6月県議会報告(反対討論)

 

6月県議会(6月21日~7月7日)では、執行部提案10議案と議員提案1議案、そして意見書3件及び請願書5件を審議し、10議案と1意見書は全会一致で可決。1議案及び2意見書は賛成多数で可決されました。しかし、請願5件は反対多数で、全て不採択になりました。

6月議会最大のトピックは、6月30日に自民党県議の一般質問に答弁するなかで、村岡知事は、岩国基地への空母艦載機部隊の移駐について容認を、いとも簡単に、表明したことでした。

2017.7.7 6月定例会・反対討論

お疲れさまです。社民党・市民連合の中嶋光雄です。反対討論を行います。

我が会派は、提案をされています議案のうち、第7号について反対をいたします。他の議案については、賛成をいたします。

そして、意見書の1号に反対をし、2号、3号には賛成します。

請願5件は、全て不採択ですけれども、全て採択すべきであると考えますので、不採択に反対いたします。

まず、議案第7号の反対理由について発言をいたします。

教育委員会では、本県高校教育の一層の充実を図るためにと称し策定した「県立高校将来構想」の方向性に沿って、高校の再編整備を年次的・計画的に進めるため「県立高校再編整備計画」を策定するとし、平成18年度から21年度までの計画を皮切りに2年毎に見直し計画を決定し、平成18年度から現在まで、18高校を8高校に再編統合。7高校は分校化され、さらに4分校は募集停止が強行されています。地元の反対を押し切っての県立高校減らしであります。

そして今回は、響高校と豊北高校の再編統合に係る議案です。これで終わりではなく、さらには光高校と光丘高校の再編統合や西市高校の分校化、全県の夜間定時制課程の再編統合などが今後も目白押しに計画されています。

我が会派は、県立高校再編整備計画、そのものに反対であり、県教育委員会が現在の計画を白紙に戻して、地域振興の観点から、何より、山口の子どもたちが真に必要とする県立高校のあり方について再検討されるよう求めます。

一連の再編整備計画は、肝心の子どもの実態や希望を無視し、財政面の都合や運営の効率化、子どもたちを一つの型にはめようとする管理的発想によるものに思えてなりません。そもそも議論の立て方が、子供たちの数が減ったときに高校の数も減らさなければならないという前提条件に立っているようにしか見えません。県教委の小・中学校における少人数学級・小人数指導の推進の取組については大いに評価しているところでありますので、むしろ、子供の数が減少すれば、大規模校の学級数を削減して、ゆったりとした教育環境をつくることこそを最初に検討されるのが当然のように思われます。高校においても、教員の増員をすることなく、30人学級をつくることができるのではないかと考えます。

再編整備計画が、統廃合を進めることは避けて通れないとしている最大の、そして唯一の根拠が、高等学校の適正規模は1学級あたりの生徒数を40人として、1学年4学級から8学級だとしていることです。人数がその幅の中であれば、あたかも学校生活が生き生きして、個性ある人間ができるという、とんでもなく個性と自主性を無視した機械的な考え方です。学校の中身も伝統も、もちろん子どもたちの個性も関係ありません。規模がすべてです。教育委員会は、学校の魅力というものを大きさだけではかっているようです。これでは、人間を身長だけではかっているようなもので、決定的なものではありません。問題は中身です。子どもの持つ多様な力をいかに伸び伸びと伸ばすことができるか、それこそが私たちの欲しい高校ではないでしょうか。

この問題については、我が会派の佐々木代表が2月定例会で、「学校職員定数条例の一部改正」に反対して、行財政構造改革の推進において、職員定数6百人以上の減員を達成させるために県教委が大きな役割を果たすのではないかと、そら恐ろしくなりました。などと指摘しました。

県はみずから招いた財政危機を切り抜けるための方策の一つとして、高校再編整備を行おうという事があってはなりません。県財政の失敗のツケを、子供たちに押しつけていい訳がありません。

