上関原発と中間貯蔵施設について(R7.2)

上関原発と中間貯蔵施設について

2月18日、石破政権は第7次エネルギー基本計画を閣議決定、「可能な限り原発依存度を低減」するとの文言を削除し、原発回帰を鮮明にした。

原発新増設についても、岸田政権のGX基本方針では「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」とされ、廃炉があり、敷地にめどが立つのは美浜と敦賀のみで、敦賀2号が新規制基準不適合になった日本原電にその余裕はなく、美浜で関電が新炉を建設しなければ新増設は実現しない筈であったが、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内」での建て替えと条件を緩和し、九電の川内3号炉の新増設を可能にしようと目論まれている。

しかし、国が支援する枠組みを盛り込むようにと電力業界が注文を付けていたスキームは曖昧な表現にとどまり、要望した国支援なしに関電、九電ともに新炉建設することは不可能でしょう。

朝日新聞は、「原発回帰は大手電力が切望していたとはいえ、政府の支援策がなければ投資に踏み込めない事情も浮かぶ」と書き、九電や関電幹部の「本音」を紹介しています。

九電幹部「うちがやるのは、あちら(関電)がやったあとだ」と、当面は様子見の構え。

関電幹部「エネ基を旗印に、すぐにリプレースできるわけではない」「重要なのは、本当に採算がとれる支援制度が出てくるかだ」「リプレースの検討に向けた次のステップに踏み出すと、すぐに表明するのは難しいだろう」と。(2025年2月19日)

そこでお尋ねです。

エネ基はおおむね3年ごとに見直されるが、第7次エネ基においても上関原発は新増設の対象にすらなっていません。

これまで三度、公有水面埋立期間伸長許可と同時に、「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しない」ようにと村岡県知事名で要請をしていることは周知の事実であるが、公有水面埋立期間伸長にあたっての審査表では「指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があること」となっているにもかかわらず、前回、前々回の期間伸長許可にあたり知事要請をあえて捨象(しゃしょう)されたのは非合理的と言わざるを得ません。

そこで、かかる要請を出した県知事として、県民に説明責任を果たすべきと考えますので、新エネ基での原発新増設の書きぶりも踏まえての見解をお尋ねします。

次に、中国電力と関西電力が上関町に計画する使用済み核燃料中間貯蔵施設をめぐり「推進」か「反対」かが争点にもなって行われた田布施町議選で反対を掲げた6人全員が上位当選され、早速、2月28日に6名全員の連名で議員提案として、「上関町での中間貯蔵施設の建設に反対する決議」を議長に提出されました。

提案理由は、「令和6年2月27日に上関町での中間貯蔵施設の建設に反対する田布施町民の会から提出された陳情書及び同年5月17日に田布施町連合婦人会から提出された陳情書に賛同し本案を提出する。」とされており、この陳情2件は3372人分署名も提出されていたものだが、いずれも継続審議、議員の任期満了に伴い審議未了廃案になった経緯があるが、今回の決議は、可決される見込みだと聞いています。

こうした上関町近隣の住民の声に、県は真摯に耳を傾けるべき時ぞ今と、考えますが知事のご所見を伺います。

産業労働部理事答弁・・・

上関原発と中間貯蔵施設についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、第7次エネルギー基本計画における原子力発電に関する記述と知事要請についてです。

 原子力発電に関し、第7次エネルギー基本計画は、次世代革新炉の開発・設置について、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えを対象として具体化を進めていくとしています。

 また、その他の開発などは、各地域における再稼働状況や理解確保の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくとしています。

 一方、上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な事柄に関しては、国からは、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されているところです。

 こうしたことから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。

 また、公有水面埋立免許の期間伸長許可により中国電力は、法的には埋立工事を施行できる状況にあります。

 しかしながら、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていない状況や、中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっていません。

 このように、引き続き発電所本体の着工時期が見通せない状況にあることから、原発建設計画が存する県の立場からは、埋立工事のみを先行すべきではないと判断し、発電所本体の着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施行しないよう、要請しているものです。

次に、上関町近隣の住民の声についてです。

 上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、県民の間で様々な意見があることは承知していますが、現在は、あくまでも、施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。