現在の山口県の経済情勢について、11月発表の日銀下関支店「山口県金融経済情勢」によりますと「県内景気は、緩やかながらも順調に回復している」とされており、8ヶ月連続で同じ表現が続いています。
また、雇用情勢についても山口労働局によりますと、2年1ヶ月連続で、「着実に改善が進んでいる」とされており、有効求人倍率も山口県内の経済・雇用情勢は着実に上向いてきていると言え、官民一体となった取組の成果と言えるのではないでしょうか。
一方で、有効求人倍率が上昇するということは、仕事に対して人が足りていないという状況を示すことでもあり、労働人口減少が叫ばれる中、優秀な人材を確保していくことは官民問わず、組織運営の大きな課題であります。
ここで、(お手元の資料を見ていただきたいと思います。)
公表されている資料から、ここ10年間の県職員の採用試験の状況を見てみますと、大学卒業程度の試験結果ではありますが、「最終競争倍率」が平成23年度は11.9倍であったものが平成30年度は4.6倍となっているなど、近年、競争倍率が低い状況が続いています。
その上、毎年の採用辞退者が多く出ています。
先ほど述べた人材確保の面からは憂慮すべき状況であります。
こうした中、今年の人事委員会勧告において、来年度以降の賃金を明確な基準も示さないまま引き下げるという内容になっており、多様かつ優秀な人材を確保するという目的からすると疑問を呈さざるを得ません。
厚生労働省が2018年3月に作成した「人材確保に「効く」事例集」においても、「就労条件」の改善が必要だとされており、人材確保という課題に対して逆行しているとしか思えません。
他県の動向を見てみると、11月13日の北海道新聞の記事では、札幌市の新規採用内定者155人の内42人、実に27%もの人が辞退を申し出たとする内容の記事がありました。これは北海道庁ではなくて札幌市の状況です。北海道庁では、近年の内定辞退率は、6割に上るそうです。道庁の辞退者は、札幌市に逃げるということはこれまでも聞いてきましたが、札幌市の辞退者の40%は国家公務員に逃げているそうです。
優秀な人材確保には、賃金、手当だけでなく、処遇改善や働き方、仕事に対する達成感や満足度も必要な要素だとは考えますが、受験者がまず見るところは初任給、手当での比較になろうかと思いますし、その結果として北海道のような状況が岐阜県など全国的に起こっていると聞いております。
これまで述べたように、人材確保の観点からすれば今年の人事委員会勧告が大きな矛盾を含むものであり、現在の雇用状況にも逆行するものであると考えます。
職員採用試験を所管している人事委員会として、どうお考えなのか、人材確保対策の観点からお尋ねします。
さらに、近年、民間および国家公務員の給与は上昇しており、特に若年層、新規採用職員の初任給に重点的にプラス改定されている状況にあります。
また、「県の職員採用情報の勤務条件・給与には、平成30年4月1日現在、一般職、大学卒業程度、188,700円」と記載されており、民間給与の動向に応じて、給与改定が行われます」ともあります。先程も申し上げましたが、民間の給与は上昇しています。それであれば、初任給は当然に引き上げになるものと考えます。
しかし、今年の人事委員会勧告が実施されれば、来年4月の新規採用者の初任給が、今年の初任給よりも引き下げになると聞いております。
今年の職員給与と県内民間の給与との比較においても、民間の方が1,700円高かったとの調査結果が出されており、この結果をもってしても、県の新規採用職員の給与を3,500円引き下げるという状況には至らないものと考えられるのですが、このことについて説明をお願いします。
人事委員会委員長答弁
職員の人材確保についての2点のお尋ねにお答えいたします。
まず、本年の人事委員会勧告についての人材確保対策の観点からのお尋ねです。
給与勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した給与を確保する機能を有しており、地方公務員法に定める給与決定原則に基づいた勧告により適正な給与水準を保障することが、人材確保にも寄与するものと考えております。
こうした中、ラスパイレス指数が、近年、漸増傾向にあることから、国家公務員の給与水準との均衡を考慮し、来年4月の給与水準の見直しを勧告したところですが、新規採用者の初任給につきましては、国と比較して、基準を高く設定しており、一定の水準を確保しているところです。
なお、県職員の人材確保につきましては、新たな政策課題や複雑・多様化する県民ニーズに的確に対応するために重要であり、大学での就職説明会等において公務の魅力をしっかり発信するとともに、働きやすい環境づくりをより一層進めるなどの取組に努めてまいります。
次に、新規採用職員の給与についてのお尋ねです。
お示しの新規採用職員の給与は、本年の職員給与と民間給与、国家公務員給与等との比較結果などを総合的に勘案し、本年4月に遡り、2,000円の増額を勧告したところであ
