2019年2月定例県議会(6)

上関原発と公有水面埋め立てについて

2012年10月、15年5月、16年6月22日の計3度にわたる公有水面埋立免許延長申請を村岡知事は先延ばし先延ばししながら許可。同時に知事は「原発本体の着工時期の見通しがつくまでは埋め立て工事をしない」よう要請。中国電力も従ってきましたが、免許期限の今年7月6日が迫ってくる中、中国電力の社長は、「7月期限を迎える公有水面埋立免許について、ぜひ延長申請したい。」と述べたと、報じられています。 またまた、延長申請と許可を繰り返しながら、結果として、「原発の新増設について現時点では想定していない」(安倍晋三首相)とする政府方針の転換を待つ。茶番が繰り返されるのではないかと危惧しています。 要するに、「実際の申請があれば、改めてその時点で正当な事由があるかどうか審査する」と言いながら、結局「上関原発は依然として重要電源開発地点に指定されているので、埋立免許延長申請も認める」ということが、「繰り返えされてはならない。」と思います。 これらの点について、許可権者たる都道府県知事としてのご所見を伺います。 法的には、認めないことが当然なのですが、あまりにも当然のことなので、法律上の規定はなく、それをいいことに政治的判断で認めるということが繰り返されてはたまりませんので、視点を変えてお尋ねします。 上関原発に係る漁業補償がなされたのは2000年であり、補償後に漁業を始めた漁民も多数いますので、補償後19年以上も経った時点で着工するには、改めて漁業補償をしなければならないと考えるのが自然です。 埋立法8条は、「補償しなければ着工できない」と規定していますが、補償の対象となる漁民は「埋立工事で損害を受ける漁民」ですから、19年も前に補償したからといって、8条をクリアしたことには当然なりません。 この点について、お答えください。

土木建築部長答弁

まず、上関原発は重要電源開発地点に指定されているので、埋立免許延長申請も認めるということが繰り返されてはならないとのお尋ねです。 公有水面埋立法において、許認可を行う場合、提出された申請書に基づき判断することとされており、県としては、申請がなされた場合には、その時点において、法に従って正当な事由の有無を厳正に審査し、適正に対処します。 次に、漁業補償後19年以上も経った時点で着工するには、改めて漁業補償をしなければならないのではないかとのお尋ねです。  公有水面埋立法上、埋立工事の着手に当たっては、埋立工事の施行区域内の漁業権者に対する補償が必要ですが、漁業権者である山口県漁業協同組合への補償はなされており、その上で、事業者は、埋立工事に着手しています。  したがって、公有水面埋立法第8条に定める補償は既に完了しており、その補償後に漁業を始めた方がおられたとしても、公有水面埋立法上は、年月の経過により、改めて補償をする必要はありません。  


2019年2月定例県議会(5)

日米地位協定の抜本的改定について

昨年7月27日に札幌で開かれた全国知事会が全会一致で日米地位協定の抜本的改定を求める提言を採択している事についてです。  米軍基地のない府県を含む47知事の「総意」は極めて重いものだと思います。  知事会は、故翁長雄志(おながたけし)・沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」という訴えを受け、沖縄の実情に加え、やはり米軍基地を抱えるドイツ、イタリアの調査も踏まえ、2年近くかけてまとめた提言です。  提言は、航空法や環境法令などの国内法を米軍にも原則適用することや、事件・事故時の自治体職員の立ち入りなどを地位協定に明記するよう要請しています。  極東一の米軍基地に機能強化された岩国基地を抱える山口県知事として、この全国知事会提言に関してのご所見を、改めてお伺いします。

総務部理事答弁

日米地位協定改定に関する全国知事会の提言についてのお尋ねにお答えします。  基地に起因する諸問題を抜本的に解決するためには、地位協定の改定が必要と考えており、毎年度、基地を抱える都道府県で構成する渉外知事会において、改定項目を取りまとめ、日米両政府に要請しているところです。 全国知事会の提言に盛り込まれた、お示しの国内法の米軍への原則適用や事件・事故時の立ち入りなどについても、渉外知事会において、従前から重点要望しているものです。 県としては、提言が求める地位協定の改定に向けて、引き続き、基地を抱える自治体共通の課題として、関係自治体と連携しながら、国や米側に対し、粘り強く働きかけてまいります。


