そのうち認知症の方は700万人前後となり、高齢者の5人に1人は認知症になるとも言われています。

さらに、2060年までには、日本人の平均寿命は、男性は84歳、女性は90歳を超えるとの予測もあり、ますます認知症の方への対応が無視できない状況になっています。

このような中、最近では、認知症をAIでケアするという技術も進んできています。大阪工業大学の佐野教授の研究室では、認知症の方が安全に料理ができるように、小さなモニターとカメラがついたスマートグラスをつけて包丁を使うと、包丁から数秒間目がそれると、モニター上に警告があらわれるというシステムだそうです。また、人の代わりに見守るシステムなど、認知症をケアする技術やアプリが次々と開発されており、超高齢化社会に向けての不安がうかがえる一方で、ヘルスケアにAIを活用した領域が伸びています。科学の分野では歩みを進めている現状を知ることができますが、実際の生活の中での認知症対策は、まだまだ進んでいないように感じます。今後の高齢化社会の到来と少子化の状況を見ると、個々の責任において対応していくことが難しくなることは目に見えています。

それでは、行政としてどのようにかかわっていくのか。これまで県は、認知症予防の視点から、

例えば、シンポジウムの開催や普及啓発に力を入れているのではないかと思いますが、そもそも、どんな取組をしておられるのか?まずお尋ねします。

その上で、それも大事な視点ですが、どれだけ予防を行っても認知症になる方がいらっしゃるのもまた現実です。そして、認知症の方を在宅で抱える家族の御苦労は、はかり知れないものがあります。今後は、家族の精神的、身体的負担を軽減する観点からの支援や家族の生活と介護の両立を支援する仕組みも必要となってきます。いずれにしても、今後も認知症の方は間違いなく増加すると見込まれる中で、申し上げた最新技術の動向も踏まえながら、認知症の方やその家族の生活をいかに支え、そして社会と共生していくかといったことに力点を置いた施策が重要になってくると考えます。

そこで、今後、認知症の方や家族が安心して暮らしていける生活面での支援について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、ご所見を伺います。

健康福祉部長答弁

認知症対策についてのお尋ねにお答えします。

 まず、認知症予防に関するこれまでの県の取組については、9月の認知症予防月間を中心に、全県的な街頭キャンペーン等を実施し、認知症に関する知識の普及啓発に努め、正しい理解の促進に取り組んでいます。

また、運動と計算等の知的活動を組み合わせた認知症予防運動プログラムを実践する指導者を養成し、市町が健康教室等で行う認知症予防の取組を支援しています。 

 次に、認知症の人や家族への生活面での支援についてです。

まず、認知症の本人や家族からの相談役となる「認知症地域支援推進員」を養成し、認知症の容態に応じた適切な介護や生活支援サービスが受けられるよう支援しています。

また、家族の精神的負担を軽減するため、「認知症コールセンター」を設置し、認知症介護経験者による家族介護者の視点に立ったきめ細かな助言を行っているほか、本人や家族等が集い、安心して過ごせる「認知症カフェ」の普及に向け、活動事例等を発表するイベントを開催することとしています。

さらに、認知症の人を地域で見守り支援するため、「認知症サポーター」を引き続き養成するとともに、市町を越えた見守りネットワークの強化に向け、地域包括支援センター職員を対象とした研修会を開催してまいります。

県としましては、市町や関係団体と連携し、認知症の人や家族が安心して暮らしていけるよう、認知症対策に取り組んでまいります。