共同漁業権と「生物多様性やまぐち戦略」の改定

2024年6月県議会

7、共同漁業権と「生物多様性やまぐち戦略」の改定について

上関原発建設予定地である「上関町長島の田の浦海域」は、2000年4月の中国電力(株)と関係漁業協同組合等との「漁業補償契約書」において、⑴漁業権消滅区域、⑵漁業権準消滅区域、⑶工事作業区域が設定され、区域の区分に応じて「漁業権等の放棄等」が協定されているが、「上関町長島の沿岸部をぐるり取り巻く、共同漁業権第89号、第84号の海域図には、漁業権放棄されている海域との境界が示されていない。公開されている共89号、共84号の図のすべての海域が共同漁業権を有しているとしてとらえてよいのか。」について問われましたので、県の見解を伺います。

そこで、先ず農林水産部に伺います。

本来国民が自由に営めるはずの漁業がどうして一般的に禁止されているのかというと、あらゆる漁業を国民の自由に任せておいたら、水面を独占してしまったり、乱獲につながったりするからです。そうなると、漁業生産力があがらないどころか、資源の枯渇を招いてしまいます。

そこで漁業法は、漁業法にいう「漁業調整」、すなわち「水面の総合利用による漁業生産力の発展」を目的として、水面を誰にどう使わせるかを調整することにしたのです。本来、国民の自由、すなわち「民」に任せるべき領域に公権力が介入するためには、何らかの公共目的が必要ですが、漁業法の場合には、それが「漁業調整」なのです。あくまで「漁業調整」を目的としているから、免許や許可ができるのです。

だから、漁業法では、漁業権は「漁業を営む権利」と定義されており、知事が「漁業の免許」をすることにより設定することになっています。

共同漁業権の内容は免許によって決められています。その内容は、漁場の位置・区域、漁業種類、漁業の名称、漁業時期、関係地区などです。漁業生産力を上げるために、その免許内容を少しでも変える必要が生じた時には、やはり漁場計画を立てなおして、免許のやり直し、すなわち変更免許をすることが必要になります。

つまり、漁業権の内容を変えられるのは、免許を受けた側でなく、免許を出した側です。免許を出した知事が免許内容を変えない限り、漁業権が変わることはありません。

従って、先述した問いへの回答は、「共89号、共84号の図のすべての海域が共同漁業権を有している」ではありませんか。見解を伺います。

農林水産部長答弁・・・共同漁業権共第84号と共第89号の漁場図で示している全ての海域について、現在、共同漁業権が免許されています。

 

次に、土木建築部に伺います。

公有水面埋立法が手続きとして要求しているのは、「漁業権者の埋立同意」を得たうえで埋立免許をしなさい、ということであって、「漁業権の放棄」など要求されてはいません。

そのことは、「漁業権者等の埋立同意→埋立免許→漁業権者等への補償→着手」というように、漁業権者に補償しなければ着手できないとされていることからもわかります。埋立免許前に漁業権が放棄されたら漁業権者がいなくなってしまいますから、埋立免許後に漁業権者に補償することは全くあり得なくなります。

この事に対する見解を伺います。

土木建築部長答弁・・・公有水面埋立法上の手続についてのお尋ねにお答えします。

公有水面埋立法では、漁業権者等の水面権利者に関しては同意及び補償についての規定はありますが、一方、漁業権の放棄については規定はありません。

 

その上で、伺います。

中国電力(株)としては、「漁業権があるから自由に埋立てできない、だから漁業権を放棄させて何の権利もない水面にすれば、自由に埋め立てられるようになる」と考えて、「漁業権放棄」をさせるのでしょうが、漁業法及び水産業協同組合法から見てもおかしい。また、公有水面埋立法で定めている手続きと全く違うじゃないですか。

公有水面埋立の際に漁業権がいつ無くなるのかについては、大審院判決(民事部昭和15年2月7日)で、施設ないし埋立の実行によって漁業権は次第に減縮し、あるいは全く消滅するに至る旨、示されています。この判決文を読まれたうえで、見解をお答えください。