高校統廃合ではなく、少人数学級の早期実施にこそ県教委があらゆる努力を尽くすべきであります。

県立高校再編整備計画が謳う適正規模でなければ生徒の興味・関心や進路希望等にきめ細かく対応できる教育課程の編成がなぜできないのか、部活動を幅広く開設し生徒が希望する部活動に参加できるようになること、文化祭、体育祭などの学校行事を活性化することがなぜできないのか、理解に苦しみます。場合によっては近隣の学校と連携あるいは連合で、教育課程の編成や部活動等の活性化は十分に可能であると考えられます。はじめに行財政改革ありき、初めに再編統合ありきが見え見えでありまして、これまで同様、今回も本議案には反対いたします。

 

次に、意見書1号「空母艦載機部隊の移駐に関する意見書案」についてであります。反対をいたします。

1.新たな部隊の移駐等により、航空機騒音や安全性等の面で基地周辺住民の生活環境が悪化することは容認できないこと。

2.NLPなど、激しい騒音被害をもたらす離着陸訓練の実施は容認できないこと。

3.基地を抱え続ける地元の実情を踏まえ、国の責任により、住民の不安解消を図るための安心・安全対策や、うんぬんに配慮すること。

これら3点を国に要望するものになっています。

これら3点の根源的かつ究極の解決策は、空母艦載機部隊の移駐を村岡知事が容認しないことであり、本県議会としても県民の安心・安全を守る立場から、容認に傾く知事の背中を押すようなことはしないことだと思います。

私は、2月定例会の一般質問で、昨年4月に沖縄で起きた女性殺害・遺棄事件を取り上げて、県民の安心・安全のために日米地位協定について質しましたが、回答は、地位協定の改定が必要と考えているが渉外知事会等を通じて、国に求めていく。とするのみで、なす術もない有様ですし、万一の場合を質せば、県として事件・事故はあってはならないと考えており、個別の事案ごとに対応を国や米側に求める姿勢で県民の安心・安全の確保に努める。と禅問答のような回答で、実際の事件が起きるたびに、綱紀粛正が空しく響くだけが繰り返されているのが現実です。意見書案が要望している、「国の責任により、住民の不安解消を図るための安心・安全対策」のためには米軍基地の撤去・縮小の他に有効な策があるとは思えません。ましてや空母艦載機部隊の移駐を容認することが妥当であると考えている。としながら機数が極東最大級となる航空機による騒音被害や3800人増となる米兵等の犯罪リスクに対する住民の不安感の解消を図るための安心・安全対策への対応を望むことは矛盾以外の何物でもありません。

さらに、請願第2号で請願者が要旨で言われている事。特に、岩国基地所属機による低空飛行訓練による爆音・衝撃波、墜落の恐怖にさいなまされておられる周辺県外のみなさんの不安は今以上の頻度で増加することになるでしょう。そして、それらに対して後ほど私が述べる意見などの理由により、本意見書には反対いたします。

 

次に、請願についてです。第1号、第2号、第3号、第4号及び第5号を不採択とすることに反対します。

第1号は、「共謀罪法(改正組織犯罪処罰法)」の施行を中止し、同法の廃止を求めるものです。

「共謀罪法」は、テロ対策を口実に捜査・摘発の網を広く市民社会全体に広げ、実行行為と犯罪結果があって初めて処罰する刑法の基本原則を根本から覆し、277の犯罪に当たる行為を「計画」し「準備」していると見なされれば、誰もが捜索・逮捕され処罰される可能性を有しており、思想・良心の自由(憲法第19条)、表現の自由と通信の秘密(憲法第21条)を侵す違憲立法であり、請願者が言われるように、「現代版治安維持法」と言うべきものです。

しかも、安倍政権は、多くの市民の反対や国際世論の懸念を無視し、衆院での強行採決に続いて、参院においても、委員会中心主義を踏みにじって審議を打ち切り、突然、本会議に「中間報告」を行って採決するという、究極の強行採決をも行い成立させたものです。

従って、請願者が要旨で述べられていることは的を射ており、本請願は採択すべきです。

 

