大学生の不在者投票

 

大学生における不在者投票についてお聞きします。

9月11日の山口市議会で、山口大の期日前投票所に関する質問に対し、山口市選管委員長は学生の7、8割が市内に住民票がないことなどを踏まえて「効果を考えると見直す時期に来ている」と答弁されたとの報道を目にしましたので、以前にも質問しましたが再度お尋ねします。

先ほど18歳より19歳のほうが投票率が低い現状にあると申し上げました。大学への進学に伴って選挙人名簿に登録された所在地である実家から離れて暮らし、わざわざ投票のために実家まで戻ってこないことが投票率が低い要因の一つであるということです。

3年前の参議院選挙のとき、安倍首相は都内の渋谷区役所で参議院選挙の不在者投票を行いました。不在者投票は、実家に住民票を置いたまま進学で引っ越した、新しく選挙権を獲得した18歳、19歳の利用が想定されることから、「簡単で便利になった。皆さんにも活用していただきたい。」と、不在者投票の利用を呼びかけたことが報道されています。

年に数日、山口県に帰るかどうかの安倍首相が不在者投票できるのですから、学生が「実家に生活実態がない」との理由で不在者投票を断られるのは、まさにダブルスタンダードです。全く納得できるものではありません。

せっかくふるさと山口県で投票しようと思っている学生の不在者投票を断るのは、地方創生にも反し、東京一極集中につながることにもなり、ましてや投票率を上げることを本当に考えているのか疑いたくなります。

この最大の問題点は、各自治体によって判断が違うということです。

例えば、青森市のホームページには、「住民票を異動しないで修学のために市外に居住している学生の不在者投票については、自治庁次長通達に基づき、不在者投票をできない取り扱いとしてきましたが、今後、執行される選挙から、本市の選挙人名簿に登録されている方については、居住実態の個別確認は行わず、不在者投票を認める取り扱いといたしました。」とし、平成28年9月16日の選挙管理委員会で決定とあります。

ですから、青森市では、市外に住んでいる学生については、不在者投票を認めると明文化しています。賢明な判断です。

山口県内ではそうなっていません。全国的には各市町の運用はさまざまのようです。

居住実態等細かく聞くところと、聞かずに黙認するところもあるようです。居住実態の判断など、先ほどの安倍首相の例も含めて突き詰めても意味がありません。投票しようとしている方を断るほうが、前例踏襲しかできない行政レベルの低い自治体だと思います。

さて、この判断をするのは市町選挙管理委員会です。ですから、県選挙管理委員会としては、県内市町が青森市のような先進的な判断をしたとしても、その判断は尊重すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

選管委員長答弁

 大学生の不在者投票事務について、市町選管の判断を尊重するかとのお尋ねです。

 御承知のとおり、選管は、行政委員会として、法令等に基づいた事務の執行が求められております。

 まず、居住地と選挙権の関係ですが、公職選挙法では、選挙権を行使するためには、実際に居住する市町村に住民票を移し、選挙人名簿に登録されていることが必要とされております。また、その際の居住実態の判断は市町選管の事務となっております。

 お示しの下宿している学生の住所は、判例等により、一般的には、下宿先にあるとされていることから、その下宿先に住民票を移す必要があり、総務省は、住民票異動の届出の必要性についてその周知を、都道府県選管に通知、依頼してきております。

 県選管といたしましては、こうした状況を踏まえ、学生等が貴重な一票を確実に行使することができるよう、市町選管や教育委員会等とも連携をして周知啓発に努めてまいりました。

具体的には、学校の卒業前に啓発チラシを県内市町や高校等に配布するとともに、最近では、大学入学時のオリエンテーションや出前授業などで説明するなど、時期や対象を重点化し、伝達手法の充実にも努めているところです。

 こうした中で、今回、市町選管の判断を尊重するかとのお尋ねでございますが、県選管といたしましては、不在者投票事務を所管する市町選管が、個々の事案について、それぞれ責任をもって判断されたものとして、基本的に、判断を尊重いたします。その上で、関係事務が法令等に沿って行われるよう、必要に応じ、適宜、適切に対応してまいります。

参考資料

(青森市のホームペイジより)

学生の不在者投票 

 住民票を異動しないで修学のために市外に居住している学生の不在者投票については、自治庁次長通達に基づき、不在者投票をできない取扱いとしてきましたが、今後、執行される選挙から本市の選挙人名簿に登録されているかたについては、居住実態の個別確認は行わず、不在者投票を認める取扱いといたしました。(平成28年9月16日の選挙管理委員会で決定)
 今後は本市の選挙人名簿に登録されていれば不在者投票ができますが、住民票は居住している市区町村に移すのが原則とされていますので、進学や就職などで転居されるかたは住民票を移しましょう。