2019年2月定例県議会(4)

新たな森林管理制度について

森林経営管理法が成立、この4月1日には施行され「新たな森林管理制度」がスタートします。 所有者が管理できていないと市町が判断した森林について、市町が業者らに伐採などを委託できる。  伐採には森林所有者の同意を前提としているが、もし同意が得られない場合でも市町の勧告や県知事の裁定があれば伐採を可能とする特例もある。  11齢級(樹齢55年)以上のものはすべて伐採していく方向。などが打ち出されています。  戦後の水害対策もあって、拡大造林計画として全国各地にスギ・ヒノキ・カラマツ・アカマツ等を植えた。スギはすでに伐採期を迎えたので、今度は拡大伐採計画だ。などとの批判の声も上がっているが、こうした批判に対し、県はどのような認識でおられるのか?先ずは、ご所見を伺います。 関連して、森林環境贈与税は、国税として創設される森林環境税の全額を、地方に配分されるために創設されると聞いていますが、県と市町との贈与割合は、2024年度までは県の割合を総額の2割とし、その後、段階的に減らしながら、2033年度以降は総額の1割となるそうですが、当面、県に配分される額と各市町に配分される額はそれぞれどれぐらいを見込んでおられるのか? やまぐち森林づくり県民税とのすみわけをどのように検討されているのか? いわゆる五十年で皆伐という大規模経営だけではなくて、小規模林業、自伐型の林業がきちんと持続できるように、目配りをしていくべきと思いますが、この点についてどうお考えでしょうか? それぞれについて、お尋ねします。

農林水産部長答弁

新たな森林経営管理制度に関する4点のお尋ねにお答えします。 まず、森林経営管理制度への批判に対する県の認識についてです。 報道等で、災害に繋がる乱伐を招きかねないなどの批判があることは承知していますが、この制度は、森林の多面的機能の発揮等を目的としており、お示しのような伐採を促進する制度ではなく、森林を将来にわたり適切に管理するための制度であり、批判は当たらないものと認識しています。 次に、県及び市町への配分額についてです。 現段階で試算したところ、来年度は、県に7,180万円、市町に2億9千万円が譲与される見込みです。 次に、森林づくり県民税とのすみわけをどのように検討しているのかとのお尋ねです。 森林づくり県民税については、その活用により、これまで実施してきた、林業経営に適さない奥山の荒廃森林の整備等の事業に取り組みます。 また、森林環境譲与税については、市町が森林経営管理法に基づき行う、林業経営に適した森林の集積やその整備、県が行う市町の取組への支援に活用することとしています。 次に、自伐型の林業についてです。 県では、これまでも自伐型の林業を営む事業者に対し、植林や下刈り、間伐等への支援を行うとともに、林業指導センターにおいて技術指導等を行っており、今後もこうした取組を継続する考えです。  


2019年2月定例県議会(3)