請願第2号、米空母艦載機部隊の岩国移駐に反対する意見書提出を求めることについての不採択に反対します。

請願者が言われているように、2006年3月12日に艦載機移駐の是非を問う住民投票が行われ、移駐反対が43,433人であったのに対し、移駐賛成は5,369人にすぎず、「艦載機部隊の移駐反対」の明確な民意は既に示されています。

しかし、福田岩国市長は「基地との共存」を謳い、危険な軍事施設と一蓮托生の街づくりに突っ走ろうとしています。このままでは現在の米海兵隊部隊に厚木から来る海軍の3800人が加わると、岩国には1万人余の治外法権に守られたアメリカ人が住み着くことになり、岩国市民は事故、犯罪、交通事故などの基地被害増加の不安にさらされることになってしまいます。

さらに、最近朝鮮半島情勢が緊迫し、ミサイルが岩国基地に飛んできたら…とのマスコミ報道が氾濫し市民のストレスが増大するトバッチリまで生まれています。

従って、請願者の言われることは、至極まっとうなことであり、本請願は採択すべきです。

 

請願第3号、「国の責任による35人以下学級の前進」を求めることについての不採択に反対します。

本県では、平成14年度に中学校1年生の35人学級化の取組を始められ、順次拡大して、平成23年度に全国に先駆けて小中学校全学年の完全35人学級化を実施、本年度も児童生徒の状況に応じたきめ細かな指導体制の充実を図るため、35人学級化のための教員配置を継続するための予算措置などを継続されています。このことを請願者も評価されています。

従って、本県の「日本一を活かす取組=少人数学級・少人数指導の推進」は全国に誇るべき先進的取り組みであり、子供の数が減少している今をチャンスとして捉え、国の責任において推進すべきとする本請願は採択すべきです。

 

請願第4号、国の教育予算をふやして「高校無償化」を復活し、給付型奨学金制度の確立を求めることについての不採択に反対します。

OECD(経済協力開発機構)は、加盟国を中心に世界各国の教育制度や財政、教育の効果についての調査を実施し、国際的な指標として公開しています。2015年11月に発行された「図表でみる教育2015年版」によると、日本の教育機関に対する公的支出は、国内総生産(GDP)の約3・5%となっており、OECD各国平均の約4・7%を大きく下回っており、加盟国34カ国中最下位で、日本の最下位は6年連続だそうです。

また、日本の高等教育(大学等)への公的支出は、GDPの約0・5%でOECD平均の半分以下です。その結果、日本では大学等にかかる費用は私費に依存し、教育費の公的支出の割合は約3割にとどまっています。

さらに、大学の授業料に関しては、デンマーク、ノルウェーなど、北欧では無償です。フランスやベルギーなどのヨーロッパ諸国でも比較的低額に抑えられています。一方で、日本は韓国と並び、授業料が最も高額な国のひとつとなっています。

加えて、日本の奨学金制度は、諸外国に比べ、公的資金による給付型の割合が極めて低く、ほぼすべてが貸与型です。返済の必要のない給付型と違い、学生のその後の生活に負担がかかる日本の「貸与型奨学金」はOECDでは「学生ローン(student loans)」と分類されています。

近年、経済格差の教育格差への影響が指摘されています。こうした教育環境下で、大学進学の意志があっても、家庭の経済状況によって進学を諦めざるをえない子どもや、卒業後に奨学金の返済に苦しむ若者の問題なども顕在化しています。

こうしたOECDの指標からも請願者の言われていることは至極当然であり、本請願は採択すべきです。

 

請願第5号、「給食費の無償化」を求めることについての不採択に反対します。

憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」としています。

また、請願者も要旨で言われているように、学校給食は、食教育の「生きた教材・食の教科書」として、学校教育法でも教育活動の一環に位置づけられていることから、安倍首相が教育無償化を憲法改正の優先項目にする考えを示すまでもなく、全ての小中学校で学校給食を実施し、給食費を無償にすることに憲法改正は必要ないことなので、本請願を採択することを求めます。