高齢者の防犯対策について
ルフィ広域強盗事件など、匿名・流動型犯罪グループによる事件対策等について、特にその多くは高齢者が狙われていることから、県警察の取組についてお尋ねをします。
「光市の住宅街でSNSの『闇バイト』に応募した関東地方の少年3人を強盗予備容疑で逮捕」、「下松市で、事務所強盗容疑で37歳男逮捕 闇バイトの実行役に指示か」と報道されたように本県でも起こっています。
匿名・流動型犯罪グループの特徴は、主犯者が直接犯罪を行うのではなく、指示役となり、実際に犯罪を実行する実行役をSNSなどで募集し、その応募者は、一般人の、特に若い人が多いということです。そのため、警察でも、犯人の特定や犯罪の予防が困難になっていると考えます。
また、その手口も巧妙で、劇場型的に事前に電話等で危機感をあおり、その後警察官や銀行員に成り済ました者が現れ、対象者に安心感をもたらし、堂々と犯罪をするために、だまされたことに気づくのが遅れる傾向にあると聞いておりますし、劇場型の詐欺だけではなく、関東では強盗事件も多発しています。
高齢社会が進展している日本ですが、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年に本県は46.8万世帯に、うち世帯主65歳以上世帯が24.1万世帯で、さらにそのうち一人暮らしの世帯が10.7万世帯で44.3%を占めるまで増えると推計されていますから、ますます匿名・流動型犯罪グループから狙われる対象者が増えてくることが容易に想像できます。
また、うそ電話詐欺の令和6年に認知した件数は111件(前年比27件増)、被害額は43,115万円(前年比26,105万円増)と急増しています。
犯罪の予防と検挙の両面に積極的に取り組んでおられることは承知をしていますが、犯罪を元から断つということは、非常に重要な取組だと考えます。
そこで、今後、高齢者の、高齢者に限らず県民の安全、安心を守る取組をどのように進めていかれるのか、県警察本部長にお尋ねいたします。
県警察本部長答弁・・・
高齢者を含めた県民の安全、安心を守るための県警察の取組についてのご質問にお答えいたします。
「匿名・流動型犯罪グループ」は、闇バイトなどを通じて実行犯を募集し、離合集散を繰り返す犯罪集団で、その背後には暴力団の関与が疑われるなど、この種事案への対策は喫緊の取組課題となっております。
県内でも同グループが関与したとみられる強盗事件などが複数発生しているほか、昨年認知したうそ電話詐欺は件数、被害額ともに前年から大幅に増加し、高齢者は被害者のうち約4割でありますが、被害額では6割を占めるなど、高齢者が同グループによる強盗や詐欺などの被害に遭わないための対策がますます重要となります。
県警察では、同グループによる強盗などの凶悪事件への対策として、深夜帯の住宅地周辺における、赤色灯を点灯したパトカーによる見せる警戒活動とともに、防犯講習、SNSなどを通じて、住宅への鍵かけ、防犯設備の充実などの被害防止対策広報を強化しているほか、令和7年度には街頭防犯カメラ設置補助事業に取り組むこととしております。
また、うそ電話詐欺における犯行利用番号の大半が「+(プラス)」などから始まる国際電話番号であり、固定電話・ひかり電話では、国際電話利用契約の利用休止を申し込めば、継続的に発着信を拒否でき、うそ電話詐欺の被害防止上極めて有効であるため、巡回連絡などの活動を通じて直接的な申込み支援を強化し、令和6年9月の運用開始から、県警察が本人に代理して700通以上の申込書を送付しております。
また、高齢者は、ATMを操作させて犯人側にお金を振り込ませる還付金詐欺被害の割合が高いことから、ATMが設置されている金融機関、コンビニエンスストアなどに対して、携帯電話で通話しながらATMを利用する客に対する声掛け強化を要請するなどして、還付金詐欺対策の強化を推進しております。
こうしたもののほか、従来から実施してきた講習やキャンペーンによる広報に加え、高校演劇部と連携したメッセージ性の強い広報や警察音楽隊の集客力を活用した広報により、広く県民に対して、被害防止対策を情報発信しております。
県警察といたしましては、引き続き、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪に対し、検挙と防犯を両輪とした総合的な対策を強力に推進することにより、高齢者を含めた県民の安全・安心を守ってまいります。