災害時の避難所の改善について

昨年発生した大阪北部地震や西日本豪雨、北海道胆振東部地震では、体育館で身を寄せ合う避難生活の光景が報じられ、避難所が体育館生活であることが当たり前のようにTVで報じられる光景になっていますが、海外の避難所の実態とは大きなギャップがあることが知られるようになってきました。 イタリアでは、国の官庁である市民保護局が、避難所の設営や生活支援を主導します。2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、初動48時間以内に6人用のテント約3000張、18,000人分が設置され、最終的には約6000張、36,000人分を行き渡らせました。テントは約十畳の広さで、電化され、エアコンつきだそうです。各地にテント村が形成され、バス・トイレのコンテナも設置されました。イタリアでは、自治体任せにせず、国家が備蓄をすることで全国各地への迅速な対応を可能にしている点も大いに見習うべきです。 それに比べ、日本の現実との何たる開き。そもそも災害避難用や宿泊用の施設ではない、一人当たりの面積が狭い、常に騒音や混雑感があり落ちつかない、一人用のベッドや布団が不足している、エアコンや入浴施設がない、調理施設がなく温かい料理が供給されないなど、我慢と忍耐の体育館での避難生活。 熊本地震では、地震の後で体調を崩すなどして死亡に至った震災関連死のうち、45%に当たる95人が避難所生活や車中泊を経験していたとNHKは伝えています。劣悪な避難生活が避難者の健康と命を削っているのです。学校の廊下で寝起きをした例、一人当たり一畳ほどしかない避難所、難民キャンプより劣悪という声も出たそうです。 海外の避難実態を調べる中で、国際的な基準があるのを知りました。スフィア基準と言い、国際赤十字等が提唱する災害や紛争時の避難所の最低基準で、次のように定めています。 世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する。一人当たり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する。最適な快適温度、換気と保護を提供する。トイレは20人に一つ以上、男女別で使えること。 なぜ経済力豊かな日本の避難所は劣悪な環境なのか。そんな基準があることすら私たちに知らされずにいることを嘆かざるを得ません。 そこには国際社会との考え方の違いがあると言われています。スフィア基準は、単なる避難所の設置基準ではありません。正式名は、「人道憲章と人道対応に関する最低基準」であり、「災害や紛争の避難者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある。避難者への支援については、第一にその国の国家に役割と責任がある。」と定めています。つまり、避難者は人として尊厳ある生活を営む権利が当然保障され、国や自治体の都合で生活環境を決められるのではないということです。これは、避難者の自己決定権が尊重され、避難所の運営や援助の方法の決定プロセスに可能な限り参加し、意向が反映されるべきであることを意味します。 そして、この基準は理想を掲げたものではなく、アフリカの難民キャンプで多くの人が亡くなったことをきっかけに策定された避難者の尊厳と健康、命を守るための実践的な最低基準であることを理解しなければなりません。 調べてみたところ徳島県では、2015年度から災害関連死ゼロを目指して、スフィア基準を取り入れた避難所の環境整備が行える体制を構築するため、市町村職員、社協職員、災害時コーディネーター、医師、看護師等の防災関係者を対象に研修を実施しています。また、平成29年3月、避難所運営マニュアル策定指針にスフィア基準を一部盛り込んだと聞きました。 そこで、伺います。 本県は、これまでこうした基準の内容を明確に示した上で、市町に対し、それに基づく避難所運営マニュアルの作成等を促したことがあるでしょうか。 村岡知事は、災害に強い県づくりを推進するため、平成30年7月豪雨災害を教訓として、災害時における「逃げ遅れゼロ」の実現を目指す。 ソフト、ハード両面から防災・減災対策を来年度の最重要課題とする姿勢を示されています。加えて、スフィア基準を満たし、また、避難者の自己決定権が尊重され、避難所の運営や援助の方法の決定プロセスに可能な限り参加できる避難所の環境整備が行える体制を構築すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

総務部長答弁

災害時の避難所の改善に関する2点のお尋ねにお答えします。 まず、市町に対し、スフィア基準を明確に示した上で、これに基づく避難所運営マニュアルの作成等を促したことがあるのかとのお尋ねです。 避難所の質の向上を図ることは、災害関連死を防ぐ観点からも、大変重要であると考えています。 このため、県では、「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」において、お示しの「スフィア基準」も参考として掲げ、避難者1人当たりの所要面積の目安を示すなど、市町における、避難所の質にも配慮した「避難所運営マニュアル」の作成を促しています。 次に、避難者が避難所の運営や援助の方法の決定プロセスに可能な限り参加できるなどの体制を構築すべきとのお尋ねです。 県としては、避難所生活が長期化する場合にあっては、避難所運営は、住民が主体となって実施することが必要であると考えています。 このため、現在、住民自らが避難所のレイアウトや運営方法等について、あらかじめ、市町や学校等と話し合い、地域オリジナルの「避難所運営の手引き」を作成する取組を、市町と連携して進めており、引き続き、県内への普及を図ってまいります。


2019年2月定例県議会(2)