り、本年の勧告が実施された場合には、来年4月時点で、
3,500円の減額となりますが、これは、国家公務員の給与水準との均衡を考慮した見直しに伴うものであります。
再質問
10月17日付けで、「議会および知事に対し、職員の給与等に関する報告及び勧告を行い、所要の措置をとられることを要請しました。」との人事委員会委員長談話を出されています。
議会に対しても出された勧告ですので、議員の一人として異議を申し立てて
いるのですが、委員長の答弁には納得いきません。
談話では、「人材の確保については、技術系職種を中心に採用試験の応募者の減少が著しい中、任命権者とも連携して、より一層、人材確保策に取り組んでいく必要がある。」と述べられています。
公務員は、憲法第28条で保障している労働三権が「公共の福祉」「全体の奉仕者」という美名の下に奪われ、あるいは不当な制限を受けている。その代償措置として、国には人事院が、都道府県・政令指定都市には人事委員会が設けられ、公務員から労働基本権を剥奪した代償機関としての役割を中立的な第三者機関として果たすことを求められている。
そして、地方公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準は、地方公務員法第24条に、①生計費、②国及び他の地方公共団体の職員の給与、③民間事業の従事者の給与、④その他の事情、の四つの要素を考慮して、条例で定める。となっている。ここで「条例で定める」とは、決定された賃金を第一に、議会の議決を通じて予算上の裏付けをすることであり、第二に、条例化することによって、地方公務員の身分の保障しようすること。とされている。
今の県の職員の皆さんは、懸命に働いてくれています。だから、過労死ラインの月80時間を突破している人が90人を超えているし、心身の疲労からの不調者が多くなっているとも聞いています。
応募者は、国との比較でなくて、山口県の去年の初任給はいくらかを応募の判断材料にしている。今年は3,500円下がる。このことについて、お答えをいただければと思います。
人事委員会委員長再答弁
特に、技術職のお話がございましたが、募集要項でいきますと、今年の4月時点での給料、これが188,700円ということでございます。また、来年4月の時点で考えますと、187,200円というかたちになりまして、募集要項の上では、1,500円低くなります。
当然、この初任給というか、この辺も影響はあろうかと思いますが、特に技術職に限って申しますと、土木職などの技術系の職種については、民間企業の積極的な採用活動の影響が大きいという風に理解をしておりまして、特に、こういう技術系の職種については、受験者の確保が厳しい状況がございます。このため、任命権者と連携しまして、大学へのリクルート活動等を積極的に行うことによって、人材の確保に努めてまいりたいという風に考えております。
| ○職員の人材確保について | ||||||||||||||
| 競争試験の場合の(大学卒業程度の試験結果)調査 | ||||||||||||||
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試験 実施 |
有効
受験者 |
最終
合格者 |
倍率 |
採用者数 |
辞退者 | 辞退率 | ||||||||
| 知事
部局 |
教育 | 警察 |
合計 |
|||||||||||
|
H21 |
732 | 88 | 8.3 | 75 | 0 | 0 | 75 | 13 | 14.8% | |||||
|
H22 |
846 | 86 | 9.8 | 59 | 3 | 10 | 72 | 14 |
16.3% |
|||||
|
H23 |
784 | 66 | 11.9 | 49 | 4 | 1 | 54 | 12 |
18.2% |
|||||
|
H24 |
723 | 80 | 9.0 | 60 | 5 | 4 | 69 | 11 |
13.8% |
|||||
|
H25 |
700 | 81 | 8.6 | 50 | 4 | 4 | 58 | 23 |
28.4% |
|||||
|
H26 |
616 | 112 | 5.5 | 76 | 2 | 9 | 87 | 25 |
22.3% |
|||||
|
H27 |
539 | 120 | 4.5 | 92 | 5 | 9 | 106 | 14 |
11.7% |
|||||
|
H28 |
517 | 91 | 5.7 | 65 | 1 | 3 | 69 | 22 |
24.2% |
|||||
|
H29 |
403 | 76 | 5.3 | 59 | 0 | 2 | 61 | 15 |
19.7% |
|||||
| H30 | 370 | 80 | 4.6 |
|
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| ※採用者は、試験実施年度の翌年の4月1日に採用されたもの。 | ||||||||||||||