土木建築部長答弁・・・漁業権放棄についてです。

漁業補償契約については、当事者間の契約に関わることであるため、県として、見解を述べる立場にありません。

 

次に、この6月14日に公開で開催された「環境審議会」で、「生物多様性やまぐち戦略最終案」の答申について審議が行われ傍聴しました。(傍聴者は一人、マスコミも4社のみでした。)

配布された「パブコメの実施結果」の資料によると、例えば、「9 行目の「海域については、県単位で保護地域の面積の算出が困難である」との認識は、政府の海洋保護区に関する施策を反映していない。環境省は平成 23 年策定の「海洋生物多様性保全戦略」で海洋保護区についての考え方を示している。その上で、「海洋保護区設定の在り方」という文書により海洋保護区の定義を示したうえで、別表として保護区に該当する海域を具体的に分類している。 具体的には、共同漁業権区域などである。 これらの面積を環境省が試算し、区域の重複を除いた合計面積は、領海及び排他的経済水域の面積の約 8.3%に当たるとしている。これは山口県においても適用されているはずで、その事情を地域戦略にも記載すべきである。

併せて環境省が抽出した沿岸域で 270 海域ある「生物多様性の観点から重要度の高い海域」を活かして、海洋保護区を拡大することができるはずで、この点についても地域戦略では触れるべきである。」との意見に対して、県の考え方は、「海域の保護地域については、生物多様性国家戦略において対象となる制度が明記されており、保護地域への該当については、個別の関係法令に基づき判断されるものと考えており、原案どおりとします。」と書かれているが、まるで県の考え方は「禅問答」のごときで、さっぱりわからない。ここでいう個別の関係法令とは具体的には何なのか、お聞かせください。

環境生活部長答弁・・・個別の関係法令とは、「生物多様性国家戦略」で示されている海域の保護地域の根拠法令であり、自然公園法、瀬戸内海環境保全特別措置法、自然環境保全法、鳥獣保護法、種の保存法、文化財保護法、水産資源保護法、海洋水産資源開発促進法、漁業法などです。

再質問・・・

平成23年5月の環境省文書「海洋保護区設定の在り方」の別表に法律名が記載されている。

当然漁業法も含まれています。ゆえに、山口県において海洋保護区は特定できているので、それを集計すれば保護地域の面積は算出できるはずでないか。

それに基づいて、改定やまぐち戦略に、山口県の海洋保護区を地図で具体的に明示すべきではないか。

環境生活部長答弁・・・再質問にお答えします。山口県の海洋保護区は特定できているので、それを集計すれば海域の保護地域の面積は算出できるはずである。    

それに基づいてやまぐち戦略に山口県の海洋保護区を地図で明示すべきではないかとのお尋ねだったと思います。

海域における保護地域の割合については、陸域と異なり海域には県境が設定されていないため、本県における保護地域の面積を算出することは不可能です。

そのため、陸域で示しているような保護割合の算出ができず、「生物多様性やまぐち戦略」に記載していないものです。

このため、海洋保護区を地図で示すことも考えていません。

再々質問・・・

共同漁業権は今年の1月6日で新たに官報で告示されてますけれども、それには区域図がすべてそろっているじゃないですか。その面積は計算できるはずです。  だから、先ほどご答弁がありましたけども、関係法律は何か、漁業法があると。漁業法の中で共同漁業権区域が謳われていて、その区域を県がきちんと広報されている。なぜその面積の算出ができないのか。 

環境生活部長答弁・・・先ほど、生物多様性やまぐち戦略についての再質問にお答えをさせていただきました。

共同漁業権域ということについての限定のお尋ねでしたけれども、環境省の方は共同漁業権域だけを含めているわけでなくて、海洋保護区設定のあり方には、共同漁業権域以外にも、自然公園法に基づく海域ですとか、共同漁業権域以外の海域も入っています。

それを国の方では領海を含めてですけれども、その中で面積を算定することは可能ですけれども、それを県分というところに分断してですね、その県分だけを算定することは、繰り返しとなりますが、不可能です。