1 地域内経済循環システムの推進について

(2)地域内経済循環の取組について

市町村消滅論が幅をきかす中、過疎発祥の地島根県では、全く正反対のデータが注目されています。島根県の再生戦略の理論的支柱である藤山 浩先生は、中山間地域の三割以上のエリアでこの五年間に四歳以上の子供がふえており、特に離島や山間部で若い世代のUターン・Iターンが目立っていると報告されています。 島根県の戦略はいたって明確です。地方経済が衰退した真の原因は、中から外への所得の流出。地方において人口を取り戻すには、年間に地域の人口の一%程度の定住増と、その定住増を養える一%の所得の取り戻しさえすればよいというものです。 どれぐらい域外にお金が流出しているか。島根県益田圏域では、域外流出が年間1420億円、これは住民所得の年間総額1556億円に匹敵し、住民の稼ぎをそのまま地域外に差し出していると言っていい状態だったそうです。 地元で買わなくなった、生産をしなくなったことが地域経済に大きな影響を及ぼしています。藤山先生は、「経済は一度きりの取引では終わらず、事業体や部門を超えて連鎖していくもの。同じ金額を投資したとしても、地域内での循環率が異なれば経済効果は大きく違う。初期投資が同じでも、循環率が80%の場合と60%の場合、20%しか違わないが、最終的な需要の合計は二倍になる。」と示しておられます。最初の売り上げや投資額の大小だけでなく、地域の中でどれだけお金が回るかで経済効果が違ってくる。そこに着目し、地域の所得をふやす、取り戻すために、域内生産、域内調達に切りかえていき、地域内でお金が何度も循環するような仕組みを取り戻すことで1%の所得増は実現できると言うのです。 益田市のスーパーマーケットは、地元の農家や事業所の会員と意識的につながり、2011年に237だった会員を2015年には608にまでふやし、地元産を食品部門の総売り上げの15.8%を占めるまでに高めています。 邑南町では、地元産の木質バイオマスエネルギーを利用することで、域外からの灯油の購入額を抑え、エネルギーの面で域内の所得創出にチャレンジしています。また、高校の統廃合が生徒数の減少や子育て世帯や地域経済に及ぼす影響をシミュレーションにより住民に見える化をして、唯一の高校を残す施策に取り組んでいます。  福井県池田町や長野県富士見町でも、地元産、域内仕入れ率を高める取り組みが始まっており、地域内経済循環を取り戻す実践は全国へと広がりを見せています。 そこで、伺います。 本県において吸い上げの経済が進行しているという現状認識と、それを食いとめる施策が必要と考えます。山口県では東は広島経済圏、西は福岡経済圏に取り込まれているがごとき現状があり、域外へお金がどれだけ流出しているのか、そして、どれだけ地元産で調達できるのに域外から調達しているのかについて分析をしたことはあるのでしょうか。 また、全国各地で研究と実践的取り組みが広がっている地域内経済循環の研究と実践に本格的に取り組むべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。

総合企画部長答弁

地域内経済循環の取組に関する二点のお尋ねにお答えします。  まず、域外へお金がどれだけ流出しているのかとのお尋ねです。益田圏域における産業の調達を域外流出と捉えられていますが、本県とは産業構造も大きく異なっており、特に、本県の産業全体の中で大きなウェイトを占める製造業の原材料費などについて、これを流出と捉えることは適当ではないと考えています。  仮に、御質問の域外へのお金の流出をそうした経費も含む県全体の移輸入額と捉えれば、平成23年の産業連関表で、約6兆590億円となっています。  その内、どれだけを地域で調達できるかの分析は行っておりませんし、経済のグローバル化が進み、多様な取引が行われる中で、個別の取引を正確に把握し、分析することは困難であると考えます。  次に、地域内経済循環の研究と実践に取り組むべきとのお尋ねです。本県では、これまでも「やまぐち食彩店」や、学校給食等での農林水産物の地産地消の拡大や、間伐材等を活用する森林バイオマスの推進など、様々な分野で、地域内経済の循環を図る取組が進んでいるところです。  また、人口減少が進む中、地域の活力を維持していくためには、地域外から稼ぐ力を高めていくことも重要であることから、地域商社と連携した首都圏等への県産品の売り込み、海外での農林水産物や県産品の販路開拓支援などの取組も積極的に進めているところです。